こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
ザックを背負った瞬間、「これ、重すぎないかな」と不安になること、ありますよね。僕も登り始めのころは、そもそも何kgが普通なのかを知らないまま歩いていました。
この記事では、日帰り・小屋泊・テント泊それぞれの目安を、体重比とkgの両方で整理します。あわせて、自分の荷物が重すぎるかを確かめる手順と、僕が実際に測ったギアの重さも公開しますね。
読み終えるころには、他人の基準ではなく自分の数字で判断できるようになるはずです。
- 日帰り・小屋泊・テント泊それぞれの総重量の目安と、体重比の考え方
- 「体重の何割まで」という基準が、どこまで裏付けのある数字なのか
- 自分の荷物が重すぎるかを5つの手順で確かめる方法
- 安全装備を残したまま軽くする順番と、僕が測った実測ギアの重さ
登山の荷物の重さ目安は体重の10〜30%
登山の荷物の重さの目安は、日帰りが体重の10〜15%、山小屋泊が15〜20%、テント泊が20〜30%です。kgに直すと、日帰り4〜9kg・小屋泊6〜10kg・テント泊10〜15kgあたりに収まります。

ただし、この数字は「ここまでなら安全」と決められた上限ではありません。多くの登山者が落ち着く範囲というだけで、快適な重さは体格や体力で変わります。
ねえ、りょう。人間っていつも大きな袋を背負って登ってくるけど、あれって何kgくらいが普通なの?
泊まり方でだいぶ変わるんですよ。日帰りとテント泊では倍以上の差がつくこともあります。まずはスタイル別に並べてみましょうか。
| 登山スタイル | ザック容量 | 総重量の目安 | よく使われる体重比 |
|---|---|---|---|
| 日帰り | 15〜30L | 4〜9kg | 10〜15% |
| 山小屋泊 | 30〜40L | 6〜10kg | 15〜20% |
| テント泊 | 45〜60L | 10〜15kg | 20〜30% |
泊まり方が一段変わるごとに、荷物がまとまって重くなるのが分かります。増えているのは寝る道具と食べる道具で、歩く距離の長さではありません。
同じ山でも、日帰りかテント泊かで背負う重さはまるで別物になります。
日帰り登山の荷物は何キロ?4〜9kgが目安
日帰り登山の荷物は、4〜9kgに収まっていれば標準的です。ザックの容量なら15〜30Lクラス。モンベル公式は20〜25Lを挙げ、装備を厳選すれば15Lでも可としています。
内訳の中心は、ザック本体0.8〜1.3kgと水1〜2Lです。ここに雨具・防寒着・行動食・安全装備が乗って、4〜9kgのレンジになります。
同じ日帰りなのに幅が広いのは、持ち物の数ではなく、一つひとつの重さが違うからです。
たとえば雨具。モンベルのレインジャケットは、軽いモデルで143g、厚手のモデルだと313gあります。ザック本体も、同じ30Lクラスで832gと1.26kgの開きがあります。
一つひとつの差は、手に持っただけでは分からない程度です。それでも装備の点数だけ積み上がるので、同じ持ち物リストでも4kg側と9kg側に分かれます。
つまり日帰りの重さは、贅沢品ではなく必需品でほぼ埋まります。削る余地は、思っているより少ないんですよね。
モンベル公式は、日帰り登山でもヘッドランプ・救急セット・エマージェンシーシートは必携としています。
水は1Lで約1kgあり、荷物の中でも重さの効き方が大きい部分です。水場や山小屋で給水できるルートなら、担ぐ量そのものを減らせます。
ただし、減らしていいのは補給できる見込みがあるときだけ。水を削って脱水になると、体だけでなく判断力まで落ちます。
小屋泊6〜10kg・テント泊の総重量は10〜15kg
山小屋泊は6〜10kg、テント泊は10〜15kgが目安です。同じ1泊でも、この目安どうしを比べると4〜5kgほどの差になります。実際の差は装備や食事プランで変わります。
理由ははっきりしていて、2食付きで予約すれば小屋に寝具と食事があるからです。シュラフ・マット・炊事用具・食料の大半を、持たずに済みます。素泊まりのプランや食事提供のない時期は前提が変わるので、予約時に確認してくださいね。
テント泊は、その全部を自分で背負います。代表的なモデルで最小構成を組むと、テント・シュラフ・マットの3点だけで約2.1〜2.4kgです。
| 装備 | モデル例 | 重量 |
|---|---|---|
| テント | モンベル ステラリッジ テント1(本体+レインフライ) | 1.14kg |
| テント | アライテント エアライズ1 | 1,360g |
