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濡れたテントの撤収と乾かし方|登山で雨・結露の朝に

濡れたテントの撤収と乾かし方。別袋で持ち帰り、帰宅当日に干してカビと加水分解を防ぐ

こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。

雨音で目が覚めた朝や、フライの内側が水滴だらけの朝。濡れたテントをどう片付けて、どう持ち帰ればいいのか迷いますよね。車に積めるキャンプと違って、登山では濡れたテントを自分で背負って下山することになります。

僕も2021年10月に穂高岳山荘のテント場で泊まったとき、テントの内側の生地に結露の水滴が付いていました。テント泊をしていると、濡れたテントの扱いは避けて通れない話なんですよね。

この記事では、インナーを濡らさない撤収の順番と、ザックへの入れ方をまず整理します。そのうえで、帰宅後の乾かし方と保管まで一気通貫でまとめました。干す場所がないマンションでの乾かし方も、浴室乾燥と室内設営に分けて紹介しますね。

  • 雨の朝にインナーを濡らさない撤収の順番
  • 濡れたフライを乾き物と分けるザックへの入れ方
  • 帰宅当日に広げる理由とマンションでの乾かし方
  • 加水分解とカビを防ぐゆるい保管と劣化のサイン

濡れたフライは別袋で持ち帰り当日に干すのが基本

結論から言うと、濡れたテントは山で無理に乾かし切らなくていい、というのが僕の考えです。インナーを守り、濡れたフライは別袋で持ち帰って、帰宅当日に広げて陰干しするのが基本の流れ。乾いたら付属袋ではなく、通気性のある大きな袋にゆるくしまいます。

ネットで調べると、車に積んで帰るオートキャンプ前提の情報が多いですよね。大きなドライバッグに丸ごと入れて帰る方法は、担いで下山する登山ではそのまま使えません。ザックの中には、寝袋やダウン、着替えなど濡らせない物が同居しているからです。

時間に余裕がない朝に、山で乾かそうと粘るのもおすすめしません。出発が遅れると、下山が夕方や悪天のピークにかかるおそれがあります。濡れたまま正しく分けて持ち帰り、家で乾かすほうが安全で確実かなと思います。

撤収から保管までの流れを、先に一枚の表にまとめておきます。

タイミングやることポイント
山(撤収)荷物を全部しまい、フライの下でインナーを先に回収インナーは防水袋かパックライナーの中へ
山(パッキング)フライは振って水を切り、別袋で外ポケット・雨蓋の下・ライナーの外へ乾き物と袋で隔てる
帰宅当日すべての袋から出し、インナー・フライ・ポール・袋を分けて広げる泥は乾く前に水で落とす
1〜数日陰干し・室内設営・浴室乾燥で完全に乾かす乾いたら日光から取り込む
保管通気性のある大きな袋にゆるくたたんで入れる冷暗・乾燥の場所で、高温を避ける

「濡れ物」と「乾き物」を袋で分けることが、山でも家でもいちばん大事な考え方です

雨の朝の撤収はインナーを先にしまう

雨の朝は、フライを被せたままテントの中で作業を済ませ、インナーを先に防水袋へしまうのが基本です。フライを最初に外すと、その瞬間からインナーと床面が雨に打たれてしまいます。

雨の朝にフライを被せたまま荷物をしまい、インナーを先に回収してから濡れたフライを最後に外す撤収の流れ
ゴウ
ゴウ

雨の朝って、どこから片付ければいいか迷いそうだね。外はザーザー降ってるのに。

そうなんですよね。まずは自分のテントの構造を確かめて、片付ける順番を一緒に整理してみましょう。

りょう
りょう

この順番が前提にしているのは、インナーを自立させてからフライを被せる構造のテントです。インナーにポールを通したり、吊り下げたりして立てるタイプですね。国内メーカーの山岳テントなど、登山用ダブルウォールの多くがこの構造です。

一方、フライとインナーが連結されたまま張れる一体設営型なら、手順が少し変わります。フライを張ったまま、内側でインナーのフックやトグルを外せるからです。インナーだけ先に袋へ入れ、最後にフライを撤収する流れになります。

