こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
鎖場やハシゴの手前で、トレッキングポールをどこにしまうか迷ったことはありませんか。電車に乗るときも、とがった先端が周りの人に当たらないか気になりますよね。
僕も槍ヶ岳の穂先や、奥穂高岳のザイテングラートのように、はしごのある岩場を歩いてきました。両手を空けたい場面ほど、ポールの置き場所は歩き出す前に決めておきたいところです。
先に結論を言うと、石突を下・グリップを上にして、縮めてから上下2点で留めるのが基本です。そのうえで、歩く場面に合わせて付け方を変えるのがコツです。
この記事では、ザックへの固定方法を3つの方式で比べ、岩場・長時間の外付け・電車や飛行機の場面ごとに使い分けをまとめました。ホルダーの無いザックでの付け方や、外付けで落とさないコツも紹介します。
- 石突を下・グリップを上にする理由と、上向きで付ける場合の注意点
- サイドポケット・ピッケルホルダー・内収納の手順と使い分け
- 鎖場の手前や長時間の外付けで、落とさず引っかけない固定のコツ
- 電車・バス・飛行機での持ち運び方と先端の守り方
ザック収納の結論は石突を下・グリップを上
トレッキングポールをザックに付けるときは、石突を下・グリップを上にして、縮めてから2点以上で固定するのが基本です。方式はホルダーの有無より、取り出しやすさと、先端を人に向けない安全で選ぶのが僕のおすすめです。

ザックメーカーのオスプレーの取扱説明書も、登山用品店・好日山荘の店頭解説も、この向きで説明しています。石突側をザックの下で受け、グリップ側を上で留める形です。
どの方式を選ぶかは、歩く場面で変わります。まずは全体像を表にまとめておきます。
| 場面 | 向く収納 | 優先すること |
|---|---|---|
| 樹林帯・林道などで長く付けておく | サイドポケット+ベルト、ピッケルホルダー | 上下2点で留めて揺らさない |
| 岩場・鎖場・ハシゴの手前 | 後付けホルダー、専用アタッチメント、背中に差す即席法 | ザックを下ろさず両手を空ける |
| 電車・バス・飛行機 | 折りたたみ式の内収納、ケースや袋 | 先端を外に出さない |
ポールの向きなんて、どっちでもよさそうに見えるけどなあ。
僕も最初はそう思っていました。でも逆向きに付ける人もいて、理由を聞くと迷うんですよね。一緒に確かめてみましょう。
石突を上に向ける派もいる?下向きにする理由
石突を上にして付ける人がいるのは事実ですが、僕は下向きをおすすめします。上向きは先端が後ろの人や頭上の岩に向くので、先ゴムを付けることが前提になるからです。
上向き派の理由は、主に2つあります。1つは、石突を下にするとサイドポケットの底が破れること。もう1つは、ストラップやT型グリップが上に来て枝に引っかかることです。
| 向き | よく挙がる理由 | 気を付ける点 |
|---|---|---|
| 石突が下(グリップが上) | オスプレーの取説や好日山荘の解説と同じ向き。先端が地面側を向く | 石突でポケットの底が傷みやすい。ストラップが上に来て枝に掛かりやすい |
| 石突が上(グリップが下) | ポケットの底が破れにくい。ストラップが下に来る | 先端が後ろの人や頭上の岩に向く。ザックカバーを突き破ることがある |
下向きでも、上向き派の心配には手当てができます。ポケットの底は、先ゴムを付けておけば金属が直接当たりません。ストラップはグリップに巻き付けてまとめれば、垂れて枝に掛かりにくくなります。
反対に、上向きの弱点は先端そのものの向きです。工夫で消しにくい弱点なんですよね。どうしても上向きで付けるなら、先ゴムを必ず付けてからにしてください。
サイド固定・ピッケルホルダー・内収納の比較と手順
日帰りの外付けなら、サイドポケットとコンプレッションベルトの組み合わせが手軽です。小屋泊・テント泊の大きめのザックならピッケルホルダー、移動中は折りたたみ式の内収納が向いています。

3つの方式の違いを、表で比べてみます。
| 方式 | 使う装備 | 着脱の速さ | 固定の安定 | 向く場面 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|---|---|
| サイドポケット+ベルト | サイドポケット、サイドのコンプレッションベルト | 速い(ザックを下ろせば数十秒) | ポケットの深さしだい。ベルト1本だと上がぐらつく | 日帰りの長い外付け、下山後の車道歩き | 縮め忘れで上に飛び出す、ベルトが緩んで抜ける、石突でポケット底が破れる |
