こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
「ストームクルーザーがゴアテックスをやめた」と聞いて、買う手が止まっていませんか。長く定番だったモデルの素材が変わると、性能が落ちたんじゃないかと不安になりますよね。僕も最初はそう感じました。
この記事では、モンベル公式が実際に公表している数値だけを並べて、比べられる部分と比べられない部分を切り分けます。ネットでよく見る「60,000対44,000」のような数字の出どころも確かめました。
先に正直に書いておくと、僕はまだスーパードライテックのウェアを持っていません。ここから先は、公式情報と自分の山行パターンから「僕ならこう選ぶ」を組み立てた話として読んでください。
- カタログの透湿量でスーパードライテックとゴアテックスの優劣を決められない理由
- モンベルがゴアテックスをやめたわけではないという事実関係と、素材が変わった背景
- 旧ドライテックの剥離談をスーパードライテックの寿命の根拠に使えない理由
- 254gと差額13,200円をどう見るか、僕ならどのモデルを選ぶか
2025年ストームクルーザーの素材変更
2025年春夏の第10世代から、ストームクルーザーはゴアテックスをやめてモンベル独自のスーパードライテックに切り替わりました。ただし、モンベルというブランドがゴアテックスから撤退したわけではありません。

変わったのは「ストームクルーザーという1モデルの素材」です。ここを分けて理解できれば、不安の半分くらいは消えるはずです。
ねえりょう、ストームクルーザーってゴアテックスじゃなくなったの?山の上でも噂になってたよ。
そうなんです。2025年の春夏モデルからですね。ただ「モンベルがゴアテックスをやめた」わけではないみたいですよ。順番に見ていきましょう。
| 時期 | 何が起きたか |
|---|---|
| 2024年春夏 | スーパー ドライテック採用機が登場。この時点でストームクルーザーはまだゴアテックス |
| 2024年秋冬 | ゴア側も ePTFE から ePE メンブレンへの移行を進める |
| 2025年春夏 | 第10世代ストームクルーザーがスーパー ドライテックへ。ゴアテックス採用の「テンペスト ジャケット」が新設される |
| 2026年 | スーパー ドライテック3機種・ゴアテックス3機種・ドライテック2機種が並立 |
ドライテックとスーパードライテックの違い
名前は似ていますが、ドライテックとスーパードライテックはまったく別の素材です。ここを混同したまま口コミを読むと、話がかみ合わなくなります。
モンベルは素材ページで、素材ごとの透湿性のレンジを公表しています。いずれも JIS L-1099 B-1法での値です。(出典:モンベル公式 素材ページ「スーパー ドライテック」)
| 素材 | 公表されている透湿性のレンジ | 耐水圧の社内基準 | 採用モデルの例 |
|---|---|---|---|
| スーパー ドライテック | 20,000〜60,000g/m²・24hrs | 20,000mm以上 | ストームクルーザー、トレントフライヤー、バーサライト |
| ドライテック | 5,000〜20,000g/m²・24hrs(一部モデルはこれ未満) | 20,000mm以上 | サンダーパス |
| ゴアテックス ファブリクス | 素材ページにレンジの記載なし | 20,000mm以上 | テンペスト、ピークシェル、レイントレッカー |
同じ「ドライテック」の名を含んでいても、サンダーパスの公表値は15,000、ストームクルーザーは40,000です。2.7倍近い開きがあります。
つまり、昔のドライテックの印象をそのままスーパードライテックに当てはめるのは無理があります。価格帯も13,600円と22,000円で別物ですし、狙っている層がそもそも違うわけです。
ちなみにモンベルの防水透湿素材には、ブリーズドライテックという別系統もあります。「無印のドライテック」という言い方をすると、どれを指しているのか分からなくなるので気をつけてください。
モンベルはゴアテックスをやめていない
2025年の再編で起きたのは、モデル単位の素材の入れ替えです。しかも、方向は一つではありません。
入れ替えは双方向で起きた
