こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
モンベルのレインウェアを選ぶとき、トレントフライヤーとストームクルーザーのどっちにするかで手が止まっていませんか。どちらも上位モデルで、値段も重さも近いので、正直けっこう迷いますよね。
しかも2025〜2026年にかけて、2モデルとも素材と構造が大きく変わりました。ネットの比較記事には旧モデル前提の情報がまだ多く、そのまま読むと判断を誤りやすい状況です。
僕自身は、この2モデルを山で使ったわけではありません。富士山では風よけ、槍ヶ岳では終日雨の下山で雨具の大切さを知った経験と、2026年10月時点のモンベル公式スペックを突き合わせて、山行タイプ別にどっちが合うかを整理しました。
- 夏山の日帰りとテント泊で変わる2モデルの選び分け
- 2026年現行の重さ・透湿性・価格・サイズの差
- 旧モデル前提の比較記事と食い違うポイント
- 上下の組み合わせ方と自転車通勤での向き不向き
トレントフライヤーとストームクルーザーの結論
結論から言うと、夏山の日帰りやUL志向ならトレントフライヤー、初めての1着や小屋泊〜テント泊・岩稜・春秋の冷たい雨ならストームクルーザーが合いやすいです。防水性能はどちらも登山に十分なので、判断軸は「軽さと動きやすさ」を取るか「生地の強さ」を取るかになります。

どっちも雨を防ぐ力が同じなら、何で選べばいいの?
僕も最初はそこで迷いました。山行のタイプで分けて考えると、けっこう答えが出るみたいですよ。
耐水圧は2モデルとも「20,000mm以上」で同じ表記です。公称値で防水の優劣はつけられないので、違いは表地の厚み・伸縮性・透湿性・サイズ展開・価格に絞られます。山行タイプ別の目安は次のとおりです。
| 山行タイプ | 向くモデル | 主な理由 |
|---|---|---|
| 夏山の日帰り・低山ハイク | トレントフライヤー | 全面ストレッチで動きやすく、透湿性が高い |
| 急登・速いペース・トレラン寄り | トレントフライヤー | 公式が「運動量の多いアクティビティにおすすめ」と明記 |
| 初めての1着 | ストームクルーザー | 公式がバランス型のフラッグシップと説明。価格も安い |
| 小屋泊・テント泊(重いザック) | ストームクルーザー | 表地が30デニールで、ザックの擦れに備えやすい |
| 岩稜帯・鎖場・藪 | ストームクルーザー | 引き裂きに強いバリスティック ナイロン |
| 春秋の冷たい雨 | ストームクルーザー | 裏地は保水しにくい高密度ニット |
| XS・ゆったり幅が必要 | ストームクルーザー | XSとゆったり幅を含む8サイズ展開 |
迷ったら「自分の山行でザックが一番重くなる日」を基準に選ぶと、後悔しにくいです
夏山の日帰り・UL志向ならトレントフライヤー
夏山の日帰りで、汗をかきながら雨具を着て登る場面が多い人には、トレントフライヤーが合いやすいです。全面ストレッチ素材で、公式は「着用時にウエアの突っ張り感がなく、動きにスムーズに追随」と説明しています。(出典:モンベル公式『トレントフライヤー ジャケット Men's』)
透湿性は50,000g/m²・24hrsで、ストームクルーザーの40,000より高い表記です。急登で体が熱くなる夏は、この蒸れにくさの差がいちばん効く季節かなと思います。
僕は軽さを大事にするULスタイルですが、軽さだけで道具を決めないようにしています。トレントフライヤーとストームクルーザーの重さの差は、現行ではわずか21gです。トレントフライヤーは「軽さ」より「動きやすさと蒸れにくさ」に価値を感じる人向けのモデル、と考えるのが正確です。
向かない人もいる
サイズはS〜XXLの5サイズだけで、XSやゆったり幅はありません。表地は15デニールと薄めなので、重いザックで長時間歩く山行が多い人は、後半の耐久性の章も読んでから決めてください。
モンベル トレントフライヤー ジャケット
全面ストレッチ・透湿性50,000の3レイヤー。夏山の日帰りや速いペースの山行向き