| ピッケルホルダー | 底部のピッケルループ、上部のバンジーコードやストラップ | 普通(ひねる操作がいる) | 1〜2回ひねって締めれば高い | 小屋泊・テント泊の長い外付け、サイドポケットの無いザック | バスケットを軽く掛けただけで上だけ留め、下が抜け落ちる |
| 本体内に収納 | ザック本体、収納袋 | 遅い(ザックを開ける) | 最も安全(外に何も出ない) | 電車・バス・飛行機、テント場、長い岩稜区間 | 泥や水分が付いたまま他の荷物としまう |
表の着脱の速さは、どれもザックを下ろす前提の話です。背負ったまま付けたい岩場の方法は、次の章でまとめます。
サースフェーの横から出せるサイドポケットで固定
サイドポケットに差してベルトで締める方法は、サイドポケット付きの登山ザックならほぼ使える基本の固定です。特別な道具がいらないのも、うれしいところですよね。
僕が槍ヶ岳で使ったザックは、ミレーのサースフェー30+5です。サイドのボトルポケットは、上からだけでなく横からも手が入る作りでした。
体が固い僕は、上からだとポケットに手が届きません。それでも横から水を出し入れできたので、ザックを下ろさずに済んで本当に助かりました。
現行モデルのサースフェーNXは、左右のポケットに束ねたポール2本を同時に収納できると専門誌で紹介されています。僕が使った旧モデルと同じ作りかは確かめていないので、気になる人は店頭で試してみてください。
ポケットの形はザックごとに違いますが、手順は共通です。
- ポールを最短まで縮め、ロックを締めて固定する
- 2本をポールクリップやストラップでまとめ、ストラップはグリップに巻く
- 石突に先ゴムを付け、石突を下にしてサイドポケットの奥まで差し込む
- 上側をサイドのコンプレッションベルトで締める(ベルトが2本あれば2本とも)
- ザックを軽く揺すり、ぐらつきと上への飛び出しを確かめる
ベルトが1本だけだと、上側がぐらつきやすくなります。ポケットが浅いザックほど、下と上の2点で押さえる意識が大事です。
ミレー サースフェーNX 30+5
左右のポケットに束ねたポール2本を収納できると紹介されている現行モデル。僕が使った旧モデルとは作りが違う可能性があるので、仕様は公式で確認してください。
ピッケルホルダーの付け方は1〜2回ひねる
ピッケルホルダー(ザック底部のピッケルループ)に付けるときは、石突側をループに通してから1〜2回ひねって締めるのがコツです。小屋泊やテント泊の長い外付けに向いた方法かなと思います。
ループにバスケットを軽く引っかけただけで上だけ留めると、下側がぐらついて抜け落ちやすくなります。ひねるのは、ループを石突の周りに締めて抜けを止めるためです。
- ポールを最短まで縮める
- 石突側だけを、ザック底部のピッケルループに通す
- バスケットをループより上に残したまま、ポールを1〜2回ひねってループを締める(1回=360度)
- グリップ側を、ザック上部のバンジーコードやストラップで留める
- ザックを揺すって、下側が抜けないか確かめる
バスケットをループより上に残しておくと、バスケットそのものが抜け止めになります。サイドポケットの無いアルパイン系のザックでも使えるのが、この方式の強みです。
オスプレーの取説では、ピッケルはシャフトをループの上から通して跳ね上げる、ポールとは別の手順です。ピッケル用の手順をそのままポールに当てはめないよう注意してください。
折りたたみ式ならザックに入る?長さの目安
ザックの中に入るのは、収納長40cm前後の折りたたみ式と考えるのが現実的です。伸縮式は縮めても55〜60cm前後あるので、30L前後のザックに入れるのは難しいかなと思います。
| 製品 | 方式 | 収納長 | 使用長 | 価格(税込・1本) |
|---|---|---|---|---|
| モンベル アルパインポール | 伸縮式 | 60cm | 105〜130cm | 8,000円 |
| モンベル アルパイン カーボンポール | 伸縮式 | 59cm | 105〜130cm | 10,120円 |
| モンベル アルパイン フォールディングポール 120 | 折りたたみ+長さ調節 | 39cm | 100〜120cm | 12,300円 |
| シナノ フォールダーUL | 折りたたみ・長さ固定 | 39〜42cm | 105/110/115cm | 14,300円 |
