こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
手汗をかきやすいと、手袋の中がすぐ湿ってしまいますよね。登りでは気にならなくても、休憩で止まった途端に指先が冷たくなる。ワークマンの安い手袋で何とかならないか、と考える人も多いかなと思います。
僕自身、富士山では7合目あたりで汗と気温のせいで寒くなり、途中で上着を足しました。山頂ではインナーを着替えて汗冷えを防いでいます。汗が冷えのもとになるのは、体でも手袋の中でも同じです。
この記事では、ワークマンの手袋を「汗の逃げ道」で仕分けます。そのうえで、登山で手汗をためない替え方とインナーの使い方までまとめました。なお、ワークマンの手袋は僕自身まだ山で使っていません。比較は公式の仕様と素材をもとにしています。
- ワークマンの手袋に「蒸れない」と言い切れるものはなく、背抜きと替えの運用が軸
- 背抜き・ブレスグリップ・メッシュ・冷感の違いと、低山で選ぶ299円以下の候補
- 手汗で濡れた手袋が冷える理由と、替えのタイミング・インナーの素材
- 鎖場のグリップやスマホ操作、寒い時期の重ね方、臭わない洗い方
手汗の人のワークマン手袋は背抜きと替えが正解
手汗が多い人は、「蒸れない1枚」を探すより通気する背抜き手袋を選び、濡れたら乾いた替えに交換するのが現実的です。ワークマンの公式表示も「ムレを軽減」「蒸れにくい」までで、蒸れないとは書いていません。
夏〜秋の低山なら、ワークマンの背抜きは1双99〜299円。替えを持っても、登山用の薄手グローブ1双より安く収まります。一方で防水・防寒タイプは汗の逃げ道が少なめ。寒い時期は、登山用のインナーとアウターを重ねる方が向いています。
季節と場面ごとに、ワークマンで足りる範囲を整理すると次のとおりです。あくまで公式の仕様と素材から考えた目安として見てください。
| 時期・場面 | 手汗の人の考え方 | ワークマンで足りるか |
|---|---|---|
| 夏の低山・樹林帯 | 通気する薄手1双+替え1双 | 背抜き(15G薄手・COOL)で足りる |
| 夏〜秋の岩場・鎖場 | 乾いた手袋でグリップと手の保護 | 背抜きはグリップ側。ただし登山用途はうたっていない |
| 雨の日 | 行動中は薄手を替え、休憩や強い雨で防水を重ねる | イナレム ギアレイングローブⅡ(透湿防水) |
| 晩秋〜初冬の低山 | 薄手インナー+防風・防水アウター | 防水防寒の1枚ものは登りで汗がこもる側 |
| 雪山 | 3層の重ね方+予備が前提 | 作業用の防寒手袋で代用する領域ではない |
ワークマンの背抜き手袋は作業用で、商品説明は運搬・農業・組立やキャンプ向け。登山はメーカーがうたう用途ではない点を押さえておきましょう。
汗の量が多すぎるなら
手袋の選び方や替え方でできるのは、汗をためない・濡れたら替えるところまでです。汗の量で日常生活に支障が出ているなら、原発性手掌多汗症の可能性もあります。国内では数%(調査により約3〜5%)の人にあるとされ、2023年には保険適用の外用薬も出ています。気になる人は、皮膚科で相談してみてください。(出典:東京医科歯科大学 学位論文要旨『原発性局所多汗症の本邦における疫学調査』)
手汗で手袋が濡れると登山で指先が冷える理由
汗をかくくらい暑いのに、手が冷えるってどういうことなの?
