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登山靴の撥水スプレーの選び方|防水との違いとかけ方

登山靴の撥水スプレーを素材別に選び、前日にかける手順を示す画像

こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。

登山靴の手入れを調べると、撥水スプレーと防水スプレーが並んでいて迷いますよね。フッ素系やシリコン系の表記もあり、どれを選べばいいのか分かりにくいはず。

僕はキャラバンのGORE-TEX登山靴で、富士山や奥穂高岳、槍ヶ岳を歩いてきました。この記事では撥水と防水の違いを軸に、素材別の選び方から、かけ方・かけるタイミングまでを一本の流れで整理します。

  • 撥水スプレーと防水スプレーの違いと登山靴での役割分担
  • 革・スエード・ナイロン別に使える撥水スプレーの見分け方
  • 汚れを落としてから屋外で薄く重ねる正しいかけ方
  • 前日にかける理由と撥水が落ちたときのかけ直しの目安

撥水スプレーと防水スプレーの違い|働きは同じ撥水

結論から言うと、市販の「防水スプレー」も「撥水スプレー」も、働きはどちらも表面で水をはじく撥水です。名前が違うだけで同じ種類の製品なので、どちらを買うかで迷う必要はありません。

防水スプレーも撥水スプレーも表面で水をはじく働きは同じで、登山靴の防水は内側のメンブレンが担うことを対比した図

防水スプレーは、繊維の1本1本を樹脂で覆い、水を玉にしてはじく仕組み。生地の裏まで水を通さない本来の「防水」とは別物です。分かりやすさから「防水」の名で売られている、と3Mジャパンの解説を紹介した報道は伝えています。

モンベルも、はっ水性と防水性を別の性能として定義しています。登山靴に当てはめると、次の役割分担になります。

性能意味登山靴で担う部分
撥水(はっ水性)生地の表面で水をはじく表地と、撥水スプレーの手入れ
防水(防水性)外からの水を裏側へ通さない表地の内側にある防水透湿メンブレン(GORE-TEXなど)
ゴウ
ゴウ

えっ、防水スプレーなのに防水じゃないの?

名前はそうなんですけど、中身は撥水みたいですよ。登山靴のつくりから一緒に見ていきましょう。

りょう
りょう

登山靴の防水は内側のメンブレンが担う

登山靴の防水を担うのは、表地の内側にある防水透湿メンブレンです。LOWA公式も、GORE-TEXのライニングは靴の内側にあり、表地の手入れとは直接関係しないと説明しています。(出典:LOWA公式『Care tips』)

つまり撥水スプレーをかけても、靴が「防水」になるわけではありません。スプレーが担うのは、表地に水を吸わせないための撥水。メンブレンとは別の層の仕事です。

防水と撥水の分担

内側のメンブレンが水を通さない(防水)。表地の撥水が水を吸わせない(撥水)。スプレーで手入れできるのは表地側だけです。

ゴアは靴の試験で、アッパー(表地)に水を吸い上げない性質を求めています。表地が吸った水を、ライニングを越えて靴内へ運ばせないためです。

撥水スプレーは、メンブレンの性能を足すものではありません。表地の「吸わない」状態を保つ手入れだと考えると、役割がすっきりするかなと思います。

終日雨でも浸水しなかったGTX靴に撥水が要る理由

僕が履いていたのは、キャラバンのC1_02S(GORE-TEX)。2018年8月の槍ヶ岳では下山日が終日雨でしたが、浸水は一切ありませんでした。

防水という意味では、メンブレンがきちんと仕事をしてくれたわけです。それでも撥水が要るのは、浸水とは別の「濡れ」があるから。

ニクワックス公式は、表地の生地やレザーが水を吸うと靴の透湿性は低下すると説明しています。アークテリクスはこの状態をウェットアウトと呼び、表地が呼吸しなくなると内側で汗が結露し始めるとしています。

