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登山ザックのレインカバーは必要?純正が使いにくかった実体験

登山ザックのレインカバーは必要かを問いかけ、持つが過信しないという結論を示す

こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。

ザックのレインカバー、買うべきかどうか迷いますよね。調べると「必須」と言い切る記事と「要らない、ドライバッグで足りる」という声が両方出てきます。どちらも自信たっぷりなので、余計に決めづらいです。

先に僕の答えを書きます。持っていくけれど、それだけには頼らないです。カバーはザック本体を守る道具で、中身を確実に守る役目までは負わせません。

僕は2018年の槍ヶ岳に合わせてミレーのサースフェー30+5を新調しました。純正のレインカバーが付いてきたのですが、これが思わぬところで使いにくかったんです。その体験と各社の公式スペックから、あなたの山行に要るかどうかを一緒に整理していきます。

  • レインカバーが守るのはザック本体で、中身は別の道具で守るという線引き
  • 純正カバーで僕がつまずいた留め具の位置と、雨の中で取り出す物の置き場所
  • 背面から濡れる・風で飛ばされるに対して、買い方と使い方でできる対策
  • 付属の確認からサイズ選びまで、買い足す前にたどる4つの順番

ザックのレインカバーは必要?僕の答え

僕の答えは持っていくけれど、それだけには頼らないです。カバーはザック本体の外側の濡れ・汚れを減らすための道具で、背面側までは覆えません。中身を確実に守る役目は、別の道具に振り分けています。

ザック本体の外側をレインカバーで、中身を防水スタッフバッグで守る二段構えの防水の仕組みを示した図解

必要か不要かで答えが割れるのは、3つの目的が混ざったまま議論されているからかなと思います。分けて考えると、意外とあっさり結論が出ます。

守りたいものカバーで足りるか現実的な受け皿
ザック本体の外側を濡らさない・汚さないおおむね足りる(背面側は除く)レインカバー
中身を確実に濡らさない足りないパックライナー・防水スタッフバッグ
雨のなかを安全に行動する対象外レインウェア上下・防寒着

1つ目はカバーの得意分野です。ザック本体は濡れると重くなり、山小屋やテントで置き場所に困ります。撥水生地は濡れたまま放置すると乾きにくい。ここはカバー1枚でかなり防げます。

2つ目は苦手分野。シートゥサミットは自社パックカバーの製品ページで「風で吹き付ける雨は、背中とハーネスの間の隙間から入り込むことがある」と明記しています。作っている側が完全防水ではないと言っているわけです。(出典:Sea to Summit 公式製品ページ『Ultra-Sil Pack Cover』)

3つ目は優先順位の問題です。モンベルの登山装備ガイドはレインウェア上下を必ず持参、地図とコンパスを必須装備として挙げています。そこにザックカバーは名指しで入っていません。(出典:モンベル『登山装備ガイド 基本編』)

カバーは「あると快適」の道具。「無いと危険」の道具ではない、というのが僕の位置づけです。

本体はカバー、中身は防水袋で守る

僕がすすめるのは二段構えです。外はカバーで受けて、中は防水袋で守る。役割を分けてしまえば、どちらか一方に過剰な期待をしなくて済みます。

ザックの雨対策には、大きく4つの方式があります。置き場所と守る対象が違うので、まず並べて見てみましょう。

方式置き場所守る対象重量の目安
パックカバー(レインカバー)ザックの外側にかぶせるザック本体と中身(背面側は覆えない)20〜35Lクラスで65〜118g
パックライナーザックの内側に敷く中身だけ(本体は濡れる)専用品は50L対応で74g前後(流用ドライバッグは210〜245g)
防水スタッフバッグザックの中でアイテム単位に小分け入れた物だけ3Lで43g/10Lで70g
防水素材のザック本体ザックそのもの中身(開口部の閉じ方しだい)本体重量に含まれる

この4つは、どれか1つを選ぶ関係ではありません。シートゥサミットの解説も「パックカバーを使う」「中身をドライサックに入れる」を選択肢として並べたうえで、両者は併用できると説明しています。

外側で受ける道具と、内側で守る道具。守る対象が最初から違うので、併用がいちばん確実になります。僕がカバーに求めているのは前者だけ、というだけの話です。

そのうえで、中身のどこまでを防水袋に入れるか。全部を包むライナー1枚にするか、濡らせない物だけスタッフバッグに逃がすか。ここは荷物の中身で決めます。詳しくは後の章で比べます。

