こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
トレッキングポールを選ぼうとすると、まず迷うのがT型とI型の違いですよね。調べても「I型は登山向き、T型はハイキング向き」の一言で終わる説明が多いと思います。それだけでは、自分の山行にどちらが合うのか決めきれません。
僕は初めての富士登山にポールを持っていかず、砂利だらけの下山で足を痛めて後悔しました。この記事では、モンベルやシナノの公式の使い方、膝の負担を測った研究、国際山岳連盟(UIAA)の推奨を突き合わせて、型の違いを整理します。
結論から言うと、ザックを背負って起伏を歩く登山ならI型2本、緩やかな道で片手を空けたいならT型1本が基本です。下りでの体重のかけ方、1本か2本か、高齢の親に持たせてよいかまで、順に見ていきましょう。
- T型とI型の形・握り方・本数・長さの違い
- 下りで膝を守るときの体重の預け方と研究データの読み方
- 山行・荷物・年齢で決める1本か2本かの判断基準
- 型別のおすすめモデルと2本分で考える価格帯
初心者はどっち?結論は登山I型2本・散策T型1本
初心者がどちらを買うか迷ったら、ザックを背負って登り下りする山行ならI型2本、緩やかな道を軽装で歩くならT型1本を選ぶのが基本です。決め手は形の好みより、どんな道をどれだけの荷物で歩くかにあります。

| 歩く場面 | 向く型と本数 | 理由 |
|---|---|---|
| 日帰り〜縦走の登山(起伏・下りあり、ザックを背負う) | I型2本 | 起伏や下りで、体を両側から支えられる |
| 整備された遊歩道や観光地をゆっくり散策 | T型1本 | メーカーが想定する「緩やかなコースをゆっくり歩く」使い方に合う |
| 地図やカメラを持ちたい、片手を空けたい | T型1本(または2-Way1本) | 片手が空き、両手がふさがらない |
| 登りも下りもある軽めのハイキングを1本で済ませたい | 兼用2-Way 1本 | 登りはI型、下りはT型の握りに持ち替えられる |
メーカーの説明も、ほぼ同じ線引きです。モンベルはI型を「基本的に2本一組」で使う起伏の多いフィールド向きとしています。T型は「1本で使用」し、比較的緩やかなハイキングコースをゆっくり歩くときに適すると分けています。
T型は「初めて使う人」「腕の力に自信のない人」にも向くとされています。ただ、初心者なら誰でもT型、というわけではありません。北アルプスのように長い下りがある山に行くなら、初心者でもI型2本の方が合う場面が多いかなと思います。
迷ったときの3つの質問
ザックを背負って起伏のある道を歩くか。下りが長い山に行くか。片手を空けたい場面が多いか。上の2つが「はい」ならI型2本、3つ目だけが「はい」ならT型1本が候補です。
「I型=登山・T型=ハイキング」はあくまで一般的な目安です。持病や体力に不安がある方は、使い始める前に医師などの専門家に相談してください。
トレッキングポールのT型とI型の違い早見表
T型とI型の違いは、I型は斜め前に突いて推進力を得る形、T型は真上から体重をかける形という一点にまとまります。握り方・本数・長さの違いは、ほぼこの設計の差から生まれています。

T型とI型って、持つところの形が違うだけじゃないの?