価格はメーカー公式の2026年9月時点の値で、いずれも1本あたりです。2本そろえるならこの倍の金額になります。伸縮式と折りたたみ式では、収納時の長さに20cm前後の差があります。この差が、ザックの中に入るかどうかの分かれ目です。
モンベルも折りたたみ式について、デイパックにも収められるほどの収納サイズにできると説明しています。中に入れてしまえば外に何も出ないので、いちばん安全な持ち方です。
一方で、折りたたみ式には長さ固定のモデルがあり、身長で長さを選ぶ必要があります。シナノのフォールダーULの目安は、105cmが身長155〜160cm、110cmが161〜166cm、115cmが167〜172cmです。
身長166cmの僕なら、110cmを選ぶことになります。伸縮式のように登りと下りで長さを変えられない点は、買う前に知っておきたいところです。
UL目線で言うと、内収納はザックの容量を少し食います。それでも外に付ける物が減るぶん、電車移動が多い人にはメリットが大きい選択肢だと考えています。しまうときは、泥や水分を拭いてから収納袋に入れておくと、他の荷物を汚しません。
シナノ フォールダーUL
収納長39〜42cmの折りたたみ式で、ザックの中に入れやすい長さです。長さ固定なので、105/110/115cmから身長に合わせて選んでください。価格は1本分なので、2本で使うなら2本購入が必要です。
価格目安:14,300円(税込・メーカー公式価格)
岩場で一時的にしまう時と長時間外付けの違い

岩場ではザックを下ろさず、素早く両手を空けることを優先します。長時間の外付けでは、揺れず・落ちず・引っかけないことが優先です。目的が違うので、同じ付け方で済ませないのがポイントです。
鎖場の前って足場が狭いよね。そこでザックを下ろすのは、ちょっと怖いなあ。
ですよね。だから岩場と、樹林帯で長く付けておく場面は、考え方を分けたほうがよさそうです。違いを見ていきましょう。
| 項目 | 岩場で一時的にしまう | 長時間の外付け |
|---|---|---|
| 付けておく時間 | 数分〜十数分 | 樹林帯の登り・林道・下山後の車道など長め |
| 優先すること | ザックを下ろさず両手を空ける | 揺れない・落ちない・引っかけない |
| 主な方法 | 背中に差す、カラビナで脇に吊る、後付けホルダー、専用アタッチメント | サイドポケット+ベルト、ピッケルホルダーの2点留め |
| 注意点 | 最短まで縮め、頭上の岩や鎖に当てない | 縦向き・最短で、ザックの高さからはみ出さない |
メーカーの案内も、岩場ではしまう前提です。シナノは、岩場や岩稜帯、狭い稜線ではポールを使わずザックにしまうよう案内しています。片側が切れ落ちた箇所も同じ扱いです。(出典:シナノ『トレッキングポールの使い方』)
モンベルも、両手を使う場所ではポールから手を離し、可能ならバックパックに収納するよう勧めています。
2021年10月に涸沢からパノラマコースを歩いた日には、道中で手書きの看板を見かけました。崩落箇所があること、健脚者・熟達者のみ通行可であることと並んで「ストック使用禁」と書かれていたんです。
道によっては、ポールを使わない前提の区間もあるということですよね。しまい方まで事前に考えておきたい、と思わされた看板でした。
長時間の外付けは、下1点+上1点の2点留めが基本です。1点留めだと揺れや脱落、カチャカチャ鳴る音の原因になります。樹林帯では上に長く飛び出したポールが枝に掛かり、体勢を崩すこともあるので注意が必要です。
鎖場の手前はザックを下ろさずさっと付ける
鎖場やハシゴの手前では、足場の広い場所で先にポールを縮め、背負ったまま付けるのが安全です。狭い足場でザックを上げ下ろしすること自体が、転倒のリスクになるからです。
僕は槍ヶ岳の穂先を、3点支持でゆっくり登りました。はしごは風に流されないよう、しっかりつかんだのを覚えています。こういう区間では、両手が空いていることが大前提です。
背負ったまま付ける即席の方法として、よく紹介されるのが次の2つです。
| 方法 | やり方 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 背中とザックの間に差す | ポールを縮め、グリップを上にしてお尻側から差し込む。荷物の重みで押さえる | 短い鎖場やハシゴ | 数十分続く区間では背中の違和感が強い。重いザックには不向き |
