こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
岩場のある山に行くと決まったとき、地味に悩むのがヘルメットの運び方ですよね。被らない区間では、かさばるヘルメットをザックのどこかに付けて歩くしかありません。市販のホルダーは2,000円からなので、手持ちの道具で自作できないかと考える人も多いかなと思います。
僕は2017年に初めて奥穂高岳へ登ったとき、ヘルメットを持っていきませんでした。下山で寄った涸沢ヒュッテには、ザイテングラートで滑落した人のヘルメットがキズ跡つきで展示されていました。今は、岩場のある山ではヘルメットを被る前提で装備を考えています。
この記事では、ヘルメットホルダーを自作する方法をまとめました。材料と手順から、外れないかの確認まで具体的に書いています。あご紐で留めるだけの最小の代用や、市販品を選ぶべき場面も正直に比べました。
- ショックコードとコードロックで作る4点固定ホルダーの材料と手順
- 自分のザックに付けられるかを見分ける固定点のチェック方法
- カラビナ1点吊りが危ない理由と、出発前の外れない確認テスト
- 自作と市販(2,000円〜)のどちらを選ぶかの判断基準
結論|ショックコード4点固定の自作が最安で実用的
結論から言うと、ショックコードとコードロックで、ザックのループ4点にヘルメットを留める自作がいちばん実用的です。材料費は数百円で、市販ホルダーと同じく「4点で押さえる」考え方を取り入れられます。伸縮ネットを4点に掛ける方法も、同じ考え方の仲間です。

ヘルメットって、カラビナでザックにぶら下げるだけじゃダメなの?
手軽そうに見えますよね。どんな付け方なら安心か、一緒に確かめてみましょう。
4点にこだわる理由は、市販品の構造にあります。モンベルやザ・ノース・フェイス、マムートなど主要なホルダーは、どれも四隅をザックに掛ける作り。点ではなく面で押さえるので、歩いても揺れにくくなります。
自作のよいところは、コードロックで後から張りを締め直せる点です。ザックの中身が減ると前面がへこみ、張りが抜けやすくなります。締め直せる構造なら、その日の荷物の量に合わせられますよ。
| 運び方 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| ショックコード+コードロックで4点固定 | ◎ 本命 | 数百円・面で押さえる・締め直せる |
| 100均の伸縮ネット+S字フック | ○ 手軽 | 安いが重く、フックの掛かり次第 |
| あご紐をベルト2本に通す | △ 最小の代用 | 道具不要だが前後の振れが残る |
| カラビナで1点吊り | × 勧めない | 揺れ・引っかけ・落下の原因 |
| 市販ホルダー | ○ 脱着が多い日 | 手順が一定で、扱いが速い |
カラビナ1点吊りは、揺れて岩や人に当たり、落下の原因にもなるため、代用としては勧めません。
一方で、岩場の前後で何度も脱着する山行なら、市販ホルダーの方が確実かなと思います。自作にこだわる必要はありません。どちらを選んでも、ヘルメット本体を削る話にはしない。これが大前提です。
自分のザックに自作ホルダーを付けられるか
ヘルメットを囲む位置に固定点が4か所あれば、自作ホルダーは付けられます。デイジーチェーンやギアループ、コンプレッションベルトが主な候補です。前面がフラットでループの無い小型ザックは、市販ホルダーも付けられないことがあります。その場合は、あご紐で留める最小の代用か、ザック内収納を考えましょう。
まずは自分のザックを手に取って、前面と側面を眺めてみてください。ループやベルトがどこにあり、ヘルメットの四隅に届くかを確かめるところから始めます。
デイジーチェーンなど使える固定点の見分け方
登山ザックで使える固定点は、大きく6種類あります。それぞれ使い方が違うので、表で整理しました。
| 固定点 | どこにあるか | 自作・代用での使い方 |
|---|---|---|
| デイジーチェーン | 前面に縦に縫われたループ列 | コードやあご紐を通す。4点の位置を選びやすい |
| ギアループ・前面のループ | 前面の下部・上部 | フックやコードを掛ける |