形の違いから、本数も長さの決め方も変わるんですよ。モンベルも、I型は2本・T型は1本と分けて説明しています。
へえ、そうなんだ!じゃあ表で一緒に見比べてみよう。
| 比較する点 | I型 | T型 |
|---|---|---|
| 形 | 棒の延長のようなまっすぐなグリップ | 杖のように上部が横に張り出したT字 |
| 握り方 | ストラップに下から手を通し、横から握る | 手のひらを上からかぶせる |
| 力の向き | 前方・斜めに突いて推進力とバランスを得る | 真上から体重をかける |
| 基本の本数 | 2本1組 | 1本 |
| 長さの目安 | 肘が90度(身長170cmで約115cm) | 身長の約半分(身長170cmで約87cm) |
| 長さ調節の幅 | 伸縮式は105〜130cm前後が多い | 最長100cm前後まで |
| メーカーが挙げる場面 | 起伏の多いフィールド | 緩やかなコースをゆっくり歩く、片手を空けたい |
表の数値はメーカーが示す目安で、モデルによって変わります。正確な仕様は、各メーカーの公式サイトでご確認ください。
グリップの形と握り方:横から握るか上からかぶせる
I型はまっすぐな棒状のグリップで、横から握ります。シナノはストラップで輪を作り、下から手を通してそのまま握るよう説明しています。手とストラップの間に隙間ができないよう、長さを合わせるのがコツです。
T型は、杖のように上部が横に張り出した形です。モンベルの説明では、ストラップの下側から手を通し、親指と人差し指で短いほうの柄をつまみます。残りの指は長いほうの柄に回す持ち方です。
握り方が違うと、力の向きも変わります。I型は前や斜めに突いて体を押し出し、T型は真上から体重をかけやすいのが特徴です。T型が「手が疲れにくい」と言われるのは、手のひら全体で受け止められるからなんですね。
グリップの素材にも違いがあります。メーカー公式の素材比較は見当たらなかったので、比較記事や海外メーカーの説明から一般的な傾向をまとめました。
| 素材 | 一般的に言われる長所 | 一般的に言われる短所 |
|---|---|---|
| コルク | 汗を吸って滑りにくい。使い込むと手になじむ。冬に冷たく感じにくい | 価格が高め。欠けや割れがある。濡れると乾きにくい |
| EVA(発泡樹脂) | 軽い。クッション性があり衝撃を吸収する | 汗を吸わず、手がべたつくことがある |
| ラバー・エラストマー | 耐久性がある。低価格帯に多い | 汗で滑りやすい。重め |
T型は手のひらを上からかぶせるため、I型ほど汗による素材の差は話題になりにくいようです。素材の種類もI型の方が多いので、握り心地にこだわるならI型の方が選ぶ余地は広いと言えます。
形で決まる基本の本数と長さ:I型は長くT型は短め

I型は2本1組、T型は1本で使うのが基本です。長さもI型の方が長く、T型はI型より約3割短いのが標準になります。
| 項目 | I型 | T型 |
|---|---|---|
| 長さの計算(シナノ) | 身長×0.68 | 身長×0.5+2〜3cm |
| 身長170cmの目安 | 約115cm | 約87cm |
| 合わせ方 | グリップを握って立ち、肘が直角になる高さ | グリップの上に手を置き、自然に肘が伸びる長さ |
| 調節範囲の例 | モンベル アルパインポール 105〜130cm | モンベル Tグリップ 80〜100cm |
地形による調整も覚えておくと便利です。シナノは、I型の場合は登りで基準より5cm短く、下りで5〜10cm長くするよう勧めています。登りは前に突きやすく、下りは膝への負荷を減らすための調整です。(出典:シナノ公式『トレッキングポールの使い方』)
気をつけたいのが、背の高い人がT型を選ぶ場合です。モンベルのT型は最長100cm、手の小さい人向けのSは90cmまでです。自分の目安の長さが調節範囲に収まるか、買う前に確かめておきましょう。
伸ばすときはシャフトの「STOP」表示を超えないでください。シナノは、STOPやDANGERの表示が見える状態での使用は破損やけがの危険があるとしています。
兼用2-Wayとは:登りI型・下りT型に持ち替える
兼用2-Wayは、1本のグリップにI型とT型の両方の握りを持たせたタイプです。登りはI型として下の部分を握り、下りはT型として上から握る使い分けができます。
モンベルは2-Wayグリップの製品説明で、「推進力を必要とする登りではI型グリップを使用」と書いています。下りは「ひざへの負担を軽減したい下りでは、体重をかけやすいT型グリップを使用」という説明です。シナノの2WAYグリップも「登りはグリップの下の部分を握り、下りは上から握る」としています。
長さの範囲がT型単体より広いのも利点です。モンベルの2-Wayグリップ アンチショックは80〜120cmまで伸び、T型単体より長さに余裕があります。2本そろえれば、I型に近い使い方もできます。
一方で、グリップに段差がある分、握りの好みは分かれます。1本あたりの重さも、I型の軽量モデルより重めになりがちです。T字の握りと衝撃吸収の仕組みが付くためで、軽さを取るか使い分けを取るかの判断ですね。
下りで膝を守るならどっち?体重の預け方で比べる
下りで膝を守りたいなら、左右対称に体重を分けられるI型2本が向いています。膝の負担を測った研究も、ポール2本を使う条件で行われています。急な下りで上から押さえる握りはT型もI型も同じで、違いは1本で片側だけにかけるか、2本で両側にかけるかにあります。

下りはT型の方が体重をかけやすいんだよね?じゃあT型の方が膝にやさしいの?
