こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
登山用のパンツって、何を基準に選べばいいのか正直けっこう迷いますよね。丈も素材も厚みも選択肢が多くて、普段のパンツと何が違うのかも分かりにくいところです。
先に結論を書くと、化繊でストレッチの効いたロングパンツが基本です。そのうえで軽さを優先したいなら、ULブランドの薄手という選択肢が加わります。
僕も最初はかなり適当に選んでいて、初めての富士山はテニス用のウィンドブレーカーの下で登りました。その後に買った山と道の5ポケットライトパンツも含めて、公式の数字と自分の実感の両方から整理していきます。
- 登山パンツを丈・素材・生地厚・重さの4点で選ぶ順番
- 綿のジーンズが山で使えない理由と、代用できる普段着の線引き
- 同じロングパンツで重さが3倍違うことと、軽さと引き換えになるもの
- 僕が使っている山と道ライトパンツの実感と、予算別の現実的な選択肢
登山パンツは化繊ストレッチのロング
登山パンツの最初の1本は、化繊でストレッチの効いたロングを選べば大きくは外しません。素材はナイロンかポリエステル、丈は夏でもロング。この2点さえ押さえれば、あとは行き先と季節で微調整するだけです。

そもそも登山パンツに何が求められるのか。モンベルの公式ガイドは、歩きやすさ・乾きやすさ・耐摩耗性の3つに整理しています。1日に10時間近く歩くこともある、という前提で作られている道具なんですね。(出典:モンベル『トレッキングパンツの選び方』)
この3つを同時に満たす最短の答えが、化繊のストレッチロングです。乾きやすさは化繊が、歩きやすさはストレッチと立体裁断が、脚の保護はロング丈が受け持ちます。並べてみると、意外とシンプルですよね。
| 見るところ | 最初の1本の目安 |
|---|---|
| 丈 | ロング。夏も基本はロング |
| 素材 | ナイロンかポリエステル。綿は避ける |
| 生地厚 | 夏は薄手、通年で使うなら中厚手 |
| ストレッチ | 横に伸びる1WAYで十分。岩場が多いなら2WAY |
| 重さ | 300g前後が標準。軽さを取るなら200g以下 |
僕はULスタイルで山に登るので、つい軽いほうへ手が伸びます。ただ軽さは、生地の強さや防風性と引き換えに手に入るもの。ここは後半で数字を出して整理しますね。
迷ったら「薄手〜中厚手のロング・化繊・ストレッチあり」。この条件で選べば、日帰りから小屋泊まで一通り使えます。
普段着のパンツを代用して失敗した
結論から言うと、綿のジーンズやチノパンは登山に向きません。逆に、化繊のジャージやジョガーパンツなら代用が効きます。分かれ目は綿かどうか、ほぼこの一点です。

ジーンズって丈夫そうだけど、山だとダメなの?
