こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
「夏の富士山なんて、Tシャツと上着があればなんとかなるかな?」——初めて登る前は、正直そう思いますよね。でも富士山の山頂は、真夏でも真冬並みの寒さです。かといって、全身を高価な登山ウェアで固める必要があるかというと、そんなこともありません。この記事では、初心者の方が何を・どう着ればいいかを、手持ちの普段着で代用できる範囲まで含めて、正直に整理していきます。僕自身、初めての富士山で寒さを完全に舐めていた失敗もあるので、その反省もふまえてお伝えしますね。
- 夏でも山頂は5℃前後で、地上との気温差が20℃以上になる理由
- ベース・ミドル・アウターの3層レイヤリングの具体的な組み合わせ
- ユニクロ・ワークマンで代用できるもの/できないものの正直な線引き
- 全部買わずにレンタルで一式そろえるときの費用の目安
富士登山の服装は3層の重ね着で決まる
ねえりょう、夏に登るのに、なんでそんなに厚着の話をするの?下は暑いんでしょ?
そこがまさに落とし穴なんですよ、ゴウ。登り始めの麓は汗ばむくらい暑いのに、山頂まで行くと真冬みたいに寒くて。だから1枚の服じゃなくて、脱ぎ着で調節できる重ね着が基本になるんです。
へえ、同じ山でそんなに違うんだ。じゃあ、その重ね着のしくみを一緒に見てみようよ!
富士登山の服装は、結論から言うと「ベース・ミドル・アウターの3層を重ね着(レイヤリング)する」のが基本です。理由はシンプルで、登山口の五合目と山頂とで気温が大きく変わるから。1枚の分厚い服では暑さにも寒さにも対応できないので、薄い層を組み合わせて、暑ければ脱ぎ、寒ければ着る、という調節ができる形にします。

「夏の軽装は危険。でも全身を専門ウェアで固める必要もない」——この現実的なライン取りが、初心者の服装選びのゴールです。
夏でも山頂は5℃|Tシャツ軽装は危険
夏でも富士山の山頂は5℃前後(月平均でおよそ5〜7℃)までしか気温が上がりません。麓が30℃近い日でも、山頂は真冬並みということです。ですから、Tシャツ1枚のような軽装で登るのは、はっきり言って危険です。
なぜこれほど寒くなるかというと、標高が100m上がるごとに気温はおよそ0.6℃下がるから。麓(ほぼ0m)から山頂(3,776m)までの標高差だと、単純計算で約22〜23℃も低くなります。実際の目安を並べると、次のようになります。
| 場所 | 標高 | 夏の気温の目安 |
|---|---|---|
| 麓(登山口の市街地) | 〜1,000m前後 | 30℃近い日もある |
| 五合目(スタート地点) | 約2,300〜2,400m | 15℃前後 |
| 山頂 | 3,776m | 5℃前後(月平均5〜7℃程度) |
さらに気をつけたいのが「体感温度」です。風速が秒速1m増すごとに体感温度は約1℃下がるとされ、富士山は独立峰で、森林限界より上には風をさえぎる山や樹木がなく、強風が吹きやすい環境。気温5℃でも風速5〜10mの風を受ければ、体感は氷点下相当まで下がることがあります。特に初心者が寒さを甘く見て失敗しやすいのが、山頂で日の出を待つ御来光(ごらいこう)の時間帯で、未明〜早朝の山頂の最低気温は7〜8月でも平均0〜5℃程度。天候によっては夏でも氷点下になることがあります。
「登り始めは暑いのに、止まって御来光を待つ間は真冬並みに冷える」——この気温の落差が、服装計画のいちばんの核心です。
ここで挙げた気温はあくまで一般的な目安で、その年の天候によって変わります。登る前には富士登山オフィシャルサイトなどの一次情報で、当日の気象や規制を必ず確認してくださいね。
同じ服装でも、夜通し行動する弾丸登山では寒さと疲労の影響がまるで違います。夜間に登ることのリスクは服装だけでは補えません。