握り方だけなら、I型も急な下りでは上から押さえるんです。差が出るのは、むしろ本数のほうなんですよ。
本数? 1本と2本で、そんなに変わるのかな。
そこを公式の説明と研究で確かめてみましょう。
北アルプスの下山は長くなりがちです。僕が新穂高ルートで槍ヶ岳に登ったときは、雨の中、下山だけで6時間45分かかりました。それだけの時間を片側の支えで下るか、両側で支えるか。膝にとっては小さくない差かなと感じます。
下りは型を問わず上から押さえる:預けすぎは禁物
下りでは、I型でも握り方を変えます。モンベルは急な下りで、I型グリップのトップに手のひらを当て、頭全体を覆うようにつかむと安定すると説明しています。LEKIも、下りで握りやすいラウンドトップ形状(エボコン)のグリップを用意しています。
つまり、「急な下りは上からかぶせて押す」握りは型を問わず共通です。T型は、その握りが最初から形になっている道具と考えると分かりやすいと思います。
長さの余裕には差があります。前の章で触れた「下りは長めに伸ばす」調整が、T型ではしにくいのです。もともと身長の約半分と短いため、急な下りで長く伸ばして体の前に突く使い方には余裕が少なくなります。
突く位置も大切です。UIAAは、ポールを体の落下線(フォールライン)のできるだけ近くに突くよう求めています。体から離して突くと回転する力が生まれ、バランスを崩すおそれがあるためです。
T型1本を片側の離れた位置に突くと、体の左右で支点がそろいません。この点の定量的なデータはありませんが、長い下りで片側だけに頼る形になりやすいのは気にしておきたいところです。
下りの突き方は、シナノの説明が具体的です。踏み出した足が地面に着く直前に、反対側のポールを突きます。歩幅を小さくするとポールを突く位置が体に近づき、重心の移動が小さくなって負荷が減るとされています。
ポールに預けすぎない
シナノの目安では、ポールにかかる荷重は平地で約5kgf、大きな段差で約23kgf、転倒しかけたときは約48kgfです。シナノは「バランス保持のための道具で、危険回避用には作られていない」としています。体重を丸ごと預ける使い方は避けてください。
LEKIの取扱説明書も、体重を預けすぎないよう注意しています。医師の取材記事では、下りは体重を乗せすぎず「4本の足で進むようなイメージ」でバランスを取る使い方が勧められていました。この「4本の足」は、ポール2本を前提にした表現です。
2本で膝の負担はどれだけ減る?研究データの読み方
ポール2本を使った下りの実験では、膝にかかる負荷が12〜25%減ったという結果があります。ただし条件付きの値で、T型1本にそのまま当てはまる数字ではありません。
| 研究 | 条件 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Schwameder ら(1999) | 男性8名、傾斜25度の下り | 地面反力・膝関節モーメントなどのピーク値と平均値が12〜25%減 |
| Bohne ら(2007) | 経験のある男性15名の下り。荷物なし・体重の15%・30% | 足首・膝・股関節のモーメントが減少。荷物の重さを変えても同じ傾向 |
| Howatson ら(2011) | 男女37名がデイパックで英国スノードン山を往復 | 下山後の筋力低下が抑えられ、24・48時間後の筋肉痛が有意に低い |
3つの研究は、いずれもポールを両手に持つ条件です。1本だけで測った研究は見当たりませんでした。「ポールで膝の負担が◯%減る」という数字を見かけたら、2本使いでの実験値と読み替えるのが安全です。
数字の大きさにも注意が必要です。Schwamederらの実験は被験者8名の小規模なもので、傾斜25度という条件付きです。膝の負担が減る仕組みそのものも、近年の研究で「今後の課題」とされています。(出典:Schwameder H ら(1999)J Sports Sci『Knee joint forces during downhill walking with hiking poles』(PubMed))
