こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
山の途中でトイレに行きたくなったらどうしよう。携帯トイレを買ってはみたものの、実際にどう使うのか分からない。そんな不安、けっこうありますよね。
僕は槍ヶ岳山荘に泊まったとき、ボットン式のトイレの臭いと冷たさで、山のトイレ事情の厳しさを実感しました。正直に言うと、携帯トイレを山で使った経験はまだありません。だからこそ、環境省や自治体の案内を読み込み、手順と必要な山を整理しました。
この記事では、携帯トイレの使い方を時系列で追い、持ち帰り方や処分、必要な山と選び方までまとめます。読み終えるころには、次の山行で何を準備すればいいかがはっきりするはずです。
- 携帯トイレの使い方を目隠しから口を結ぶまで時系列で
- 臭い漏れを防ぐ持ち帰り方と自宅での処分方法
- 利尻山・屋久島・富士山など携帯トイレが要る山と山小屋トイレの料金
- 行く山で選ぶ携帯トイレのタイプとお花摘みのマナー
携帯トイレはULでも1個常備し家で予行する
結論から言うと、携帯トイレは日帰りの低山でも1個ザックに入れ、登る前に家で一度開けて練習しておくのがおすすめです。携帯トイレは、あくまで最終手段。使わずに済めばそれが一番ですが、持っていないとトイレのない場所で打つ手がなくなります。
UL志向の僕でも、ここは削らない装備だと考えています。登山用の1回分キットには、43gほどの軽い製品もあります。2020年に買った山と道のパンツがSサイズで自宅計量116gなので、その半分以下です。
軽さを理由に置いていくほどの重さではない、というのが正直な感覚です。「軽ければ正義」ではなく、必要な安心は残す。ULはそういう考え方だと思っています。
家で予行したい理由はシンプルです。いざ必要になるのは、たいてい急いでいて、周りの目も気になる場面ですよね。そこで初めて袋を開けて説明書を読むのは、かなり厳しいはずです。
登山メディアの手順解説でも、事前の開封と練習がすすめられています。理由は「その時が来てからでは間に合わない」から。家では、次の4つを済ませておけば十分です。
- 袋を開けて、便袋・凝固剤・防臭袋がそろっているか確かめる
- 便袋を一度広げて、形と大きさを手で覚えておく
- ティッシュ・ウェットティッシュ・予備のチャック付き袋とひとまとめにする
- 雨蓋やサイドポケットなど、すぐ取り出せる場所に入れる
練習で開けるのがもったいなければ、複数個入りのセットを買い、1個を練習用に回す手もあります。そうすれば、山で使う分は未開封のまま持っていけます。行く山に携帯トイレブースや回収ボックスがあるかも、出発前に自治体や環境省の案内で確認しておきましょう。
槍ヶ岳のボットン便所で知った山の現実
僕が山のトイレ事情の厳しさを知ったのは、2018年8月の槍ヶ岳でした。新穂高温泉から登り、槍ヶ岳山荘に1泊した山行です。
山荘のトイレは、個室の便座こそ洋式でしたが、仕組みはボットン式。風が吹くと下から空気がお尻に当たり、臭いも一緒に上がってきます。便座も冷たくて、正直、長居したい場所ではありませんでした。
臭いはトイレの中だけにとどまらず、滞在中ずっと館内に回っていました。山小屋を責めたいわけではありません。あの高さでトイレを維持するのは、それだけ大変なのだと思います。
調べてみると、山岳トイレは処理した水を外に流さない仕組みが基本だそうです。使った紙を捨てられず、持ち帰りを求めるトイレもあります。山のトイレは、街のトイレと同じではないんですよね。
しかも、トイレは登山道の途中に都合よくあるわけではありません。同じ山行でも、白出沢出会は山小屋のない地点でした。途中の穂高平小屋は、その日たまたま臨時休業だったんです。
トイレは「行きたいときに近くにある」とは限らないので、携帯トイレは保険として1個持っておきたい装備です。
登山での携帯トイレの使い方を時系列で解説
山で携帯トイレを使うときは、目隠しをして便袋をセットし、凝固剤で固めて口を結ぶのが基本の流れです。環境省の屋久島世界遺産センターや北海道地方環境事務所の案内も、この順番になっています。(出典:環境省 屋久島世界遺産センター『トイレの利用』)

山の中で、本当にそんなことできるの? 人が来たらどうしようって、ドキドキしちゃうね。
僕もそこが一番気になりました。順番を頭に入れておけば、落ち着いて動けるみたいですよ。表で流れを確認してから、一つずつ見ていきましょう。