| コンプレッションベルト | 側面・前面の厚み調整ベルト | フックを掛ける。ベルトをあご紐や通気孔に通す |
| 雨蓋のストラップ | 雨蓋の上・前 | あご紐の帯に通す。上部は抜けやすい場合がある |
| 前面のショックコード | 前面に張られた伸縮コード | ヘルメットを挟む。あご紐の固定と併用する |
| アイスツールホルダー | 前面の下部 | ヘルメットの通気孔に通して固定する |
いちばん使いやすいのはデイジーチェーンです。ループが縦に並んでいるので、ヘルメットの四隅に合う位置を選べます。コンプレッションベルトは、幅が広すぎるとフックが掛からず、細すぎると外れやすい点に注意です。
前面のショックコードだけでヘルメットを挟む方法は、押さえが弱めです。あご紐の固定と必ず組み合わせると安心かなと思います。
デイジーチェーンの名前に注意
キャンプ用品で売られている「デイジーチェーン」は、ランタンなどを吊るすループ付きテープです。登山ザックの前面に縫われたループ列とは別物で、強度の前提も違います。自作ホルダーに使うのは、ザックに縫い付けられたループの方です。
固定点と合わせて、ヘルメット側も確認しておきましょう。通気孔が多くて大きいモデルなら、孔にコードやベルトを通す方式も使えます。孔が少ないモデルは、ネットや袋で包む方式が向いています。
固定点の位置が合わない時は細引きで橋渡し
固定点はあるのに位置が合わないときは、細引きやミニカラビナで橋渡しすれば対応できます。ループからヘルメットの角まで細引きを延ばし、その先にコードやフックを掛けるイメージです。
海外の登山者フォーラムでは、市販ホルダーの付属クリップがザックのループに合わないことが多い、という指摘がありました。紐やミニカラビナで合わせる、サイドリリースバックルを縫い付ける、といった工夫も紹介されています。合わないのは、自作に限らない悩みなんですよね。
橋渡しで気をつけたいのは、ヘルメット側に手を加えないことです。フックや面ファスナーをヘルメットに貼り付ける改造は避けましょう。ペツルの取扱説明書は、水性接着剤と純正ステッカー以外の接着剤や塗料を使わないよう求めています。(出典:ペツル『ボレオ 取扱説明書(TECHNICAL NOTICE BOREO)』)
加工はザック側と紐側だけにして、ヘルメット本体には貼らない・塗らないを守ってください。
ヘルメットホルダーを自作する材料と作り方
自作の型はいくつかありますが、まず試すなら伸縮コード式、手軽さ重視ならネット式がおすすめです。どちらも市販ホルダーの「4点固定+伸縮素材の張り」を再現する作り。ほかに通気孔式・手編みネット式・袋式もあるので、特徴を表にまとめました。

| 型 | 主な材料 | 揺れ・外れにくさ | 手間 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 伸縮コード式 | 伸縮コード・コードロック | 4点で面固定・締め直せる | 中 | 前面にループが多いザック |
| ネット式 | カゴ用ネット・S字フック | フックの掛かりと張り次第 | 小 | フックが掛かるベルトが4か所ある |
| 通気孔式 | ザックのベルト・コード | 孔に通す分ずれにくい | 小 | 通気孔の多いヘルメット |
| 手編みネット式 | タコ糸・細引き | 網目にベルトを通す | 大 | 工作が苦にならない人 |
| 袋式 | 巾着袋・ハトメ・ゴム | 4か所のゴム次第 | 中 | 雪や雨の中で運ぶ |
雪や雨の中で運ぶなら、袋で包む型も選択肢です。ダイソーの巾着袋の4か所にハトメを付けてゴムを通し、カラビナで留めた実例があります。ネットだと雪が入って冷たくなったため、袋に作り替えたそうです。
UL目線で選ぶ材料|丸ゴムとコードロックで数百円
伸縮コード式の材料は、直径3mm前後の丸ゴムとコードロックだけです。登山用品店の補修パーツ売り場で揃います。ULで山を歩いている僕から見ても、パーツが少なく軽くまとまるのが魅力です。
| 材料 | 公式価格(税込) | ポイント |
|---|---|---|