価格目安:25,500円(税込・Men's)
トレントフライヤーよりさらに軽いバーサライトとストームクルーザーの違いは、足りる山・足りない山に分けて整理しています。
関連記事:ストームクルーザーとバーサライトの違い
小屋泊〜テント泊・岩稜・春秋の雨ならストームクルーザー
重いザックを背負う日が多い人や、岩場を歩くルートが多い人には、ストームクルーザーをおすすめします。表地は30デニールのバリスティック ナイロンで、デニール数はトレントフライヤー(15デニール)のちょうど2倍です。
公式ガイドでは、この生地は従来のナイロンと比べて、同じ重さなら約2倍の引き裂き強度があると説明されています。ショルダーハーネスが擦れ続ける縦走や、岩に触れる場面での安心感につながる部分です。(出典:モンベル公式『素材について:バリスティック ナイロン』)
公式はストームクルーザーを、防水性・透湿性・耐久性などを高い次元でバランスよく備えたフラッグシップモデルと位置づけています。価格もトレントフライヤーより安く、用途を決めきれない初めての1着として選びやすいモデルです。(出典:モンベル公式『ストームクルーザー ジャケット Men's』)
春秋の冷たい雨では、濡れと風による冷えが問題になります。ストームクルーザーの裏地は「保水しにくい高密度ニット」と公式に明記され、さらっとした着心地とされています。トレントフライヤーの公式ページには、裏地の記載がありません。
僕は2018年の槍ヶ岳で、下山の6時間45分をずっと雨の中で歩きました。夏なのに体が冷えて、フリースかインナーダウンが欲しくなったのを覚えています。保温は中に着る服の役割ですが、外側の雨具が長時間の雨と風に耐えてくれることが前提なんだと実感した山行でした。
モンベル ストームクルーザー ジャケット Men's
30デニール表地のバランス型フラッグシップ。初めての1着や小屋泊〜テント泊向き
価格目安:22,000円(税込)
2026年現行スペックで見る2モデルの差
2026年10月時点の公式スペックで比べると、2モデルの主な差は「重さ21g・価格3,500円・透湿性・表地の厚み」に、伸縮性・サイズ展開・フードの調節方式を加えたあたりです。防水性能、ポケットの数と位置、袖口や裾の作りは同じです。

| 比較項目(Men's) | トレントフライヤー ジャケット | ストームクルーザー ジャケット |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 25,500円 | 22,000円 |
| 生地の構造 | スーパー ドライテック3レイヤー | スーパー ドライテック3レイヤー |
| 表地 | 15デニール バリスティック エアライト ナイロン | 30デニール バリスティック ナイロン |
| 伸縮性 | 全面ストレッチ | 記載なし(K-Mono CUTで運動性を確保) |
| 透湿性(JIS B-1法) | 50,000g/m²・24hrs | 40,000g/m²・24hrs |
| 耐水圧 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 |
| 平均重量 | 233g | 254g |
| 収納サイズ | 8×8×13cm(0.9L) | 8×8×15cm(1L) |
| ポケット | ジッパー付き2個(腰) | ジッパー付き2個(腰) |
| フードの調節 | ジップアジャストシステム | ドローコード+ベルクロ |
| ピットジップ | なし | なし |
| サイズ | S〜XXL(5サイズ) | XS〜XXL+M-R・L-R(8サイズ) |
Women'sは、トレントフライヤーが24,500円・209g、ストームクルーザーが21,000円・225gです。男女とも、差の向きは変わりません。
表から分かるのは、2モデルが同じスーパー ドライテック3レイヤーを使う「兄弟」に近い関係になったことです。違いは防水透湿素材ではなく、表地の種類と厚み、伸び方、そして狙っている使い方にあります。
軽さ21gと3500円差に払う価値はあるか