米国の山岳団体AMCは、GORE-TEXブーツの内側が濡れる原因を3つ挙げています。撥水スプレーで手を打てるかどうかで整理すると、次のとおりです。

内側が濡れる原因起きること撥水スプレーで防げるか
透湿の限界汗の量に透湿が追いつかず、表地が水で飽和すると透湿がほぼ止まる一部は防げる(表地の飽和は撥水で抑えられるが、汗の量そのものは防げない)
履き口からの浸入足首の靴下が雨や濡れた草の水を吸い、靴内へ運ぶスプレーだけでは防げない
メンブレンの損傷使用による穴・裂けや製造不良防げない(3つの中で最も可能性は低い)

「メンブレンは無事なのに足が湿る」と感じたら、表地の撥水切れや汗の量、履き口からの水を先に確かめます。メンブレンからの浸水を疑うのは、そのあとの順番になります。

撥水スプレーは、破れたメンブレンを直すものではありません。撥水を戻しても浸水が続くなら、購入店や靴メーカーに相談してください。

関連記事:ゴアテックスの登山靴に防水スプレーは必要?蒸れない選び方

登山靴の撥水スプレーは対応素材の表示で選ぶ

登山靴の撥水スプレーは、「靴用」で、自分の靴の素材に対応と表示された製品を選ぶのが基本です。成分の系統より先に、ラベルの対応素材と使えない素材を確かめてください。

革・スエード・ナイロンなど登山靴の素材ごとに、靴用で対応素材の表示がある撥水スプレーを選ぶ流れの図

同じ撥水スプレーでも、製品ごとに使えない素材が決まっています。ウェア用の製品を靴に流用すると、表示上の対象外になることがあるんですよね。

ゴウ
ゴウ

フッ素とかシリコンとか書いてあって、どれがいいのか分からないよ。

僕も最初は迷いました。系統の前に、まずラベルの対応素材を見るのが近道みたいですよ。

りょう
りょう

フッ素系とシリコン系はどちらが登山靴向き?

靴用として売られている撥水スプレーの主流は、フッ素系のエアゾールと、水性・PFASフリーのタイプです。前者はアメダスやコロニル ウォーターストップ、後者はニクワックスやグランジャーズが代表例。

東京都の報告書によると、撥水性の樹脂にはフッ素系とシリコーン系があり、両方を含む商品もあります。性質の違いは次のとおりです。

項目フッ素系シリコーン系
撥水・撥油水も油もはじく水ははじくが、油をはじく効果は弱い
持続性摩擦などで剥がれやすく、持続性は弱い剥がれにくく、持続性がある
見た目への影響生地の変色などは少ない白く濁ったり変色したりする場合がある
吸い込んだとき肺に悪影響があるフッ素ほどではないが肺に悪影響がある

フッ素系の持続性が弱いのは、山行のたびに状態を見てかけ直す理由になります。手間はかかりますが、そういう道具だと割り切るのがいいかなと思います。

シリコン系を登山靴に使うかどうかは、樹脂の種類だけでは決められません。たとえばモンベルのはっ水スプレー(シリコーン樹脂)は、皮革・布靴・靴のゴム底を使えない素材として表示しています。

一方で同じ製品は、防水透湿性素材の性能も損なわないと公式に表示しています。「シリコン系は蒸れる」と断定できる公的な根拠は見当たらないので、製品ラベルの対応素材表示に従うのがいちばん確実です。

PFAS規制の流れで、同じブランドにフッ素系のアメダスとPFAS不使用のアメダスNeoが並ぶようになりました。PFAS不使用品は乾燥に半日〜1日かかるなど、使い勝手も変わります。

ウェア用の撥水スプレーは靴に流用しない。靴には、靴や革への対応が明記された製品を使いましょう。

革・スエード・ナイロン別に使える使えない

素材別の答えを先に表にまとめます。どの素材でも、製品の表示で対応していることが前提です。

アッパー素材撥水スプレー注意点
スムースレザー(フルグレイン)○ 靴用・革対応の製品靴メーカーはワックスでの手入れを基本としている
ヌバック・スエード(起毛革)○ 起毛革対応と表示された製品淡い色は濃く変色することがある
ナイロンなどの布+GORE-TEX○ GORE-TEX対応の製品(ゴアは水性を指定)製品によって、吹く前の靴の状態(湿った/乾いた)が違う
ゴム(ランド・ソール)× 使えないゴムにかからないように吹く
エナメル・ビニル系製品によるアメダスは不可、コロニル ウォーターストップは対応と表示