良い面ばかりでもありません。重い荷物を背負って登る実験では、腕を使う分だけ、ポールありの方が心拍数は高くなった例があります。UIAAも、長く常用するとバランス能力が落ちるおそれを挙げています。
ポールは膝を守る道具の一つにすぎません。歩幅を小さくする歩き方や、スクワットなどの筋力づくりと組み合わせて使う道具です。
数値はあくまで実験条件での目安です。膝に痛みがある方は、ポール選びの前に整形外科などの専門家に相談してください。
1本か2本か:山行・荷物・年齢で決める
1本か2本かは、荷物を背負うかどうかで決めるのが分かりやすいです。UIAAの推奨では、荷物なしの歩行で1本と2本に有意な差は示されていません。一方、荷物を背負った歩行では2本の方がバランスが有意に高まるとされています。(出典:UIAA 医療委員会 勧告 No.11『The Use of Hiking Sticks in the Mountains』)

2本持つと、両手がふさがっちゃうよね。1本じゃだめなの?
そこは悩みどころですよね。荷物と歩く道で答えが変わるので、場面ごとに整理してみましょう。
| 判断の材料 | 1本が向く | 2本が向く |
|---|---|---|
| 荷物 | 手ぶらに近い軽装 | ザックを背負う |
| 道 | 緩やかな遊歩道 | 起伏が多い、下りが長い |
| 手の使い方 | 地図・カメラ・手すりを持ちたい | 両手でバランスを取りたい |
| 万一の破損 | 壊れると支えがなくなる | 1本が壊れても残りで歩ける |
1本だからT型、とは限りません。モンベルはI型も1本単位で販売していて、2-Wayカーボンポールは「1本でも使用できます」と明記しています。登りで推進力はほしいけれど片手は空けたい人には、I型1本も選択肢です。逆に、シナノのFAST-125A/Sのように2本セットで売られる製品もあります。
2本の弱点は、両手がふさがることです。岩場や鎖場では型を問わずポールをしまうよう、シナノもモンベルも説明しています。2本だと、しまう手間も2本分になります。
低山ハイキングでもザックを背負うなら2本が安定
低山ハイキングでも、ザックを背負って登り下りのある道を歩くなら2本の方が安定します。山が低くても、荷物の重さや下りの負担がなくなるわけではありません。
分かれ目は、道の種類と下りの長さです。木道や舗装された遊歩道を往復するだけなら、片手が空くT型1本でも困りにくいでしょう。土や岩の登山道を下る区間が長いなら、低山でも2本を持っていくと安心です。
迷いやすいのは、小さめのザックで日帰りの低山に行く場合ですよね。地図で下りの区間がどれくらい続くかを確かめ、長いなら2本、平坦な尾根歩きが中心なら1本と決めると迷いません。
初心者が後悔しやすい例も挙げておきます。起伏の大きい山にT型1本で行くと、登りで推進力が得にくく、下りでは長さが足りないことがあります。逆に、I型2本を買って平坦な散策に使うと、両手がふさがって持て余しがちです。
僕がULでも縦走でI型2本を選ぶ理由
僕はULスタイルで荷物を軽くしたい派です。それでも、ザックを背負って長く下る山行ではI型2本を基準に考えています。軽さだけで削らず、必要な安全性は残すという考え方からです。
きっかけは、初めての富士登山での失敗です。吉田ルートの下山は8合目から砂利の坂が続き、階段がほとんどありません。自分の足でブレーキをかけ続けて3時間強下り、両足に5箇所も水ぶくれができました。
あのときポールを持っていかなかったことは、本当に後悔しています。足の親指や小指に負担が集中した感覚は、今でもよく覚えています。
1つ目の理由は、根拠がそろっていることです。前の章で見たとおり、荷物を背負ったときのバランスも、膝の負担を測った研究も、どちらも2本の側の話です。
2つ目は、僕の山行の中身です。テント泊や縦走ではザックが大きくなり、北アルプスでは下山だけでも長い時間を歩きます。重い荷物で長く下る山行ほど、両側で支えられるポールに頼りたくなります。