21gの軽さだけを理由に3,500円を上乗せする価値は、正直あまり大きくないと僕は考えています。トレントフライヤーに払う価値があるのは、全面ストレッチと高い透湿性に魅力を感じる場合です。
21gは、500mlのペットボトル1本の20分の1ほどの重さです。ザックに入れて歩いても、体で違いを感じるのは難しい差かなと思います。
上下セットで比べても、組み合わせによる重さの差は最大で約50gです。UL目線で見ても、雨具よりほかの装備を見直したほうが削れる重さは大きいはず。
ひとつ前のトレントフライヤーは186gで、ストームクルーザーよりはっきり軽いのが魅力でした。現行は全面ストレッチ素材になって233gに増え、重さの差は小さくなっています。「軽いからトレントフライヤー」という選び方は、いまは当てはまりにくいと考えておきましょう。
現行の2モデルは「重さ」より「動きやすさ・蒸れにくさ」と「生地の強さ」のどちらを取るかで選ぶのがコツです
透湿性50000と40000の数字の読み方
50,000と40,000は、同じメーカー・同じ試験法(JIS L-1099 B-1法)の値なので、並べて比べられます。汗を外へ逃がす力はトレントフライヤーが上と読んで問題ありません。
ただし、B-1法は数値が大きく出やすい試験法です。他社がA-1法で公表している値とは、数字をそのまま並べて比べられません。
たとえばファイントラックは、同じ生地についてB-1法で30,000、A-1法で6,000と併記しています。試験法が違うだけで、数字は5倍も変わるわけです。
もうひとつ大事なのが、カタログの透湿性は試験条件での上限だという点です。服の内側と外側に温度や湿度の差がなければ、水蒸気は思うように抜けません。数字が高くても、夏の急登で汗をかけば蒸れは感じると考えたほうが現実的です。
蒸れ対策は着方で補う
2モデルともピットジップ(脇の換気口)はありません。蒸れを感じたらフロントジッパーを開ける、登り始める前に中の服を1枚減らすなど、着方の工夫で補うのが前提です。
もうひとつ見落としやすいのが撥水です。撥水が落ちて表地が水を含むと透湿性が下がり、「蒸れる」「漏れた」と感じやすくなります。こまめな洗濯と撥水の回復は、カタログの数字の差以上に効く手入れかなと思います。
サイズ展開と胸囲4cmの差に注意
同じMサイズでも、トレントフライヤーはストームクルーザーより胸囲が4cm細い点は見落としやすい差です。メンズMの仕上がり胸囲は、トレントフライヤーが110cm、ストームクルーザーが114cmです。
レインウェアは、フリースや薄手のダウンの上から着ることも多い服です。厚手の中間着を重ねる前提なら、細めのトレントフライヤーは窮屈に感じるかもしれません。
サイズ展開にも差があります。ストームクルーザーは、XSと胸まわりにゆとりのあるM-R・L-Rを含む8サイズ。トレントフライヤーはS〜XXLの5サイズだけです。
| ストームクルーザー Men's | 着丈(cm) | 胸囲(cm) | 裄丈(cm) |
|---|---|---|---|
| XS | 68 | 106 | 81 |
| S | 70 | 110 | 84 |
| M | 72 | 114 | 87 |
| L | 74 | 120 | 90 |
| M-R(ゆったり幅) | 72 | 126 | 87 |
| L-R(ゆったり幅) | 74 | 132 | 88 |
小柄な人や、ゆったり着たい人はストームクルーザーのほうが選びやすいですよね。数値は仕上がり寸法の目安なので、できれば中間着を着たまま試着し、正確なサイズは公式サイトのサイズ表で確認してください。
ネットの古い比較と違う2025〜2026年の変更点
ストームクルーザーは2025年春夏にスーパー ドライテック3レイヤーへ、トレントフライヤーは2026年春夏に全面ストレッチのスーパー ドライテック3レイヤーへ刷新されました。ゴアテックス時代やひとつ前のモデルを前提にした比較記事は、いまの2モデルに当てはまらない点が多いので注意してください。

えっ、ネットの比較って古い情報のこともあるの?