| シュラフ | モンベル シームレス ダウンハガー800 #3 | 589g |
| マット | サーマレスト Zライト ソル(レギュラー) | 410g |
3点で2kg強なら軽く感じますが、テント泊が10kgを超えるのは残りの積み上げが大きいからです。ザック本体・炊事具・2日分の水と食料が、まとめて効いてきます。
裏を返せば、小屋の予約が取れずにテント泊へ切り替えると、装備は一段重くなります。行程は同じでも、背負う重さは別物になりますよね。
ザックは体重の何割まで?裏付けは10%だけ
「体重の何割まで背負ってよい」と公的に定めた基準は、調べた限りありません。資料で裏が取れるのは、体力テストの前提としての「体重の10%程度」だけでした。
長野県山岳総合センターのマイペース登高能力テストは、「体重の10%程度の荷物で、標準的なコースタイムで歩く場合」を評価の前提にしています。これは10%が上限という意味ではありません。体力を測るときの基準条件、という位置づけです。(出典:長野県山岳総合センター『所長のひと言(30)「マイペース登高能力テストのすすめ」』)
よく見かける「体重の1/3が限界」という言い方は、公的資料やメーカー公式では裏が取れませんでした。そう言われている、という以上には書けない数字です。
とはいえ、自分の位置を知るための換算は役に立ちます。主な割合をkgに直しておきますね。
| 体重 | 10% | 15% | 20% | 25% | 30% |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 5.0kg | 7.5kg | 10.0kg | 12.5kg | 15.0kg |
| 55kg | 5.5kg | 8.3kg | 11.0kg | 13.8kg | 16.5kg |
| 60kg | 6.0kg | 9.0kg | 12.0kg | 15.0kg | 18.0kg |
| 70kg | 7.0kg | 10.5kg | 14.0kg | 17.5kg | 21.0kg |
では、その数字に何を入れると埋まるのか。体重60kgの人が、テント泊を20%=12kgに収める場合で見てみます。
テント・シュラフ・マットで約2.2kg、ザック本体で1〜2kg、水2Lで2kg、1泊2日の食料で1〜1.5kg。ここまでで残りは4〜6kgほどです。
そこへ雨具・防寒着・炊事具・安全装備が入ります。装備そのものを削らない限り、目標の枠には収まりません。
表を見た時点では余裕がありそうでも、実際に使える枠はかなり狭いんですよね。だからこそ、次は自分の装備を測る話になります。
体重が軽い人ほど、同じ装備でも体重比が跳ね上がります。体重比の話は60〜70kgの体格を前提に語られることが多いので、そこは差し引いて読んでください。
そもそも、背負える重さには想像以上の個人差があります。高校生山岳部員に「余裕を持って背負える重さ」を聞いた調査では、平均が男子13〜16kg・女子10〜13kgでした。
ただ、同じ集団の中に5kg以下と答えた生徒も、20kg以上と答えた生徒もいました。背負える重さには3〜4倍の幅があります。
だから、基準の中に収まっていてもつらいものはつらい。僕自身の実感でもあります。体重比はあくまで入口の目安で、最後は自分の体が出した答えのほうが正確かなと思います。
体重比は合否を決める線引きではなく、自分の荷物がどのあたりにいるかを知るためのものさしです。
自分の荷物は重すぎ?5つの手順で確かめる
自分の荷物が重すぎるかどうかは、感覚ではなく5つの手順で確かめられます。実測から始めて、最後はルートの体力度と突き合わせる流れです。

- パッキングを終えたザックを、キッチンスケールか体重計の差分で実測する
- 体重比を出して、自分がどのレンジにいるかを知る
- 手持ちのザックの推奨積載量と照らし合わせる
- ベースウェイトと消費物(水・食料・燃料)に分ける
- コース定数を使って、荷物が増やす消費エネルギーを試算する
この順番には意味があります。重いのが装備なのか、水や食料なのかで、打つ手がまったく変わるからです。
ここからは、つまずきやすい3つの手順を順に見ていきます。
ベースウェイトとは?まず実測で出す
ベースウェイトは、水・食料・燃料などの消費アイテムを除いたザックの総重量です。ULハイキングの専門店ハイカーズデポの定義では、虫除けや日焼け止めも消費アイテムとして除きます。
消費物を足した、実際に背負う重さはパックウェイトと呼ばれます。「今日の重さ」ではなく「装備そのものの重さ」を測る指標です。