丈夫は丈夫なんですよ。ただ濡れたときが本当にきびしくて。僕も最初はよく分かっていませんでした。
初めて富士山に登った2017年、僕は登山用のパンツを持っていませんでした。履いていたのはテニス用のプーマのウィンドブレーカーの下です。化繊で吸水速乾だったので、行動中はこれで十分でした。
ただ、山頂の寒さは完全に舐めていました。ご来光待ちとお鉢巡りでは、その上にスノボ用の防寒着のズボンを重ねてしのぐことに。8合目あたりでも5度以下で、下では暑いのに上は本当に寒いんですよね。
つまり僕の場合、代用がうまくいったというより、たまたま化繊を選んでいたから助かっただけ。これが綿のジーンズだったら、汗と雨で濡れて乾かず、重くなった脚を引きずって歩いていたはずです。
綿のジーンズ・チノ・スウェットは行動着に使わない。濡れると乾かず、体温を奪われます。
綿は水分率20倍で乾かず重い
綿が山でダメな理由は、繊維そのものが水を抱え込むからです。綿の公定水分率は8.5%、ポリエステルは0.4%。およそ20倍の差があります。
公定水分率は、繊維の重さを商取引で計算するために繊維ごとに決められた規定値で、標準状態(温度20℃・湿度65%)で繊維が抱える水分量の目安にあたります。財務省税関の関税率表の解説に、混用率の算出に使う公式の値として定められています。(出典:財務省税関『関税率表解説(第11部)』)
| 繊維の種類 | 公定水分率(%) |
|---|---|
| 羊毛 | 15.0 |
| レーヨン | 11.0 |
| 綿 | 8.5 |
| ナイロン | 4.5 |
| ポリエステル | 0.4 |
数字の意味はシンプルです。綿は一度濡れると水を手放してくれません。乾かないまま風に当たれば、体温はどんどん奪われていきます。
重さも問題になります。デニムの定番は13.5〜14オンスで、1平方メートルあたり約460〜480g相当。登山用の薄手生地が62〜120g/㎡ですから、濡れる前の時点で桁が違います。
では化繊はなぜ乾くのか。カギは、吸湿性と吸水性が別物だという点です。ポリエステルは水をほとんど抱えませんが、繊維の断面や細さを工夫して毛細管現象を起こし、汗を肌から引き離して広げます。
水を抱え込まないまま、水を運ぶ。速乾ウェアはこの設計で成り立っています。
実測値もあります。山と道が公表している速乾性試験を見てみます。脱水15分後の生地内水分率は、タスランナイロンで1.0%。薄手のパーテックス・イクイリブリウムで1.7%です。洗濯機から出して15分でほぼ乾いている水準ですね。
だから代用の線引きも素材で決まります。ユニクロのストレッチパンツやジョガーパンツは、綿主体でなければボトムスとして優秀。避けたいのは綿のジーンズ、という整理になります。
丈はロング・ショーツ・脱着の3択
丈は大きくロング・ショーツ・脱着の3系統で、ロング系には膝下丈のニーロングもあります。そのうえで夏でもロングが基本です。理由は紫外線・虫・擦り傷の3つ。涼しさより、脚を守るほうを優先する考え方ですね。

森林限界を超えれば、日差しを遮ってくれるものはありません。低山では藪や草でマダニに触れる機会も増えます。転んだときに岩や枝から脚を守ってくれるのも、結局は生地です。
| 丈のタイプ | 特徴 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ロング | 脚全体を覆う標準タイプ | 通年・全般 |
| ニーロング(膝下丈) | 足首まわりが軽快で、膝は保護できる | 夏の低山・暑い時季 |
| ショーツ(膝上丈) | 歩きやすく涼しい | 夏・トレイルラン |
| コンバーチブル | 膝下をジッパーで外して2役 | 気温差の大きい行程 |
1本目はロング、ここは迷わなくて大丈夫です。夏の低山で暑さがつらければニーロング、標高差が大きく気温が読めない行程ならコンバーチブル。ただ、あれもこれもと増やすのは2本目以降で間に合いますよ。
ショーツはタイツとセットで
ショーツを選ぶなら、タイツかロングソックスで肌を覆うまでが1セットです。ショーツ単体で寒暖差の大きい行程に入るのは、定番の失敗パターン。
モンベルの公式解説にも同じ考え方があります。ショーツとタイツの組み合わせは、ケガや汚れ、日焼けを防ぐだけではありません。保温性やテーピング効果も期待できるとされています。