荷物を全部しまいフライの下でインナー回収

撤収のコツは、フライの下で済ませられる作業を先に全部終わらせ、雨に当たる時間を最短にすることです。インナー吊り下げ・スリーブ式のテントなら、手順は次のとおり。

  • テントの中でレインウェアを着て、テント以外の荷物をすべてザックに詰める(寝袋は防水袋かパックライナーの中へ)
  • インナーの壁際に付いた結露を吸水クロスや手ぬぐいで拭き、絞りながら回収する
  • 外に出て、風下側のペグから外す(風上のペグは残し、強風なら打ち直してから)
  • フライを被せたまま、インナーからポールの末端を外してテントをつぶし、ポールを横から引き抜く
  • フライの下からインナーを引き出し、素早くたたんで防水袋へ入れる
  • 最後にフライを回収し、大きく振って水滴を落としてから「濡れ物」用の別袋へ
  • ペグとポールは泥を落とし、ポールは水分を拭き取ってから収納する

インナーをたたむときは、フロア裏を内側に巻き込まないよう気をつけてください。床面の裏は、地面の水と泥で濡れています。泥ごとたたみ込むと、帰宅後に泥とカビの温床になりがちです。

フライを回収するときは、風上側の中央を持つのがおすすめ。風を利用して宙に浮かせたままたたむと、地面の泥が付きにくくなります。この手順はモンベルの取扱説明書や山岳メディアの解説をもとに整理しました。お使いのテントの説明書も、あわせて確認してくださいね。

フライを先に外すのはNG

雨の中でフライを先に外すと、インナーと床面が一気に濡れてしまいます。よくある失敗なので、最後まで「屋根」を残す意識で片付けましょう。

結露はフライを叩いて落とし吸水クロスで拭く

テント生地の縫い目とジッパー付近に結露の水滴が付いている接写
筆者撮影:2021年10月、穂高岳山荘のテント場で付いた結露

結露の水は、フライを張ったまま外側から叩いたり揺すったりするだけで大部分が落ちます。そのあと吸水クロスで拭き取れば、持ち帰る水の量をかなり減らせます。

結露は雨が降らなくても起きるので、晴れた朝でもフライの内側が濡れているのは珍しくありません。モンベルの取扱説明書でも、外気との温度差で内側に付く水滴は「水漏れではありません」と説明されています。撤収時の濡れ対策は、雨の日だけの話ではないんですよね。

僕が2021年10月に穂高岳山荘のテント場に泊まったときも、テントの内側の生地やジッパーの縫い目に水滴が付いていました。翌朝は曇りで、楽しみにしていた日の出も見られない空模様。日差しで乾くのを待てない朝は、叩いて拭いて持ち帰るのが現実的だと感じます。

拭き取りに使う道具は、素材で吸水力がかなり違います。

道具特徴向いている使い方
PVA素材のスポンジ・セームタイプのクロス吸水性が高く、絞れば何度でも吸うフライの内面・インナーの壁際の拭き取り
綿の手ぬぐい・タオルすぐに水を吸いきって飽和する仕上げ拭きや小さな面

風があるなら、フライを外す前に出入口を全開にして、数分風を通すのも手です。少しでも水分を飛ばしてから撤収すると、ザックに入れるときの気分もだいぶ違いますよ。

濡れたテントのザックへの入れ方

濡れたテントは、「濡れ物(フライ・フロアの外側・ペグ)」と「乾き物(インナー・寝袋・衣類)」を袋で隔てて入れるのが基本です。インナーは寝袋と同じ乾いた側へ、濡れたフライはザックの外側かライナーの外へ置きます。

濡れたフライを別袋に入れて外ポケットや雨蓋の下に収め、乾いた装備と分けるザックの収納イメージ

モンベルの取扱説明書には、本体とレインフライを濡れたまま長時間一緒に置くと、色が移るおそれがあるとも書かれています。濡れたフライとインナーを付属袋にまとめて放置するのは、色移りとカビの両方を招くパターン。分けて入れるのは、ほかの荷物を守るためだけではないんです。