関連記事:富士山の弾丸登山はなぜ危険?山小屋泊で2回登った実体験で解説
レイヤリングの基本|3層それぞれの役割
レイヤリングは、「汗を逃がすベース・保温するミドル・雨風を防ぐアウター」の3つの役割を分担させる考え方です。それぞれ得意なことが違うので、1枚に頼らず組み合わせるわけですね。役割と素材を表にまとめると分かりやすいです。
| 層 | 主な役割 | 推奨素材 | 具体アイテム例 |
|---|---|---|---|
| ベースレイヤー(肌着) | 汗を素早く吸って拡散し、汗冷えを防ぐ | ポリエステル等の化繊、メリノウール | 速乾性の長袖/半袖アンダー |
| ミドルレイヤー(中間着) | 保温と体温調節。こまめに着脱する | フリース、化繊シャツ、薄手インサレーション | 薄手フリース、長袖シャツ |
| アウター(外着・シェル) | 雨と風から体を守る(防水・防風) | 防水透湿素材 | セパレートのレインウェア |
この3層に加えて、休憩・山頂・御来光待ちなど「体が止まっている時」用の防寒着(フリースや薄手ダウン)を別に1枚持つのが定番です。着方のコツは「汗をかく前に脱ぎ、止まって寒くなる前に着る」というこまめな調節。登り始めの低い標高では薄く、標高が上がるにつれて重ねていくイメージです。長袖を基本にすると、保温と紫外線対策を同時にできるのでおすすめですよ。
7月と8月で服装は変える?時期の目安
7月と8月なら、服装の基本(3層+防寒着)はほとんど同じでOKです。山頂の月平均気温は7月が約5.3℃、8月が約6.4℃(気象庁1991〜2020年平年値)と、どちらも真冬並み。「夏山だから暑い」という感覚のままTシャツ主体で登るのは、どの月でも危険という前提は共通です。(出典:気象庁『過去の気象データ検索 富士山(静岡県)平年値(年・月ごとの値)』)
富士山の開山期間は例年7月上旬〜9月上旬で、閉山日は全ルート共通で9月10日(近年の例)。短いシーズンの中でも寒さには差があり、9月に入ると7〜8月よりさらに気温が下がるため、より入念な防寒対策が必要になります。開山日はルートや年によって異なるので(2025年は吉田ルートが7月1日、静岡県側の3ルートが7月10日など)、時期を決めたら公式サイトで最新の日程と規制を確認しておくと安心です。(出典:富士登山オフィシャルサイト(環境省・山梨県・静岡県ほかによる富士山における適正利用推進協議会))
関連記事:秋の登山の服装ガイド
初心者は何を着る?3層別の服装の選び方
ここからは具体的に、3層+小物を1つずつ「何を選べばいいか」に落とし込んでいきます。ポイントを先に言うと、肌に触れる/濡れる可能性のあるものは、すべて綿を避けて化繊かウールにすること。これさえ守れば、大きな失敗はぐっと減りますよ。

ベースレイヤーは綿NG|汗冷えを防ぐ
肌に直接着るベースレイヤーは、綿(コットン)は絶対に避けて、ポリエステルなどの化繊かメリノウールの速乾素材を選びます。初心者がやりがちな最大の失敗が、普段着のTシャツ(綿)で登ってしまうことなんです。
なぜ綿がダメかというと、汗冷えのしくみに理由があります。綿は保水力が高く、一度濡れると乾きにくい素材。登山中は大量に汗をかくので、綿の服は濡れたままの状態が長く続きます。そこへ山の風が当たると、水分が蒸発するときの気化熱で体温が奪われ、体が芯から冷えていきます。これが「汗冷え」で、体力を消耗させ、真夏でも低体温症につながる危険があります。山の遭難事故では、夏でも低体温症を伴うケースが少なくありません。