| 段階 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 場所を決める | ブースがあれば使う。無ければ目隠しをする | 登山道から外れない・水場から離れる |
| ② セット | 便袋を広げ、便座や地面に据える | ブースなら便座にかぶせる |
| ③ 用を足す | 凝固剤を入れ、便袋の中に用を足す | 男性の小用も座って行う |
| ④ 固める | 凝固を待ち、使った紙も便袋へ | 約1分で固まる製品もある |
| ⑤ 口を結ぶ | 空気を抜いて便袋の口を固く結ぶ | 袋に空気を残さない |
| ⑥ 持ち帰る | 防臭袋とチャック付き袋で包んで運ぶ | 回収ボックスか自宅で処分 |
①〜⑤は、このあと詳しく見ていきます。⑥の持ち帰りと処分は、次の章でまとめました。
ブースがなければ傘やポンチョで目隠し
利尻山や屋久島のように携帯トイレブースがある山なら、まずはブースを使います。ブースが無い場所では、ポンチョや折りたたみ傘、レジャーシートで体を隠すのが基本です。北海道地方環境事務所も、この方法を案内しています。
仲間がいるなら、登山道の前後に立ってもらい、一時的に人が来ないようにしてもらう方法もあります。一人のときは目隠しの道具だけが頼りなので、すぐ出せる場所に入れておくと安心です。
場所選びで気をつけたいのは、登山道から外れて植物を踏まないこと。人目を避けたくて奥へ入りたくなりますが、トイレを探す踏み跡が増えると高山植物が傷みます。
水場や沢の近くも避けたい場所です。水を汚さないよう、上流側を避けて距離を取ってください。目隠しの道具は、場所を決める前に手元へ出しておくと慌てずに済みます。
便袋をセットし凝固剤で固めて口を結ぶ
目隠しができたら、便袋を広げてセットします。ブースなら便座にかぶせ、地面で使うなら袋の口まわりを折り込んで形を安定させます。
次に凝固剤を入れて、便袋の中に用を足します。凝固剤には粉末のポリマーやタブレットがあり、入れる順番は製品の説明書に従ってください。シートと一体になったタイプなら、凝固剤を別に入れる必要はありません。
凝固剤の入れ忘れは中身が固まらない原因になるので、袋を広げたら最初に確かめてください。
屋久島の案内では、男性の小用も座って行うよう呼びかけられています。はみ出すと後始末が一気に大変になるので、ここは落ち着いて済ませたいところです。
用を足したら、固まるのを待ちます。約1分で固まる製品もあり、長く待つ必要はありません。使った紙も、そのまま便袋に入れてしまいます。
量が心配な人もいるかもしれませんね。1回の尿量は平均200ml程度とされ、1回分で最大600mLまで固められる凝固剤もあります。1回分でも余裕を持って固まる計算なので、そこは安心していいと思います。
最後に、便袋の空気をしっかり抜いて口を固く結びます。ここまでが「使う」パート。手をウェットティッシュで拭いたら、次は臭いを外に出さない包み方です。
携帯トイレ使用後の持ち帰り方と処分
使用後の携帯トイレは、便袋・防臭袋・チャック付き袋の三重に包んで持ち帰り、登山口の回収ボックスか自宅で処分します。回収ボックス以外の場所に置いていく選択肢はありません。

使ったあと、ずっと背負って歩くの? 臭いが気になりそう…。
そこが一番の心配どころですよね。包み方と捨て方を知っておけば、気持ちもだいぶラクになるみたいです。
持ち帰りに抵抗を感じるのは、自然なことだと思います。丹沢の調査でも、紙の持ち帰りに衛生面や臭いの抵抗感を覚えた人が24〜57%いました。だからこそ、臭いと漏れを抑える包み方を先に知っておきたいところです。
臭い漏れは防臭袋とチャック袋の三重で防ぐ
北海道地方環境事務所が紹介する包み方は、次の三重構造です。便袋の口を結んだら防臭袋に入れ、さらにチャック付き袋で密閉します。1枚の袋に頼らず、役割の違う袋を重ねるのがポイントです。(出典:環境省 北海道地方環境事務所『一個100円以下の携帯トイレ』)
| 層 | 役割 | ポイント |
|---|---|---|
| 1層目:便袋 | 中身を受け止めて固める | 空気を抜いて口を固く結ぶ |
| 2層目:防臭袋 | 臭いを閉じ込める | 中の空気を抜いてから閉じる |
| 3層目:チャック付き袋 | 漏れと臭いの保険 | ザックの中で潰れにくい場所へ |
三重にする理由は、防臭袋も万能ではないからです。医療向けに開発された防臭袋「臭わない袋BOS」のメーカーも、防臭は完全ではないと注記しています。環境によっては、臭いを感じる場合もあるそうです。