そうなんです。僕も調べていて、旧モデルの話がけっこう混ざっていて驚きました。よくある記述と今の公式情報を並べてみましょう。
| よく見かける旧情報 | 2026年10月時点の公式情報 |
|---|---|
| ストームクルーザーはゴアテックス | 2025年春夏からスーパー ドライテック3レイヤー |
| トレントフライヤーは2.5層 | ひとつ前のモデルから3レイヤー |
| トレントフライヤーは180g台 | 現行は233g。差は21gに縮小(186gはひとつ前のモデル) |
| トレントフライヤーはピットジップ付き | 現行の公式仕様に記載なし |
| トレントフライヤーのポケットは胸に1つ | 腰に2つ(ストームクルーザーと同じ) |
| トレントフライヤーは反射テープ付き | 現行の公式仕様に記載なし |
| ストームクルーザーの透湿性は35,000 | 40,000(35,000は旧ゴアテックス版) |
| ストームクルーザーの耐水圧は50,000mm以上 | 公式製品ページは20,000mm以上 |
| トレントフライヤーのほうが安い | トレントフライヤーが3,500円高い |
旧モデルは、アウトレットなどで併売されることがあります。同じ名前でも世代ごとに素材や重さが違うので、購入時は品番で確かめると安心です。ひとつ前のトレントフライヤー(Men's)は1128741、現行のMen'sは、トレントフライヤーが1128782、ストームクルーザーが1128733です。
ストームクルーザーのスーパードライテック化
ストームクルーザーは2025年春夏の第10世代で、ゴアテックス ファブリクスからモンベル独自のスーパー ドライテックに変わりました。表地は20デニールから30デニールに太くなり、透湿性は35,000から40,000に上がっています。
生地を厚くしながら、透湿性の表記も上げた形です。耐久性を足しつつ蒸れにくさも落とさない、バランス型らしい変更だなと感じます。
サイズ感が変わっていないのも安心材料です。旧ゴアテックス版と現行版は仕上がり寸法が完全に一致しているので、旧モデルからの買い替えなら同じサイズを選べます。
現行のストームクルーザーは、公式ページでPFAS(有機フッ素化合物)不使用と明記されています。PFASを使わない撥水は、従来品より皮脂などの油汚れに弱くなると業界メディアの取材で指摘されているので、汗をかいた後の洗濯がより大切になります。
ネットで見る「スーパー ドライテックは60,000」は素材全体のレンジ(20,000〜60,000)の上限で、ストームクルーザー個別の値ではありません
「ストームクルーザー=ゴアテックス」で選びたかった人もいますよね。旧ゴアテックス版の後継は、公式でテンペスト ジャケットとされています。ゴアテックスにこだわるなら、そちらが比較の相手になります。
トレントフライヤーはゴア版から2段階で変化、ポケットも移動
トレントフライヤーは、ゴアテックス版から数えて2回変わっています。まずゴアテックス パックライトプラスの2.5層相当から、スーパー ドライテック3レイヤー(186g)へ。そして2026年春夏に、同じスーパー ドライテック3レイヤーのまま全面ストレッチ素材に生まれ変わりました。
| 項目 | ゴアテックス版(生産終了) | ひとつ前(生産終了・1128741) | 現行(2026年春夏〜・1128782) |
|---|---|---|---|
| 素材 | ゴアテックス パックライトプラス(2.5層相当) | スーパー ドライテック3レイヤー | スーパー ドライテック3レイヤー |
| 表地 | 12デニール | 15デニール | 15デニール・全面ストレッチ |
| 透湿性 | 44,000g/m²・24hrs | 50,000g/m²・24hrs | 50,000g/m²・24hrs |
| 重量 | Women's XSで176g | Men's 186g | Men's 233g |
| ポケット | ジッパー付き1個(左胸) | ジッパー付き1個(左胸) | ジッパー付き2個(腰) |
| ピットジップ | あり | 記載なし | 記載なし |
| 反射材 | フロントジッパーに反射テープ | フロントジッパーに反射テープ | 記載なし |
膜を表と裏の両側から守る3レイヤーには、ひとつ前のモデルの時点でなっています。2026年の刷新で変わったのは全面ストレッチ化と腰ポケット2個化で、重さは186gから233gへ47g増えました。軽さより動きやすさを取った変更と考えるとわかりやすいです。