ストームクルーザーはゴアテックスからスーパー ドライテックへ。逆にピークシェルはスーパー ドライテックからゴアテックスへ変わりました。旧ピークシェル(#1128703)の中身は、トレントフライヤーという別名で続いています。
現行ラインでは、テンペスト・ピークシェル・レイントレッカーの3モデルと、ゴアテックスのレインパンツ2型が残っています。ブランドごと降りたわけではない、というのが実際のところ。
生産終了した旧ストームクルーザー(#1128615)については、公式ページが後継をテンペスト ジャケットと明記しています。受け皿はちゃんと用意されている形です。
気になっているのは、たぶん「自分が買おうとしていた1着の素材が変わった」という一点ですよね。そこだけを切り取れば衝撃ですが、棚全体を見ると印象はかなり変わります。
PFAS不使用は公式 コスト削減説は裏付けなし
公式が製品ページで書いているのは、PFAS(有機フッ素化合物)を使っていないことまでです。素材変更の理由そのものを公式が説明した記述は見つかりませんでしたが、安く作るための変更だという話にも裏付けはありません。
第10世代ストームクルーザーの製品ページには、PFAS不使用と明記されています。裏地は植物由来原料を60%使った高密度ナイロン。ここは公式が自分で書いている一次情報です。(出典:モンベル公式「ストームクルーザー ジャケット」特集ページ)
規制の動きも具体的に進んでいます。フランスでは2026年1月1日から、PFASを含む衣類・履物とその防水剤の製造や販売が、一定の例外(人の保護・安全のために設計された繊維製品や履物、微量の残留分など)を除いて禁止されました。2030年には対象が原則すべての繊維製品へ広がる予定です。
EU全体でもREACHの制限提案の審議が続いていますが、2026年の時点ではまだ確定していません。それでも業界全体が同じ方向へ動いているのは確かです。
ゴア側も同じです。従来のePTFEから、PFASを使わずに製造するePEメンブレンへの切り替えを進めています。ただし公式表記は「微量含まれる可能性があります」という注記つきで、ゼロとは謳っていません。
PFASフリーの撥水は、皮脂などの脂汚れに弱くなるとメーカー側も認めています。襟や肩から先に撥水が落ちるので、こまめな洗濯が前提になります。
なお「湿度の高い日本の気候でも蒸れにくいことを追求した」という開発の意図は、業界メディアの取材でモンベルが語っているものです。一方のコストダウン説には、そうした裏付けが見当たりません。憶測として扱うのが公平です。
結論 透湿量では選べず用途と年数で決まる
先に結論を書きます。カタログの透湿量でスーパードライテックとゴアテックスの優劣は決められません。決め手になるのは、どんな山でどう使うかという用途と、何年使うつもりかという年数のほうです。

透湿量が決め手にならない理由は次の章で、モデル別にどう選ぶかは最後の章でまとめます。ここでは判断の2軸だけを先に置いておきます。
選ぶときの2つの軸
1つめは用途。夏の稜線を長時間歩くのか、藪や岩で生地を擦る使い方をするのか、冬も視野に入れるのか。2つめは年数。3年で買い替える前提なのか、10年使うつもりなのかで、保証やアフターサービスの重みが変わります。
ここで言う年数は「自分が何年使うつもりか」という計画の話です。素材が物理的に何年もつのかは別の問題で、そちらは後の章で扱います。この2つは混ざりやすいので、先に切り分けておきますね。
数値の大小ではなく、自分の使い方と使う年数を先に決める。順番を逆にすると、カタログの数字に振り回されます。
僕自身、最初はかなり適当に選んでいました。数字が大きいほうが良さそう、くらいの感覚です。ただ実際に雨の中を歩くと、効いてくるのは別の要素だったなと感じています。
スーパードライテックとゴアテックスの公式値
同じ土俵で比べられるのは、モンベル公式の製品ページに載っている値だけです。同じメーカーが、同じ JIS L-1099 B-1法(参考値)で測り、耐水圧は全モデル共通で20,000mm以上という基準をクリアしています。

逆に言うと、試験法や測定条件が確認できない他社の数値を横に並べても、そのままでは比較になりません。まずはモンベルの中だけで見ていきましょう。
同じお店の中で比べるなら、ちゃんと勝ち負けが出るんじゃないの?