| カラビナで脇に吊る | ショルダーベルトとサイドのベルトに事前にカラビナを付け、下のカラビナに石突、上のカラビナにストラップを通す | 鎖場やハシゴが点在するコース | 事前の準備が要る。折りたたみ式には向かないという説明もある |
どちらの方法でも、ポールは最短まで縮めてから付けてください。上に飛び出したグリップや石突が頭上の岩や鎖に当たると、体を振られるおそれがあります。
脇に吊ったポールは、岩に当たりやすい点にも注意が必要です。背中に差す方法は手軽な反面、重いザックには向かないとされています。
岩場の途中で慌てて付けるより、手前の安全な場所で付けてから取り付くのが基本です。
背負ったまま着脱できる専用アタッチメント
ザックに専用のポールアタッチメントが付いていれば、背負ったままポールを着脱できます。代表例はオスプレーのStow-on-the-Goで、タロン/テンペストやエクソス/エジャなどに付いています。
オスプレーの取扱説明書にある手順は、次のとおりです。(出典:Osprey『Exos/Eja 取扱説明書』)
- ポールを最短まで縮める
- ザック左下側の伸縮ループを引き出し、バスケット側を差し込む
- 左ショルダーハーネスのポールマークの下にあるコードロックを引き、ループを開く
- グリップを入れて、コードロックで締める
- 外すときは、逆の手順で行う
ただし、この機構は搭載されたザックでしか使えません。UL目線で言うと、この機能のためだけにザックを買い替えるのは遠回りかなと思います。
今のザックに後付けできる方法を探すほうが、軽くて安上がりです。ホルダーの無いザックでの付け方は、次の章で紹介します。
ホルダーがないザックはカラビナやベルトで固定
専用ホルダーが無いザックでも、サイドのコンプレッションベルト2本に縦に通せば固定できます。ベルトも無いなら、カラビナや後付けホルダー、折りたたみ式の内収納で代わりが利きます。

街用のリュックや、一部のトレラン・UL系のザックには、サイドポケットもピッケルループも無いモデルがあります。UL寄りの道具を選んでいると、意外と出会いやすい悩みかもしれません。
| 手段 | やり方 | 注意点 |
|---|---|---|
| コンプレッションベルトに縦に通す | 下のベルトに石突側を通してから、上のベルトを締める | 下側が抜けやすいので、2本とも締める |
| デイジーチェーン・ギアループ+カラビナ | ループにカラビナを掛け、ポールのストラップを通す | 吊るすだけの用途。体重を預ける用途には使わない |
| 後付けホルダー | ゴム紐タイプやカラビナ+ベルトタイプを取り付ける | 取り付ける位置(ループ)があるか先に確認 |
| 折りたたみ式を中に入れる | 収納袋に入れて本体へ | 買い替えになるので、移動が多い人向け |
コンプレッションベルトだけで留めるときは、ポケットが無い分、下側が抜けやすくなります。石突側を下のベルトに通して位置を決め、それから上のベルトを締める順番にすると安定しやすいです。
100円ショップのカラビナで代用する例も紹介されています。ただし、ポールを吊るすだけの用途に限った話です。登山用の確保に使うカラビナとは別物なので、体重を預ける場面には使わないでください。
後付けストックホルダーは2タイプ|UL目線の選び方
後付けのストックホルダーは、鎖場が多いならゴム紐タイプ、ザックを選ばず使いたいならカラビナ+ベルトタイプが選びやすいです。どちらも背負ったまま着脱できるのが共通の強みです。
| 比較軸 | ゴム紐タイプ | カラビナ+ベルトタイプ | ポールクリップ・ストラップ類 |
|---|---|---|---|
| 背負ったまま着脱 | できる | できる | できない(まとめるだけ) |
| 固定する位置 | 体の脇(前寄り) | ショルダーやループなど掛けた場所 | ― |
| 取り付けの手間 | ザックに結び付ける作業が要る(一度付ければ常設) | カラビナを掛けるだけ | なし |
| 向く場面 | 鎖場・ハシゴが点在するコース | 専用ホルダーの無いザック全般 | 外付け時の2本まとめ、電車移動 |
| 気を付ける点 | 脇に吊るので岩に当たりやすい | 揺れやすいのでベルトを強めに巻く | 単体では固定にならない |
ゴム紐タイプの例が、バイレスのステッキポンです。ショルダーハーネスとサイドのコンプレッションベルト付近にゴム紐を取り付けます。背負ったまま、鎖場や岩場の前でポールを装着できるとされています。