ポケットが胸から腰へ移った点も、使い勝手に関わります。胸ポケットに地図やスマホを入れていた人は、置き場所が変わると覚えておきましょう。なお公式は2モデルとも「構造上ポケットの内部は浸水する恐れ」と注記しているので、スマホは防水ケースに入れてください。
旧モデルの評判に注意
「180g台で圧倒的に軽い」「ピットジップで蒸れにくい」「胸ポケットが便利」は、どれも旧モデルの話です(180g台と胸ポケットはひとつ前のモデル、ピットジップはさらに前のゴアテックス版)。旧情報で選ぶと、届いた現行品が想定と違うことになりかねません。
ほかの現行モデルも含めた新旧モデルの対応表と、重さ・透湿性・価格の比較表はこちらにまとめています。
関連記事:モンベルのレインウェア比較|現行モデルを重さと価格で選ぶ
トレントフライヤーの耐久性は大丈夫か
トレントフライヤーの生地は、すぐ破れるほど弱いわけではありません。ただ、擦れや引き裂きへの強さはストームクルーザーに分があるので、重いザックのテント泊や岩稜が中心ならストームクルーザーのほうが安心です。
注意したいのは、現行2モデルの長期使用レビューが、2026年10月時点ではほぼ見当たらないことです。発売から日が浅く、数シーズン使った結果がまだ出ていません。耐久性は、表地の厚みや生地の種類といった公式スペックから推測するしかない状況です。
表地15デニールと30デニールの差
デニールは糸9,000mあたりの重さ(グラム)で、糸の太さの目安になる数字です。一般に大きいほど糸が太く、摩耗や引き裂きに強くなりやすい反面、重くなります。トレントフライヤーは15デニール、ストームクルーザーは30デニールで、数字はちょうど2倍の差です。
重さの差は約8%なのに、表地のデニール数は2倍違います。ストームクルーザーは、少しの重さで生地の強さを大きく足したモデルと言えそうです。
トレントフライヤーの表地「バリスティック エアライト」も、公式は「十分な強度を備えながらも抜群の軽量性と薄さ」と説明しています。薄いから即ダメ、という話ではありません。2倍のデニール数のバリスティック ナイロンを使うストームクルーザーの生地と比べると、相対的に薄いという位置づけです。なお公式の「同じ重さで約2倍の引き裂き強度」は従来のナイロンとの比較で、2モデル間の強度差を示した数字ではありません。
2モデルとも3レイヤーなので、防水の膜そのものは表と裏の生地に守られています。ゴアテックス時代のトレントフライヤー(2.5層相当)より、膜の保護は手厚くなっています。
北アルプスのテント泊や岩稜で出る擦れの差
擦れがいちばん出やすいのは、ザックのショルダーハーネス・ヒップベルト・背面が当たる部分です。歩いている間ずっとこすれ続けるので、ザックが重く、背負う時間が長いほど負担は大きくなります。
僕は2021年10月に、穂高岳山荘でテント泊をしました。大型のザックを背負って岳沢から前穂高岳に登り、奥穂高岳まで岩稜を歩く行程です。こういう山行で雨に降られれば、雨具を着たまま重いザックを背負い、岩に手をつく時間が長く続きます。
岩稜帯では、岩・鎖・ハシゴへの接触も加わります。藪漕ぎがあれば、枝に引っかける場面も出てきますよね。こうした山行が多い人ほど、表地が厚いストームクルーザーを選ぶ理由ははっきりしてきます。
| 山行のパターン | 擦れの出方 | 向くモデル |
|---|---|---|
| 夏の日帰り(軽いザック) | 少なめ | どちらでもよい |
| 小屋泊(数日・中くらいのザック) | 肩と腰に出る | どちらでも可。長く使うならストームクルーザー |
| テント泊(重いザックで長時間) | 大きい | ストームクルーザー |
| 岩稜・鎖場・藪 | 引っかけ・摩耗が加わる | ストームクルーザー |
旧世代の極薄モデルの公式ページには、強い圧力で生地の表面が黒くなることがあるが防水透湿性に影響はない、という注記がありました。現行2モデルにこの注記はありませんが、薄い生地ほど擦れの跡が気になりやすいのは覚えておきたいところです。
擦れや破れが気になったら自己判断で使い続けず、モンベルのストア持ち込みか郵送の修理受付に相談してください
ストームクルーザーのパンツは上下で揃えるべきか
上下を同じモデルで揃える必要はなく、ジャケットとパンツは目的に合わせて別々に選んで大丈夫です。モンベル公式も「上は軽量性、下は耐久性を重視など」の組み合わせが可能だと明記しています。
上と下で、別のモデルにしてもいいの?