もう一つの落とし穴が、袋の中の空気です。防臭袋に空気が残ると、ザックの中で押されて破裂するように開くことがあると注意されています。閉じる前に、手で押して空気を抜いてください。
実際に6製品を使い比べた方のレビューでも、専用の密閉袋が付いた製品を選ぶべきという結論でした。防臭袋が付かない製品は、下山中にザックへ臭いが移る懸念があったそうです。薄い袋は、運ぶ途中の破れも心配とのことでした。
ザックの中では、重い荷物の下敷きにならない、潰れにくい場所に入れましょう。帰りの電車や車の中を思い浮かべると、三重にしておく安心感は大きいですよね。
クリロン化成 臭わない袋BOS
医療向けの開発から生まれた防臭袋。SS〜LLのサイズがあり、携帯トイレの2層目に使えます。
回収ボックスがなければ自宅で燃えるゴミへ
処分先は、回収ボックスがある山ならそこへ、無い山なら自宅まで持ち帰って一般ゴミへが基本です。屋久島や岩手県の早池峰山の案内では、自宅では燃えるゴミとして出せるとされています。
回収ボックスは、利尻山・知床・屋久島・東大雪などの登山口にあります。屋久島は大・小の分別があり、知床は無料で回収。ボックスの中身は、設置した市町村が処分しています。
気をつけたいのは、回収に季節の区切りがあることです。知床の回収は6月中旬〜10月中旬頃で、硫黄山と羅臼温泉の登山口は9月までとされています。時期を外すと、自宅まで持ち帰ることになります。
岩手県は、できるだけ持ち帰るよう呼びかけています。ボックスがあっても、余裕があれば自宅まで運ぶのも一つの選択かなと思います。
ゴミの出し方は自治体ごとに違うので、捨てる前にお住まいの自治体のルールを確認してください。
環境省の検討資料は、携帯トイレが捨てにくいと登山道の周りに捨てられ、かえってゴミが増えるおそれがあると指摘しています。使い終わった袋を山に残すと、携帯トイレを使った意味がなくなってしまいます。
トイレがない山はどうする?携帯トイレが要る山
トイレがない山では、登山口で済ませたうえで、携帯トイレを持っていくのが答えです。利尻山や知床のように、持参が求められる山もあります。富士山のように、トイレはあっても混雑や閉鎖で使えない時間がある山も。
トイレがない山って、そんなにあるの? 北アルプスには山小屋がたくさんあるけど…。
山小屋が多い山域ばかりじゃないみたいですよ。北海道や屋久島には、携帯トイレを持っていく前提の山もあるそうです。
環境省の検討資料では、携帯トイレが効果的なのは、登山者が一定数いるのにトイレが無い山域とされています。その日のうちに処分できる日帰りの山も、向いている場所に挙げられています。
つまり、トイレのない低山の日帰りこそ、携帯トイレが活きる場面です。「近場の低山だから」と置いていくのは、少しもったいないかもしれません。
利尻山・屋久島は持参が前提、富士山も1個は持つ
携帯トイレの持参がはっきり求められているのは、利尻山・知床連山・屋久島などです。登山道に携帯トイレブースがあり、登山口に回収ボックスが置かれています。行く前にブースと回収ボックスの場所を確認しておくと安心です。
| 山域 | 携帯トイレブース | 回収ボックス | 入手・備考 |
|---|---|---|---|
| 利尻山 | 6か所(鴛泊・沓形コースなど) | 両コースの登山口 | 持参必須。町内で1セット450円 |
| 屋久島 | 木造7か所・テント型6か所 | 白谷雲水峡入口など6か所 | 宮之浦岳方面は持参を要請。島内の登山用品店や宿などで販売 |
| 知床連山 | 銀冷水 | 岩尾別など3つの登山口 | 必ず持参。斜里町・羅臼町で販売 |
| 早池峰山 | 山頂避難小屋が専用ブース | 県の案内に記載なし | シーズン中は無人販売箱あり |
| 東大雪 | トムラウシ山南沼・ニペソツ山前天狗 | 各コースの登山口 | 山中の常設トイレはヒサゴ沼のみ |
北海道では、山によって備え方がかなり違います。トムラウシ山やニペソツ山の持参率は90%前後なのに、然別湖周辺の山は約50%前後という調査がありました(2022年公開)。同じ北海道でも、山によって意識に差があるのが分かります。
富士山は山小屋ごとにトイレがありますが、山梨県は携帯トイレの持参を呼びかけています。時間帯によってトイレが混雑することがあり、万が一の場合にも携帯トイレが有効、という理由です。