そう思いますよね。ただ、そこにも落とし穴があるんです。表を見ながら一緒に確かめてみましょう。
| モデル | 素材 | 表地デニール | 透湿性(g/m²・24hrs) | 平均重量 | 価格(税込・Men's) |
|---|---|---|---|---|---|
| トレントフライヤー | スーパー ドライテック3レイヤー | 15D | 50,000 | 233g | 25,500円 |
| バーサライト | スーパー ドライテック3レイヤー | 7D | 50,000 | 143g | 24,000円 |
| ストームクルーザー(第10世代) | スーパー ドライテック3レイヤー | 30D | 40,000 | 254g | 22,000円 |
| テンペスト | ゴアテックス ファブリクス3レイヤー | 20D | 20,000 | 247g | 35,200円 |
| ピークシェル | ゴアテックス ファブリクス3レイヤー | 15D | 20,000 | 185g | 32,000円 |
| レイントレッカー | ゴアテックス ファブリクス3レイヤー | 50D | 20,000 | 301g | 29,200円 |
| サンダーパス | ドライテック3レイヤー | 50D | 15,000 | 313g | 13,600円 |
スーパー ドライテック採用機のほうが、公表透湿性は高く出ています。ここまでは事実です。
ただし「ゴアテックス=20,000」ではありません。生産終了した旧ストームクルーザーは、同じゴアテックスの3レイヤーで35,000と公表されていました。ファブリクスの世代や仕様で値は動きます。
いちばん素直な比べ方は、同じモデルの世代交代を見ることです。旧ストームクルーザーの35,000から、現行の40,000へ。平均重量は前後とも254gで、仕上がり寸法も共通サイズで完全に一致しています。
着丈も裄丈も同じ数字が並んでいるので、パターンを据え置いたまま素材だけを替えたと読めます。前のモデルでサイズが合っていた人は、そのまま選べるはずです。
そしてもう一つ、表を眺めているだけでは見落とす軸があります。脇下のベンチレーション、いわゆるピットジップの有無です。
公表透湿性が40,000のストームクルーザーには、公式ページにピットジップの記載がありません。一方で20,000のテンペストとピークシェルには付いています。数値と換気機構が逆転しているのが、この比較の面白いところ。
透湿は生地の内と外の湿度差で動くので、雨の日は理屈どおりに働いてくれません。そういう場面では、脇を開けて空気を入れ替えるほうが早いこともあります。
60000対44000はそろえているものが違う
よく見かける「スーパードライテック60,000対ゴアテックス44,000」という比較は、どちらもモンベルが同じJIS L-1099 B-1法で出した値ですが、そろえているものが違います。片方は素材レンジの上限、もう片方は生産終了した1モデルの製品値です。
| ネットで見る数字 | 実際の出どころ | 注意点 |
|---|---|---|
| スーパードライテック 60,000 | モンベル素材ページのレンジ「20,000〜60,000」の上限 | 特定の製品の値ではない。ストームクルーザーは40,000 |
| ゴアテックス 44,000 | 生産終了した旧トレントフライヤー ジャケット(ゴアテックス パックライトプラス ファブリクス2レイヤー)の公式値 | 特定モデルの値であって素材全体の値ではない。現行のゴアテックス採用機はいずれも20,000 |
| ドライテック 8,000〜20,000 | 現行の公式表記は「5,000〜20,000(一部モデルはこれ未満)」 | 旧表記か二次情報の可能性 |
| スーパードライテック 耐水圧50,000mm以上 | 一部ブログ記事の記載 | 公式のレインウエア基準は20,000mm以上。50,000mm以上はシェイクドライ採用モデルの表記 |
60,000という数字は、素材そのもののレンジの上限です。製品の値ではありません。ここが混ざると、ストームクルーザーの40,000が「下げられた」ように見えてしまいます。
ゴアテックス側の44,000も、生産終了した旧トレントフライヤーというモデルの公式値です。ゴアテックス全体を代表する数字ではありません。ゴア自身は g/m²・24hrs の社内試験値を一般公開しておらず、RET(ISO 11092)という別の指標で性能を示しています。