カバー無しだと何がどう困るのか

弱い雨なら、いきなり中身がびしょ濡れになるとは限りません。先に来やすいのはザック本体が水を吸って重くなり、乾かせないことのほう。困り方の順番を知っておくと、慌てずに済みます。

カバー無しの登山ザックに雨が入り込む3つの弱点、背面とハーネスの隙間・縫い目・ファスナー部分を示した図解
ゴウ
ゴウ

雨が降ったら、ザックの中ってどれくらい濡れちゃうの?

それがザックによるんですよ。生地そのものは水を弾くので、すぐ浸みるわけではないです。

りょう
りょう
ゴウ
ゴウ

じゃあ、カバーがなくても平気ってこと?

そこが微妙なところで。弱いのは生地じゃなくて、縫い目とファスナーなんです。

りょう
りょう

グレゴリーは自社のバックパックについて「防水仕様ではなく、雨などの水気を弾く撥水仕様」と公式に明記しています。弾くのであって、通さないわけではない。ここは各社おおむね共通です。(出典:グレゴリー公式『バックパックの撥水性について』)

弱点になるのは縫い目です。シートゥサミットの解説は、縫い針の穴が構造全体に弱点をつくると説明しています。ファスナーも「防水」をうたうものは撥水止まり、という整理でした。

つまりカバー無しで長時間の雨に当たると、生地は保っても縫い目やファスナーからじわじわ湿ってきます。どのくらいで湿ってくるかは、雨量と風向き、生地の劣化しだいです。弱い雨ならすぐには浸みませんが、吹き付ける豪雨だと短い時間で中身まで濡れることもあります。

そしてザック本体が濡れると、そのぶん重くなります。連泊なら翌朝も濡れたまま背負うことに。山小屋やテントの中で置き場所に困るのも、地味に効いてくる困りごとです。

僕が2018年に槍ヶ岳へ行ったときは、2日目が終日雨でした。下山だけで6時間45分。これだけ降り続くと、ザックの表面はずっと濡れたままになります。

そのとき助かったのは、正直ザックまわりよりウェアと靴でした。キャラバンのC1_02Sは終日雨でも浸水ゼロ。逆に防寒が足りず、寒くて友人のジャケットを借りて凌いだくらいです。

中身が濡れる経路は背面の隙間・縫い目・ファスナーの3つ。カバー1枚に中身の全責任を負わせないでください。

ミレー純正カバーが使いにくかった

ミレー サースフェー30+5の雨蓋の留め具に蛍光イエローのレインカバーのループがフックで接続されている様子。ジッパーのすぐ脇にあり雨蓋の開閉のたびに外す必要がある位置関係が分かる
筆者が実際に使ったミレー サースフェー30+5の純正レインカバー。留め具はジッパーのすぐ脇にある

付属していれば、まずはそれを使ってみてください。ただ付属だから使いやすいとは限らないというのが、僕がサースフェーで学んだことでした。ここが今回いちばん伝えたい実体験です。

買ったのは2018年。槍ヶ岳の1泊2日に行くことになり、ミレーのサースフェー30+5を新調しました。素材はコーデュラナイロン、重量は1,490g、背面長はM48cm/L51cmという仕様です。

箱を開けると、紺色のレインカバーが一緒に入っていました。カバー装着用の留めがザック本体側にあるので、付けたままでも落ちにくい。専用設計ならではの安心感があります。

ザック自体は今でも気に入っています。槍ヶ岳の行動中ずっと違和感なく背負えて、背中も痛くなりませんでした。不満は「もう少し軽いと嬉しい」くらいのものです。

それだけに、まさか純正のザックカバーが使いにくいというのは盲点でした。使い勝手の話は、カタログのスペック表には出てきませんからね。

雨蓋を開けるたびカバーを全部外す

つまずいたのは留め具の位置です。カバーを付けたままだと、雨蓋を開けられない。開けたいたびに、カバーを全部外す必要がありました。

留めが反対側か、下のチャック側にあれば良かったんです。位置がほんの少し違うだけで、雨のなかの動作は別物になります。

さらに困ったのが風の強い日でした。外した瞬間に飛ばされそうで、正直こわかった。結果として、行動中に出し入れすること自体をためらうようになりました。

あとから考えれば、重い物と使わない物を下にまとめて下側からアクセスする手もありました。ただ初回はそこまで気が回らず、雨のなかで固まっていたのが本音です。

そんな経緯もあって、僕のなかでは「レインカバー自体を使う機会は少ない」という評価に落ち着きました。ザック本体の重さ1,490gのほうが気になるくらいで、減点材料にはしていません。