2021年10月に穂高岳山荘でテント泊したときも、大型ザックを背負い、トレッキングポールを持って歩きました。同じ山行で通ったパノラマコース周辺では、「ストック使用禁」と書かれた手書きの看板も見かけています。ポールを持つなら、使えない区間ですぐにしまえる準備までがセットです。
3つ目は重さです。一般的には、I型を両手に持つ方がT型より重くなります。たとえばモンベルのアルパインポールは1本210gで、2本なら420g。Tグリップ アンチショックは1本223gなので、倍近い差になります。軽さを大事にするULの立場では、見過ごせない差です。
ただ、I型の軽量カーボンには1本約99gのモデルもあります。これなら両手分そろえても、T型より軽く収まる計算です。ULでも両手に持てるのは、こうした軽いI型があるからですね。
高齢の親に杖代わりは別物:SG規格と杖との違い
高齢の親に持たせたい場合は、山歩きの補助と日常の歩行補助を分けて考えるのが大切です。T型は見た目が杖に似ていますが、規格の上では杖とトレッキングポールは別の道具として扱われています。
製品安全協会のSG基準では、「棒状つえ」の適用範囲からトレッキング用ポールが除かれています。棒状つえは、つえ無しで自立歩行できる人が、より安定して歩くために補助的に使うものとされています。(出典:製品安全協会『棒状つえのSG基準』)
左右の手に持つウォーキング用ポールにも基準があります。こちらは取扱説明書に、「高齢者の歩行補助や松葉杖などの医療器具として使用しない」旨の記載を求めています。歩行能力の維持を目的にした「ウォーキングサポート用」だけは例外です。
設計の考え方も違います。杖は日常の平らな道で体を支える道具で、トレッキングポールは山道の傾斜や段差を歩く動きの中で力を受ける道具です。自分の足で歩ける人が山道でバランスを補うならポール、日常の歩行を支えるなら杖、と分けて選ぶのが安全です。
UIAAは、高齢の方や関節に持病がある方を、ポールの使用を勧める対象の筆頭に挙げています。そのうえで、長く常用するとバランス能力が落ちるおそれも書かれています。
日常の歩行に不安がある方の道具選びは、かかりつけ医や理学療法士などの専門家に相談してください。
型別おすすめと価格帯:I型は2本分で考える
価格を比べるときは、I型は2本そろえた費用で考えるのがポイントです。T型は1本で完結しますが、I型を2本で使うなら費用も2本分かかります。1本売りのモデルは価格を2倍し、2本1組で売られているモデルはその価格のまま比べてください。
| 型 | 1本あたりの価格の幅(2本組は1本換算) | 代表例 |
|---|---|---|
| T型(単体) | 7,800円〜12,100円 | モンベル Tグリップ アンチショック 7,800円 |
| 兼用2-Way | 7,150円〜12,700円 | シナノ 4C-R 7,150円、シナノ 3YS-HSS 2W 9,350円 |
| I型 | 8,000円〜17,875円 | モンベル アルパインポール 8,000円(1本)、ブラックダイヤモンド トレイル 18,700円(2本組・1本換算9,350円) |
価格は2026年時点でメーカー公式に載っていた税込価格の目安です。たとえば、モンベルのアルパインポールを2本そろえると16,000円になります。T型1本との差は、型の差というより本数の差と考えると分かりやすいですよね。
I型は価格の幅が広く、上の価格帯はカーボン・折りたたみ・軽量化のコストです。T型と2-Wayはアルミが中心で、価格帯は狭めです。最新の価格は、各メーカーの公式サイトでご確認ください。
I型のおすすめ:伸縮か折りたたみか・軽量を2本
I型は、収納の仕方と重さで選ぶと絞り込みやすいです。伸縮式は収納時55〜60cmと長めですが、分解して手入れしやすく、修理も比較的安く済みます。折りたたみ式は39〜42cmほどに縮み、電車移動やザック内の収納に向きます。
| モデル | 方式 | 価格(税込) | 主な仕様 |
|---|---|---|---|
| ブラックダイヤモンド トレイル | アルミ・伸縮式 | 18,700円(2本組) | 使用長100〜140cm |