僕は吉田ルートで2回登っていますが、2017年のご来光前は8合目から山頂まで渋滞が続きました。道幅2人分ほどの登山道で、なかなか前に進めません。あの列の途中でトイレに行きたくなったら…と考えると、1個持っておく安心感は大きいです。
下山道も油断できません。吉田ルートの下山道は、8合目から6合目まで山小屋がないとされています。7合目の公衆トイレは大きく混雑するそうです(富士山NET・2023年掲載)。僕のときも、8合目からは足でブレーキをかけ続ける砂利の坂がひたすら続きました。
山頂の公衆トイレにも開設期間があります。2023年の情報では7月10日からの供用で、7月1日〜9日は携帯トイレの持参が必要と案内されていました。開山直後に登る人ほど、携帯トイレが欠かせません。
閉山期間中は、6合目以上の山小屋と公衆トイレがすべて閉まります。開設期間は年によって変わるので、当年の公式情報を必ず確認してください。
登山口で済ませ山小屋トイレは100円玉で
携帯トイレを使わずに済ませたいなら、登山口のトイレで必ず済ませ、山小屋のトイレを計画に組み込むのが基本です。北海道庁や岩手県も、登山前にトイレを済ませることを基本としています。
山小屋のトイレは、有料やチップ制のところが多いです。環境省のとりまとめでは、料金は1回100〜200円程度の地域が多いとされています。国立・国定公園の山岳トイレ673件のうち、194件(28.8%)が有料・チップ制という集計もあります。(出典:環境省『今後の山小屋トイレの整備と維持管理のあり方について』)
それでも、今の負担額では維持管理費にも足りないのが実態だそうです。山でトイレにお金を払うのは当たり前、と思っておくと戸惑いません。
| 場所 | 料金の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 富士山の山小屋 | 1回200円(山頂は300円) | 両替機がなく、お釣りも出ない |
| 涸沢ヒュッテ | 1回100円 | 宿泊者・テント泊は無料 |
| 丹沢の環境配慮型トイレ | 1回100円の協力金 | 使った紙は持ち帰り |
| 全国の傾向 | 1回100〜200円程度が多い | 小屋ごとに違う |
支払いは100円玉が基本です。富士山は山中に両替機がないので、小銭を多めに用意しておきましょう。登り下りのトイレ代で、1,000円程度を見込むのが目安とされています。
僕が2017年に泊まった吉田ルート8合目の白雲荘も、トイレは1回200円(宿泊者は初回無料)と案内されています。泊まる小屋でも、トイレが無料とは限らないんですね。
涸沢のテント場には、トイレと水は涸沢ヒュッテか涸沢小屋を使うよう書かれた看板がありました。テント場にトイレがあるとは限らないので、泊まる場所のトイレ事情も調べておくと安心です。
日帰りの人が山小屋のトイレを使えるか、いくらかかるかは小屋ごとに違います。最新の料金は、各山小屋の公式サイトで確認してください。
携帯トイレのおすすめは行く山で選ぶ

携帯トイレは、行く山にブースがあるか、目隠しが要るかで選ぶのが近道です。ブースのある山なら便袋タイプで足り、ブースが無い山ではポンチョ付きか目隠しの道具を足します。どのタイプでも、防臭袋が付くかは必ず確認してください。
| タイプ | 製品例 | 価格・重さ | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 便袋+凝固剤+防臭袋 | モンベル O.D.トイレキット | 330円(税込)・43g(1回分) | ブースのある山・軽量化重視 | 凝固剤の入れ忘れに注意 |
| 凝固シート一体型 | ハイマウント EMERGENCY携帯トイレセット | 1,320円(税込)・約286g(4枚) | 広げるだけで使いたい・回数が読めない山行 | 1枚あたりはかさばる |
| ポンチョ付きセット | エクセルシア ほっ!トイレ 標準パック | 600円(税別)・1回分 | ブースの無い山・女性・混雑時 | ポンチョの分だけ荷物が増える |
価格は2026年9月時点のメーカー公式の表示で、変わることがあります。購入前に公式サイトで確認してください。なお、僕自身はどの製品も山で使ったことがなく、ここでの評価は調べた情報にもとづいています。
凝固シート一体型のハイマウントは、広げるだけで使え、1枚で大人2〜3回分を吸収するタイプです。高密閉のチャック袋が2枚付き、1枚に使用済みを3個まで入れられます。テント泊などで回数が読めない山行なら、候補に入れておきたい構成ですよね。
ハイマウント EMERGENCY携帯トイレセット