僕が槍ヶ岳に登ったときも、化繊の上下にスポーツタイツを合わせていました。テスラの1,200円くらいのものです。半ズボンでも岩肌でのケガ防止になる、というのは実際に歩いていて感じました。
運動から遠ざかっている人なら、テーピング効果をうたうタイプも選択肢になります。値段は上がりますが、脚まわりのサポートを重く見るなら検討する価値はあるかなと思います。
脱着式は約50g重く3,200円高い
コンバーチブルは1本で2役をこなせますが、約50g重く、3,200円高いという対価があります。同じメーカーの同じシリーズで比べると、差がはっきり出ます。
| モデル(モンベル) | 平均重量 | 税込価格 |
|---|---|---|
| O.D.パンツ ライト(ロング) | 303g | 8,900円 |
| O.D.パンツ ライト コンバーチブル | 352g | 12,100円 |
| O.D.ニッカ ライト(膝下丈) | 269g | 8,300円 |
素材はどれも同じ薄手のリップストップです。つまりジッパーと分離できる生地の分だけ重く、その機能の分だけ高い、という素直な差になります。
使い勝手の面でも指摘はあります。膝まわりのファスナーがもたつく、ファスナー部分にストレッチがなく動きにくい。登山メディアやユーザーの質問でよく見かける声です。気温差の大きい行程に的を絞って選びたいですね。
関連記事:登山にタイツは必要?要否の判断軸
パンツの素材は速乾ポリか強いナイロン

化繊のなかの選択は、速乾のポリエステルか、擦れに強いナイロンかです。乾きを最優先するならポリエステル、岩や藪で擦る山ならナイロンが向きます。

さきほどの公定水分率で言えば、ポリエステル0.4%に対してナイロンは4.5%。ナイロンのほうが水を含みますが、その代わりに耐摩耗性と引き裂き強度で勝ります。
実際の製品もここで分かれています。モンベルのO.D.パンツ ライトやクールパンツ、ノースフェイスの各種はナイロン主体。モンベルのO.D.パンツやファイントラックはポリエステル主体です。
とはいえ混紡が主流なので、迷ったらタグの表示で主体がどちらかを見るくらいで十分。ここは決め手というより、最後の一押しに使う軸かなと思います。
ストレッチは2WAYが要る場面
普通の登山道なら、横に伸びる1WAYで足ります。縦にも伸びる2WAYが要るのは、段差の大きい登りや岩場、クライミング寄りの動きが入る場面です。
| 方式 | 公式の定義 |
|---|---|
| 1WAYストレッチ | トレッキングに適した、横方向へのストレッチ性を備えた生地 |
| 2WAYストレッチ | 横と縦方向へのストレッチ性を備えた生地。広い可動域が求められる運動にも対応 |
中間解もあります。モンベルのガイドパンツは身頃がポリエステル100%で、尻と膝だけナイロンとポリウレタンの2WAY。動く場所にだけ伸びを持たせる作りです。
ストレッチが正義とも限りません。山と道の5ポケットパンツは、ストレッチ素材を使っていません。股下から脚の内側に沿う2本のマチと、いせ縫いの立体縫製で可動性を出しています。伸びない生地でも、パターンで動けるということですね。
ポリウレタン混は数年でヘタる
よく伸びるパンツの多くはポリウレタン混です。ただポリウレタンは水や汗、日光で加水分解を起こし、経年で劣化します。
ファイントラックの公式解説では、雨や沢の多いアウトドアには不向きとされています。同社はポリウレタンを使わないメカニカルストレッチを採用し、型崩れが少なくヘタりにくい点を利点に挙げています。(出典:ファイントラック『ストームゴージュアルパインパンツ』製品解説)
山と道も考え方は同じです。糸の段階で仮撚り加工をして、織り方でわずかなストレッチを出しています。よく伸びる素材を捨てて、ポリウレタン由来の経年劣化を避けるほうを取った作りですね。
整理すると、よく伸びるが数年でヘタるか、伸びは控えめだが長持ちするか。1本を長く使いたい人ほど、後者を検討する価値があります。
撥水と洗濯の基本