| シナノ フォールダーUL | カーボン・折りたたみ(長さ固定) | 14,300円(1本) | 105cmで約99g、収納39〜42cm |
| ブラックダイヤモンド ディスタンスカーボンFLZ | カーボン・折りたたみ+長さ調節 | 35,750円(2本組) | 使用長95〜110cm |
ブラックダイヤモンドのトレイルは、アルミの伸縮式で100〜140cmまで調節できます。背の高い人や、登り下りで長さを細かく変えたい人に合わせやすいモデルです。
ブラックダイヤモンド トレイル
アルミの伸縮式で長さ調節の幅が広い定番モデル。2本1組の販売なので、1点で両手分がそろう
価格目安:18,700円(2本組・税込)
シナノのフォールダーULは、105cmで約99gという軽さが特徴です。長さ調節ができない代わりに軽く、長さごとに身長の目安が決まっています。105cmは身長155〜160cm、110cmは161〜166cm、115cmは167〜172cmが目安です。
シナノ フォールダーUL
2本そろえても軽く収まる折りたたみ式。長さ固定なので身長に合う長さを選ぶ
価格目安:14,300円(1本・税込)
ブラックダイヤモンドのディスタンスカーボンFLZは、カーボンの折りたたみ式に長さ調節を加えたモデルです。価格は高めですが、収納の小ささと調節のしやすさを両立したい人の候補になります。
ディスタンスカーボンFLZ(ブラックダイヤモンド)
折りたたみと長さ調節を両立したカーボンモデル。収納を小さくしたい縦走向き
価格目安:35,750円(2本組・税込)
カーボンは軽くて硬い反面、強い力がかかると折れる可能性があります。アルミ合金は折れる前に曲がりやすい性質ですが、どちらも想定を超える力がかかれば壊れることがあります。使い方に合わせて選んでください。
T型と兼用2-Wayは軽量の伸縮ステッキから
T型や2-Wayを選ぶなら、衝撃吸収付きの軽い伸縮ステッキから探すのがおすすめです。どのモデルも1本使いが前提で、モンベルは「1本での販売」と明記しています。
| モデル | グリップ | 1本の価格 | 重さ | 使用長 | 収納長 |
|---|---|---|---|---|---|
| シナノ 4C-R | 2WAY | 7,150円 | 約220g | 86〜98cm | 40cm |
| シナノ 3YS-HSS 2W | 2WAY | 9,350円 | 約235g | 66〜90cm | 47cm |
| モンベル Tグリップ アンチショック | T型 | 7,800円 | 223g | 80〜100cm | 54cm |
| モンベル 2-Wayグリップ アンチショック | I型+T型 | 8,900円 | 250g | 80〜120cm | 59cm |
シナノの3YS-HSS 2Wは、日本製のアルミ3段です。下段シャフトの上部に、2段階の衝撃吸収システムを備えています。最短66cmまで縮むので、小柄な人にも合わせやすいモデルです。
一方で最長は90cmなので、背の高い人は自分の目安の長さに届くか確認してください。
3YS-HSS 2W(シナノ)
日本製のアルミ3段・2段階の衝撃吸収付き。小柄な人にも合わせやすい2WAYステッキ
価格目安:9,350円(1本・税込)
シナノの4C-Rは、アルミ4段で収納時40cmとコンパクトです。86〜98cmを2.5cm刻みで調節でき、価格もこの中では手ごろな部類です。
シナノ 4C-R
収納40cmのアルミ4段2WAYステッキ。手ごろな価格で1本から試しやすい
価格目安:7,150円(1本・税込)
モンベルにも、表の2モデルを含むT型や2-Wayのラインアップがそろっています。店頭で握り比べられる機会があれば、T字の握り心地を確かめてから選ぶと失敗しにくいはずです。
購入前の確認ポイント
1本売りか2本セットか。自分の身長での目安の長さが調節範囲に入るか。収納長が電車移動やザックの大きさに合うか。この3点は、型を問わず確かめておきましょう。
トレッキングポールのT型とI型のよくある質問
T型を2本そろえて使ってもいいですか?