広げるだけの凝固シート一体型。高密閉チャック袋付きで、回数が読めない山行の備えに。
価格目安:1,320円(税込)
ブースのある山は便袋タイプで足りる
利尻山や屋久島のようにブースがある山なら、便座にかぶせる便袋タイプで十分です。目隠しはブースが担ってくれるので、ポンチョまで持たなくていいことが多いです。
便袋タイプで大事なのは、ブースの便座にかぶせられる大きさかどうか。モンベルのO.D.トイレキットは、便袋が65×50cmです。国立公園内の簡易トイレの便座に対応するサイズとされています。
1回分で43gと軽く、ダブルチャックの防臭袋も付いています。調べた範囲では、軽さと密封を両立したいUL派の僕に合う構成だと感じました。
使用レビューでは、凝固の速さや袋の丈夫さ、コンパクトさが高く評価されていました。一方で、袋が小さめで、便座の形によっては合わないことがあるという指摘もあります。
凝固剤だけを10包まとめた商品もあるので、便袋と防臭袋を別に用意して組み合わせる手もあります。何度も山に行く人なら、こうした買い足しも選択肢になりますね。
モンベル O.D.トイレキット
便袋は国立公園内の簡易トイレ便座に対応するサイズ。1回分43gで防臭袋付き。
価格目安:330円(税込)
女性の単独登山はポンチョ付きセットが安心
女性の単独登山なら、目隠し用のポンチョが付いたセットを選ぶと安心です。ブースの無い山で協力してくれる仲間がいないと、目隠しの有無が「使えるかどうか」を左右するからです。
エクセルシアの「ほっ!トイレ」標準パックは、処理剤のタブレットと黒い袋に、黒色のポンチョがセットになっています。ティッシュや型紙、巾着袋も付いて、価格は600円(税別)です。
4回分のラージパックもあり、こちらはポンチョ1枚を共用する構成です。グループで行くときや、日数の長い山行ではこちらが合うかもしれません。
注意したいのは、構成に防臭袋が含まれていない点です。ポンチョ付きでも防臭袋がないと持ち帰りで困る、というレビューもありました。防臭袋とチャック付き袋は別に用意しておきましょう。
ポンチョの分だけ荷物は増えます。傘やレジャーシートで目隠しできる人、仲間と歩く人なら、便袋タイプでも十分かなと思います。
エクセルシア ほっ!トイレ 標準パック
目隠し用の黒色ポンチョ付き。ブースの無い山や一人の山行の備えに(防臭袋は別に用意を)。
価格目安:600円(税別)
お花摘みのマナーと山で持ち帰りが必要な理由
山のトイレのマナーは、トイレか携帯トイレで済ませ、野外で用を足すときも紙は必ず持ち帰ることに尽きます。人のし尿は臭いが強く、ティッシュの多くは水に溶けないため、山に残ってしまうからです。
「お花摘み」は女性、「キジ撃ち」は男性が、山で用を足すことを指す隠語です。言葉はかわいらしいですが、していることは野外での排泄。できる限り避けたい行為です。
北海道地方環境事務所は、大雪山の実例を紹介しています。溶けないティッシュがあちこちに残り、トイレを探す踏み跡が四方八方に延びて、お花畑が傷んだそうです。山頂の周りでは、アンモニア臭もしていたとのこと。
丹沢では、22か所の水源から大腸菌群が見つかりました。その一因として、不適切なし尿の処理が挙げられています。登山者一人ひとりの行動が、飲み水の安全にもつながっているんですよね。
一方で、持ち帰りは知っていれば実行できる行動でもあります。丹沢の調査では、紙の持ち帰りを知っていた人の98%が実行していました。知らなかった人でも、54%が持ち帰っていたそうです。
それでも野外で用を足すしかないときは、日本山岳会の「山のトイレマナーノート」の目安が参考になります。(出典:日本山岳会『山のトイレマナーノート』)
- 水際から少なくとも20〜30mは離れ、上流は避ける
- 汚物が隠れる程度の穴を掘り、土をかける
- 使った紙はすべて、密閉できる袋に入れて持ち帰る
- 分解しにくいティッシュはなるべく使わない
- 山小屋のトイレの使用料・チップは必ず払う
ただし、北海道や屋久島など携帯トイレの使用が求められる山域では、野外排泄そのものを避けてください。そうした山では、マナーを守るより先に、携帯トイレを使うのがルールです。
山のトイレ事情は、思っているより厳しいのが現実です。トイレが少ない山だからこそ、自分の出したものは自分で持ち帰る。それが、山をいい状態のまま次の人へ渡す、いちばん現実的な方法かなと思います。
登山の携帯トイレの使い方に関するよくある質問
登山に携帯トイレは何個持っていけばいいですか?