バイレス ステッキポン
ショルダーハーネスとサイドのベルト付近にゴム紐を付けるタイプ。取り付け用のループがあるか、先に自分のザックを確認してください。
価格目安:495円(税込・2026年9月時点)
カラビナ+ベルトタイプの例は、MG TRAILのポールホルダーベルトです。カラビナをショルダーストラップやループに掛け、ベルトでポールを巻いて固定します。カラビナ込みで16gと軽いのも、UL派にはうれしいところです。
MG TRAIL ポールホルダーベルト
カラビナを掛けてベルトで巻くだけなので、専用ホルダーの無いザックでも使いやすいタイプです。揺れやすいので、ベルトは強めに巻いてください。
価格目安:3,330円(税込・通常価格・2026年9月時点)
UL目線で見ると、十数グラムの道具でザックを下ろす回数が減るなら、軽さと安全のバランスは悪くないと考えています。立ち止まりにくい場所での上げ下ろしが減るのは、安全面でも意味がありますよね。
買って後悔しやすい例
ショルダーハーネスにゴム紐を付けるループが無く、取り付けられない。脇に吊るタイプを岩場の多いコースで使い、岩に当たる。長さ固定の折りたたみ式を、身長に合わない長さで買う。購入前に、自分のザックの取り付け位置と歩くコースを確かめておくと安心です。
外付けは危ない?落下・引っかかりの防ぎ方
外付けそのものが危ないというより、縮め忘れ・1点留め・先端のむき出しが事故の元になります。この3つを避ければ、外付けのリスクはかなり抑えやすくなります。

とはいえ、ドイター公式はザックの外に装備を付けるのは無しか、ごくわずかにとどめるよう書いています。理由は、風の影響・濡れ・引っかかりの3つです。外付けは必要な場面だけ、と考えておくのがよさそうです。(出典:deuter『How to pack a backpack』)
ザックからポールがはみ出してると、すれ違う人にぶつからないか心配になるね。
僕もそこは気になっていました。落とす・引っかける・人に当てる、の順に対策を見ていきましょう。
外付けの危険を比べた、YAMA HACKの実地検証があります。細い道ですれ違うとき、相手側にポールを付けていると、相手の目の高さをかすめる位置に来ることが示されました。
数値の計測は無い検証ですが、先端の向きと位置を意識する理由としては十分かなと思います。
落ちる・引っかかるのは縮め忘れと1点留め
歩いているうちにポールが落ちたり枝に掛かったりする、よくある原因が伸ばしたまま付ける縮め忘れと、1か所だけで留める1点留めです。失敗のパターンと予防を表にまとめました。
| 失敗 | 起きる原因 | 予防 |
|---|---|---|
| 歩いているうちにポールが抜け落ちる | ピッケルループにバスケットを軽く掛けただけ、ベルトの緩み、縮めずに付けて重心が上に寄る | ループに通して1〜2回ひねる、上下2点で締める、最短まで縮める、2本をまとめる |
| 先ゴムだけ落とす | 外付け中に枝や岩に擦れて抜ける | 付ける前に差し込みを確認し、予備を持つ |
| 枝や岩に引っかかる | 上に長く飛び出す、横向きに付ける、ストラップが垂れている | 縦向き・最短、ストラップをグリップに巻く |
| 人に当たる | 石突が露出している、すれ違う側に付けている | 先ゴムを付ける、背負ったまま急に振り向かない |
| ザックやカバーが破れる | 石突がポケットの底やザックカバーに当たる | 先ゴムを付ける、石突をカバーの外に出すか先端を覆う |
| 部品が抜ける | 回転式のロックを緩めたまま縮めて付ける | 収納時も右に回して固定する |
特に注意したいのが、伸縮式を縮めずに付けるケースです。重心が上に寄ってぐらつくうえ、上に長く飛び出したポールが枝に掛かって体勢を崩す原因にもなります。
回転式のロックを緩めたまま縮めて付けると、部品が抜けてしまうことがあります。モンベルの取扱説明書のとおり、収納するときも右に回して固定しておきましょう。
僕は歩き出す前に、次の項目をざっと確かめるようにしています。
- 最短まで縮め、ロックを締めた
- 上下の2点で留め、ピッケルループなら1〜2回ひねった
- 2本をクリップやストラップでまとめ、ストラップをグリップに巻いた
- 先ゴムがしっかり差さっている
- ザックの高さから大きくはみ出していない
すれ違いでは石突キャップと袋で先端を隠す
すれ違いが多い道や人の多い場所では、石突に先ゴム(キャップ)を付け、できれば袋やケースで先端を覆うと安心です。先端を人に向けないという基本を、道具で補う考え方です。