| モンベル 3mm 丸ゴム | 63円(1m単位) | 寝袋やテントポールの交換用パーツ |
| モンベル コードロック S | 396円(2個入り) | Φ3mm以下の丸ひもに対応 |
| モンベル コードロック M | 462円(2個入り) | Φ3mm対応 |
| ミニカラビナ・小さなフック | 手持ちを活用 | ループにコードを直接通せないとき |
試算すると、丸ゴム2mとコードロックSで合計522円です。コードロックMにしても588円に収まります。市販ホルダーと比べて、財布へのダメージはかなり小さいですよね。
ただ、コードの長さは自分のザックとヘルメットに当てて実測するのが基本です。上の長さは、あくまで計算のための目安。合わないパーツの買い直しや、試行錯誤の時間は材料費に入っていない点も覚えておいてください。
もう一つの利点は、ヘルメットを使わない日の使い道です。コードを緩めておけば、脱いだレインウェアやフリースの一時置き場になります。ただしヘルメットより形が崩れやすいので、張りを締め直してから歩きましょう。
価格は2026年10月に公式ストアで確認したもので、変わることがあります。補修用パーツとして売られている品なので、購入前に公式サイトで仕様を確かめてください。(出典:モンベル公式オンラインショップ『3mm 丸ゴム』)
4点に通しあご紐も留めて二段で固定する手順
手順のポイントは、コードで4点を締めたうえで、あご紐も別の場所に留めて二段にすることです。コードだけに頼らず、外れても落ちない保険を用意します。
- ヘルメットをザック前面に当て、四隅に来る固定点を4か所決める
- コードを4点に通し、ヘルメットの上でX字(対角線)か井桁に交差させる
- コードの両端をコードロックに通し、引いて張りを調整できるようにする
- ヘルメットを付けた状態で長さを実測し、締めても端が余る長さで切る
- コードの端に結び目を作り、コードロックから抜けないようにする
- あご紐を雨蓋のベルトや別のループに通し、バックルを留めて二段目にする
X字と井桁のどちらが合うかは、ループの配置しだいです。実際に掛けてみて、ヘルメットが中央からずれない方を選びましょう。
通気孔にコードを通せるヘルメットなら、さらに安定します。海外の登山者フォーラムには、ショックコードで自作して問題なく使えている、という報告がありました。孔に通せるなら非常によく機能する、という声もあります。
あご紐の二段目は、コードが外れたときにヘルメットを落とさないための落下防止の保険です。
手袋をしたままコードロックを扱えるかも、家で試しておくと安心です。結び目が固いと、岩場の手前で外すのに手間取りますよ。
100均ネットとS字フックで包むネット式の付け方
ネット式は、伸縮ネットをヘルメットに被せ、四隅のフックをザックに掛けるだけの手軽な方法です。市販のシート型ホルダーに最も近い形で、材料は100円ショップで揃います。
| 材料 | 公式価格(税込) | メモ |
|---|---|---|
| ダイソー ツーリングネット 25cm×30cm | 330円 | 四辺伸縮の高弾力メッシュ |
| ダイソー 自転車カゴネット S | 110円 | サイズは公式一覧に記載なし |
| ダイソー S字フック(ストッパー付、4個)66mm | 110円 | ネットのフックが合わない所の橋渡しに |
ネットとS字フックを組み合わせると、合計220円〜440円ほどです。店舗や時期で品揃えや価格は変わるので、店頭で確かめてください。
- ヘルメットをザックの前面か側面に当てる
- ネットを頭頂側から被せ、ヘルメット全体を包む
- 四隅のフックをザックのループやベルトに掛ける
- フックが合わない所は、S字フックや細引き・ミニカラビナで橋渡しする
- 掛けた後にベルトを締める・フックを巻き込むなどして、掛けるだけで終わらせない
- あご紐を別のベルトに留めて二段目の保険にする
注意点もあります。自転車カゴ用ネットとS字フック4個で代用した人は、専用品より何倍も重いとして使うのをやめています。見た目もよくなかったそうです。登山の相談サイトでは、ネットだとヘルメットがザックの真ん中に来る点を気にする相談者もいました。