由来は、数百kmを歩くアメリカのスルーハイカーが、道中で補給されるものを除いて装備を比べられるようにしたこと。だから他人とも、過去の自分とも比較できます。
| 分類 | ベースウェイトの目安 |
|---|---|
| トラディショナル | 17kg〜 |
| ライトウェイト | 8〜9kg程度 |
| ウルトラライト | 4〜5kg程度 |
| サブウルトラライト | 2〜3kg程度 |
ULバックパックのメーカー山と道は、ベースウェイト4.5kg以下、水と食料を足したパックウェイト6〜8kg程度をULの基準として示しています。
ここまで削るのは、正直かんたんではありません。ただ、自分のベースウェイトを知らないままだと、削る話がそもそも始まらないんですよね。
測り方はキッチンスケールでも、ザックを持って体重計に乗った差分でも構いません。大事なのは、公式値の足し算ではなく自分の現物を測ることです。
ザックの重量制限(推奨積載量)と照らす
実は体重比より先に効くのが、ザック側の推奨積載量です。ザックには得意な重量帯があり、そこを外すと快適さが一気に落ちます。
オスプレーは製品ごとに推奨積載量を公表しています。特徴的なのは、上限だけでなく下限まで示されている点です。
| モデル | 容量 | 本体重量 | 推奨積載量 |
|---|---|---|---|
| タロン22 | 22L | 1.08kg | 4.5〜13.6kg |
| ケストレルLT65 | 65L | 1.93kg | 9〜18kg |
| アトモスAG65(S/M) | 65L | 2.27kg | 14〜18kg |
| イーサー55(S/M) | 55L | 2.19kg | 14〜27kg |
大型ザックは、一定以上の重さを背負って初めて設計どおりに荷重が分散します。軽すぎる荷物で背負うと、かえって収まりが悪くなるんですよね。
逆にULザックには、はっきりした上限があります。山と道は ONE の最適荷重域を最大11kg、THREE を10kg程度までと説明しています。
得意な重量帯を外すと
詰め込みすぎたULザックは、肩と腰の痛みにつながります。逆に容量に対して荷物が少なすぎると、荷物が下に沈んで重心がずれます。どちらも、総重量の数字だけを見ていると気づけない不調です。
荷物1kgは何kcal?コース定数で試算する
荷物の重さは、体重とまったく同じ重みで消費エネルギーに効きます。登山のエネルギー方程式が、体重とザック重量の単純な足し算になっているからです。
登山のエネルギー方程式
行動中の消費エネルギー(kcal)= コース定数 ×(体重kg + ザック重量kg)
コース定数が30のコースなら、荷物1kgあたり約30kcalの上乗せです。500mlのペットボトル1本なら、約15kcalぶんになります。
この換算があると、ギアの置き換えを数字で語れます。ザックを1.5kgから0.8kgに替えれば、約21kcalぶん楽になる計算です。
国立登山研修所のテキストには、体重60kgの人がコース定数30の日帰りコースを10kgの荷物で登る例題があります。消費エネルギーは2,100kcalで、荷物10kgぶんは全体の約14%を占めます。(出典:国立登山研修所『高等学校登山指導者用テキスト』第3編第8章「登山の運動生理学とトレーニング」)
14%と聞くと、小さく感じるかもしれません。ただ、行動の終盤にじわじわ効いてくるのは、この積み重ねなんですよね。
コース定数の求め方
コース定数 = 1.8×標準コースタイム(時間) + 0.3×歩行距離(km) + 10.0×累積登り標高差(km) + 0.6×累積下り標高差(km)
係数を見ると、累積登り標高差だけが突出して重いのが分かります。距離が短くても急登が続くルートでは、荷物の重さがそのまま効いてきます。
日帰り・小屋泊・テント泊 僕の実測を公開

先に数字から出しますね。手元のギアで重さが分かっているのは、バーサライトパック15が105g、山と道の5ポケットライトパンツが116g、ミレー サースフェー30+5が1,490gです。

年式とサイズ、測り方もセットで下の表に並べておきます。まずは、この数字を読むときの前提になる僕の体格から。
身長166cm・体重55〜59kgで、標準より軽めです。体重57kgで換算すると、日帰り10%は5.7kg、テント泊30%でも17.1kgにしかなりません。
数字だけ見ると、ずいぶん少なく感じるかもしれません。ただ、実際に背負う中身へ置き換えると印象が変わります。
ザック本体1kgに水1.5L、そこへ雨具と防寒着を足す。それだけで、日帰りの目安はほぼ埋まってしまいます。
体重が軽いと荷物も軽く済みそうに思えますが、僕の実感は逆でした。