置き場所ごとの向き・不向きは次のとおりです。

置き場所入れ方向いている場面注意点
外側のフロントメッシュポケット水を切ったフライを丸めて押し込む大きな外ポケットがあるULザック落下や枝への引っ掛けに注意
雨蓋と本体の間防水袋に入れて雨蓋の下に挟み、ベルトで締める雨蓋付きの縦走ザック重心が上・後ろに寄る
本体の最上部(ライナーの外)乾き物をライナーで包み、その上に濡れ物の袋を置く外ポケットがないザック最後に入れて最初に出せる
防水スタッフバッグで隔離フライ・レインウェア・濡れた靴下などをまとめて1袋に雨が続き、中に入れるしかないとき容量はテントの収納サイズより一回り大きく

付属の収納袋は防水ではないので別袋に

テントの収納袋(スタッフサック)は、防水ではないものが多いと考えておきましょう。汎用の袋でも、たとえばモンベルのU.L.スタッフバッグは公式に「防水性はありません」と明記しています。濡れたフライを防水でない袋に入れても、袋ごとザックの中の物を濡らしてしまいます。

そこで、インナーと寝袋は防水袋かパックライナーの内側へ入れます。濡れたフライは、防水スタッフバッグやゴミ袋などの別袋で隔離。45Lクラスのゴミ袋をパックライナーや濡れ物袋の代わりにする方法もあります。

ゴミ袋は手軽な反面、専用品のような口を巻いて閉じる仕組みや、縫い目の防水処理はありません。口は結ぶか、ねじって留める前提で使いましょう。尖ったペグやポールで穴を開けないよう、入れる位置にも気を配りたいところです。

パックライナーは重いイメージがあるかもしれませんが、専用品は意外と軽いんですよね。シートゥサミットのウルトラシルパックライナーは、50L対応のSが74g、70L対応のMが98gと公式に表示されています。

山と道のPack Linerは、1枚あたり42gと公式に表示されています。どちらもパックカバーと同じか、それより軽い重量帯なので、UL志向でも取り入れやすいかなと思います。

シートゥサミット ウルトラシルパックライナー M(70L対応・98g)

芯のないロールトップで閉じる専用ライナー。インナーや寝袋を「乾いた側」にまとめておけます

価格目安:4,730円(税込・2026年9月時点の正規代理店表示)

山と道 Pack Liner(H900×W500mm・42g・3枚セット)

口を折り曲げて閉じる軽量なポリエチレン製ライナー。尖った物で穴を開けないよう注意して使います

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ULザックの外ポケットと雨蓋下の使い分け

濡れたフライの置き場所は、外ポケットがあるULザックならフロントメッシュポケット、雨蓋付きなら雨蓋の下が使いやすいです。どちらも、ザックの中身から濡れ物を遠ざけられます。

フロントメッシュポケットは、振って水を切ったフライを丸めて押し込むだけで済むのが魅力。行動中に乾くとは限りませんが、濡れたフライをザックの中身から離しておけます。ただし、ヤブや岩場で枝に引っ掛けたり、落としたりしないよう、出し入れのたびに確認してください。

雨蓋の下に挟む場合は、フライを防水袋に入れてからベルトで締めます。重心が上と後ろに寄るので、岩場の多いルートでは揺れに気をつけたいところ。上からパックカバーで覆えば、袋の外側が雨に打たれるのも抑えられます。

ここで気をつけたいのが、パックカバーとの相性です。僕が使っていたミレーのサースフェー30+5は、付属レインカバーの留め具の位置が難点でした。カバーを付けたままでは、上部を開けられなかったんです。槍ヶ岳で使ったときは、風が強くてカバーを外して開けるのも怖かったです。

雨蓋の下に濡れたフライを挟むなら、カバーを付けたまま出し入れできるかで使い勝手が変わります。休憩やテント場で干したいときにすぐ出せるか、出発前に一度試しておくと安心ですよ。外ポケットも雨蓋もないザックなら、ライナーの外、つまり本体の最上部に入れると最後に入れて最初に出せます。

縦走・連泊中は晴れ間にフライを裏返して干す

翌日もテントに泊まるなら、昼休憩や次のテント場に早く着いた時間の晴れ間に、フライとインナーを広げて乾かすのが基本です。濡れたまま毎晩張り直すと、湿気が少しずつ溜まっていきます。