公式もOKと書いているみたいですよ。どう組み合わせるといいか、一緒に見ていきましょう。
まず知っておきたいのが、「ストームクルーザー パンツ」という名前の商品は現行の一覧に無いことです。ストームクルーザーと同じ30デニール生地のパンツは「ドライテック レインパンツ」になります。
トレントフライヤーと同じ15デニールのストレッチ生地は「ドライテック ストレッチレインパンツ」です。こちらは公式がトレントフライヤーのペアと明記しています。
| 組み合わせ(Men's) | 価格合計(税込) | 重量合計 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| トレントフライヤー+ストレッチレインパンツ | 41,500円 | 398g | 上下とも15デニール・全面ストレッチ |
| ストームクルーザー+ドライテック レインパンツ | 36,000円 | 448g | 上下とも30デニール |
| トレントフライヤー+ドライテック レインパンツ | 39,500円 | 427g | 上は軽さと伸縮、下は擦れに備える |
| ストームクルーザー+ストレッチレインパンツ | 38,000円 | 419g | 上は丈夫に、下は足上げしやすく |
上下の重さの差は最大でも約50g、価格差は最大5,500円です。組み合わせは重さより、「パンツをどこで、どう使うか」で考えるのがおすすめ。
パンツはジャケット以上に擦れやすい服です。座る・しゃがむ・岩に尻をつくといった動作で、生地が地面や岩に直接当たります。テント泊や岩稜が多いなら、上をトレントフライヤーにしても、下は30デニールのドライテック レインパンツにする組み合わせが合理的かなと思います。
靴を履いたまま着脱できるか
ドライテック レインパンツはロングサイドジッパーです。ストレッチレインパンツはサイドジッパーで、公式に「靴を履いたままパンツの着脱はできません」と注記があります。雨の降り始めに登山靴を脱ぐ手間を避けたい人は、ここが分かれ目です。
サイズ展開も違います。ドライテック レインパンツはXS〜XXLを含む14サイズ、ストレッチレインパンツはS〜XLにショート丈・ロング丈を加えた展開です。両方とも裾内側の摩耗補強と、裾丈を調節できるサムエシステムを備えています。
上だけで済ませたくなる気持ちも分かりますが、山では上下セパレートの雨具が基本です。富士登山オフィシャルサイトも、必須装備に「雨具(上下セパレートタイプ)」を挙げています。(出典:富士登山オフィシャルサイト『富士登山の前に知っておきたいこと』)
僕も初めての富士山では、雨には降られなかったのに、山頂のご来光待ちでレインウェアに助けられました。風を通さない上着として、寒さをしのぐのに欠かせなかったんです。雨具は雨の日だけの道具ではない、と実感した出来事でした。
モンベル ストームクルーザー ジャケット Men's(#1128733)+ ドライテック レインパンツ Men's(#1128736)
上下とも30デニールで揃える定番の組み合わせ。テント泊や岩稜が多い人向き
価格目安:36,000円(税込・上下合計)
モンベル ドライテック ストレッチレインパンツ Men's
トレントフライヤーと同じ15デニールのストレッチ生地。足上げのしやすさ重視の人向き
価格目安:16,000円(税込)
自転車通勤に使うならどっちが向くか
自転車通勤に使うなら、前傾姿勢で突っ張りにくく、汗を逃がしやすいトレントフライヤーのほうが向いています。ただし2モデルとも登山用で、自転車専用の設計ではない点は理解しておきたいところです。
| 観点 | トレントフライヤー | ストームクルーザー |
|---|---|---|
| 前傾姿勢での突っ張り | 全面ストレッチで追随しやすい | ストレッチ記載なし(K-Mono CUT) |
| 発汗への対応 | 透湿性50,000 | 透湿性40,000 |
| 反射材 | 現行は記載なし | 記載なし |
| 自転車向けの設計 | なし(登山用) | なし(登山用) |
ペダルをこぐ前傾姿勢では、背中や肩まわりの生地が引っ張られます。全面ストレッチのトレントフライヤーは、この突っ張りを感じにくい作りです。通勤は短時間でも強度が高く汗をかきやすいので、透湿性の高さも効いてきます。
一方で、「トレントフライヤーは反射テープ付きで自転車向き」という評判は旧モデルの話です。現行の公式仕様には反射材の記載がないので、夜道を走るなら反射材やライトを別に用意してください。
2モデルとも、前傾姿勢に合わせた後ろ丈や、ヘルメットに対応するフードは公式仕様にありません。モンベルは別に自転車用のレインウエアも展開しているので、毎日の通勤が主目的なら、そちらと比べる価値もありますよ。
パンツを通勤で毎日はく場合は、サドルとの擦れも気になります。2種類のパンツとも裾内側の補強はありますが、尻や股の補強は公式仕様に記載がありません。
登山と通勤を1着で兼ねるならトレントフライヤー、通勤が主目的なら自転車用モデルも候補に入れるのが現実的です
トレントフライヤーとストームクルーザーのよくある質問
防水性能が同じなら、雨の中でどちらが濡れにくいですか?