付属カバーは形状がぴったりでも、開け閉めの動線まで合うとは限りません。買う前に留め具の位置を見てください。

雨で取り出す物はカバーの下に置かない

この失敗から引ける教訓は1つです。雨のなかで取り出す物を、カバーの下に入れない。これだけで、使いにくさのほとんどは消えます。

カバーは行動中に開け閉めしない前提の道具、と割り切るわけですね。かける前に、次の1時間で使う物を先に身につけておく。順番の問題です。

逃がし先は3つあります。ウェストベルトのポケット、レインウェアのポケット、ショルダーハーネスに付けるポーチ。どれもカバーの外側にあって、ザックを下ろさずに手が届きます。

僕のサースフェーは、ウェストベルトの両側にポケットが付いています。片側は広げて2倍の大きさにできる構造で、iPhone 7 Plusのような大きめのスマホも横向きで入りました。

逃がす物の中身は決まっています。行動食、地図、ヘッドランプ、手袋あたり。雨の日に「あれどこだっけ」となりやすい物ほど、外側に出しておくと楽ですよ。

雨蓋に入れたままにしない物

行動食・地図・ヘッドランプ・手袋は、カバーをかける前にウェストベルトやレインウェアのポケットへ移しておきます。雨蓋に残すと、開けるたびにカバーを外すことになります。

関連記事:小屋泊2泊3日のザック容量は何L?1泊2日との差と実例

背面が濡れる・飛ばされるは防げるか

どちらもゼロにはできませんが、減らせます。背面からの浸水は構造上の限界で、飛ばされるほうは買い方と使い方でかなり防げる、という整理です。

軽量な登山用ザックカバーを主役に、上部バックルとヒップベルトのバンジーコードで固定する仕組み、対応容量30〜50L、重量112gなどの特徴を注釈で添えた説明図

背面から入るのは、先に挙げたシートゥサミットの説明どおりです。ほとんどの条件で水は防げるものの、完全防水ではない。背中とハーネスの間には、どうしても隙間が残ります。

面白いのは、各社がその前提で設計している点です。モンベルのジャストフィット パックカバーは、水が浸入してもボトム部のドレインシステムで排出すると説明しています。グレゴリーの別売カバーもボトムに水抜き穴を備えます。

水は入る、だから抜く。作り手がそう考えているなら、使う側も同じ前提に立つのが素直かなと思います。背面は諦めて、中身は防水袋で受ける。二段構えに行き着く理由がここにあります。

もう一方の「飛ばされる」は、買う時点の対策が効きます。オスプレーのULレインカバーは、上部のバックルとヒップベルトのバンジーコードで固定する仕組みです。

モンベルは荷物の量に合わせて形を絞るジャストフィットシステムで、強風時のばたつきを最小限に抑えると説明しています。風でパラシュート状にふくらまない仕組みがあるか、ここを店頭で見てください。

オスプレー ULレインカバー M(30〜50L)

固定方法が明快なタイプ。上部バックルとヒップベルトのバンジーコードで留める構造で、対応容量は30〜50L・112gです。僕は使っていないので、あくまで公表スペックからの紹介になります。

価格目安:6,820円

使う時点でのコツは2つ。ドローコードを必ず絞ることと、ザック本体側の留めがあるモデルは必ず通すことです。余った布が風をはらむと、そこからあおられます。

そして着脱は風下を向いて、ザックを下ろして地面に置いてから。稜線の上で背負ったまま外すのが、いちばん危ない動作です。僕がこわかったのは、まさにこの状況でした。

保険をかけるなら、カバーの隅を細引きでザックのデイジーチェーンに結んでおく手もあります。外れても飛んでいかないので、拾いに行かずに済みます。

強風の稜線で背負ったままカバーを外さない。飛ばした先を追いかける行動が、いちばん事故に近づきます。

パックライナーとザックカバーどっち?重さと手間

どっちか、ではありません。守る対象が違うので、併用がいちばん確実です。そのうえで、どちらに軸足を置くかは荷物の中身で決まります。

レインカバー・パックライナー・防水スタッフバッグの3つの方式を、守る対象・重さ・行動中の手間で比べた比較表を示した図解
ゴウ
ゴウ

中に袋を敷くなら、外のカバーは要らないんじゃないの?