代わりに選びたいのが、速乾性の高いポリエステルなどの化繊(安価な選択肢も多い)か、濡れてもベタつきにくく保温性・防臭性に優れるメリノウールです。普段着の「暖かい・着心地が良い」と、山での「濡れても乾く・体温を守る」は別物、と切り分けて考えるのが失敗を防ぐ第一歩ですね。
防寒の要ミドルはフリースか薄手ダウン
止まっている時の寒さに備える防寒着は、薄手のフリースか、コンパクトな薄手ダウンが定番です。行動中の体温調節にはフリース、御来光待ちのような冷え込みには保温力の高いダウン、と使い分けるイメージ。それぞれの特徴を整理します。
| 種類 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| フリース | 濡れに比較的強く、保温+通気。ミドルにも防寒にも使える | かさばりやすい |
| ダウン(羽毛) | 軽量・高保温でコンパクトに収納できる | 水濡れに弱く、濡れると保温力が落ちる。行動中の汗に注意 |
| 化繊綿 | 濡れに強く、濡れても保温力が落ちにくい | ダウンより重く、収納は大きめ |
大事なのは、ダウンは「動いていない時」限定で使うこと。汗をかく行動中に着ると、汗で濡れて保温力を落としてしまいます。レインウェアの内側に防寒着を着れば、防風と保温を組み合わせられるので、山頂で御来光を待つ場面ではこの組み合わせが効きます。カイロを1つ忍ばせておくと、待ち時間の冷え対策としてかなり心強いですよ。
アウターはレインウェア上下で兼ねる
いちばん外側のアウターは、上下セパレートのレインウェア(ジャケット+パンツ)で兼ねます。富士登山で最重要級の装備で、雨対策だけでなく、山頂での「防風=防寒着」としても機能する一枚です。
形状は上下が分かれたセパレートが必須です。ポンチョは下半身を守れず風でめくれ、傘は強風下では使えません。安いビニール製カッパは蒸れて汗が抜けず、かえって体を冷やします。素材は防水透湿素材(ゴアテックスや各社独自のドライテック・パーテックス等)を選び、耐水圧は登山用の目安で2万mm前後以上のものが多いです。フードが強風でバタつかないよう、ドローコードで調整できるものだと安心ですね。
関連記事:ソフトシェルとハードシェルの違い|登山での使い分けと要不要
パンツ・手袋・帽子|小物までが服装
服装は上半身だけでなく、パンツ・手袋・帽子といった小物まで含めて考えます。ここも綿を避けるルールは同じです。
パンツは、動きやすいストレッチ素材のトレッキングパンツやナイロンパンツを。ジーンズ(綿)は濡れると乾かず体温を奪うのでNGです。冷え込む時間帯にはレインパンツやロングパンツで下半身も保温できるようにしておきます。手袋は意外と見落としがちですが、富士山は岩や火山岩の表面がザラザラしていて手をつく場面が多く、グローブは必須級。速乾・通気に優れ、手のひらに滑り止めの付いた登山用が向いています。軍手(綿)は濡れると乾かず、強風で急激に冷えるうえ岩場でのグリップも劣るので避けましょう。
帽子は、遮るものがない富士山では日焼け・熱中症予防に必須です。ハットは日焼け防止向き、キャップはレインフードとの相性が良いです。強風で飛ばされないよう衣類とつなぐクリップがあると安心。防寒には別にニット帽(頭・耳を覆う)を用意すると保温性が大きく上がります。ほかにも、下山時に舞う砂埃から口・鼻を守るネックゲイター、強い紫外線から目を守るサングラス、御来光待ちのカイロがあると、快適さと安全性がぐっと上がりますよ。
服装とあわせて迷いやすいのが足元です。手持ちのスニーカーで富士山に登れるのか気になっている方は、こちらで判断できます。
関連記事:富士登山はスニーカーで登れる?靴の条件と買わない選択肢
関連記事:登山用フリースの選び方|厚さと生地の違い
ユニクロ・ワークマンはどこまで使える?
でもさ、全部登山用でそろえたら高いよね。ユニクロとかワークマンの服じゃダメなの?