柔軟剤は使わないでください。吸汗速乾と撥水が落ちます。ここから先はファイントラックが自社のパンツ向けに示している手順です。洗濯機なら標準コースで、すすぎを1回足すのが推奨。乾燥は裏返して日陰で吊り干しし、機械乾燥は不可。撥水が落ちてきたら、アイロンを110〜120℃の低温から中温にして、圧をかけずに軽く滑らせると戻ります。乾燥機やアイロンの可否は製品で違い、山と道のLight 5-Pocket Pantsは上限60℃の低温乾燥機が使えます。まずは手元の製品の洗濯表示を優先してください。
夏は薄手、春秋冬は中厚手に
生地厚は3区分です。夏は薄手、通年で使うなら中厚手、晩秋から冬の低山は厚手。メーカーのシーズン対応も、この区分で説明されています。
| 生地厚 | 公式の説明 | 想定シーズン |
|---|---|---|
| 薄手 | 軽量で速乾性に優れ、気温が高い季節に快適 | 夏山 |
| 中厚手 | 適度な保温性と耐久性。夏の高山から冬の低山まで | 通年 |
| 厚手 | 優れた保温性と防風性 | 晩秋〜冬・早春の低山 |
1本で通年をまかないたいなら中厚手。夏の低山が中心なら薄手を選んで、寒い時季はタイツを足すほうが融通が利きます。
実際、公式も専門メディアも、厚い一枚に頼るよりレイヤリングで調整するほうを勧めています。ボトムスは行動中に脱ぎ着しにくいですからね。
富士山の山頂で防寒着のズボンを重ねたのも、結局は同じ発想でした。1本で耐えようとせず、重ねて調整する。覚えておいて損のない考え方です。
登山パンツの重さは3倍、代償は耐久性
同じ登山用ロングパンツでも、公式の公表重量は149gから469gまで3倍以上ひらきます。丈や素材に比べて、重さは意外と見落とされがちなところです。

しかも薄手どうしで比べても2倍前後の差が出ます。代表的なモデルを並べてみます。
| モデル | 重量 | 税込価格 |
|---|---|---|
| 山と道 Light 5-Pocket Pants(L) | 161g | 18,500円 |
| モンベル クールパンツ | 222g | 8,400円 |
| ノースフェイス バーブライトパンツ(L) | 約265g | 17,600円 |
| モンベル O.D.パンツ ライト | 303g | 8,900円 |
| ノースフェイス アルパインライトパンツ(L) | 約370g | 18,700円 |
| モンベル O.D.パンツ サーモ | 469g | 13,000円 |
200gの差と言われても、単体ではピンと来ないかもしれません。装備全体で見ると、意味が変わってきます。
水や食料を除いた装備の重さを、ベースウェイトと呼びます。ウルトラライトの基準はおよそ4〜5kg、山と道は4.5kg以下を目安に置いています。ただしベースウェイトに入るのは背負う装備で、履いているパンツそのものは含みません。それでも装備一式が4〜5kgという世界ですから、着替えとして持つ1本や、身につけるものまで含めた総重量では200gの差がはっきり効いてきます。
200gって、そんなに大事なの?
1つだけ見ると小さいですよね。でも同じことを装備ごとに積み重ねると、背負う重さが変わってくるんですよ。
ここで大事なのは、軽さがタダでは手に入らないこと。山と道が公表しているJIS試験の値を見ると、引き換えになるものが数字ではっきり出ています。
| 項目 | 5-Pocket(120g/㎡) | Light(62g/㎡) |
|---|---|---|
| 引張強度(たて) | 104kg以上 | 38kg |
| 引張強度(よこ) | 76kg | 38kg |
| 通気性 | 5.5cc/㎠・s | 17cc/㎠・s |
薄い生地の引張強度は、厚い生地に対してたて方向で約3分の1、よこ方向で約2分の1。通気性は逆に3倍ほど高くなります。涼しさと丈夫さは、同じ生地の表と裏なんですね。
通気性が高いということは、風も通すということ。公式も厚手のほうを「ウィンドシェル並みの耐風性がある」と説明しています。秋口の稜線では、防風寄りの生地のほうが快適な場面が出てきます。
軽さを買うために差し出しているのが、耐久性と防風性。軽ければ正義ではなく、行き先で選び分けるのが前提です。
山と道ライトパンツを買った感想

僕が実際に買って使っているのが、山と道のLight 5-Pocket Pants(5ポケットライトパンツ)です。買ってよかった一番の理由は、軽さよりスマホポケットの位置でした。