守れる範囲が違うんですよね。ライナーだと、ザック本体は濡れたままです。

りょう
りょう
ゴウ
ゴウ

なるほどねえ。じゃあ両方持つと重くならない?

そこは数字で見たほうが早いです。並べてみますね。

りょう
りょう
比べる軸レインカバーパックライナー防水スタッフバッグ
守る対象ザック本体と中身(背面除く)中身だけ入れた物だけ
重さの目安65〜118g専用品74g前後/流用210〜245g3Lで43g/10Lで70g
降り出してからの手間かけ外しが要るゼロゼロ
ザック本体の濡れ防げる防げない防げない

重さの読み方はこうです。ライナーは1枚で全部を包めて、専用品なら50Lのザックに対応するサイズで74g前後。カバーと同じくらいの軽さです。表の210〜245gは、沢登り向けのドライバッグを流用した場合の数字になります。スタッフバッグは濡らせない物だけを選んで入れられるので、総重量を抑えやすい。

ただ、いちばん差が出るのは重さより手間のほうでした。カバーは降り出すたび、上がるたびに着脱が要ります。ライナーとスタッフバッグは出発前のパッキングで完了していて、行動中の作業がゼロです。

僕がカバーを「使う機会が少ない」と感じた理由も、結局はここだと思っています。着脱が億劫だと、多少の雨なら、まあいいかとなってしまうんですよね。

だから僕は、濡らせない物を先に袋へ入れてしまう順番にしています。優先度をつけるなら、こんな並びです。

  • 防寒着・着替え(濡れると体温を奪われる)
  • シュラフ・シュラフカバー(濡れると保温力が落ちる)
  • 電子機器・モバイルバッテリー(故障に直結する)
  • 行動食(濡れると食べにくくなる)
  • ファーストエイド・紙地図(いざというときに使えないと困る)

上の2つだけでも袋に入っていれば、カバーが多少負けても致命傷にはなりません。全部入りのライナー1枚にするか、上位だけスタッフバッグにするか。荷物量で選んでみてください。

パックライナーとカバー、実際どちらが得なのか気になる人は、費用と重量を7パターンで比較した記事も参考になります。
関連記事:登山ザックの雨対策|カバー・防水袋・ライナーの使い分け

買い足す前に確認する順番と選び方

順番さえ間違えなければ、無駄な買い物はほぼ避けられます。見る順は付属の有無 → 容量 → 外寸と形状 → 外付けの量の4段階です。

レインカバーを買い足す前に確認する4つの手順を、付属の有無・容量・外寸と形状・外付けの量の順で示したフロー図
  • 手持ちのザックに付属・内蔵していないかを確認する
  • 無ければカタログ容量を確認する(30+5のような拡張表記に注意)
  • 各社の対応容量レンジに自分の容量を当て、外寸と形状も見る
  • マットやポール、ヘルメットなど外付けの量を数える

よくある後悔は、この順番を飛ばしたときに起きます。付属があるのに買ってしまった、容量だけ見て形が合わなかった、大は小を兼ねると思って大きめを買ったら、たるんでばたついた、といったところですね。

まずボトムポケットの付属を見る

最初に見るのはお店ではなく、手持ちのザックのボトムです。付属カバーは、ボトムのポケットや雨蓋の内側に収まっていることが多いんですよ。

ドイターのフューチュラシリーズは、専用レインカバーが付属してボトムに収納されていると公式が明記しています。オスプレーには内蔵ポケットを持つモデルがあります。(出典:ドイター公式(岩谷産業/イワタニ・プリムス)『フューチュラ』製品ページ)

代表的なモデルで、付属の有無を並べるとこうなります。同じ35L前後のクラスでも、扱いはブランドごとにばらばらです。

モデル容量レインカバー
ミレー サースフェーNX 30+530+5L付属(2気室レインカバー)
ドイター フューチュラ3232L専用レインカバー付属(ボトム収納)
オスプレー ケストレル3836L内蔵
グレゴリー スタウト3535L別売
山と道 THREE(M)40Lなし