ゴウ
ゴウ

山の晴れ間って、急にやってきて急にいなくなるんだよね。干すならチャンスを逃さないようにしなきゃ。

ほんとにそうですね。干し方のコツと、飛ばされないための注意を一緒に確認していきましょう。

りょう
りょう

干すときは、ペグを1〜2本残してフライやインナーを裏返すのがコツ。濡れている面を風と日差しに向けられるので、乾きが早くなります。モンベルの案内でも、フィールドではグラウンドシートを上に向けて、なるべく乾かしてから収納するよう書かれています。

岩場や開けた稜線は、岩の熱と風で乾きが早い場所です。そのぶん風も強いので、石やペグで確実に固定しないと飛ばされます。テントが飛ぶと回収できない地形も多いので、ここは慎重すぎるくらいでいいかなと思います。

寝袋の湿気も忘れずにケアしたいところです。結露で湿ったインナーと寝袋は、泊数を重ねるほど湿気が溜まっていきます。氷点下で数日使い続けた寝袋に水分が溜まっていくことは、海外の研究でも示されています。晴れ間には、寝袋も一緒に干しておくと安心です。

山小屋の乾燥室は使えないの?と思うかもしれません。槍ヶ岳山荘や涸沢ヒュッテの公式案内では、乾燥室は宿泊者専用とされています。テント泊では使えない前提で計画し、小屋ごとの条件は事前に確認してください。

僕が穂高岳山荘でテント泊したときは、小屋の中を利用できて寒さをしのげました。ただ、これは乾燥室が使えるかどうかとは別の話。テントの乾燥は、晴れ間と帰宅後に任せるつもりでいるのが無難です。

帰宅後の乾かし方は干す場所で選ぶ

帰宅後は、その日のうちに袋から全部出して広げるのが第一歩です。そのうえで、干す場所に合わせて陰干し・室内設営・浴室乾燥のどれかを選び、完全に乾かします。どの方法でも、高温と直射日光を避けるのは共通です。

ベランダや庭では日陰に吊るし、マンションでは浴室乾燥や室内設営で乾かすという干す場所別の選び方

乾かす前に、付属袋やペグ袋、ポール袋もすべて出しておきましょう。袋そのものも濡れています。フロア裏の泥は、乾く前に水で洗い流すか、スポンジで落としてください。

ポールは水分を拭き、伸ばした状態で乾かすのがおすすめ。中のショックコードにも水が入っています。インナーとフライは分けて干しましょう。濡れたまま重ねておくと、色移りの原因になります。

乾燥機・ストーブ・直射日光はNG

メーカー各社は、乾燥機や洗濯機の使用を禁止しています。モンベルは「火のそばや暖房器具のそば」に置かないよう案内していて、ドライヤーやストーブで急いで乾かすのも避けたいところ。紫外線も生地を劣化させるので、直射日光に当てっぱなしにしないでください。

コインランドリーの乾燥機に入れるのも、同じ理由で避けます。干す場所ごとの方法は、次の表のとおりです。

干す場所おすすめの方法注意点
一戸建ての庭・広いベランダ自立式なら張って乾かす/竿に二つ折りで掛ける日陰で干し、乾いたらすぐ取り込む
マンションのベランダ竿に二つ折りで掛け、洗濯ばさみで留める強風で飛ばさない。手すりの外側は管理規約を確認
室内(リビングなど)自立式テントを立て、扇風機やサーキュレーターで風を当てるフロアの泥を先に落とす
浴室浴室乾燥機を使い、重ならないよう物干しパイプに掛ける吹出口・吸込口から離して掛ける

テントは何日でカビる?帰宅当日に広げる理由

「何日までなら大丈夫」という公式の安全期限はありません。数値を出しているのはMSRで、濡れて丸まったテントでは早ければ24時間でカビが出始めるとしています。だからこそ、帰宅当日に袋から出して広げるのがおすすめです。(出典:MSR『Tent Care 101』)

国内メーカーのモンベルは、期限を数値では示していません。濡れたまま長時間放置するとカビが発生する可能性があるとし、帰宅して早いタイミングで陰干しするよう案内しています。どちらのメーカーも、濡れたまま袋に入れておく時間を短くする方向で一致しているんですね。

カビが育ちやすいのは、温度20〜30℃・湿度80%以上で、ホコリや皮脂などの栄養源がある環境です(北九州市の解説)。丸めた濡れテントの中は湿度がほぼ飽和し、泥や皮脂がそのまま栄養源になります。袋の中は、カビにとって居心地のいい場所になりやすいわけです。