しかもRETは数値が小さいほど蒸れにくい指標で、向きが逆です。そのまま並べることすらできません。ネットで数字を見かけたら、まず誰が測ったのかを探してみてください。
JIS L-1099 B-1法は親水無孔質に有利
試験法をそろえても、それだけで公平な比較になるとは限りません。B-1法は、膜そのものが水分を吸って運ぶタイプの素材に高い数値が出やすい試験だからです。
同じ JIS L-1099 でも、A-1法とB-1法では条件がまるで違います。A-1法は塩化カルシウムを吸湿剤に使い、40℃・90%RHの装置の中で測る方法。B-1法は試験片を水に浸して測る、最大透湿度の試験です。
数字がどれだけ動くかは、実例を見るのが早いです。ファイントラックのミューラップは、同じ生地についてB-1法で30,000、A-1法で6,000と公式に併記しています。(出典:ファイントラック公式「ミューラップ」製品ページ)
同じ布なのに5倍の差。表記する試験法を選べば数字は動く、ということです。カタログの20,000と50,000を並べて優劣を語るのが危ういと分かりますよね。
B-1法は水に浸して測るので、水分を吸って膜の中を通すタイプの素材と相性が良くなります。同じB-1法どうしでも、その試験で有利な素材が高く出ている可能性は差し引いて読む必要があります。
なお、スーパードライテックの膜が実際にどんな構造なのかをモンベルは公表していません。ネット記事で見る「無孔質の親水膜」という説明は推定であって、公式の記述ではない点は押さえておきたいところ。
数値そのものの読み方も書いておきます。透湿性20,000を24で割ると、1時間あたり約833g/m²。これは試験条件で通せる上限であって、山の中で同じように抜けるという意味ではありません。
汗の量の目安には、日本山岳ガイド協会が使う「体重×行動時間×5」という式があります。体重60kgの人が6時間歩けば1,800ml。こちらは全身から失う量、カタログ値は生地1m²あたりの上限なので、そのまま引き算できる関係ではありません。それでも桁としては足りていそうに見えるのに現場では蒸れる。この差が、試験条件と山の距離です。
同じ測定法の問題は、ワークマンのレインウェアの公称値を登山用と比べるときにも当てはまります。
関連記事:ワークマンのレインウェアは登山で使える?透湿度で見る限界
何年もつかは誰にも答えられない
どちらが長持ちするかは、今の時点では誰にも答えられません。スーパードライテックの登場が2024年春夏、ストームクルーザーへの採用が2025年春夏なので、まだ最長でも2年半ほどしか経っていないからです。

10年後にどうなっているかを答えられるデータが、原理的にまだ存在しません。断定している情報源があったら、別の素材の話をしているか、1つの事例を一般化しているかのどちらかになります。
じゃあゴアテックスなら実績があるから安心ってこと?
そう言い切れないのが難しいところなんです。ゴアテックス側も膜の世代が替わっている最中なので、そこも見ておきましょう。
ゴアはePTFEからePEメンブレンへの移行を進めています。つまり「ゴアテックスなら実績がある」と言うとき、その実績は旧世代のものです。新しい世代の長期データは、こちらもまだ蓄積の途中。
この記事でも答えられないこと
スーパー ドライテックが何年もつのか、ePE世代のゴアテックスが何年もつのか。旧世代で起きた剥離が新しい素材でも起きるのかどうか。この3つは2026年9月の時点で判断材料がそろっておらず、正直に分からないとしか書けません。
代わりに、性能とは別の軸ではっきり差が付く部分があります。買ったあとのサービスの仕組みです。
ゴアテックス採用機には、素材ブランド側の保証制度があります。ただし永久保証ではありません。公式は期間を「製品として有効に使用できる限り」と定め、耐用年数を超えた場合と撥水の低下を対象外にしています。(出典:GORE-TEX公式「保証&返品(GUARANTEED TO KEEP YOU DRY)」)
自社素材のスーパードライテックには、この種の横断的な保証がありません。窓口はモンベル自身の修理受付で、店舗持ち込みか郵送になります。送料は自己負担で、電話やメールでの見積もりは受け付けていません。