いい質問ですね。実は使える部分は結構あるんですよ。ただ「これは代用できる/これは無理」の線引きがはっきりしていて。素材が速乾かどうかで見分けるのがコツなんです。アイテムごとに見ていきましょう。
結論からいうと、ベースレイヤーやボトムスは量販店で十分代用でき、レインウェアと登山靴だけは専門品かレンタルにするのが賢い揃え方です。判断軸は2つだけ。「素材が速乾か(綿・レーヨンは濡れると乾かない)」「行動中に使うのか、止まっている時に使うのか」。この2つで見れば迷いません。

普段着で代用できるアイテムの実例
ユニクロは「ベース(ドライEX)」と「休憩用の防寒(ULダウン)」で特に強いです。逆にヒートテックは行動中に着てはいけない代表例なので、ここははっきり分けて覚えてください。アイテム別の判定はこちらです。
| 製品 | 行動中 | 防寒・休憩 | 判定と理由 |
|---|---|---|---|
| ドライEX(速乾ポリエステル系) | ◎ | - | 高い速乾性。ベースに最適 |
| エアリズム | △ | - | 軽登山のインナーなら可。多量の汗には対応しきれない |
| ヒートテック(レーヨン混) | ✗厳禁 | - | 一度濡れると乾きにくく、汗で低体温症リスクを高める |
| ウルトラライトダウン | ✗ | ◎ | 行動中は汗で保温力低下。休憩・山頂の防寒着には非常に有効 |
| ブロックテック | 晴天の防風◯ | - | 晴天の防風には使えるが、本降りの雨には不十分 |
| ストレッチ/ジョガーパンツ | ◎ | - | 動きやすくボトムスとして優秀(綿主体でないもの) |
ワークマンも初心者の強い味方です。防水・防風などの性能が本格アウトドアブランドに迫りつつ、価格は概ね1/2〜1/3。ベース系のMOVE ACTIVEやフリースベースウェア(約1,280円)、ミドルのAERO STRETCHフリース、そして雨具のイナレム(INAREM)ストレッチレインスーツ(上下セット約5,500円・耐水圧20,000mm)などが定番で、富士山での使用報告も多くあります。ただし低価格な分、耐久性や細部の作りは専門ブランドに劣る面があることは理解して使いましょう。「シューズとリュック以外はほぼワークマン」で登った、という報告もあるくらいですよ。
レインウェアだけは登山用を用意する
代用が効きにくく、妥協すると安全に直結するのが、上下セパレートのレインウェアとくるぶしを覆う登山靴です。この2つだけは、専門品かレンタルで用意することをおすすめします。
レインウェアが特別扱いなのは、富士山では「雨具」であると同時に「山頂での防風=防寒着」という命綱の役割を持つから。街着のウィンドブレーカーや安価なカッパでは、本降りの雨や強風に対して力不足で、内側が結露して結局冷えてしまいます。とはいえ、専門ブランドの2〜3万円のものが必須というわけではなく、前述のワークマンのイナレムのような高機能・低価格のセパレートレインスーツも有力な選択肢です。まずは1着、上下セパレートで防水透湿のものを確保する、と考えてください。
予算重視ならワークマン「イナレム」
ワークマンの「イナレム ストレッチレインスーツ(上下セット)」は、耐水圧20,000mmの上下セパレートで約5,500円。専門ブランドの2〜3万円モデルを買う前の一着として、富士登山でも使用報告が多い定番です。ワークマンの公式オンラインストアや店舗で購入できます(在庫は時期・店舗で変動)。
関連記事:登山パンツの選び方|素材・丈・重さ
全部買わなくていい|ウェアレンタル活用術
「一度きりの富士登山のために10万円は出せない…」という方には、レンタルという選択肢があります。判断の基本線はシンプルで、「今後も登るなら購入、一度きり・頻度が低いならレンタル」です。

新品で一式を買い揃えると、登山靴2〜3万円、レインウェア(上下)2万円前後、防寒着2〜3万円…と積み上がり、簡単に10万円を超えます。最低限に絞っても5万円程度はかかるとされます。一方でレンタルなら、必要な装備をまとめて借りられる初心者向けセットが各社にあり、費用をぐっと抑えられます。1泊2日が基本単位です。
| 業者・セット | 価格の目安(1泊2日) |
|---|---|
| そらのした「はじめての富士山登山セット」 | 13,480円〜 |
| そらのした「はじめての富士登山7点セット」 | 18,015円(往復送料込・税込) |
| やまどうぐレンタル屋「まるごと7点セット」 | 14,400円(税込・1泊2日、店舗受取返却の手ぶら割適用時。2026年7月時点) |
| ラモント 7点フルセット | 13,800円(税込・別途保険料792円。店舗受取。2026年7月時点) |
