こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。
関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。
このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
今回は、僕自身も最初に知りたかった登山におけるヘルメットの携行方法についてまとめてみます。
登山で岩稜帯や滑落のリスクがあるルートへ行くようになると、安全のためにヘルメットの着用が推奨されたり、活火山では登山届の提出が努力義務とされ、火山防災対策グッズとしてヘルメット携行も大切だとされています(出典:内閣府「令和6年版 防災白書」)。
でも、いざパッキングしようとすると、ザックの中にヘルメットが入らなくて容量に困ったり、どうやって収納すればいいのか迷うという悩みに直面する方も多いと思います。
ネットで検索しても、ヘルメットホルダーを後付けする方がいいのか、最初からヘルメットホルダー付きのザックを選ぶべきなのか、使い方や選び方に迷ってしまいます。
そこで今回は、登山時のザックにヘルメットを安全に外付けする手法や、手持ちのアイテムとの互換性、さらには歩行時のバランスを崩さない力学的なコツまで、僕の実際の失敗談も交えながら詳しく解説していきます。
- ザック内部の容量を圧迫しないヘルメットの外付け手法
- ヘルメットホルダーを後付けする際の選び方と互換性
- 歩行時のバランスを崩さないための安全な固定方法
- 実際の山行で役立つヘルメット携行の最適なマネジメント
登山のザックへヘルメットを積載する基本
ヘルメットを持ち歩く際、まずはどうやって運ぶのが一番安全で効率的なのかを知っておくことが大切です。ヘルメットという特殊な形状のアイテムをどう扱うか、基本的な考え方とホルダーの必要性についてお話ししていきますね。
内部収納による容量不足の課題

日帰り登山から一泊程度の山小屋泊でよく使われる、20リットルから30リットルクラスのザックを使っている方は多いですよね。容量選びの全体像を先に整理したい方は、失敗しない登山ザック選び!おすすめモデルと容量の目安も参考になります。
このサイズのザックのメインコンパートメント(荷室)にヘルメットをそのまま入れようとすると、驚くほどスペースを取られてしまいます。ヘルメットは硬いシェルで作られていて、ダウンジャケットや寝袋のように圧縮することができないからです。
実際に僕も初心者の頃、30リットルのザックの中に無理やりヘルメットを押し込んだことがあります。
その結果、どうしても持っていきたい防寒着や多めの水分、万が一のためのファーストエイドキットを入れるスペースが全く足りなくなってしまいました。安全のためにヘルメットを持ったのに、他の生命維持に必要な装備を削らざるを得ないという本末転倒な状況になってしまったんです。
大きな大型ザックであればポンと放り込めますが、軽快に動きたい中型・小型ザックにおいては、ヘルメットの「空間占有率の高さ」は本当に厄介な課題になります。
だからこそ、多くのハイカーは「いかにしてザックの外側にうまく取り付けるか」という外付けの試行錯誤に行き着くわけですね。ザック外付けの考え方はヘルメット以外にも共通する部分が多く、登山靴をザックにくくりつける!外付けの基本と収納術でも固定時の揺れや落下リスクについて詳しく整理しています。
外部への直接吊り下げが持つ危険性

ザックの中に入らないなら外にぶら下げればいい、と考えて、ヘルメットのあご紐(チンストラップ)をカラビナに通して、ザックのデイジーチェーンなどに引っ掛けている方を山でたまに見かけます。
これ、手軽でやってしまいがちなんですが、実は安全管理の観点から見ると非常に危険な行為なんです。
一点だけでぶら下げていると、歩くたびにヘルメットがブランブランと不規則に揺れ動きます。人間の体は重心が安定していることでバランスを保てていますが、背中の後ろで重いものが揺れると、自分が思っている以上に体が振られてしまいます。
特に岩稜帯のトラバース(横移動)や、鎖場での精密な足運びが求められる場面では、このわずかな揺れが致命的な滑落事故を引き起こす引き金になりかねません。
また、ぶら下がったヘルメットが狭い登山道で岩や木の枝に激突し続けると、見えない微小な亀裂(マイクロクラック)が入り、いざという時に頭を守る強度が落ちてしまう可能性もあります。
ヘルメットは「ぶら下げる」のではなく、「面で固定する」のが鉄則だということを、ぜひ覚えておいてくださいね。
ヘルメットホルダー後付けのメリット

そこで活躍するのが、専用の「ヘルメットホルダー」です。
市販されているヘルメットホルダーの多くは、四隅にフックやストラップが付いていて、ザックの表面にヘルメットを押し付けるように強力にホールドしてくれます。
この「四点固定」による面圧力が最大のメリットです。これを使うことで、ヘルメットの不快な揺れが完全に抑え込まれ、ザックとヘルメットが一体化します。
身体の重心に近い位置でピタッと止まってくれるので、外付けしているにもかかわらず、ザックの中に収納している時と遜色ない安定感を保ちながら歩くことができます。
僕自身、初めてしっかりしたホルダーを使った時は、「今まであんなに背中が振られて疲れていたのは何だったんだ!」と感動したのを覚えています。
手持ちのザックとの互換性確認