季節による違いも見ておきましょう。東京の平年値(気象庁・1991〜2020年)は次のとおりです。(出典:気象庁『平年値(東京)』)

月平均気温平均相対湿度
6月21.9℃75%
7月25.7℃76%
8月26.9℃74%
9月23.3℃75%
10月18.0℃71%

表のとおり、6〜9月は平均気温がカビの好む温度帯に入ります。夏のテント泊シーズンほど、帰宅後の猶予は短いと考えておきましょう。冬は進みが遅い反面、乾きにくいので長期戦になりがちです。

帰りが遅くてその日に干し切れなくても、袋から出して広げておくだけで「濡れて丸まった」状態は解消できます。干し切るのが翌日以降になっても、まず袋から出すことを優先してください。

ベランダや庭は日陰に吊るして陰干し

庭やベランダで干せるなら、直射日光の当たらない日陰で、風通しのいい場所に広げる陰干しが基本です。モンベルは紫外線による生地の劣化を明記していて、NEMOも「直射ではない日光」で干すよう案内しています。

自立式テントなら、庭で張って乾かすのが乾かしやすい方法です。テンションがかかって生地が重ならないので、風が全体に当たります。吊るす場合は、物干し竿にフライを二つ折りで掛け、ときどき裏返してください。

日なたでしか干せないときは、乾いたらすぐに取り込みましょう。マンションのベランダでは、強風で飛ばさないよう洗濯ばさみでしっかり留めます。高層階は特に注意が必要で、手すりの外側に干していいかは管理規約で確認してください。

乾いたかどうかは、最後まで湿気が残りやすい場所で確かめます。チェックしたいのは次の箇所です。

  • 縫い目のシームテープ
  • ガイラインの結び目
  • ジッパーの布部分
  • フロアの四隅
  • ベルクロのまわり

MSRは、乾いて見えても室内にゆるく広げて数日置き、裏表を返して完全に乾かすよう案内しています。表面が乾いたからと急いでしまわず、念入りに確かめるのが安心ですよ。

マンションは浴室乾燥と室内設営で乾かす

干す場所がないマンションなら、自立式テントをリビングで立てて風を当てる室内設営か、浴室乾燥機で乾かすのが現実的です。どちらも天気に左右されないのがうれしいところ。

室内設営では、出入口とベンチレーターを全開にして、サーキュレーターや扇風機で風を当てます。ペグは打てないので、床に置くだけで大丈夫。フロアの泥は先に落とし、フライは別の場所に掛けて乾かしましょう。

部屋干しと同じで、閉め切ったままだと部屋の湿度が上がってしまいます。換気をしつつ、除湿機やエアコンの除湿を併用すると湿気がこもりにくくなります。

浴室乾燥機を使うときは、まず床や壁の水滴を拭き取ります。そのうえで、物干しパイプにフライとインナーを重ならないよう掛けてください。背丈の長い物は下が乾きにくいので、折り返して吊るし、途中で掛ける位置を入れ替えるのがコツです。

運転条件の一例として、日立の浴室換気乾燥機HBK-10Cの取扱説明書に載っている目安をまとめます。(出典:日立『浴室用換気乾燥機 HBK-10C 取扱説明書』)

項目目安(日立 HBK-10C の取扱説明書)
ヒーターの動き浴室内が約40℃以上でOFF、約35℃以下でON
衣類の乾燥時間洗濯物3kgで約3時間(周辺温度20℃・湿度60%の条件)
季節による違い梅雨時は約10〜30%、冬期は約20〜60%長くかかる
電気代乾燥運転3時間で約90円(22.8円/kWh換算)
安全上の注意洗濯物は吹出口・吸込口から20cm以上離す

テントの生地は衣類より薄い一方、重なる部分やフロアの四隅は乾きが遅くなります。表の時間はあくまで衣類での目安なので、乾き具合を見ながら運転時間を調整してください。機種によって運転条件は違うため、お使いの浴室乾燥機の取扱説明書も必ず確認しましょう。

浴室乾燥機は、浴室内が上がりすぎるとヒーターが切れる設計の機種があります。一方で、乾燥機やドライヤー、ストーブの温風は、メーカーが避けるよう案内している高温です。急いで乾かしたくなる気持ちは分かりますが、ここはじっくり風で乾かすのが安心かなと思います。