耐水圧はどちらも「20,000mm以上」の表記で、公称値の上では生地の防水性に優劣はつけられません。実際の「濡れ」は、汗の結露、首元や袖口からの浸水、撥水の低下で起きることが多いです。透湿性の高いトレントフライヤーは結露の面で少し有利ですが、フードやジッパーを正しく閉めることと、撥水の手入れのほうが効くと思います。
冬山でも使えますか?
雨や風を防ぐ上着としては、季節を問わず使えます。ただ、本格的な積雪期の山はレインウェアではなく、ハードシェル(アルパインウエア)の領域です。冬山を目指すなら、専用のウェアを公式サイトや登山用品店で相談しながら選んでください。
もっと軽いモデルや、もっと安いモデルはありますか?
モンベル内なら、もっと軽いのはバーサライト ジャケット(143g・7デニール・ポケットなし)です。もっと安いのはサンダーパス ジャケット(13,600円・50デニール・313g)で、2モデルより重い代わりに表地は最も厚いです。ゴアテックスにこだわるなら、テンペストやピークシェルなどが候補になります。
アウトレットの旧モデルを安く買うのはアリですか?
用途に合えばアリだと思います。公式アウトレットで見かける旧トレントフライヤーは、ひとつ前のスーパー ドライテック版(Men's 1128741)で、186gと現行より47g軽いのが魅力です。ピットジップが付いていたのはさらに前のゴアテックス版なので、混同しないようにしましょう。ただ、同じ名前でも素材・重さ・ポケット位置が現行品と違うので、品番とスペックを確かめてから買ってください。
モンベル以外のレインウェアと比べるときの注意点は?
透湿性の数字は、試験法が同じかを先に確認してください。モンベルはB-1法で数値が大きく出やすく、A-1法の値とはそのまま比べられません。他ブランドも含めて選びたい人は、登山用レインウェアのおすすめを比べた記事も参考にしてみてください。
まとめ:トレントフライヤーとストームクルーザーは山行で選ぶ
軽いからこっち、じゃなくて、どんな山に行くかで選ぶんだね。
そうですね。自分の山行を思い浮かべると、選びやすくなると思います。
トレントフライヤーとストームクルーザーは、2025〜2026年の刷新で同じスーパー ドライテック3レイヤーになりました。防水性能の公称値は同じで、違いは「動きやすさ・蒸れにくさ」と「生地の強さ」のどちらを取るかです。

- 夏山の日帰り・速いペース・UL志向ならトレントフライヤー
- 初めての1着・小屋泊〜テント泊・岩稜・春秋の冷たい雨ならストームクルーザー
- 重さの差は21gだけ。表地のデニール数は2倍違う
- 同じMでもトレントフライヤーは胸囲が4cm細く、XSやゆったり幅はない
- 旧モデル前提の情報(2.5層・180g台・胸ポケット・ピットジップ)に注意
- パンツは上下で揃えなくてよく、擦れが多い山行なら30デニールが安心
価格やスペックは2026年10月時点の公式情報をもとにした目安で、モデルチェンジで変わることがあります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。サイズや用途に迷ったら、登山用品店のスタッフに相談して試着してから決めると安心です。