日帰りなら1〜2回分が目安です。1泊以上の山行なら日数に合わせ、予備を1個足しておくと安心かなと思います。1枚で2〜3回分を吸収する凝固シート一体型もあるので、行程と製品の容量を見比べて決めてください。
携帯トイレは自作できますか?
できます。北海道地方環境事務所は、厚手の45Lゴミ袋・人間用のおしっこシート・防臭袋・チャック付き袋を組み合わせる方法を紹介しています。市販品が1個300〜500円程度なのに対し、自作なら1個100円未満だそうです(2020年の情報)。ペット用シートは吸収量が200mlで、1回の平均尿量200ml程度に対して余裕が小さいため、人間用を選んでください。
携帯トイレは現地でも買えますか?
利尻山・屋久島・知床・早池峰山などでは、現地でも買えます。利尻山は町内の宿泊施設や商店、コンビニなどで1セット450円で販売されています。早池峰山は、シーズン中に休憩所などへ無人販売箱が置かれています。ただ、家で一度試しておくためにも、出発前に買っておくのがおすすめです。
山のトイレにトイレットペーパーはありますか?
場所によって違います。利尻山の携帯トイレブースには、トイレットペーパーが置かれていません。富士山の山小屋でも、紙がない場合に備えて持参がすすめられています。丹沢のように使った紙の持ち帰りを求めるトイレもあるので、ティッシュと紙を入れる袋はセットで持っておくと安心です。
家の防災用の携帯トイレを登山に使ってもいいですか?
使えますが、中身の確認が必要です。家庭の非常用として作られたセットの中には、山で使うには密封袋が足りないと評価されたものもあります。持っていく前に、防臭袋とチャック付き袋がそろっているか確かめてください。逆に、ほっ!トイレのように備蓄期限5年の製品なら、山用と防災用を兼ねて置いておけます。
まとめ:登山の携帯トイレは1個常備し家で予行する

携帯トイレって、持ってるだけじゃダメなんだね。
そうなんです。僕もまだ山で使ったことがないので、家で一度開けておく大切さを感じています。
登山の携帯トイレは、使わずに済めばそれが一番。でも、持っていないと、トイレのない場所で選択肢がなくなります。最後に要点を振り返ります。
- 携帯トイレは日帰りの低山でも1個常備し、登る前に家で開けて練習しておく
- 使い方は目隠し→便袋のセット→凝固→口を結ぶの順。男性の小用も座って行う
- 持ち帰りは便袋・防臭袋・チャック付き袋の三重にし、空気をしっかり抜く
- 回収ボックスがあれば登山口へ、無ければ自宅で自治体のルールに沿って処分
- 利尻山・知床・屋久島は持参が前提。富士山も混雑や閉鎖に備えて1個持つ
- 山小屋のトイレは有料が多いので100円玉を用意し、登山口で済ませておく
- 選び方はブースの有無と目隠しの要否で決め、防臭袋が付くかを必ず確認
料金や開設期間、回収ボックスの設置状況は年によって変わります。数字はあくまで目安なので、出かける前に自治体や環境省、山小屋の公式サイトで最新の情報を確認してください。
準備さえしておけば、いざというときも慌てずに対応できますよ。安全で気持ちのいい山行を楽しんでくださいね。
万一山で夜を迎える場合に備えた判断と装備は、こちらにまとめています。
関連記事:登山で日没に間に合わない時の対処|下るかビバークか判断基準