「よし、ヘルメットホルダーを買おう!」と思った方、ちょっと待ってください。
実は、どんなザックにでも後付けホルダーが装着できるわけではありません。手持ちのザックの形状や構造との互換性(フィッティング)を確認することが絶対に必要です。
ホルダーの四隅を引っ掛けるためには、ザック側に「受け口」となるパーツが必要です。具体的には以下のようなパーツです。
最近流行っている、極限まで無駄を削ぎ落としたUL(ウルトラライト)系のツルッとしたザックだと、引っ掛ける場所が一切なくて装着できないケースも多々あります。
また、コンプレッションベルトの幅が広すぎるとホルダーのフックが物理的に掛からなかったり、逆に細すぎると歩行中に外れやすくなったりと、相性問題も発生します。
購入前には、必ず自分のザックのどの部分にどうやって引っ掛けるのか、シミュレーションをしておくことをおすすめします。
シート型と袋型ホルダーの比較

ヘルメットホルダーには、大きく分けて「シート型(メッシュネット型)」と「袋型(ポケット型)」の2つのタイプがあります。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分のスタイルに合ったものを選ぶのがポイントです。
シート型の特徴
シート型は、伸縮性のあるメッシュ生地などをヘルメットの上から覆いかぶせて固定するタイプです。
最大の魅力は圧倒的な軽さとコンパクトさ。使わない時はポケットに丸めて入れられるので、荷物を少しでも軽くしたいUL志向のハイカーにぴったりです。
ただ、下から完全に包み込んでいるわけではないので、激しい動きをした時にヘルメットが下へ滑り落ちるリスクがゼロではありません。
袋型の特徴
袋型は、立体的な袋状に縫製されており、ヘルメットを底面からすっぽりと包み込むタイプです。
こちらは物理的なポケット空間を作るため、ヘルメットが下に脱落する心配が構造上ほとんどありません。泥はねや岩との擦れからもシェルを守ってくれます。
デメリットとしては、生地面積が広いため少し重くなることと、収納時にややかさばることですね。
一般的な日帰り〜小屋泊ならシート型、バリエーションルートや本格的なアルパインでギアをガッツリ保護したいなら袋型、といった具合に使い分けるのが個人的にはおすすめです。
ゴム紐で自作する際の重大なリスク