買ったのは2020年の6月。前年の夏に北アルプスを縦走したとき、出会った人のULスタイルに感銘を受けたのがきっかけです。ULブランドを探して山と道にたどり着き、ザックのThreeを先に買って、そのままハマってパンツにも手を出しました。
届いた箱を持ち上げた瞬間、中に何も入っていないんじゃないかと思いました。履いてもパンツの重さを感じません。軽さについては、これが一番正直な感想です。
そして期待していなかったのに一番効いたのが、スマホ用のポケットでした。右のポケットと後ろポケットのちょうど中間にあって、動いても揺れません。そこにスマホがあることを忘れてしまうほどです。
ケース付きの大きめのスマホが入ったので、画面の大きい機種でも大丈夫でした。登山中は撮影でスマホをよく使うので、ザックのポケットにしまわずそのまま出し入れできるのは本当に楽です。
この使いやすさは、偶然ではなく設計でした。山と道の公式説明によると、スマホ用のポケットは腰骨の後ろに配置されています。足上げを邪魔せず、走っても揺れず、座って尻で踏むこともない位置なんだそうです。
5つ目のポケットは、一般的な登山地図がぴったり入る大きさ。サイドポケットの下部は水抜きのメッシュになっています。ポケットがザックの腰ベルトと重なってスマホを出せない、というよくある不満を、位置で回避しているわけですね。
履き心地は全体にサラサラしていて、肌触りが良いです。エアリズムまでとは言いませんが、同じくらい心地よい。これが当時の僕のメモに残っている表現です。
気になる点も書いておきます。ポケット下部のメッシュが太腿に当たる感じが少し出ます。気になるほどではありませんが、人によっては引っかかるかもしれません。
あとは人気が高くて売り切れが多いこと。再販の情報はSNSで流れるので、欲しい時期が決まっているならフォローしておくと拾いやすいです。18,500円という値段も、気軽に勧められる額ではありません。
サイズは身長166cm・体重59kg、痩せ形寄りの普通体型でSがジャストでした。裾丈は足首の曲がるあたり。テーパードがかかっていて裾が登山靴の中に入り込むので、靴に被せて履きたい人はワンサイズ上が良いと思います。
ウエストは少し余裕がありましたが、調整ベルトで締めれば問題なし。公式サイトのサイズ表どおりに選んで、僕の場合は外しませんでした。
ここは失敗しやすいところなので補足します。股下が余って裾がバタつくと、長時間の行動でじわじわストレスになります。裾が登山靴に踏まれて擦り切れることもあります。
対策は2つ。股下違いのサイズを選ぶか、裾直しを頼むかです。モンベルは同じウエストで股下を6cm刻みで変えた展開があり、モデルによっては19サイズ。山と道もTallサイズで股下が3cm伸びます。
裾直しはメーカーのサービスで対応できます。モンベルのオンラインストアなら注文時の連絡欄に希望を書く方式で、3〜5週間かかり、裾直し後の返品交換はできません。海外規格は日本規格より大きめに設定されていることがあり、その幅もブランドで違います。身長ではなくウエストの実測値で、各社のサイズ表と突き合わせてください。
山と道 Light 5-Pocket Pants
軽さと、スマホポケットの位置が決め手。夏の行動を軽くしたい人向けの1本です。生地は薄いので、岩場や藪の多い山では別の1本と使い分けてください。
価格目安:18,500円(税込)
161gは定番モデルの半分以下
公式のカタログ値で、Light 5-Pocket PantsのLサイズは161gです。比較対象になりやすいノースフェイスのアルパインライトパンツは約370g(L)。およそ43%、半分以下の重さということになります。
数字については、注意書きをひとつ添えておきます。僕が買ったのは2020年モデルのSサイズで、自宅で量ったら116gでした。当時の公式表記は137gです。
現行の2026年モデルはS 149g、M 153g、L 161g、XL 169gと公表されています。素材もパーテックス・イクイリブリウム(ナイロン78%+ポリエステル22%・62g/㎡)に変わりました。年式とサイズで数字が動くので、購入前は公式ページの値をご確認ください。(出典:山と道 Light 5-Pocket Pants 製品ページ)