スムースレザーについて、ホグロフスとハンワグは靴用ワックスでの手入れを基本にしています。スプレーはあくまで補助の位置づけ。ホグロフスは油性のグリスを使わないよう注意しています。

ややこしいのが、ゴアの案内との食い違い。ゴアは、ワックスやグリスはGORE-TEX靴の透湿性に影響する可能性があるとして、使わないよう求めています。

GORE-TEX入りの革靴なら、水性スプレーを中心にし、ワックスは靴メーカーの指示に従うのが無難です。手持ちの靴の取扱説明を優先してください。

ヌバックやスエードは、ホグロフスが使い始め前にタンや靴紐まで含めて撥水剤を、と案内しています。乾いたらスエードブラシで毛並みを戻す流れ。淡い色の靴は、目立たない所で色の変化を試すと安心ですね。

ナイロンなどの布とGORE-TEXを組み合わせた靴は、ゴアが水性スプレーを指定しています。製品によって濡れた靴に吹くものと乾いた靴に吹くものがあるので、手順の違いはかけ方の章で詳しく見ていきます。

ゴムのランドやソールには吹かないでください。アメダスやモンベルは、ゴム素材を使えない素材として表示しています。

アメダスやニクワックスを4つの軸で比べる

製品選びは、人気順よりも自分の靴と使い方に合うかで決めるのが近道です。比べる軸は、次の4つで足ります。

  • 靴・素材への適合表示(革・起毛革・GORE-TEX対応か、ゴムやエナメルは不可か)
  • 成分の系統(フッ素系エアゾールか、水性・PFASフリーか)
  • 吹くときの靴の状態(乾いた靴か、湿った靴か)
  • 乾燥にかかる時間

代表的な靴用の撥水スプレーを、この4軸で並べました。価格はメーカー公式で確認できたものだけを載せています。

製品系統吹くときの靴乾燥の公式目安公式価格(税込)
コロンブス アメダスフッ素系エアゾール乾いた靴15分以上420mL 2,420円/180mL 1,870円/60mL 880円
コロンブス アメダスNeoPFAS不使用・ノンガス乾いた靴(汚れをブラシで落とす)約半日〜1日―
コロニル ウォーターストップフッ素系乾いた靴乾いた後に乾拭き・ブラッシングで仕上げ―
ニクワックス ファブリック&レザープルーフ水性・PFASフリー清潔で濡れた靴室温で自然乾燥―
グランジャーズ フットウェアリペルプラス水性・PFCフリー洗ったばかりの湿った靴完全に乾かしてから使用―
モンベル はっ水スプレーシリコーン系靴は対象外(布製品用)――

短い時間で仕上げたいならフッ素系エアゾール、GORE-TEXのメーカー指定に沿うなら水性。そう考えると選びやすいかなと思います。どれを選んでも、最後にラベルの対応素材を確認してください。

ちなみに、水滴が玉になって転がるうちはスプレーは要りません。撥水が弱ったと感じたら、買い足す前にまず洗って、戻るかどうかを見てみるのも手です。

コロンブス アメダス

フッ素系エアゾール。スムースレザー・スエード・布地に対応と表示され、乾燥15分以上と短めです。

価格目安:420mL 2,420円(税込・公式)

コロンブス アメダスNeo

PFAS不使用のノンガスタイプ。乾燥に約半日〜1日かかるので、前日までの施工向きです。

コロニル ウォーターストップ

フッ素系。スムースレザー・起毛皮革・エナメル・防水透湿素材に対応と表示されています。

ニクワックス ファブリック&レザープルーフ

水性・PFASフリー。清潔で濡れた靴に吹くタイプで、淡い色は目立たない所で試すよう案内されています。

グランジャーズ フットウェアリペルプラス

水性・PFCフリー。GORE-TEX・eVent・スエード・ヌバック・レザー・ファブリックに対応と表示されています。

撥水スプレーのかけ方|距離・量・場所

撥水スプレーは、汚れを落としてから、屋外で15〜20cm離して薄く重ねるのが基本です。距離や量の目安は、メーカー間でほぼそろっています。

汚れを落とし、屋外の風上で15〜20cm離して薄く重ねてかける撥水スプレーの手順図

汚れの上から吹いても、撥水は定着しません。順番を守るだけで仕上がりが変わるので、ここは丁寧にいきたいところですよね。

汚れを落としてから15〜20cm離して薄く重ねる

最初にやるのは洗浄です。ゴアの手順は「洗う→乾かす→撥水を再施工」の順になっています。(出典:GORE-TEX公式『GORE-TEX フットウェアのお手入れ』)