雪や雨の日は、網目からヘルメットに入り込む点にも気をつけたいところ。軽さや見た目が気になる人は、伸縮コード式の方が満足しやすいかなと思います。
あご紐や通気孔にベルトを通す最小の代用
道具を足さない代用なら、あご紐をザックのストラップ2本に通してバックルを留めるのが基本です。1か所ではなく2点に通すのがポイントで、これだけでもブラブラしにくくなります。
何も買わずに付ける方法もあるんだね。
ありますよ。ただ、手軽なぶん弱点もあるみたいです。一緒に見ていきましょう。
登山の相談サイトでは、2本のストラップにあご紐を通してバックルを留め、念のためカラビナでも確保している回答がありました。登山用品店のガイドコラムも、あご紐は必ず2点に通すよう勧めています。1点留めだと揺れて岩角にぶつかる、というのが理由です。
通気孔を使う方法もあります。側頭部の通気孔にザックのベルトを通せば、ホルダーも網も要らなかった、と書いている個人サイトがありました。ザックのアイスツールホルダーを通気孔に通し、伸縮ゴムで押さえる方法も海外で紹介されています。
雨蓋やサイドのストラップを、あご紐の左右の帯に通す乗せ方もあります。手持ちのほとんどのザックで同じように付けられた、という投稿もありました。
| 方法 | やり方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| あご紐をストラップ2本に通す | バックルを留め、カラビナで二重に確保 | ループが少ないザック |
| 通気孔にベルトを通す | 側頭部の孔にサイドや雨蓋のベルトを通す | 通気孔が多く大きいヘルメット |
| ストラップをあご紐の帯に通す | 雨蓋・サイドのストラップをあご紐の左右の帯へ | 前面に固定点が無い小型ザック |
| ザックの中に入れる | 詰め物をして、押し潰さずに収納 | 容量と開口部に余裕がある日 |
| 最初から被って歩く | 登山口から下山まで被り通す | 電車・バス移動の少ない山行 |
最小の代用の限界
あご紐で留める方法は、ヘルメットの縁だけで支えています。2点に通しても、ネットやコードで覆う方法より前後の振れは残ります。バックルが外れれば落ちるので、カラビナで二重に確保しておくと安心です。
ザックに入れる場合は、押し潰さない余裕を確保してください。ペツルの取扱説明書は、ヘルメットをザックに無理に詰め込まないよう求めています。日帰りの20〜25L級だと入らないこともあるので、容量と相談ですね。
自作ホルダーが外れる・揺れる失敗と防ぎ方
自作でよくある失敗は、固定が点になって揺れることと、掛けただけで締め込んでいないことの2つです。4点で面を押さえ、締め直せる構造にし、あご紐で二段目を取れば防ぎやすくなります。

市販品でも外れることはあります。マムートのホルダーには、何度もヘルメットが抜け落ちたというレビューがありました。フックだけでは足りず、巻き付けてロックする方がよいという指摘もあります。自作でも同じで、掛けた後のひと手間が分かれ目です。
1点吊りがブラブラして岩や人に当たる
カラビナやあご紐の1点吊りは、揺れて岩や人に当たる失敗が、いくつもの体験談で報告されています。登山の相談サイトでは、カラビナ1個だとどうしてもブラブラする、という相談がありました。1泊装備でザックの中に入れる余地がなく、外付けするしかなかったケースです。
個人サイトの筆者は、あご紐だけの一点留めを「人にぶつかったり、岩や枝に引っ掛かり易くなりかなり危険」と書いています。あご紐で吊り下げていた人が「ブラブラして邪魔」と感じ、ネット、さらに袋へ作り替えた日記もありました。
揺れるヘルメットは、自分のバランスにも響きます。カラビナで吊るしていた頃、岩や枝で傷がつき、揺れでバランスを崩すおそれがあったという紹介記事もあります。狭い岩場ですれ違う場面を想像すると、ちょっと怖いですよね。
置き方・移動中の失敗も
ザックの背中と反対側に付けると、地面に降ろしたときにヘルメットが凹むという声があります。ペツルの取扱説明書も、ヘルメットを落とすことや尖った物との接触を禁じています。電車やバスでは、外付けのヘルメットが周りの乗客に当たる点にも注意してください。