履いた瞬間に感じるのは「軽い」よりも、「何も履いていないみたい」という感覚のほうです。数字の差は、着てみると別の言葉で返ってきます。
もちろん代償もあります。引張強度は定番の5ポケットパンツに対して、たて方向で約3分の1、よこ方向で約2分の1。ただし2023年に生地がリニューアルされ、これまで弱点だった生地強度も改善された、と公式が明記しています。裏を返せば、それ以前は弱点として認識されていたということですね。
長期の耐久性については公式のデータがないので、僕の実感の範囲でしか言えません。価格も18,500円で、モンベルの薄手主力である8,900円のモデルの2倍以上。最初の1本としては勧めにくいというのが正直なところです。
ワークマンで足りるか予算別に見る
低山や日帰りのハイキングなら、ワークマンで足ります。2,900円で2WAYストレッチと撥水が手に入るので、まず山に行ってみたい人には現実的な選択肢です。

具体的にはPREMIUM超撥水ソフトシェルトレックパンツ。2WAYストレッチに撥油・防汚、袋布は抗菌防臭メッシュで、再帰反射プリントとシューズフックまで付いてこの値段です。サイズはS〜3Lの展開になります。
公式のリリースでは、4点セットの組み合わせも紹介されています。フーディ2,900円、トレックパンツ2,900円、インナー1,500円、トレックシューズ4,500円。合計11,800円で、上下と靴まで15,000円以下というわけですね。
ワークマン PREMIUM超撥水ソフトシェルトレックパンツ
2WAYストレッチと撥水で、低山・ハイキングの最初の1本に。商品の入れ替わりが速いので、価格と在庫は公式で確認してください。
価格目安:2,900円(税込)
限界も正直に書いておきます。低価格なぶん、細部の作りや耐久性で専門ブランドに劣る面はあります。ただしモデルごとに差があるので、行き先と使い方に合うかどうかで選んでください。商品の入れ替わりも速いので、価格と在庫は買う直前に確認してください。
予算を段で整理すると、こんな並びになります。
| 価格帯 | 何が手に入るか |
|---|---|
| 〜3,000円 | 2WAYストレッチと撥水の実用最低限。低山・ハイキング向け |
| 8,000〜9,500円 | 国内総合メーカーの薄手・中厚手の主力。股下違いのサイズ展開が豊富 |
| 12,000〜13,000円 | コンバーチブル、部位別2WAY、裏起毛などの機能特化 |
| 17,000〜19,000円 | 海外ブランドの主力ソフトシェル、またはULの超軽量 |
| 20,000円超 | 耐久撥水やポリウレタン不使用など、耐久性に振ったモデル |
上に行くほど何が増えるのか。ざっくり言えば、サイズ展開の細かさと、生地の作り込み、そして長く使ったときの差です。最初から一番上を買う必要はありません。
初心者の最初の1本は9千円まで
最初の1本は、9,000円まででまったく問題ありません。薄手から中厚手のロング、化繊、ストレッチあり。この条件さえ満たせば、価格を上げて得られるものは限られます。
選択肢は2つです。ワークマン帯の2,900円で始めるか、国内総合メーカーの8,300〜9,300円帯にするか。後者は股下違いのサイズ展開が豊富で、体に合わせやすいのが強みになります。
どちらを選ぶかは、行き先で決めると早いです。低山や整備された道が中心ならワークマン帯、標高の高い山や小屋泊も視野に入るならメーカー帯。そんな線引きで十分だと思います。
それと、買い足しの順番も書いておきます。パンツより先に優先したいのが、レインウェアと登山靴です。この2つは代用が効きにくく、安全に直結します。
僕も最初はかなり適当に選んでいました。今思えば、最初の1本にお金をかけるより、山に行く回数を増やすほうが先だったなと思います。回数を重ねるうちに、自分に足りない機能が具体的に見えてきますから。
なお価格や仕様は改定されます。購入前には公式サイトで最新の情報をご確認ください。体力や行き先に不安があるときは、経験者やお店のスタッフに相談するのが安全です。
登山パンツの選び方でよくある質問
登山パンツは何本くらい持っておけばいいですか?