  • 靴紐を外し、中の砂や小石を振り落とす(できればインソールも外す)
  • ブラシやスポンジで泥を落とし、ぬるま湯と少量の液体洗剤で洗ってすすぐ
  • 直接の熱を当てず、適度な温度で自然乾燥させる
  • 水が玉にならなくなっていたら、撥水を再施工する

ゴアは、漂白剤や洗濯機を使わないよう案内しています。革の靴は、靴メーカーの指示を優先してください。

吹き付ける距離と量の目安は、製品ごとに次のとおりです。

製品・発信元距離量・吹き方の目安
モンベル(公式の手入れ案内)約15cm乾かしながら何層にも薄く
ニクワックス約15cm清潔で濡れた靴に吹く
コロニル ウォーターストップ約20cm表面が軽く湿る程度(30cm四方に4秒)を2回
アメダス―靴は約5秒。軽く吹く→15分乾燥→再度軽く
アメダスNeo約20cm全体に吹き、浸み込みにくい素材は布で塗り伸ばす

共通するのは、一度に厚く吹かず、薄く重ねること。近づけすぎるとシミや白化の原因になると言われるので、距離は守りたいところです。

靴で吹き残しやすいのは、タン(ベロ)・靴紐・縫い目・つま先とかかと。ハイカットなら履き口付近も忘れずに吹きましょう。

履き口から靴下を伝う水は、GORE-TEX靴の内側が濡れる原因の一つでした。ゴムのランドやソールには、かからないように気をつけてください。

初めて使う製品は、目立たない所で色落ちや変色がないかを試してから全体に吹くと安心です。

水性は濡れた靴に、エアゾールは乾いた靴に吹く

製品によって、吹く前の靴の状態が逆になることがあります。ニクワックスやグランジャーズなどの水性は洗って湿ったまま、アメダスなどのフッ素系エアゾールは乾いてからと、それぞれのメーカーが案内しています。

タイプ吹くときの靴代表例
水性(PFASフリー・PFCフリー)洗ったばかりの湿った靴ニクワックス、グランジャーズ
フッ素系エアゾール汚れを落として乾いた靴アメダス、コロニル ウォーターストップ

ニクワックスのように濡れた靴に吹く水性剤なら、洗ったその日にそのまま施工できます。グランジャーズは、余分を布で拭き取り、完全に乾かしてから使うよう案内しています。

少しややこしいのが、LOWAの案内です。溶剤系の含浸スプレーは「少し湿った革」に吹くと深く浸透するとし、水性の含浸スプレーは乾いた革にも施工できるとしています。

ホグロフスも、起毛革は剤によって少し湿った状態のほうがよく浸透すると説明しています。製品ごとに違うので、迷ったらラベルの指示を優先してください。

乾かすときは熱を使いません。ウェアの撥水回復では、乾燥機やアイロンの熱が案内されることもあります。しかし靴については、ゴア自身が直接の熱を避けるよう書いています。

LOWAは日なたや暖房器具のそば、高温の車内に置かないよう注意しています。ニクワックスも、急に乾かすと革が割れると説明。ゴアによると、対流式のブーツドライヤーは使ってよいそうです。

室内は危険|靴へのスプレーと屋内使用が事故の最多条件

撥水スプレーは必ず屋外で、風上から吹いてください。靴への使用も屋内での使用も、吸入事故の相談事例でいちばん多い条件です。

東京都の報告書は、2015〜2019年の5年間に起きた計412件の吸入事故を分析しています。日本中毒情報センターへの相談事例では靴用スプレーが半数近くを占め、東京消防庁の救急搬送事例(18件)では使用対象の61%が靴、使用場所の77%が屋内でした。(出典:東京都商品等安全対策協議会報告『防水スプレー等の安全対策』)