体重55kg前後だと、60〜70kgの人と同じ装備でも体重比は約1.1〜1.3倍に効いてきます。
同じザックを背負っても、体の小さい人ほど数字の上では不利。基準に収まらないからといって、落ち込む必要はないと思いますよ。
そのうえで、手元のギアを実際に測った数字がこちらです。
| ギア | 重さ | 測定条件 |
|---|---|---|
| モンベル バーサライトパック15(1123820) | 105g | 2018年の購入時にキッチンスケールで自宅計量 |
| 山と道 5ポケットライトパンツ(メンズS) | 116g | 2020年モデルを自宅計量(当時の公式表記は137g) |
| ミレー サースフェー30+5 | 1,490g | 2018年の購入レビュー時のカタログ値 |
バーサライトパック15は、キッチンスケールで105gでした。同じときに測った卵1個が59gだったので、卵2個より軽い計算になります。
価格は当時4,000円弱。軽いギアは高い、という思い込みへのささやかな反例だと思っています。現行の価格は変わっているはずなので、公式サイトで確認してくださいね。
モンベル バーサライトパック15
折りたたむと付箋ブロックほどになる15Lのパッカブルザック。荷物を「置いていく分」と「持って上がる分」に分ける運用に使っています。
買った動機は、前年の奥穂高岳で「アタックザックがあると便利だ」と感じたことでした。山小屋に大きな荷物を置き、山頂へは最小限だけを持って上がる発想です。
その山小屋泊で背負っていたメインザックが、ミレーのサースフェー30+5です。カタログ値は1,490gで、背負い心地に違和感はなく、背中も痛くなりませんでした。
困ったのは体の固さのほうで、サイドポケットに上から手が届きませんでした。横からペットボトルを取り出せる構造に助けられて、重さだけでなく「降ろさずに済む配置」も疲労に効くと実感しています。
パンツも測ってみました。山と道の5ポケットライトパンツはメンズSで116g、ノースフェイスのアルパインライトパンツ390gの約3分の1です。
面白いのはここからで、購入当時の公式表記は137gでした。さらに2026年モデルの公式値はSで149gと、年式によって数字そのものが動いています。
装備の重さは年式やサイズで変わるので、最後は自分の現物を測るしかありません。
正直に書くと、日帰りと小屋泊それぞれの装備一式の合計は、まだ測り直せていません。測っていない数字を足し算で出しても、参考にはなりませんよね。ここでは実際に測った個別の値だけにしておきます。
水の量も、実測というより体で覚えた部分です。槍ヶ岳では途中で給水できたので1.5Lで足り、2Lは重くて疲れる原因だなと感じました。
テント泊装備の実測と体力度の掛け算
テント泊で効いてくるのは、荷物の重さとルートの体力度の掛け算です。2021年10月、前穂高岳から奥穂高岳を越えて穂高岳山荘でテント泊した山行で、それを痛感しました。
記録に残っている数字はこうです。1泊2日でGPS行動時間12時間54分、距離14.9km、登り1,915m、下り578m、体力度は5でした。
しんどかったのは初日でした。山行8時間31分のあいだに、登りだけで1,889mを稼いでいます。
テント泊装備を背負ったまま、この登りを一気にこなす行程です。初日の前穂高岳から奥穂高岳は、本当にしんどかったですね。
体力度5は「1泊以上が適当」とされる水準です。信州 山のグレーディングの一覧でも、体力度5のルート定数はおおむね41〜50に収まっています。(出典:長野県『信州 山のグレーディング』)
つまり、日をまたいで体力を回復させる前提で組まれたルートです。そこへテント泊の荷物が乗っていました。
ここで思い出してほしいのが、さきほどのエネルギー方程式です。コース定数が大きいほど、荷物1kgの上乗せも比例して大きくなります。
同じ10kgでも、体力度の低いルートと高いルートでは効き方がまるで違う。数字で見てから、僕はやっと納得できました。
使った装備で記録に残っているのは、シュラフがナンガのオーロラライト350DX、マットがニーモのZOR 20Rです。ウェアは山と道の山シャツと5ポケットライトパンツでした。
テント本体とザックのモデル名は、残念ながら記録に残っていません。うろ覚えのモデル名を書くのは避けたいので、ここは空けたままにしておきますね。
朝、テントの内側は結露で濡れていました。穂高岳山荘はテント泊でも小屋の中を使えたので、寒さはかなり凌げましたね。
体力度5って、山に住んでる僕から見てもけっこう本気の行程だね。しかもテント泊の荷物つきなの?