全部購入すれば最低5万円のところ、レンタルなら1万円台に抑えられる、というのが比較の目安です。セット内容は業者やプランによって異なり、基本はレインウェア・ザック・登山靴・ヘッドランプ・トレッキングポール・スパッツなど。防寒着(ダウンやフリース)はセットに含まれず別料金の業者もあるので、防寒着の有無は申し込み前に必ず確認してください。受け取りはネット予約で宅配受取・返却ができ、新宿・河口湖などの店舗や、吉田ルート五合目・富士宮五合目といった現地店舗での受け取り・返却に対応する業者もあります。
こんな組み合わせも
「ウェアは安く抑えたいけれど、雨具や靴は妥協したくない」という人は、ベース・ボトムスなどを量販店で買い、レインウェアと登山靴だけレンタルや専門品にする“ハイブリッド”も現実的です。自分の山行スタイルに合わせて選んでください。
装備を丸ごと借りるという選択肢
登山靴・レインウェア・防寒着などをまとめて借りれば、買い揃える手間も初期費用も抑えられます。どのレンタルサービスが自分に合うかは、料金・セット内容・受取方法で比較した解説ページで確認できます。
関連記事:富士登山の費用総額はいくら?内訳と予算別プランを徹底解説
ウェア以外の装備も含めた優先度と入手手段は、持ち物リスト側でまとめています。
関連記事:富士登山の持ち物リスト完全版|優先度と入手方法まで解説
女性の富士登山|服装と日焼け対策の工夫
女性の場合も、基本のレイヤリングと「綿NG・速乾」の素材ルールは男女共通です。その上で、コーディネートの組み方と、富士山特有の強い紫外線対策が加わる、と考えてください。

昼間の定番は、上はエアリズム等の速乾長袖(日焼け防止)+Tシャツ、下は機能性タイツ(レギンス)+ショートパンツの重ね履き。肌を露出させないことが大切です。レギンスは、適度な着圧で歩行を補助するタイプを選ぶと歩きが楽になります。ただし注意したいのが冷え対策で、ショートパンツ+タイツだけだと夜間や早朝の御来光待ちで非常に冷えます。ロングパンツ(またはレインパンツ)を1枚持参すると安心です。素材は綿を避け、ジャージやナイロンなど動きやすく乾きやすいもの、インナーはスポーツブラなど速乾のものが向いています。
紫外線対策は、富士山では特に本気で考えたいところ。山頂付近の紫外線量は東京の約2倍とされ、標高が1,000m上がるごとに約10〜12%増加します。森林限界より上は日差しをさえぎる樹木がないため、気温は低くても紫外線は非常に強いのが富士山の特徴(樹林帯を歩く須走ルートの五合目〜六合目付近を除けば、登山道の大半がこれにあたります)。曇っていても薄い雲ではUV-Bの80〜90%が透過するので油断できません。日焼けは肌のダメージだけでなく、体力の消耗にもつながります。(出典:気象庁『紫外線に関する基礎知識 標高と紫外線』)
対策としては、日焼け止めはSPF30以上・PA++以上で耐水性(ウォータープルーフ)のあるものを選び、汗をかいた後やタオルで拭いた後は塗り直します。耳や首の後ろは塗り忘れやすいので忘れずに。ただ、日焼け止めは汗で落ちやすく塗り直しが手間なので、実は衣類など物理的に覆う対策のほうが確実です。長袖のウェア(UVカット機能付きならさらに効果的)やアームカバー、つば広の帽子やネックカバー、UVカット99%以上を目安にしたサングラス、薄手のグローブで手の甲を守る、といった合わせ技で紫外線を防いでいきましょう。
僕が富士山で着た服装と反省点

最後に、僕自身が富士山(吉田ルート)に登ったときの服装と、正直な反省をお話しします。結論から言うと、初めての登山で、山頂の寒さを完全に舐めていました。
そのとき着ていたのは、キャラバンの登山靴、コロンビアのレインウェア、上下は化繊のスポーツウェア。素材の選び方としては大きく外していなかったと思います。特にレインウェアは、風を通さないおかげで山頂で御来光を待つ間の防風着として本当に必須で、「これが無かったら耐えられなかったな」と実感しました。持っていって良かったのは酸素ボンベで、標高が上がってからの息苦しさが一時的に楽になりました。ただ、酸素で楽になるのは吸っている間だけで、高山病の予防や治療の代わりにはなりません。息苦しさや頭痛が続くときは、無理せず高度を下げるのが基本だと後で知りました。
反省点はいくつかあります。まず、8合目あたりでも気温は5℃以下。下では暑いと感じていたのに、上では本当に寒くて、カイロや防寒対策をもっとしっかりしておけばよかったと痛感しました。登り始めは暑いのに、ご来光を待っている間は本当に寒い——この落差を甘く見ていたんですね。もう一つの失敗が、山小屋で寝るときにビールを飲んだら少し高山病っぽくなってしんどくなったこと。標高の高い場所でのアルコールは、体に思った以上に負担がかかるようです。
りょうでも失敗するんだね。でも、その分かる気持ちが記事になるのはいいことだよ!