まずは1本で大丈夫です。薄手から中厚手のロングを1本用意して、行く山と季節が広がってきたら足していく形で間に合います。僕の場合は、夏の行動用に軽い1本を後から足しました。2本目を選ぶときは、1本目と生地厚か丈を変えると出番がはっきり分かれますよ。
小柄な人やレディースサイズはどう選べばいいですか?
身長ではなく、ウエストの実測値で各社のサイズ表と突き合わせてください。刻み方はブランドで違い、モンベルのウィメンズは胴囲が6cm幅で3cmずつ、ノースフェイスの日本サイズ(レディース)はウエストが8cm幅で4cmずつ、隣のサイズと重なります。モンベルのウィメンズは、2種類のサイズ規格が混在すると公式に告知されています。必ず商品ページのサイズ表を確認してください。股下が余るときは、股下違いのサイズか裾直しで合わせられます。
登山パンツの洗濯で気をつけることはありますか?
柔軟剤を使わないことが一番大事です。吸汗速乾と撥水が落ちてしまいます。洗濯機なら標準コースで、すすぎを1回足すのが推奨されています。乾燥は裏返して風通しの良い日陰で吊り干しするのが基本で、機械乾燥を不可としているメーカーもあります。撥水が落ちてきたら、アイロンを110〜120℃にして圧をかけずに軽く滑らせると戻ります。手順は製品ごとに違うので、洗濯表示と公式の案内をご確認ください。
防水のパンツを買えばレインパンツは要りませんか?
別に考えたほうが安全です。防水生地のトラウザーズはあります。ただしストレッチ性のある防水生地には、「完全防水ではありません」と明記するメーカーもあります。本降りの雨に備えるなら、上下セパレートのレインウェアを別に持つのが基本です。参考までに、モンベルのストームクルーザー パンツは平均195gで、収納すると0.6Lほど。担ぐ負担はそれほど大きくありません。
冬の低山ではどんなパンツを履けばいいですか?
厚手の一枚に頼るより、薄手から中厚手にタイツを重ねるほうが調整しやすいです。ボトムスは行動中に脱ぎ着しにくいので、汗をかいたときの逃げ道を作っておく意味があります。裏起毛や保温材入りの厚手も選択肢ですが、登りでは暑くなりすぎることがあります。雪のある山は装備も判断も別物になるので、経験者と一緒に行くか、専門店で相談してください。
まとめ:登山パンツは化繊ストレッチのロングから
結局、最初の1本は化繊でストレッチのロングを選べばいいんだね?
そうなんですよ。あとは行き先と季節で、厚みと重さを寄せていく感じですね。
登山パンツ選びは、丈・素材・生地厚・重さの4点で決まります。最後に要点をまとめておきます。

- 最初の1本は薄手〜中厚手のロング・化繊・ストレッチあり。夏でもロングが基本
- 綿の公定水分率は8.5%でポリエステルの約20倍。ジーンズは濡れると乾かず重い
- ショーツはタイツとセットで、脱着式は約50g重く3,200円高い
- 素材は速乾のポリエステルか、擦れに強いナイロン。ポリウレタン混は経年でヘタる
- 公表重量は149〜469gで3倍以上。軽さは生地強度と防風性の対価として買う
- 山と道ライトパンツはLで161g。軽さ以上にスマホポケットの位置が効いた
- 最初の1本は9,000円まで。パンツより先にレインウェアと登山靴を優先する
価格も仕様も年度で変わります。購入前には公式サイトで最新の情報をご確認ください。装備の最終判断は、あなたの体力と行き先に合わせて。無理のない選び方が、結局は長く続きます。