ヘルメットを外付けしたまま岩場に入るのは、自作の出来に関係なく避けたい失敗です。
ホルダーは、あくまで被らない区間の運び方です。長野県山岳総合センター所長のコラムに、不帰キレットでヘルメットをザックに付けたまま歩く登山者の例が挙がっています。危険地帯では被って通過する意識が大事だ、というのがコラムの指摘です。
出発前にできる外れない確認テスト
本番と同じ荷物を詰めて背負い、跳ねる・前かがみになるなどの動きで試すのが確認の目安です。安全を保証する試験ではなく、公的な試験方法も無いので、実例や市販品の注意書きから確認項目を組み立てました。
| 確認項目 | やり方 | 不合格のサイン |
|---|---|---|
| 揺れ | 荷物を本番と同じ量だけ詰めて背負い、その場で跳ねる・体をひねる | 左右に振られる・ザックとの間に隙間が開く |
| 抜け | 背負ったまま上体を前に倒す(ヘルメットが下を向く姿勢) | ネットやコードの間から滑り出す |
| 張りの持続 | 中身を少し抜き、ザック前面をへこませて再確認 | コードやネットが緩んでたるむ |
| 二段目の保険 | あご紐の固定だけ残して他を外す | 落ちる・カラビナのゲートが開いている |
| 降ろしたとき | ヘルメット側を下にしない置き方を決める | 置くとヘルメットが地面に当たる |
| 着脱 | 岩場の手前を想定し、手袋のまま外して被る | 結び目やコードロックが固く時間がかかる |
特に見落としやすいのが、張りの持続です。ザックの中身が減ると前面がへこみ、コードやネットがたるみます。水や行動食を消費していく後半ほど緩みやすい、と考えておくといいですね。
行動中も、休憩のたびに緩みを点検しましょう。市販ホルダーの取り付け方でも、同じ点検が勧められています。
自作と市販(2000円〜)の比較|どちらを選ぶか
ヘルメットを使う山行が年に数回で、着脱が少ないなら自作で十分です。岩場の前後で何度も脱着する人や、手袋のまま素早く扱いたい人には市販品が向いています。容量に余裕があるならザックに入れる、山小屋で借りるという手もあります。

結局、作るのと買うのはどっちがいいの?
山行のスタイルしだいかなと思います。ポイントを並べて比べてみましょう。
| 観点 | 自作(伸縮コード式・ネット式) | 市販ホルダー |
|---|---|---|
| 材料費・価格 | 数百円台(試算220円〜588円) | 2,000円〜7,700円(国内公式価格) |
| 手間 | 固定点の選定・実測・試し付けが要る | 買ってフックを掛けるだけ(合わないこともある) |
| 揺れ・外れにくさ | 作り方次第。4点+締め直しなら市販に近い | 4点で面固定。フックだけで外れたレビューもある |
| 着脱の速さ | コードロックや結び目に慣れが要る | 手順が一定 |
| 見た目・重さ | 100均ネットは重く見た目もいまひとつ | 掲載した国内シート型2製品は約60〜77g |
| ヘルメットの保護 | ネットは傷を、袋なら雪も防ぎやすい | 布で覆う。袋型は完全に閉じられる |
| 汎用性 | 固定点を自由に選べる | 対応条件がある製品も |
材料費だけなら自作の方がずっと安く、ザックに合わせて固定点を選べるのも強みです。一方、市販品は買ってすぐ使え、手順もいつも同じ。作り直しの手間をかけたくない人には、この差が大きいかなと思います。
個人サイトの筆者は、店頭で市販ホルダーを見たものの、使用頻度が少なそうだと購入を見送って自作していました。使う回数で決めるのは、すごく合理的な考え方ですよね。
岩稜で何度も脱着する日は市販品が確実
岩場の手前で被り、抜けたらまた外す。脱着を何度も繰り返す山行では、手順が一定の市販品が向いていると思います。コードロックや結び目は、手袋をしていると手間取ることがあります。
僕はジャンダルムも歩いてきましたが、岩稜が続く日ほど、装備には扱いの速さと確実さを求めたくなります。その日の行程に脱着が多いかどうかで、自作か市販かを選ぶのがいいかなと思います。
| 品名 | 公式価格(税込) | 重量 | 形状・固定 |
|---|---|---|---|