グレゴリーは公式ストアに「レインカバー付属の商品一覧」を用意しています。バルトロ65/75、ディバ60/70/80 PRO、アンバー34、パラゴン48 などが並ぶ形です。

付属品はそのザック専用の形状なので、寸法の心配は要りません。あとは留め具の位置と開け閉めの動線が自分の使い方に合うかどうかで、そこが問題なければ買い足しは不要です。僕のサースフェーもこのタイプでした。一方で手持ちの山と道 THREEには付属がなく、UL系は付かないモデルが多い印象です。

付属を確認せずに買ってしまうのが、いちばんもったいない失敗です。まずボトムのポケットを開けてください。

サイズは容量と形状・外付けで決まる

容量表記だけで選ぶと外します。外寸と形状、それに外付けの量まで見るのが安全です。ここを飛ばすと、届いてから合わないことになります。

まずカタログ容量です。「30+5」のような拡張表記は、雨蓋を引き上げて使うと実質35L側になります。僕のサースフェーがまさにこの表記でした。

そのうえで、各社の対応容量レンジに自分の容量を当てます。手持ちの容量から引ける形にすると、こうなります。

手持ちのザックモンベル ジャストフィットドイターオスプレー ULグレゴリー
20L前後(日帰り小型)20L(対応15〜20L)ミニ(12〜22L)/スクエア(20〜32L)該当なし-
30L前後(日帰り〜小屋泊)30L(対応25〜30L)Ⅰ(20〜35L)/Ⅱ(30〜50L)M(30〜50L)30L-50L
35〜40L(小屋泊)35L/40LⅡ(30〜50L)M(30〜50L)30L-50L
50〜65L(テント泊)50L/60LⅢ(45〜90L)L(50〜75L)-

表を見ると、レンジの粒度がブランドでずいぶん違うのが分かります。細かく刻む側と、1枚で広くカバーする側。どちらが良いかは、持っているザックの数で変わります。

モンベルは5L刻みなので、手持ちの容量にぴったり寄せられます。ドイターとオスプレーはレンジが広いぶん、複数のザックで兼用しやすい。代わりに下限側だと、たるみが出やすくなります。

たるんだ布は風をはらみます。ドローコードで絞れる構造かどうかが、そのまま実用差になるわけですね。逆に小さすぎるとボトムまで覆えず、雨が下から回り込みます。

形状も見てください。ドイター各製品の説明には「バックパックの形状によっては使用できないことがあります」という注記があります。角張ったザック向けに、スクエアという別形状を用意する社もあります。

最後が外付けの量です。マット、ポール、ピッケル、ヘルメットを外に付けていると、そのぶんふくらみます。外付けが多い人は、ワンサイズ上を見ておくと失敗しにくいです。

30Lのザックならどれ?

モンベルは30L(対応25〜30L)の1択。ドイターはスクエア・Ⅰ・Ⅱの3つが候補に入り、オスプレーはM(30〜50L)が下限ぎりぎりで当たります。候補が多い側は、外寸で絞り込むのが現実的です。

100gと3千円は軽量化で削らない

UL志向の僕でも、ここは削る対象にしていません。得られるものに対して、払う代償が小さすぎるからです。

カバー本体の重量は、20〜35Lクラスで65〜118g。価格は3,000円前後からという水準です。

この100g前後という数字が、どのくらいの重さかを言い換えてみます。モンベルのストームクルーザーは、ジャケット254gにパンツ195g。レインウェア上下を持つ前提なら、カバー1枚はその半分にも届きません。

つまり「重いから持たない」という理由は、成立しにくいということです。持たない判断をするなら、重さ以外の理由で決めたほうが筋が通ります。

価格のほうも同じ見方ができます。30Lクラスのザック本体は2〜3万円ほど。本体を濡らさない・汚さないための保険と考えると、比率としては小さい買い物です。

軽量化で削る対象は、あくまで不要な荷物です。レインウェア上下や防寒着は削れない側に並びます。カバーはその中間にあって、だから僕は「持つけれど頼らない」に落ち着きました。

ドイター レインカバーⅡ(30〜50L)

対応容量が広めで、30〜50Lのザックを1枚で兼用しやすいタイプ。重量90gです。僕自身は未使用なので、公表スペックからの紹介として受け取ってください。

価格目安:4,730円

ここに挙げた重量や価格は、あくまで確認時点の目安です。仕様も価格も改定されるので、買う前にメーカーの公式サイトで最新の情報をご確認ください。

ザックカバーを使わないは成立するか

成立します。ただし条件付きです。裏返すと、条件を満たさないなら持つ側に倒れる、ということでもあります。

ゴウ
ゴウ

持たない人もけっこういるよね。あれって危なくないの?