そうなんですよ。荷物の重さは、行程がきついほど効いてきますからね。先に数字で見ておくと、無理をしない判断がしやすくなります。
山の天気は急に変わるしね。余力を残しておくのは大事だと思うよ。
関連記事:登山のためのトレーニング|バテない体力づくりを実践から解説
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荷物の軽量化のコツ 安全装備は残して削る
軽量化でいちばん効くのは、小物を減らすことではありません。ザック・テント・シュラフという重い大物の置き換えから着手するのが定石です。

アウトドアメーカーの解説でも、最初のターゲットはバックパックとテントとされています。次がウエア、つまり着替え・保温着・レインウエアという順序です。
細かい小物を1つずつ削るより、登山スタイルそのものを変えるほうが効きます。テント泊を小屋泊にすれば、寝具も炊事用具もまとめて要らなくなりますよね。
とはいえ、何でも削っていいわけではありません。削れるものと削れないものを、先に分けておきます。
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 削れない | ヘッドランプと予備電池、レインウェア上下、防寒着、地図とコンパス、行動食と非常食、水、ファーストエイド、ツェルトやエマージェンシーシート、携帯電話と予備バッテリー、ホイッスル |
| 削れる | 着替えの枚数、機能が重複する保温着、嗜好品、炊事用具と燃料(火を使わない献立にする場合)、重い旧世代のザック・テント・シュラフ |
削れない側にも、軽くする道はまだあります。同じ機能で、より軽い製品に置き換える手です。
たとえばモンベルの現行レインウェアだけを見ても、ジャケットの平均重量は143gから313gまで開きがあります。同じ「雨具を持つ」でも、2倍以上の差がつくわけです。
水にも工夫の余地があります。1Lで約1kgなので、水場や携帯浄水器を前提にすれば担ぐ量を減らせます。ソーヤーミニなら重さ55gです。
火を使わない献立にすれば、ガスカートリッジ1本ぶんの約380gも置いていけます。ただし温かい食事や飲み物で体を温められなくなるので、季節と行程で判断してくださいね。
ここまでの置き換えを積み上げると、どれくらい変わるのか。1泊の想定で並べてみます。
| やること | 減らせる重さ |
|---|---|
| レインジャケットを軽いモデルに置き換える | 最大約170g |
| ソーヤーミニ(55g)を持ち、担ぐ水を1L減らす | 約945g |
| 火を使わない献立にしてガス1本を持たない | 約380g |
| ザックを1.5kgから0.8kgクラスに替える | 約700g |
合計すると約2.2kg。コース定数30のコースなら、消費エネルギーで約66kcalぶんにあたります。
kcalに直すと、ずいぶん控えめな数字に見えますよね。それでも肩と腰から2kg以上が消えるほうが、体には分かりやすい変化かなと思います。
軽くしすぎの落とし穴
雨具や防寒着を置いていくと低体温症、水を削ると脱水に直結します。脱水はまず動きの質を落とし、行動時間が延び、結果としてリスクを増やす順番で効いてきます。「軽ければ正義」ではないと考えています。
順序をもう一度整理すると、中身を軽くしてから、それに合う軽さのザックを選ぶ。この向きを逆にすると、ULザックに重い荷物を詰め込む失敗が起きます。
どこまで削れるかは、体力・行き先・季節で変わります。スペックは各メーカーの公式サイトで最新の値を確認し、判断に迷う装備は登山用品店のスタッフや経験者にも相談してみてください。
膝痛・転倒を防ぐパッキングと下りのコツ
重い荷物が危ないのは、重さ単体のせいではありません。本当に危ないのは「下り×重さ×疲労」の組み合わせです。

警察庁がまとめた令和7年の山岳遭難では、態様別で道迷いが30.9%と最多でした。次いで転倒が19.2%、滑落が17.3%です。(出典:警察庁『令和7年における山岳遭難の概況等』)