これは性能の差ではなく、売り方と保証の仕組みの差です。「ゴアテックスのほうが安心」という感覚の正体は、案外このあたりにあるのかなと思います。
剥離の体験談は旧世代の話
「モンベルのレインウェアは4〜5年で剥がれた」という体験談の多くは、旧ドライテック世代かそれより前の話です。スーパードライテックの評価としては使えません。
剥離の原因としてよく挙がるのが加水分解です。ポリウレタン系のコーティングや膜が空気中の水分と反応して分解し、べたつき・変色・粉が吹いたような剥がれとして表面に出てきます。摩耗や熱、シームテープ側の劣化など別の原因もあるので、症状が出たらメーカーに修理できるか確認するのが早道です。
厄介なのは、使っていなくても進むところ。劣化は使用頻度よりも保管環境に強く左右されます。高温多湿の場所に置きっぱなしにすると、山に行っていなくても寿命は縮みます。
そしてここまで来ると元には戻せません。モンベル公式はバックパックのコーティングについて、剥離した生地に再コーティングはできないとして買い替え時期の目安と説明しています。製品は違いますが、PUコーティングが剥離したら修理で復活する前提では考えないほうが安全です。
よく言われる「レインウェアは3〜5年」という年数も、保証された数字ではありません。使った回数より、どこにどうしまったかで前後します。
延命の実務は4つだけです。湿度の低い場所に置く、ビニール袋などで密閉しない、高温になる場所を避ける、完全に乾かしてから収納する。押し入れの奥に袋のまま押し込む形が、いちばん避けたいパターンですね。
山から帰った日にハンガーで吊るして乾かす。それだけで、寿命はずいぶん変わってきます。高い素材を選んでも、濡れたまましまえば意味がなくなりますよ。
撥水は洗濯と熱処理で戻せる
「防水が切れた」と感じる症状の多くは、膜の寿命ではなく表地の撥水の低下です。こちらは手入れで戻せる可能性があります。
表地の撥水が落ちると、膜が生きていても表地が水を吸って濡れた状態になります。モンベルは、これが汗で体を濡らし体温低下を招くため危険だと説明しています。
回復の順序は決まっています。まず洗濯で汚れを落とし、次に熱処理を加え、それでも戻らなければ撥水剤。汚れの上から撥水剤をかけても定着しないので、順番を飛ばさないことが大事です。
熱処理(乾燥機)は製品ごとに可否が違います。超軽量生地やニット生地には乾燥機が使えないモデルもあるので、洗濯表示とメーカーの案内を必ず確認してください。
PFASフリーの撥水になった分、洗う頻度は上げたほうが良さそうです。脂汚れに弱いので、汗と皮脂が付いたままだと撥水が落ちやすくなります。
僕の場合、山から帰った日に汗をかいた部分だけでも洗うようにしています。正直けっこう面倒なんですけど、撥水が落ちてから慌てるより早いかなと。
254gと13200円で僕ならこう選ぶ
ここまでを踏まえると、僕なら夏の北アルプス中心ならストームクルーザーを選びます。254gという重量と、ゴアテックス機との差額13,200円を、自分の使い方に当てて考えた結果です。

その前に、買わないという選択肢も置いておきますね。手持ちのゴアテックス機がまだ元気なら、素材が新しくなったこと自体は買い替えの理由になりません。レインウェアの耐水圧の社内基準は、素材が変わる前も後も20,000mm以上で同じですから。
買い替えを考えるのは、膜がべたついたり剥がれたりしてからです。破れや穴、シームテープの剥がれ、ファスナーの破損で雨が入るようになったときも同じで、その場合はそのまま使わずメーカーに修理できるかを確認してください。水を弾かなくなっただけなら、前の章に書いた洗濯と熱処理で戻せる可能性がありますよ。
13,200円というのは、テンペストの35,200円とストームクルーザーの22,000円の差です。同じメーカーで、同じ耐水圧の基準をクリアした2着に、これだけの開きがあります。
繰り返しになりますが、僕はスーパードライテックのウェアをまだ持っていません。ここから先は、公式値と自分の山行の傾向から組み立てた選び方として読んでください。
北アルプスの夏山ならストームクルーザー
夏の北アルプスを1泊2日くらいで歩くなら、30Dの生地と254gのバランスがちょうどいいと思っています。22,000円という価格も、最初の1着として無理がありません。