加水分解とカビを防ぐテントの保管方法

乾かし切ったテントは、付属の収納袋に戻さず、通気性のある大きな袋にゆるくたたんで、冷暗で乾燥した場所に保管します。きつく詰め込んだまま高温多湿の場所に置くと、カビとPUコーティングの加水分解が進みやすくなるからです。

付属袋に詰め込む保管と通気性のある大きな袋にゆるく入れる保管の違い、べたつきや臭いが劣化のサインであること

加水分解は、使っていない間も進むのがやっかいなところ。高温で多湿なほど進みやすいので、濡れたまま袋に入れて夏の部屋に放置するのは、最も進みやすい組み合わせです。テントを長く使うには、山での扱いと同じくらい家での保管が効いてくるんですよね。

なお、MSRやBig Agnesは、カビや湿気による損傷をメーカー保証の対象外としています。保証で直せないぶん、予防がいちばんの対策です。

付属袋に戻さず通気性のある袋にゆるく

保管には、付属の収納袋ではなく、通気性のある大きめの袋を使います。モンベルの取扱説明書は、付属の収納袋はきつめにたたまないと入らないため、長期保管での使用を避けるよう書いています。NEMOも、収納袋で長期間圧縮すると生地とシームテープを傷めるとしています。

袋は綿袋やメッシュバッグで十分で、MSRは枕カバーでも構わないとしています。ビニール袋や密閉容器での密閉は避けてください。中にゆるくたたむか、ゆるく巻いて入れるのがポイントです。

項目おすすめ避けたいこと
袋綿袋・メッシュバッグ・枕カバー付属袋にきつく詰める・ビニール袋で密閉
たたみ方ゆるくたたむ・ゆるく巻く。折り目を毎回変える同じ折り目でばかりたたむ
置き場所冷暗・乾燥・直射日光の当たらない場所車のトランク・屋根裏・物置など高温になる場所
シーズンオフときどき袋から出して風を通すしまいっぱなしにする

押し入れにしまう場合は、床から離して除湿剤を併用するのもひとつの方法。Big Agnesは、畳み方を毎回変えて、同じ折り目に負担をかけないよう案内しています。ダウン製品や防水透湿性のウェアを押しつぶして保管しないのと、同じ考え方ですね。

べたつき・臭いは加水分解が始まったサイン

フロアやフライ裏がべたつく、独特の異臭がするなら、PUコーティングの加水分解が始まったサインと考えられます。べたつきは元に戻らず、剥がれが進むと防水性が落ちていきます。

症状考えられる原因対応の目安
黒い点々・しみカビ早期なら水拭きして陰干し。しみは完全には消えないことが多い
生乾きのような臭い・かび臭さカビ・雑菌臭いが強く残るなら、コーティングの傷みも疑う
フロアやフライ裏のべたつき・独特の異臭PUコーティングの加水分解元に戻らない。防水性の低下に注意
白い粉・薄片状の剥がれ加水分解の進行防水性が失われ、雨の日に浸水する

加水分解は、水分の作用でプラスチックの結合が切れ、強度が落ちる現象です。東京都が2004年に行った登山靴のテストでは、ポリウレタンのミッドソールを高温の水蒸気にさらしました。その結果、加水分解して強度が大きく低下しています。対象は靴底ですが、ポリウレタンが水分と熱で分解する仕組みは、テントのPUコーティングにも通じる話です。(出典:東京都消費生活総合センター『事故防止テスト 登山靴・トレッキングブーツ』)

米国のテントメーカーSylvanSportは、テントのべたつきやコーティングの剥がれに触れています。これは「ウレタンコーティングが分解し始めている」状態だという説明です。Sea to Summitも、かび臭さがかすかな程度を超えたら要注意としています。ウレタンコーティングが損なわれている可能性があるそうです。

国内では、モンベルがバックパックについて「生地に再コーティングはできません」としています。テントでも、剥がれ始めたコーティングは元に戻らない前提で考えておくのが無難です。カビ取りに塩素系漂白剤を使うのも、生地や色を傷めるので避けてください。

ちなみに、シルナイロンなどシリコンコーティングの生地は、PUに比べて加水分解しにくい素材として知られています。ただし濡れると伸びてたるむので、どの素材でも乾かしてからしまう基本は変わりません。

べたつきや剥がれが出たテントで雨の山に行くと、浸水するおそれがあります。メーカーや購入店に相談のうえ、買い替えも含めて判断してください

濡れたテントの撤収と乾かし方のよくある質問

雨が降っていないのに、朝フライの内側が濡れているのは水漏れですか?