中身をどう守っているか次第ですね。無対策で持たない、だと話が変わります。

りょう
りょう

持たない派が挙げる理由は、だいたい4つに整理できます。公式スペックで裏づけが取れるものと、好みの問題が混ざっているのが実情です。

挙げられる理由事実として裏づけがある範囲
背面から濡れるので効果が限定的メーカー公式が背中とハーネスの隙間からの浸水を明記。限界は事実
行動中の着脱が面倒降り出しと上がりのたびに着脱が要るのは構造上の事実
ライナーやドライバッグで足りる守る対象が中身だけなら成立。本体の濡れ・汚れは残る
藪や岩で引っかかる・破れる生地は30〜40デニールの薄手が主流。耐摩耗重視の別ラインを持つ社もある

こうして並べると、半分は事実に裏づけられ、半分はスタイルの問題だと分かります。「不要」と言い切る記事が間違っているわけではなく、前提が違うだけなんですよね。

日帰りか泊まりか、荷物量で変わる

境目は濡れたザックをすぐ乾かせるかどうかです。乾かせる環境が待っているなら、持たない選択は十分に合理的になります。

持たなくても成立するのは、濡らせない物をパックライナーや防水スタッフバッグで守ったうえで、次のどれかに当てはまる場合です。

  • ザック本体がロールアップ開口と防水インナーの構造(公式がカバー不要と明記するタイプ)
  • 中身をすべてパックライナーか防水スタッフバッグに収めている
  • 森林限界より下の短時間行動が中心で、帰宅や車移動がすぐ控えている
  • ULスタイルで荷物総量が少なく、ザック自体が軽量素材(カバー非付属が多い)

逆に、持つ側へ倒れる条件もはっきりしています。山小屋泊やテント泊で連泊する場合、濡れたザックを室内に持ち込む場合、そして寒冷・強風のなかを長時間行動する場合です。

濡れと風が重なると体温を奪われやすくなるのは、低体温症の一般的な機序としても知られています。ザックの濡れが直接の原因になるとまでは言いませんが、快適さの差は確実に出ます。

僕自身に当てはめると、日帰りで駐車場がすぐそこ、という日は正直あまり気にしていません。手持ちの山と道 THREEにカバーが付属しないのも、この使い方なら困らない範囲です。

一方で、小屋泊の連泊や、槍ヶ岳の下山のように何時間も降られる行程では話が変わります。本体を濡らさない価値が、はっきり上がるんですよね。

ゴミ袋の代用は数十分で破れる

外側にかぶせる代用としてはおすすめできません。ただし内側に敷くライナー代わりなら、条件付きで使えます。同じゴミ袋でも、使う場所で評価が真逆になります。

サイズの話からすると、45Lの大型ポリ袋は650×800mm・厚さ0.03mmが一般的な規格です。30〜40Lクラスのザックの内側になら、寸法的には収まります。

弱点は3つあります。1つ目は口を折り返して締めるクロージャーが無いこと。結ぶかねじるだけなので、開口部から浸水しやすいです。

2つ目は、ザック内部の突起や角、荷物の擦れで穴が開くと一気に機能を失うこと。薄さと引き裂き強度はトレードオフです。3つ目は、繰り返し使う耐久性がないことですね。

外側にかぶせる使い方は、さらに厳しくなります。固定用のドローコードやバックルが無いので、風であおられて外れてしまう。行動中に付け外しする用途には、そもそも向いていません。

よく聞く失敗が、カバー代わりに外側へかぶせて歩き出し、数十分で破れる、あるいは飛ばされるというパターンです。雨のなかで破片を回収する羽目になると、目も当てられません。

現実的なのは、緊急用の予備としてザックに1枚忍ばせておく使い方。濡れた物や汚れた物を隔離する袋としても便利です。この用途なら、軽いし場所も取りません。

常用のライナーにするなら、専用品のほうが確実だと思います。モンベルのアクアペルスタッフバッグは縫製ではなく溶着で、開口部を3回以上折り返してバックルで留める構造になっています。

ゴミ袋を外側のカバー代わりにするのは避けてください。破れた布が風で飛べば、拾いに行く行動自体がリスクになります。

ザックのレインカバーが必要か迷う人のよくある質問

レインウェアとザックカバー、先に買うならどっちですか?