公表値は透湿性40,000g/m²・24hrs(JIS L-1099 B-1法・参考値)、耐水圧は20,000mm以上。数字の読み方はここまでに書いたとおりで、あくまで目安として見ています。
2018年の夏に槍ヶ岳へ行ったとき、2日目は朝から雨でした。山荘を8時半前に出て、下山したのが15時すぎ。休憩を含めて6時間45分、ずっと雨の中を歩いています。
あのとき浸水しなかったのは、キャラバンのC1_02Sという1万5千円もしない登山靴でした。ゴアテックスが効いたのか、雨がそこまで激しくなかったのかは分かりません。それでも足が濡れないだけで、行動はずいぶん楽になります。
むしろ困ったのは寒さのほうでした。雨で体が冷えて、フリースかインナーダウンを持ってくればよかったと後悔しています。夏でも槍の山頂は5度くらいまで下がりますから。
この経験から言うと、雨具に求めているのは「濡らさないこと」と「脱ぎ着で温度を調整できること」です。透湿量がもう少し高ければ快適だったかというと、正直そこではないかなと思っています。
ストームクルーザーの公式ページにピットジップの記載はありません。蒸れたら前を少し開ける、袖をまくるなど、自分で換気する前提で使うのが現実的です。
モンベル ストームクルーザー ジャケット
30Dの生地で平均254g(公式値)。無雪期の一般的な登山で候補にしやすく、最初の1着にしやすい価格です。山域・天候・行動内容に合わせて選んでください
価格目安:22,000円(税込・Men's/2026年9月時点)
ゴアテックスが欲しいならテンペスト
どうしてもゴアテックスが良いなら、モンベルでの受け皿はテンペスト ジャケットです。旧ストームクルーザーの後継として、公式が名指ししているモデルでもあります。
スペックは20Dの生地で平均247g、価格は35,200円。公表透湿性は20,000g/m²・24hrsで、数字だけ見ればストームクルーザーより低く出ます。
それでも選ぶ理由は、数値以外のところにあります。脇にピットジップが付いていること。そして素材ブランド側の保証制度が使えること。この2つです。
差額の13,200円を「換気機構と保証の仕組みに払う」と考えると、納得しやすいんじゃないでしょうか。ただし保証は永久ではなく、撥水の低下や耐用年数の超過は対象外という点は忘れずに。
軽さも欲しいならピークシェルが32,000円で185g、擦れに強い50Dの生地が欲しいならレイントレッカーが29,200円で301g。同じゴアテックス機でも性格はかなり違います。
モンベル テンペスト ジャケット
ゴアテックスを選ぶならこれ。ピットジップ付きで、素材ブランドの保証制度も使えます
価格目安:35,200円(税込・Men's/2026年9月時点)
軽さ重視ならバーサライトかトレントフライヤー
軽さを優先するなら、15Dで233gのトレントフライヤーが現実的なバランスです。バーサライトは143gと圧倒的ですが、生地が7Dまで薄くなります。
僕はUL寄りの装備で歩いているので、軽さの魅力はよく分かります。山と道の5ポケットライトパンツを買ったときは、箱を持った瞬間に中身が入っていないのかと思ったほどでした。
自宅で量ったらメンズSで116g。買った当時の公式表記は137gで、現行の2026年モデルはS149gなので、あくまで自分の個体の実測値です。それでも一般的な登山パンツの3分の1ほどの重さでした。
ただ、軽ければ正義とは思っていません。7Dの生地は擦れに弱く、ポケットも省かれています。ザックのショルダーが当たり続ける縦走や、岩と藪をかき分ける使い方では不利になります。
その点トレントフライヤーは15Dで、公表透湿性は50,000g/m²・24hrs。25,500円という価格も含めて、軽さと生地の強さのバランスが取りやすい位置にいます。
上下で揃えたい人は注意してください。現行に「ストームクルーザー パンツ」という商品はありません。同じ30D素材のパンツは「スーパー ドライテック レインパンツ」という別の名前で、14,000円・194gです。
モンベル トレントフライヤー ジャケット
15Dで233g、公表透湿性50,000g/m²・24hrs。軽さと生地の強さのバランスを取りたい人向け
価格目安:25,500円(税込・Men's/2026年9月時点)
スーパードライテックとゴアテックスの比較でよくある質問
生産終了した旧ゴアテックス版のストームクルーザーは買いですか?