| モンベル ヘルメットホルダー | 2,000円 | 77g | シート型・サイドテープ4か所 |
| ザ・ノース・フェイス ヘルメットホルダー(NM91603) | 2,750円 | 約60g | シート型・アルミフック付きウェビング4本 |
| マムート ヘルメット ホルダー | 3,960円 | 公式記載なし | シート型・伸縮素材 |
| マムート ヘルメット ホルダー プロ | 7,700円 | 136g | 袋型・4つのフック+伸縮・調節コード |
シート型は2,000〜4,000円前後で、袋型のプロが上位という価格帯です。ザ・ノース・フェイスは、アルミフック付きの長いウェビングを雨蓋やサイドのベルトに巻ける作り。ループの位置が合わないザックでも、巻き付けて留められるのが特徴です。
ザ・ノース・フェイス ヘルメットホルダー(NM91603)
長いウェビングを雨蓋やサイドのベルトに巻いて留めるシート型。スタッフサック付き
価格目安:2,750円(公式・税込)
マムート ヘルメット ホルダー プロは、ジッパーで完全に閉じられる袋型です。フックを掛けた後に調節コードで締め込める構造で、自作の伸縮コード式と同じ発想。底部のデイジーチェーンにも追加で固定できます。
マムート ヘルメット ホルダー プロ
ジッパーで閉じる袋型。フックと調節コードで締め込めるので、落下が心配な人向け
価格目安:7,700円(公式・税込)
ただし市販品でも、付属フックとザックのループが合わないことがあります。モンベルのホルダーは、左右2本ずつ・幅2cm以下のサイドテープがある中〜大型ザックが対象です。買う前に、自分のザックに掛けられるかを公式サイトの説明で確かめてください。
どちらでもヘルメット本体は削らない
ホルダーで節約しても、ヘルメット本体は登山用の規格品を選び、削らないのが前提です。安く済ませたいからと、作業用や自転車用で代用するのはおすすめしません。
登山用ヘルメットの欧州規格はEN 12492で、UIAA 106はその上に追加要件を課した規格です。頭頂への落石と、転倒で岩に打つ前・側・後頭部の両方を想定して試験されます。自転車用のEN 1078は、想定の違う別の規格です。(出典:UIAA『UIAA 106 Mountaineering Helmets』(第4版))
あご紐の考え方も逆です。産業用のEN 397は、首が絞まらないよう一定の力で外れる設計。山岳用は、500Nの荷重でも外れないことを求めます。
英国登山協会の資料には、産業用ヘルメットをクライミングに使った死亡事例が載っています。衝撃であご紐が外れ、無防備になった頭部にさらに衝撃を受けたそうです。規格の違いは、命に関わる違いだと受け止めておきたいですね。
僕も初めて奥穂高岳に登ったときは、ヘルメットを持っていませんでした。ザイテングラートや山頂への岩場は、他人の落石を自分ではコントロールできません。今振り返ると、あの区間はヘルメット必須だったと思います。
長野県遭対協の通信によると、ザイテングラートでは2016年8月下旬から6件の遭難が続き、3名が亡くなりました。3名とも、ヘルメットを着用していなかったそうです。数字だけ見ても、岩場で被る意味は重いですよね。(出典:長野県山岳遭難防止対策協会『島崎三歩の山岳通信』第43号)
2021年秋に前穂高岳から奥穂高岳へ歩いたときは、ヘルメットを被って稜線を歩きました。その山行の写真には、オレンジのヘルメットをザックに付けて紅葉の涸沢を歩く登山者も写っています。被る区間と運ぶ区間を切り替えるからこそ、ホルダーの出番があるわけです。
レンタルという選択もあります。2021年のGWに泊まった涸沢ヒュッテでは、受付にレンタルヘルメットの貼り紙がありました。小屋で借りれば、小屋までの区間はヘルメットを運ばずに済みます。貸し出しの有無や条件は、各山小屋の公式情報で確認してください。
ヘルメットは、大きな衝撃を受けると見た目に異常が無くても交換対象になります。高温や紫外線、上に座ることでも傷みます。運び方を工夫するのは、この大切な本体を守るためでもあります。
ヘルメットホルダー自作のよくある質問
100均の材料だけでヘルメットホルダーは作れますか?