ネットで検索していると、「100均のゴム紐とクリップで自作しました!」といったDIYのアイデアを見かけることがありますよね。
費用を安く抑えたい気持ちはとてもよくわかります。僕も昔は「ただネットで留めるだけなら自作できるんじゃないか」と考えたことがあります。
しかし、山岳環境におけるヘルメットホルダーの自作は、安全管理上絶対に推奨できません。
専用のメーカー品は、球体のヘルメットに対して全方位に均等な張力が掛かるように緻密に設計されています。ただゴムをクロスさせただけの自作ネットだと、段差を降りた衝撃で簡単にツルッと抜け落ちてしまいます。
もし行動中に自作のクリップが割れたりゴムが切れたりしてヘルメットを谷底へ落としてしまったら、その時点で安全な登山が継続不可能になり、撤退を余儀なくされます。
命を守るためのヘルメットを、数百円の不確実なゴム紐に預けるのはリスクが高すぎます。信頼できるメーカーの専用ギアを使うことは、自分を守るための「必要経費」だと考えてくださいね。
登山向けザックのヘルメット外付け実践法
さて、ここからはさらに踏み込んで、具体的にどうやってヘルメットを取り付け、どのアイテムを選べばいいのかという実践編です。僕の実際の使用感も交えながら、現場で役立つノウハウを紹介します。
落下を防ぐホルダーの正しい使い方
高性能なホルダーを買っても、使い方が間違っていれば意味がありません。
ヘルメットを外付けする際の絶対的な基本原則は、ホルダーの生地がたるまない範囲で、四隅のストラップをメーカー推奨に従ってしっかり固定することです。
ザックの背面にヘルメットがめり込むくらい強固に固定することで、背中から引っ張られるような不快な揺れを殺すことができます。
さらに重要なのが、万が一に備えたフェイルセーフ(二重の安全機構)の構築です。
特にシート型を使う場合、ホルダーのフックが木の枝に引っかかって外れてしまう可能性もあります。そのため、ヘルメットのあご紐(チンストラップ)をザックのキャリングハンドルやデイジーチェーンに必ず通してバックルを留めておきましょう。
これを「命綱」として連結しておくひと手間で、紛失リスクを大きく下げられます。
モンベルなどの一部製品では、ホルダー側に「落下防止用ループ」が最初からついているものもあり、下からすくい上げるように装着することで重力に逆らい、脱落を防ぐ理にかなった使い方が推奨されています。
おすすめホルダーと各メーカーの特徴
ここでは、検索でもよく調べられている定番ブランドのヘルメットホルダーの特徴を、比較しやすいように表にまとめてみました。
どれも設計思想が違って面白いので、自分のスタイルに合わせて選んでみてください。
| ブランド / モデル名 | 重量・タイプ | 設計の特徴と個人的な感想 |
|---|---|---|
| モンベル (Montbell) ヘルメットホルダー #1133124 |
77g シート型 |
コスパ最強。落下防止リーシュループが付いていて、下から覆う装着法で安全性が高いです。迷ったらとりあえずコレ、という安心感があります。 |
| ミレー (MILLET) MIS0524 |
74g シート型 |
伸縮性のあるポリアミドメッシュ素材を使用。どんな形のヘルメットにも吸い付くようにフィットします。汎用性が高く人気です。 |
| オクトス (oxtos) CORDURA ヘルメットホルダー |
約75g 袋型 |
丈夫なコーデュラナイロンを使った袋状。岩肌に擦れても破れにくく、アルパイン志向の方におすすめ。PUコーティングで汚れにも強いです。 |
| マムート (MAMMUT) ヘルメットホルダー プロ |
136g 完全密閉袋型 |
ジッパーで完全に密閉してしまうプロ仕様。ヤブ漕ぎや激しい動きでも落下リスクを抑えやすいです。ギアを傷つけたくないならこれが一番ですね。 |
| エクスペド (EXPED) メッシュヘルメットホルダー |
35g シート型 |
とにかく軽い!メッシュ表面のシリコンプリントが滑り止めになり、少ない力でもピタッと吸着します。ULハイカーにはたまらないギミックです。 |
ホルダー付属ザックを選ぶメリット
もしあなたが、これから新しく30リットル前後のザックを購入しよう、あるいは買い替えようと考えているなら、「最初からヘルメットホルダーが標準で付属・内蔵されているザック」を選ぶのも、非常に賢い選択肢です。
例えば、オーストリアのブランド「NORDKAMM」のANTARES 30L/40Lなどが代表的ですね。
後付けではなく専用設計(ビルトイン)されていることのメリットは計り知れません。
- 力学的な最適化:最初からヘルメットを付ける前提で重心が計算されているため、後ろに引っ張られる感覚が最小限。
- 確実な固定:汎用フックを無理やり引っ掛けるのではなく、専用のスリットにパチッとハマるので緩みにくい。
- 収納のスマートさ:使わない時は専用ポケットにスッキリ隠せるため、木の枝に引っかかるリスクがない。
別売りでホルダーを買うと数千円の追加出費になりますが、セットになっているモデルを選べばトータルのコストパフォーマンスも高くなります。相性に悩む必要がないというのは、本当にストレスフリーですよ。
産業用リュックを流用すべきでない理由
ちょっと余談になりますが、ネットで「ヘルメット リュック」と検索すると、建設現場や作業現場向けの「メットインリュック」といった大容量の産業用バックパックが出てくることがあります。
作業用のヘルメットや安全靴が丸ごと入るように作られているため、「これ、登山にも使えるんじゃない?」と思うかもしれません。
しかし、登山用として設計されていない製品は、登山用途では慎重に判断してください。
登山用として設計されていない製品は、荷重分散・フィット感・耐候性が不足する場合があります。これを背負って山を登れば、肩にすべての荷重が集中して強い疲労を感じる可能性があります。また、天候が急変した際に荷物が濡れる危険性もあります。
検索結果に混ざってくるからといって錯覚せず、必ず「山岳環境」を前提に作られた専用の登山用具を選んでくださいね。
登山時のザックとヘルメットの最適な携行法

最後に、ヘルメットを外付けした状態で山を歩く際の、パッキングや行動の最適化についてまとめます。
ヘルメットをザックの正面(フロント面)に取り付けると、当たり前ですがフロントポケットやメイン荷室へのアクセスが物理的に塞がれてしまいます。
そのため、登山口を出発する前の段階で、行動食、紙地図、日焼け止め、ヘッドライト、そして急な雨に対応するレインウェアなど「すぐに出したいもの」は、雨蓋(トップリッド)やサイドポケット、サコッシュなどに分散させておく計画的なパッキングが必須になります。
また、背中にヘルメットを取り付けると、自分の体よりも後ろに約15cm〜20cmほどの出っ張り(空間占有)が増えます。
この厚みを意識せずに歩いていると、狭い岩場で人とすれ違う時に背中を岩にぶつけて反動でバランスを崩したり、樹林帯で張り出した枝にメッシュが引っかかって首を持っていかれたりするリスクがあります。

個人的な一番のアドバイスは、「危険な岩場や狭い道が近づいてきたら、早めにヘルメットを頭に被ってしまうこと」です。
ヘルメットは頭に被っている状態が一番安全で、かつ一番邪魔にならない究極の「収納場所」です。歩きにくいなと感じたら、無理して背負い続けず、正しい位置(頭)に装備してしまいましょう。
パッキングの工夫と安全な固定方法をマスターして、ぜひ快適で安全な山行を楽しんでくださいね!