転倒と滑落を足すと36.5%で、道迷いの30.9%を上回ります。荷物の重さは、この2つに静かに効いてくる要素なんですよね。
重心が決め手 背中側に寄せる詰め方
同じ重さでも、重い物を背中側に寄せるだけで軽く感じます。背中から離れた位置に入れると、てこの原理でより重く感じるからです。
左右の重さをそろえるのも基本です。重い物を中心に置き、両サイドへ軽い物を振り分けると片荷になりません。
ザックは下部・背中側・外側・上部の4つに分けて考えると整理しやすいです。シュラフや着替えなど、使用頻度の低い物は下部へ。
行動食・ヘッドランプ・ファーストエイド・手袋は、雨蓋や上部に入れます。緊急性が高く出し入れの多い物ほど、手が届く場所に置くのが原則です。僕は体が固くてサイドポケットに上から手が届かないので、この原則はけっこう切実なんですよね。
荷物はスタッフバッグで小分けにすると、隙間なく詰められてバランスも整いやすくなります。詰め方が決まったら、次はフィッティングです。
モンベル公式は、中型バックパックのフィッティングを約10kgの荷物を入れ、薄着で行うよう案内しています。最初の手順は、腰骨の出っ張りをランバーパッドの中央で包むようにヒップベルトを固定すること。
そこからショルダーストラップを引き、背中とパックの間にすき間がないか鏡で確認します。最後にショルダースタビライザーとヒップスタビライザーを引き、チェストサポートは鎖骨から5cmほど下で留めます。
登山メディアや専門店では、荷重の7〜8割を腰で支える(肩と腰で3対7程度)という表現がよく使われます。肩ばかり痛いときは、たいてい荷重が腰に乗っていません。
背面長は、第7頸椎から腰骨の最上部までの長さで測ります。小型・中型パックは調節できないワンサイズが多いので、買う前に測っておくと失敗が減りますよ。
関連記事:登山ザックの重心はどこ?疲れにくい荷物の位置と詰め方
関連記事:登山ザックのパッキングのコツ|重い物の位置と小屋泊の実例
下りでバランスは3割以下に落ちる
下りでは、バランス能力そのものが大きく落ちます。閉眼片足立ちの成績は、低酸素と下り坂が重なる条件で平地の3割以下まで下がりました。
男子体育大学生11名を3条件で比べた実験の結果です。平らな固い地面では、ほぼ全員が2分以上立っていられました。
ところが低酸素室内(高度2,000m相当)の下り坂では、その3割以下。さらに高齢者体験装具を着けると、2割以下まで落ちています。
疲れていて、標高が高くて、下っている。山ではこの3つが同時に起こります。そこへ重い荷物が乗ると考えると、下りで慎重になる理由が腑に落ちますよね。
救いもあります。荷物を「背負う」形は、同じ重さでもバランスを崩しにくいと分かっています。
健康成人18名を対象にした研究では、体重の20%を片手・片肩・頭で持つと重心の揺れが有意に大きくなりました。一方、両手と背に負荷した場合は、負荷なしとの有意差がありませんでした。
ただしこれは、静かに立つ課題での結果です。登山の下りや不整地での動的なバランスを、そのまま示すものではありません。
下りの脚のダメージも別の問題です。脚の筋が引き伸ばされながら力を出すため、筋の細胞が損傷し、筋力低下や筋肉痛が起こります。
対処はシンプルで、歩幅を狭めて下ること、そしてストックを使うことです。
僕は富士山の下山でトレッキングポールを持たず、後悔しました。8合目からずっと砂利の坂で、自分の足だけでブレーキをかけ続けた結果、両足で5箇所の水ぶくれができています。
重い荷物での下りは、膝と足先に負担がまとめて出ます。痛みが出たら我慢せず、ペースと歩幅を落としてください。
まとめ:荷物の重さは基準より実測で決める
結局は何kgが正解なの?って聞きたくなるけど、それは自分で測るしかないんだね。
そうなんですよ。目安は入口として便利ですけど、最後に信じるのは自分の数字です。僕もそこからやっと荷物が落ち着きました。