登山靴の手入れは、事故の多い状況にそのまま重なるわけです。都民アンケートでも、危害やヒヤリハットを経験した場所は「玄関(室内)」が最多でした。

症状は、咳や呼吸苦、吐き気、めまいなど。自宅の玄関先で靴に吹いたあと、本人だけでなく家族にも咳き込みが出た事例もあります。

屋外なら安全というわけでもありません。風下から吹いたり、人の近くで使ったりして起きた事故も報告されています。

  • 風通しのよい屋外で、風上から吹く
  • 車内・浴室など閉めきった場所や、屋内では使わない
  • 人や顔の近くに向けない
  • 幼児やペットのいる所で使わない

例外として、ノンガスのアメダスNeoは、メーカーが室内でも使えると表示しています。とはいえ、ガス式のエアゾールは屋外が原則です。

ゴウ
ゴウ

山の上より、家の玄関のほうが危ないなんて意外だね。

僕も意外でした。外に出て、風向きを確かめてから吹くようにしたいですね。

りょう
りょう

撥水スプレーはいつかける?前日と頻度の目安

撥水スプレーは、山行の前日までにかけて乾燥の時間を確保するのがおすすめです。かけ直す頻度は日数で決めるより、水滴が玉になるかどうかで判断します。

山行の前日までにかけておき、水が玉にならなくなったら洗ってかけ直す撥水スプレーのタイミングの流れ

出発前の夜にバタバタしがちな人ほど、手入れの日を決めておくと楽になるかなと思います。

乾燥15分でも効果は24時間後、だから前日に

表面が乾く時間と、効果が最大になる時間は別物です。公式の目安を並べると、違いがよく分かります。

剤・発信元乾燥・効果の公式目安
アメダス(フッ素系エアゾール)15分以上
モンベル はっ水スプレー(ウェア用)20分以上
LOWA(溶剤系の含浸スプレー)効果が最大になるのは約24時間後
ハンワグ屋外でスプレーし、24時間乾かす
アメダスNeo(PFAS不使用・ノンガス)約半日〜1日

表面は早く乾いても、撥水がしっかり効くまでには時間がかかるということ。だから出かける直前ではなく前日にかけるのが安心です。

3Mジャパンの解説も、できれば前日にスプレーして乾燥時間を確保するよう勧めています。

当日の朝しか時間がないなら、アメダスのように乾燥15分以上と表示されたフッ素系エアゾールを薄く吹き、表示の乾燥時間を守ってから履くのが現実的な線です。濡れた靴に吹いて自然乾燥させる水性タイプや、乾燥に約半日〜1日かかるアメダスNeoは、当日の施工には向きません。(出典:コロンブス公式『アメダス』)

山行後に洗って水が玉にならなければかけ直す

かけ直しの合図は、水が玉にならず、表地に染み込むようになったときです。ゴアは、この水滴の様子を再施工の判断基準にしています。

撥水が落ちる主な原因は、汚れ・摩擦・よく曲がる部分の3つ。汚れの上には撥水が定着せず、フッ素系は摩擦で剥がれやすいと整理されています。

PFAS不使用の撥水は、皮脂などの油汚れに弱いという指摘もあります。汗や泥が付いたまま放っておくと、撥水は落ちやすくなると考えておくとよさそうです。

数字の頻度の目安は、発信元によってばらばらです。

発信元かけ直しの目安
ゴア数字は示さず、水が玉にならなくなったら
アメダス毎日履く靴で1〜2週間に1回
LOWA(レザー靴の含浸スプレー)効果は約3週間で低下。次の山行の前に再施工
ハンワグ洗うたびに再施工