先ゴムは、モンベルではポイントプロテクターという名前で、314円・10gの消耗品です。すり減ったら交換するものなので、予備を持っておくと落としたときも困りません。
先ゴムは、外付け中に枝や岩に擦れて抜けることがあります。シナノは、登山道に落ちた先ゴムは自然に還らず、環境破壊の要因になると注意しています。付ける前に、差し込みを確かめておきたいですね。
袋やケースで覆う方法もあります。モンベルのトレッキングポールケースは2,900円、折りたたみ式専用のフォールディングポールケースは2,200円です。先端ごと包めるので、人の多い場所や車の中でも気を使わずに済みます。
付ける側も気にしたいところです。ただ、すれ違う側は場面で変わるので、左右どちらが安全とは言い切れません。2本を片側にまとめる・最短に縮める・先ゴムを付ける、の3点で接触のリスクを下げるのが現実的です。
ザックを背負ったまま急に振り向いたり、向きを変えたりしないのも大事なマナーです。ザックカバーを掛けるときは、石突をカバーの外に出すか先端を覆っておくと、カバーを突き破らずに済みます。
関連記事:ヘルメットをザックに外付けするならホルダーは必要か
電車・バスの持ち運びは縮めて袋へ、飛行機は預ける
電車やバスでは、最短まで縮めて先ゴムを付け、袋やケースに入れるのが基本です。飛行機は機内に持ち込まず、預け入れ荷物に入れると考えておくと安心です。

| 移動手段 | 主なルール(目安) | やること |
|---|---|---|
| 電車(JR) | 手回り品は縦・横・高さの合計250cm以内(長さ2mまで)・30kg以内を2個まで。傘・杖などは個数に含めない | 最短に縮めて先ゴムを付け、袋やケースに入れる |
| バス | 会社ごとに規定が違う | 電車と同じ考え方。床に置くときは石突を通路側に出さない |
| 飛行機 | 登山用ストックは機内持込み不可・預け入れ可(国土交通省の代表例一覧) | 縮めてロックし、先ゴムを付けて預け入れ荷物へ |
| 車 | ― | 先ゴムを付けるか袋に入れ、内装や窓を傷つけない |
縮めたポールは、JRの手回り品の寸法内に収まります。気にしたいのは持ち込めるかどうかより、周りに危害を与えない状態で持てるかどうかです。
JR東日本は、長さ2mを超えるスポーツ用品でも、車内で立てて持てるものなら専用の袋やケースに入れて持ち込めるとしています。シナノも電車・バスでの移動中は先ゴムの装着を義務としていて、公共交通機関では付けておくのがマナーです。
現場で気を付けたいのは、外付けのまま混雑した車内に入らないことです。背負ったまま振り向くと、後ろの人の顔の高さに先端が来てしまいます。
伸縮式は本体に入らないことが多いので、縮めて先ゴムを付けたうえでケースや袋に入れ、手で持つと安心です。サイドに縦に固定したまま乗るなら、ザックを前に抱えるか網棚に載せましょう。
登山口へ向かう路線バスやシャトルバスでも、考え方は同じです。持ち込みの規定はバス会社ごとに違うので、気になる場合は利用する会社の公式サイトで確認してください。
飛行機については、国土交通省の代表例一覧(令和8年4月24日更新)で、登山用ストックは機内持込み不可・預け入れ可とされています。畳んで60cm以下なら持ち込めるという例外はあります。ただし、先端に尖った金属(キリ状)が付いているものは対象外です。(出典:国土交通省『機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例』)
多くのポールは石突に金属のチップが付いているので、折りたたみ式なら機内に持ち込める、とは言い切れません。北海道や屋久島などへの遠征では、預け入れを基本線にしておくのが無難です。
航空会社の社内規則で、さらに厳しく制限されていることもあります。最終判断は航空会社と保安検査場なので、出発前に利用する航空会社の公式サイトで確認しておいてください。
預けるときは、最短に縮めてロックを締め、先ゴムを付けてからケースやザックの中に入れておくと、他の荷物を傷つけにくくなります。
規定は出発前に確認
ここで紹介した鉄道・航空の規定は、記事執筆時点で確認した内容で、あくまで目安です。規定は変わることがあるので、正確な情報は各鉄道会社・バス会社・航空会社の公式サイトをご確認ください。
トレッキングポールのザック収納のよくある質問
先ゴムは、歩くときも付けたままでいいですか?