ルート自体は常に同じような景色が続いて派手さはないのですが、ご来光がバッチリ見えた時の感動は本当にすごくて、一生に一度は登っておいて損はないと思える山です。下りはとにかく脚にきついので、可能ならトレッキングポールがあると楽かもしれません。これから登る方は、ぜひ僕の反省を踏み台にして、寒さ対策だけは万全にして楽しんできてくださいね。
富士登山の服装でよくある質問
靴はスニーカーでも大丈夫ですか?
あまりおすすめできません。富士山は砂利や火山礫が多く足元が不安定なので、くるぶしを覆うハイカット(ミドルカット)の登山靴のほうが捻挫予防になり安心です。靴は代用が効きにくい装備の一つなので、購入が難しければレンタルを検討してみてください。
手持ちの普段着だけで登れますか?
ベースレイヤー(速乾の化繊)やボトムスは、ユニクロ・ワークマンなどの手持ちや量販店品で十分代用できます。ただし上下セパレートのレインウェアと登山靴だけは、安全に直結するため専門品かレンタルにするのが安心です。綿のTシャツ・ジーンズ・靴下・軍手は濡れると乾かず危険なので避けてください。
弾丸(日帰り)登山でも防寒着は必要ですか?
はい、必要です。日帰りでも山頂に到達すれば気温は5℃前後まで下がり、風があれば体感はさらに冷え込みます。滞在時間が短くても、防寒着とレインウェア(防風着)は必ず持っていってください。無理な行程は体調を崩しやすいので、余裕のある計画を心がけましょう。
防寒着(ダウン)は行動中も着たほうがいいですか?
行動中は着ないのが基本です。ダウンは軽くて暖かい反面、汗をかくと濡れて保温力が落ちてしまいます。防寒着は休憩・山頂・御来光待ちなど「体が止まっている時」に着て、歩いているときはベース+ミドルで体温を調節するのがコツです。
サングラスや日焼け止めは本当に必要ですか?
富士山では必要度が高いです。森林限界より上は日差しをさえぎる樹木がない上、山頂付近の紫外線は東京の約2倍とされます。紫外線は目からも吸収されるため、UVカットのサングラスと、耐水性のある日焼け止めや長袖・帽子などの物理的な対策を合わせるのがおすすめです。
富士登山の服装は3層の重ね着と防寒で決まる
夏でも山頂は真冬並みって、ちゃんと分かったよ。重ね着で調節するのが基本なんだね。
そうなんです。全部を高い専門ウェアで固めなくても、使える普段着とレンタルをうまく組み合わせれば大丈夫。最後に要点をまとめておきますね。
富士登山の服装は、「夏の軽装は危険、でも全身を専門ウェアで固める必要もない」という現実的なライン取りが答えです。ベース・ミドル・アウターの3層に、止まっている時用の防寒着を1枚。この基本を押さえたうえで、代用できる部分は量販店やレンタルで賢く揃えていきましょう。

- 夏でも山頂は5℃前後。地上との気温差20℃超と風で、Tシャツ軽装は危険
- 服装はベース(速乾)・ミドル(保温)・アウター(防水防風)の3層+防寒着が基本
- 肌に触れる・濡れるものは綿を避け、化繊かウールにする(ヒートテックの行動中着用もNG)
- ベースやボトムスはユニクロ・ワークマンで代用可、レインウェアと登山靴は専門品かレンタルに
- 一度きりならレンタルで1万円台〜、今後も登るなら購入が判断の基本線
ここで紹介した気温や費用はあくまで一般的な目安です。最終的な装備の判断は、当日の天候やご自身の体力に合わせて、富士登山オフィシャルサイトなどの公式情報を確認したうえで行ってくださいね。安全に、そして富士山からの景色を存分に楽しんできてください。
関連記事:夏の富士登山でも役立つベースレイヤーおすすめの選び方はこちら
防寒着は何を持つかで迷ったら、濡れやすさと予算から化繊かダウンかを選ぶ手順がまとまっています(雪山は対象外)。
関連記事:秋〜低山の保温着は化繊とダウンどっちか比べる