ここまでの要点を、最後に振り返っておきますね。

- 目安は日帰り10〜15%・小屋泊15〜20%・テント泊20〜30%。kgなら4〜9kg・6〜10kg・10〜15kg
- 「体重の何割まで」に公的な上限はない。裏が取れるのは体力テストの前提としての10%程度だけ
- 背負える重さには3〜4倍の個人差がある。基準内でもつらいなら、それが自分の答え
- 確かめる順番は、実測→体重比→ザックの推奨積載量→ベースウェイトと消費物→コース定数で試算
- 軽量化はザック・テント・シュラフの置き換えから。ヘッドランプ・雨具・防寒着・水・地図は削らない
- 危ないのは重さ単体ではなく「下り×重さ×疲労」。重い物は背中側へ、荷重は7〜8割を腰で受ける
ここで挙げた数値は、あくまで一般的な目安です。絶対にこれが正解という話ではなく、体格や行き先によって心地よい重さは変わります。
製品の重量や価格は年式で変わるので、正確な情報は各メーカーの公式サイトで確認してください。体力や持病に不安があるときは、専門家に相談したうえで計画を立てると安心です。
荷物の重さの正解は、他人の記事の中ではなく自分のキッチンスケールの上にあります。次の山行の前に、パッキングを終えたザックを一度だけ測ってみてくださいね。
登山の荷物の重さ目安についてよくある質問
装備を一式そろえて測るのは大変です。何から測ればいいですか?
全部を一度に測らなくて大丈夫ですよ。効くのは重い順なので、ザック・テント・シュラフの3点から測ってみてください。この3点で総重量のかなりの部分が決まるので、ここが分かるだけで自分の位置がだいたい見えます。残りは山行の前に、パッキングを終えたザックごと体重計に乗って差分を取れば十分です。
体重が軽い人や女性は、目安をどう考えればいいですか?
体重が軽いほど、同じ装備でも体重比が跳ね上がります。山と溪谷オンラインの記事では、体重50kgの人を例に段階が示されています。一般的な装備が25%(12.5kg)、軽量化を意識して20%(10kg)、ライトウェイトなら15%(7.5kg)です。高校生山岳部員の調査でも、女子が余裕を持って背負えると答えた重さは平均10〜13kgでした。まずは自分の体重で換算し、そこから段階的に下げていくのが現実的だと思います。
水はどれくらい持てばいいですか?
脱水量の目安は「体重(kg)×行動時間(h)×5」で計算でき、補給量はその7〜8割程度とされています。係数5は春や秋に少し汗ばむ状況が基準なので、暑い時期は7〜8、寒い時期は3〜4に調節します。水は1Lで約1kgあるため、水場や山小屋で給水できるルートなら担ぐ量を減らせます。ただし補給できる確証がないときは、削らないでくださいね。
テント泊で体重の20%に収めるには、どこを削ればいいですか?
水・食料・寝る道具でおおむね埋まってしまうので、余地が残るのは装備そのものの側です。まずはザック・テント・シュラフの重い3点を、軽いモデルに置き換えるのが近道ですよ。次に、水場や携帯浄水器を前提に担ぐ水を減らす、火を使わない献立にしてガスを置いていく、という順番になります。ヘッドランプ・雨具・防寒着・ファーストエイドは、どれだけ削りたくても残してくださいね。
山小屋泊とテント泊では、荷物はどれくらい変わりますか?
同じ1泊の行程なら、山小屋泊のほうが4〜5kgほど軽くなります。2食付きで予約すれば小屋に寝具と食事があるので、シュラフ・マット・炊事用具・食料の大半を持たずに済むからです(素泊まりのプランでは食料を自分で持つことになります)。逆に言えば、小屋の予約が取れずにテント泊へ切り替えると、装備は一段重くなります。行程が同じでも背負う重さは別物になるので、予約が不確実なときは重い側の想定で計画しておくと安心ですよ。
荷物の重さを削ったら、次はモバイルバッテリーの容量も日数に合わせて見直すと過不足なく持てます。
関連記事:登山用モバイルバッテリーの容量目安|日帰り〜テント泊で何mAh必要か