多くの場合は結露で、水漏れではありません。結露は、人の体から出る水分と夜の冷え込みで起きます。モンベルの取扱説明書でも、外気との温度差で内側に水滴が付くのは水漏れではないと説明されています。換気である程度は減らせますが、ゼロにはできないので、撤収時に拭いて持ち帰る前提で準備しておくと安心です。

濡れたフライは、乾いたときよりどれくらい重くなりますか?

濡れた分だけ重くなりますが、どのくらい増えるかを示した公式の実測データは見当たりませんでした。海外のULハイカーの間では、PUコーティングのフライは増え方が小さいという経験談があります。シルナイロンは、表面の水を振れば大半が落ちる一方、生地が水を吸ってたるむと語られています。いずれにしても、撤収前に大きく振って水を切り、吸水クロスで拭くのが効果的だと思います。

シングルウォールテントでも撤収の手順は同じですか?

シングルウォールは生地が1枚なので、インナーを先にしまう手順は当てはまりません。そのぶん室内の結露が多くなりやすいので、内側の水滴をこまめに拭き取ってから撤収するのが基本です。たたんだテントは丸ごと「濡れ物」として別袋に入れ、寝袋や衣類と分けて持ち帰ってください。

汚れたテントは洗濯機で洗ってもいいですか?

洗濯機やドライクリーニングは、各メーカーとも不可としています。生地や防水コーティングを傷めるためです。MSRは、ぬるま湯とスポンジ、洗剤ではないマイルドな石けんでの手洗いを案内しています。普段は泥を水で洗い流して陰干しすれば十分なことが多いので、詳しくはお使いのテントの取扱説明書を確認してください。

ポールやペグも乾かす必要はありますか?

はい、ポールとペグも乾かしてから保管します。ポールは中のショックコードにも水が入るので、水分を拭いてから伸ばした状態で乾かしましょう。ペグは泥を落として拭いておきます。モンベルの取扱説明書では、濡れタオルで汚れを拭き、機械油を薄く塗る手入れも案内されています(ポールは接合部のみ)。

まとめ:濡れたテントは別袋で持ち帰り当日に広げる

ゴウ
ゴウ

山ではインナーを守って、家ではすぐ広げる。流れで覚えると分かりやすいね!

そうですね。乾かし切ってから、ゆるくしまうところまでがセットだと思っています。

りょう
りょう

濡れたテントの撤収と乾かし方は、山・帰宅当日・保管の3段階で考えるとシンプルです。最後に要点を振り返っておきます。

濡れたテントの扱いを山での撤収、帰宅当日の乾燥、保管の3段階で振り返る要点まとめ
  • 雨の朝はフライを被せたまま荷物をしまい、インナーを先に防水袋へ
  • 結露はフライを叩いて落とし、吸水クロスで拭いてから回収
  • 濡れたフライは別袋に入れ、外ポケット・雨蓋の下・ライナーの外へ
  • 連泊中は晴れ間にペグを残して裏返し、石やペグで確実に固定して干す
  • 帰宅当日に袋から全部出して広げる(MSRは早ければ24時間でカビと案内)
  • 乾燥機・ストーブ・直射日光は避け、陰干し・室内設営・浴室乾燥で乾かし切る
  • 付属袋に戻さず、通気性のある大きな袋にゆるく入れて冷暗所へ

ここで紹介した時間や数値は、あくまで一般的な目安です。テントの素材や構造によって、お手入れの方法は変わります。正確な情報は、お使いのテントの取扱説明書やメーカーの公式サイトをご確認ください。劣化や浸水が心配なときは、メーカーや購入店にご相談のうえで判断してくださいね。

濡れたテントの片付けは面倒ですが、ひと手間で次の山行も気持ちよく使えます。絶対にこれが正解という話ではありませんが、参考になればうれしいです。

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