メーカーはT型を1本で使う前提で説明しています。2本で使いたいなら、I型か兼用2-Wayを2本そろえるのが現実的です。2-Wayなら、2本そろえればI型に近い使い方もできます。
グリップはコルクとEVAのどちらがいいですか?
季節と汗の量で選ぶのがおすすめです。汗をかく夏山や、冬に手が冷えやすい人には、汗を吸って滑りにくく、冷たく感じにくいコルクが合います。軽さを優先するならEVAですが、汗を吸わないぶん夏はべたつくことがあります。今のグリップが汗で滑るなら、モンベルが別売しているシリコーングリップテープを巻く方法もあります。
小柄な人や手の小さい人はどれを選べばいいですか?
まず、最短の長さを確認してください。シナノの3YS-HSS 2Wは66cmまで縮みます。モンベルにも、手の小さい人向けのTグリップ フォールディングポール S(70〜90cm)や、小柄な人向けの2-Wayグリップ アンチショック S(75〜110cm)があります。I型なら身長×0.68が長さの目安なので、その長さに合わせられるかを見ておくと安心です。
アンチショック(衝撃吸収)機能は必要ですか?
必須ではありませんが、下りの衝撃をやわらげたい人には選ぶ価値があります。LEKIは自社のアンチショックシステムを「衝撃を約40%軽減」と説明していますが、これはメーカー公称の値です。T型や2-Wayは衝撃吸収付きのモデルが多く、モンベルの2-Wayはすべてアンチショック付きです。グリップテープを巻くなら、グリップ下の黒いパーツから約1cm離すようモンベルが注意しています。
岩場や鎖場ではポールをどうすればいいですか?
型を問わず、岩場や鎖場ではポールをしまって両手を使います。シナノは岩稜帯や片側が切れ落ちた場所では使わずにザックにしまうよう、モンベルも両手を使う場所では手を離して収納するよう説明しています。背負ったままポールを留められる後付けのホルダーを使うと、しまう手間を減らせます。
まとめ:トレッキングポールのT型とI型は荷物と下りで選ぶ

T型とI型って、形だけじゃなくて本数や下りの使い方まで違ったんだね。
そうなんですよ。僕なら、荷物を背負って長く下る山行はI型2本、軽装の散策ならT型1本で考えます。
トレッキングポールのT型とI型の違いを振り返ります。迷ったら、ザックを背負うかどうかと下りの長さで考えてみてください。
- ザックを背負って起伏を歩く登山ならI型2本、緩やかな散策で片手を空けたいならT型1本が基本
- 急な下りでは型を問わず上から押さえる握りになり、違いは1本で片側か2本で両側か
- 膝の負担が12〜25%減ったという研究は2本使いの条件で、T型1本にそのまま当てはめられない
- 高齢の親の日常の歩行補助には、トレッキングポールではなくSG基準の杖を検討する
- I型の費用は2本そろえた額(1本売りなら2倍、2本組ならそのまま)で考え、T型・2-Wayは衝撃吸収付きの軽い伸縮ステッキから選ぶ
価格や仕様は変わることがあるので、正確な情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。膝や持病に不安がある方は、最終的な判断を医師などの専門家にご相談ください。自分の山行に合った1本、または2本で、安全に山歩きを楽しんでくださいね。