登山靴なら、山行後に洗う→乾かす→次の山行の前日に撥水の流れがいちばん公式の案内に沿います。逆に、水滴が玉になって転がるうちはかけ直さなくて大丈夫です。

かけ直しても靴の中が濡れるなら、撥水切れ以外が原因かもしれません。
関連記事:撥水を回復しても浸水するときの原因の切り分けと対処

新品の登山靴は素材で初回施工が変わる

新品の登山靴は、素材によって初回施工の考え方が変わります。起毛革や布の靴は、使い始める前に撥水処理が公式の案内です。

素材初回施工の考え方発信元
スムースレザー最初の山行前の追加の手入れは不要。撥水のリフレッシュは理にかなうLOWA
ヌバック・スエード(起毛革)使い始め前に、タン・靴紐まで含めて全体に撥水剤ホグロフス
テキスタイル・合成素材使い始め前に撥水処理ホグロフス

新品の靴には、工場で撥水加工が施されているのが一般的です。それでも起毛革や布は、使い始める前のひと手間が勧められています。

淡い色の起毛革なら、目立たない所で色の変化を試してから全体にかけてください。初回の手入れが必要かどうかは、靴メーカーの取扱説明で確かめるのが確実です。

登山靴の撥水スプレーのよくある質問

撥水スプレーの効果は、何回くらいの山行で落ちますか?

回数で決まった目安はなく、汚れ・摩擦・靴の曲がる部分の動きで落ち方が変わります。アメダスは毎日履く靴で1〜2週間に1回、LOWAは効果が約3週間で低下するとしています。山行のあとに洗って、水が玉にならなくなっていればかけ直す、と覚えておくと迷いません。

撥水スプレーで登山靴の色が変わることはありますか?

あります。ニクワックスは淡い色の生地や革が濃く変色することがあると案内していて、シリコーン系の樹脂は白く濁る場合があるとされます。初めて使う製品は、目立たない所で試してから全体に吹くと安心ですよ。

レインウェア用の撥水スプレーを登山靴に使ってもいいですか?

製品の表示しだいですが、避けたほうが無難です。たとえばモンベルのはっ水スプレーは布製品用で、皮革・布靴・靴のゴム底を使えない素材としています。靴には、靴や革への対応が明記された製品を選んでください。

撥水スプレーをかけたのに足が濡れるのはなぜですか?

汗の結露か、履き口からの水の浸入を疑ってください。そもそも汗の量に透湿が追いつかないことがあり、撥水が切れて表地が水を吸うと透湿がさらに止まって、汗が靴内にこもります。足首の靴下が濡れた草の水を吸って運ぶこともあります。メンブレンの破れは最後に疑う順番で、気になるときは購入店や靴メーカーに相談しましょう。

山小屋やテント場で撥水スプレーを使ってもいいですか?

おすすめしません。屋外でも風下や人の近くで吹いて事故が起きていますし、車内や浴室など閉めきった場所や屋内では使わないよう注意表示されています。小屋の室内やテントの中も避けたい場所です。乾燥にも時間がかかるので、出発の前日までに自宅の屋外で済ませておくのが安心です。

登山靴の撥水スプレーは素材表示と前日施工が要点

撥水と防水の違い、素材に合う製品選び、かけ方、前日までにかけるタイミングの4つの要点を俯瞰した図
ゴウ
ゴウ

防水スプレーも撥水スプレーも、中身は同じ撥水だったんだね。

そうなんです。あとはラベルの対応素材と、かけるタイミングを押さえれば大丈夫そうですね。

りょう
りょう

登山靴の防水は内側のメンブレンが担い、撥水スプレーは表地に水を吸わせないための手入れです。選び方とかけ方の要点を振り返ります。

  • 防水スプレーも撥水スプレーも、働きは表面で水をはじく撥水
  • GORE-TEX靴でも、表地の撥水が切れると透湿が止まり、汗で内側が湿る
  • 選ぶ基準は成分の系統より、靴用で自分の素材に対応と表示された製品かどうか
  • 汚れを落としてから、屋外の風上で15〜20cm離して薄く重ねる
  • 吹く前の靴の状態(湿った/乾いた)は製品ごとに違うので、ラベルの指示に従う
  • 効果が出るまで時間がかかるので、山行の前日までにかける
  • 水が玉にならなくなったら、洗ってからかけ直す

数値や手順はメーカーの公式情報をもとにした一般的な目安です。正確な使い方は、お使いの製品の表示や公式サイトをご確認ください。靴の状態に不安があるときは、最終的な判断を購入店や靴メーカーに相談するのがおすすめです。

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