作れます。ダイソーの自転車カゴネットやツーリングネットに、ストッパー付きのS字フックを組み合わせれば、材料費は220円〜440円ほどです。ただ、専用品より重く見た目もよくないとして、使うのをやめた例もあります。四隅を掛けた後に締め込み、あご紐を別の場所に留めて二段にしてください。品揃えや価格は店舗・時期で変わるので、店頭で確認を。
カラビナでヘルメットを外付けするのは危険ですか?
カラビナ1個で吊るす方法はおすすめしません。固定が点なので揺れやすく、岩や枝、すれ違う人に当たりやすくなります。カラビナが外れれば落下もあり得ます。カラビナは、あご紐を2点に通したうえでの二重確保など、保険として使うのが安心です。
自転車用のヘルメットホルダーは登山でも使えますか?
製品によります。たとえばオスプレーのザックに付くLidLockは、自転車用ヘルメットの固定具として説明されていて、登山用ヘルメットへの適合は公式に明記されていないようです。登山用ヘルメットは形や通気孔の位置がモデルごとに違います。使う前に、自分のヘルメットでしっかり固定できるかを必ず試してください。
ヘルメットはザックのどこに付けるのが安全ですか?
背中と反対側の前面か、側面が基本です。雨蓋側の上部は抜けやすくなる場合があり、雨蓋ポケットも使いにくくなります。前面に付けると後ろに出っ張るので、振り返るときやすれ違うとき、狭い岩の間では周りに注意しましょう。ザックを地面に置くときは、ヘルメット側を下にしない置き方を決めておくと凹みを防げます。
電車やバスで移動するときはどうすればいいですか?
車内では、外付けのヘルメットが周りの乗客に当たることがあります。登山の相談サイトでも、迷惑になるという指摘がありました。混んだ車内ではザックの中に入れるか、外して手に持つなど、周りに当たらない形にするのがおすすめです。
そもそもホルダー自体が要るかどうかは、ヘルメットの脱着回数とザックの容量で判断できます。
関連記事:登山のヘルメットホルダーは必要?要る人・要らない人の判断基準
ヘルメットホルダー自作の要点まとめ|4点固定+あご紐で二段

4点で押さえて、あご紐でもう一段。これなら安心して歩けそうだね!
ですね。危ない区間ではちゃんと被る、もセットで覚えておきたいです。
ヘルメットホルダーの自作は、ショックコードとコードロックでザックのループ4点に留める方法が本命です。安さと実用性のバランスで、いちばん失敗が少ないかなと思います。
- 自作の本命はショックコード+コードロックの4点固定で、材料費は500円台から
- 固定点が4か所あるかを確認し、合わなければ細引きやミニカラビナで橋渡しする
- あご紐を別の場所に留めて二段にし、カラビナ1点吊りは避ける
- 出発前に跳ねる・前かがみ・中身を減らすテストで、揺れと抜けを確かめる
- 岩場で何度も脱着する日は市販ホルダー(2,000円〜)の方が扱いやすい
- ヘルメット本体は登山用の規格品を選び、危ない区間では必ず被る
価格や仕様は、2026年9〜10月に公式ストアで確認したもので、変わることがあります。正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
固定に不安があるときは、登山用品店のスタッフなど専門家に相談してみてください。最終的な判断は、自己責任でお願いします。自分のザックとヘルメットに合う運び方を見つけて、岩場のある山を安全に楽しみましょう。