路面に合わせて付け外しするのがよさそうです。シナノは先ゴムの目的を木道や木の根の保護としていて、滑りやすい場所では外して使うよう案内しています。積雪期も、先ゴムを外して石突を使うのがすすめられています。一方、環境省は国立公園の利用マナーとして、登山道の浸食を防ぐために保護キャップを付けるよう呼びかけています。外した先ゴムは落とさないよう、ポケットなどにしまっておきましょう。
100円ショップのカラビナで代用しても大丈夫ですか?
ポールを吊るすだけの用途なら、代用している例も紹介されています。ただし、登山用の確保に使うカラビナとは別物なので、体重を預ける場面には使わないでください。吊るすだけだと揺れやすいので、もう1か所をベルトで押さえておくと安心です。
ザックカバーを掛けるとき、外付けしたポールはどうすればいいですか?
石突がカバーに当たると、先端がカバーを突き破ることがあります。石突をカバーの外に出すか、先ゴムや袋で先端を覆っておきましょう。僕が使っていたサースフェーは、レインカバーの留め具が本体側にある作りで、カバーを付けたまま上を開けにくいのが難点でした。雨の日に慌てないよう、カバーとポールの組み合わせは晴れた日に一度試しておくと安心です。
ロックを緩めたまま縮めて外付けしてもいいですか?
おすすめしません。回転式のロックを緩めたまま付けると、部品が抜けてしまうことがあります。モンベルの取扱説明書も、収納するときは右に回して固定するよう案内しています。縮めたらロックを締めてから付ける、を習慣にしておくと安心です。
ポールケースは買ったほうがいいですか?
電車や飛行機、車での移動が多いなら、あると便利です。縮めたポールはJRの手回り品の寸法内に収まりますが、ケースに入れておけば先端が周りに当たる心配が減ります。モンベルなら伸縮式用が2,900円、折りたたみ式用が2,200円です。山の中だけで使うなら、先ゴムとポールクリップから揃えても十分かなと思います。
飛行機で遠征するときの預け方や梱包の手順は、こちらで詳しくまとめています。
関連記事:トレッキングポールは飛行機に持ち込める?預け方と注意点
まとめ:トレッキングポールのザック収納は縮めて2点留め
向きと留め方さえ押さえれば、外付けもそんなに怖くないんだね。
そうですね。場面に合わせて付け方を変えるのがコツでした。最後に要点を振り返っておきましょう。
トレッキングポールのザック収納は、石突を下・グリップを上にして、縮めてから2点で留めるのが基本です。方式はホルダーの有無より、取り出しやすさと、先端を人に向けない安全で選ぶと迷いにくいかなと思います。

- 基本は石突を下・グリップを上。上向きで付けるなら先ゴムが前提
- 日帰りの外付けはサイドポケット+ベルト、長い外付けはピッケルホルダーを1〜2回ひねって固定
- ザックの中に入るのは収納長40cm前後の折りたたみ式。伸縮式(55〜60cm前後)は外付けが基本
- 岩場は手前の安全な場所で縮め、ザックを下ろさず背負ったまま付ける
- ホルダーの無いザックは、ベルト2本・カラビナ・後付けホルダーで代わりが利く
- 電車・バスは縮めて先ゴム+袋、飛行機は預け入れを基本に航空会社へ確認
紹介した長さや規定は、記事執筆時点で確認した一般的な目安です。正確な情報は、各メーカーや交通機関の公式サイトをご確認ください。岩場の通過やルートの判断に迷うときは、無理をせず山岳ガイドなどの専門家に相談するのも一つの方法です。