レインウェア上下を先に買ってください。モンベルの登山装備ガイドは、レインウェアを上下セットで必ず持参する装備として挙げています。日帰りでもヘッドランプ・救急セット・エマージェンシーシートは必携、という整理です。ザックカバーはこの必携リストに名指しでは入っていません。体温を守る道具が先、ザックを守る道具は後、という順番かなと思います。

レインカバーが要らないザックがあると聞きました。本当ですか?

あります。モンベルのロールアップシステム搭載モデル(アルパインパック、キトラパックなど)は、シームテープ処理をした防水インナーとロールアップ開口の二層構造で、公式が「レインカバーが不要」と説明しています。価格帯はアルティプラノパックで15,000〜17,000円、アルパインパックで26,400〜37,400円ほど。ただしザックの買い替えが前提になるので、いま持っているザックへの答えにはなりません。

中身を守る防水袋は、どのくらいの大きさを選べばいいですか?

1枚で全部を包むライナーなら、ザックの容量に近いものを選びます。重さの目安は、沢登り向けのドライバッグを流用するなら30Lで210g、40Lで245gほど。専用のパックライナーはもっと軽く、50Lのザックに対応するサイズで74g前後です。アイテム単位で小分けするなら、3Lで43g、10Lで70gという軽さなので、濡らせない物だけを入れると総重量を抑えられます。防寒着と着替えが入る大きさが1つあれば、まずは足りると思いますよ。

大きめのサイズを買って、複数のザックで兼用してもいいですか?

対応レンジが広い製品なら兼用できます。ただしレンジの下限側だと、どうしてもたるみが出ます。たるんだ布は風をはらむので、強風時にあおられる原因になります。ドローコードで絞れる構造かどうかを確認してください。サイズを下げすぎればボトムを覆い切れず、下から雨が回り込みます。大は小を兼ねる、とは言い切れない道具ですね。

藪や岩でカバーが破れないか心配です。

生地は30〜40デニールの薄手が主流なので、強く引っかければ穴は開きます。耐摩耗性を重視したナイロン版を、別ラインで用意しているメーカーもあります。藪こぎや岩場の多いルートが中心なら、外側で受けるより中身側を防水袋で守るほうが向いているかもしれません。ルートの性格に合わせて選んでみてください。

まとめ:レインカバーは持つが頼らない

ゴウ
ゴウ

結局、持っていくのが正解ってこと?

持っていきます。でも、それだけには頼らない。ここが今回いちばん伝えたかったところです。

りょう
りょう

ザックのレインカバーは、本体の外側の濡れ・汚れを減らすための道具です。中身を確実に守る役目は、防水袋の側に振り分ける。この二段構えが、僕の結論になります。

レインカバーは持つが頼らない、という記事全体の結論と要点4つをまとめた図解
  • カバーが守るのはザック本体。中身はパックライナーか防水スタッフバッグで守る
  • 背面からの浸水はメーカー自身が認める限界。水が入る前提でドレインが付いている
  • 僕のサースフェーは留め具の位置が難点で、雨蓋を開けるたびカバーを全部外す必要があった
  • 雨のなかで取り出す物は、カバーの下に入れない。ウェストベルトやレインウェアのポケットへ
  • 買う前の順番は、付属の有無 → 容量 → 外寸と形状 → 外付けの量の4段階
  • 重量は65〜118g・価格は3,000円前後から。軽量化で削る対象にはしにくい
  • ゴミ袋は外側のカバー代わりには向かない。内側の予備や隔離用なら使える

価格や仕様は改定されるので、購入前には必ずメーカーの公式サイトで最新の情報をご確認ください。装備の最終判断は、当日の天気とご自身の体力・経験に合わせて。迷ったら無理をしない選択が、いちばん安全です。

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