公式アウトレットに22,880円で残っていることがあります。公表透湿性は35,000g/m²・24hrsで、現行のゴアテックス機より高い数字です。品番が#1128615なので、現行の#1128733と見分けられます。ただし処分価格なのでサイズは選びにくく、製造からどれだけ経っているかも分かりません。ポリウレタン系の劣化は保管環境に左右されるので、そこを織り込んだうえで判断してください。
上下セットで揃えたいときは何を買えばいいですか?
ストームクルーザーはジャケットのみの展開です。同じスーパー ドライテックの30D生地を使ったパンツは「スーパー ドライテック レインパンツ」という名前で、14,000円・平均194gになります。モンベル公式も、上は軽量性で下は耐久性といった組み合わせを勧めているので、同じモデル名で無理に揃える必要はありません。
雪山でもスーパードライテックのレインウェアで大丈夫ですか?
冬季を想定するなら、レインウェアの比較とは別の話になります。雪が付きにくく滑落時の加速を抑えるアンチグリース加工が入るのは、モンベルではアルパインウエアだけで、レインウェアには入っていません。冬に使う予定があるなら、レインウェアの枠の外で選び直すほうが安全です。具体的な装備は、山域と時期をふまえてショップの専門スタッフに相談してみてください。
ゴアテックスの保証を実際に使うときは何が必要ですか?
窓口は素材ブランドであるゴアのサービスチームで、対象は「GUARANTEED TO KEEP YOU DRY」のハングタグが付いた新品です。申請にはレシートなどの購入証明が必要になるので、買ったときに捨てないでおいてください。判断の順番も決まっていて、まず修理できるかを検討し、無理なら同等品や類似品との交換、交換品が用意できなければ返金という流れです。評価施設への送料は自己負担で、返送料はゴア側が持ちます。中古品やレンタル品は対象外なので、譲り受けた1着では使えません。
撥水スプレーはどれを買えばいいですか?
モンベルのO.D.メンテナンスなら、はっ水スプレー330mLが1,600円で、ウェア2〜3着分が公式の目安です。表地だけ処理したいなら、リキッドスプレー200mL・1,320円という選択肢もあります。吹き方は約15cmの距離から薄く何層にも重ね、加工後は20分以上乾かします。皮革やポリウレタンコーティング布など対象外の素材があるので、使う前に必ず表示を確認してください。
まとめ:スーパードライテックは用途と年数で選ぶ
結局、数字が大きいほうを選べばいいってわけじゃなかったんだね。
そうなんです。測り方が違えば数字も動きますからね。自分がどんな山で何年使うかから決めるのが、たぶん近道ですよ。
最後に要点を振り返ります。

- 2025年春夏の第10世代からストームクルーザーはスーパー ドライテックへ。モンベルがゴアテックスをやめたわけではない
- 公式が明記しているのはPFAS不使用まで。変更理由そのものの公式説明は見当たらず、コストダウン説にも裏付けはない
- ネットの60,000対44,000はどちらもモンベルの公表値だが、素材レンジの上限と生産終了モデルの製品値でそろっていない
- 旧ストームクルーザー35,000から現行40,000へ。平均重量254gと仕上がり寸法は前後で変わっていない
- 何年もつかは誰にも答えられない。旧ドライテックの剥離談は世代が違う
- 公表値が高いほうに脇の換気が無いという逆転もある。だからこそ用途と使う年数で選ぶ
価格も仕様もモデルチェンジで変わります。ここに書いた数値は2026年9月の時点で公式ページを確認したものなので、購入前には必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
レインウェアは、濡れと低体温から身を守るための装備です。絶対にこれが正解という話ではありませんし、山域や時期が変われば答えも変わります。判断に迷うときは、山岳ガイドやショップの専門スタッフに相談したうえで決めてくださいね。