僕も最初は不思議でした。止まったときがポイントみたいですよ。一緒に見ていきましょう。
手袋に残った汗は、止まったあとも蒸発を続けて手から熱を奪います。冷えるのは汗をかいている最中より、休憩や下りで動きが落ちたときです。

日本スポーツ協会のガイドブックでは、汗1gの蒸発で0.58kcalの熱が奪われるとされています。登りでは、この冷却が体の熱を逃がしてくれます。ところが止まって熱を作る量が落ちても、手袋の汗は蒸発をやめません。
さらに、濡れた繊維が肌に触れていると伝導でも熱が逃げます。国立登山研修所のテキストも、熱を失う経路の「伝導」を「雨や汗で濡れる」と結びつけています。手は体の末端にあるぶん、冷えが指先に出やすい部位です。
冷えは指先の器用さにも響きます。個人差はありますが、指先の皮膚温が15℃前後まで下がると、細かい作業がしにくくなる目安が研究で示されています。ファスナーや靴ひも、スマホの操作がもたつき始めたら要注意です。
濡れを断つと冷えが減る
サーマルマネキンを使った実験では、濡れた衣類を取り除くか防湿層を足すと、総熱損失が19〜42%減ったと報告されています。手袋でも、濡れたものを外して乾いたものに替えるのが対策の筋になります。
僕も奥穂高岳へ向かう途中、標高2,300mを超える涸沢ヒュッテで汗が冷えて寒く感じました。温かいラーメンがありがたかったのを覚えています。体の汗でも止まった途端に冷えるので、手袋の中の汗も油断できないなと思います。
ワークマンに蒸れない手袋はある?汗の逃げ道で比較
「蒸れない」と言い切れるワークマンの手袋はありません。公式で「ムレを軽減」「蒸れにくい」とうたう製品はあるので、汗がどこから抜けるかで選ぶのが近道です。

構造ごとに、汗の逃げ道と手汗の人から見た評価を並べました。価格は2026年10月10日時点のワークマン公式オンラインストアの表示(税込)です。
| 構造 | 汗の逃げ道 | 手汗の人から見た評価 | ワークマンでの例 |
|---|---|---|---|
| 背抜き(手のひらだけゴム・樹脂) | 手の甲の編み地 | 甲側は抜けるが、手のひらの汗はこもる | COOL天然ゴム背抜き(299円)、15G薄手背抜き(199円) |
| 背抜き+発泡(エア)コーティング | 甲側+手のひら側 | 手のひらも通気するが、水も通す | ブレスグリップ手袋 タイプR(298円) |
| メッシュ甲+人工皮革の手のひら | 甲側のメッシュ | 甲側の通気は大きい。手のひらは通気しにくい | マックスレザーメッシュ(680円) |
| ポリエステル生地+手のひらクッション | 甲側・手のひら側の生地 | 公式は「ムレも抑える」とうたうが、通気の数値は非公表 | クッション&エアーメッシュ(780円) |
| 全面コーティング・ゴム引き | ほぼ無い | 汗の逃げ道がなく、最も不向き | オールコート、ゴム引き手袋 |
| 透湿防水 | 透湿のみ | 雨は防ぐが、行動中の手汗は処理しきれず蒸れやすい | イナレム ギアレイングローブⅡ(1,900円) |
| 断熱・防水防寒 | 吸放湿・通気口 | 保温が主目的。登りでは汗がこもる側 | 断熱β防水防寒グローブ(2,900円) |
もうひとつ知っておきたいのが、商品ページに重量や透湿度の数値が書かれていない点です。登山用グローブのように数字で並べることはできません。構造と素材から読み取るしかない、というのが正直なところですね。
背抜き手袋は甲から抜けるが手のひらはこもる
背抜き手袋は、手のひら側だけをゴムや樹脂でコーティングした手袋です。甲側は編み地のまま残してあり、ここから空気が抜けます。手のひら側は、コーティングのせいで空気や水蒸気を通しにくい作りです。
そのため、手のひらから出る汗はコーティングの内側にこもりやすくなります。甲側は抜けても、手のひらの汗は残るのが背抜きの限界です。手のひらに汗をかきやすい人ほど、気になりやすいポイントかなと思います。
編みの細かさを表すゲージ(G)も見ておきたいところ。数字が大きいほど糸が細く、薄手でフィット寄りになります。ワークマンでは15Gを薄手、13Gを中厚手、10Gを厚手として売り分けています。
手袋本体の素材も確認しておきましょう。ワークマンの背抜きの多くは、本体がポリエステル100%の化繊です。綿の軍手と違って水を抱え込みにくく、汗で濡れても乾きやすい側の素材になります。
ブレスグリップとメッシュは通気するが水も通す
手のひらまで通気させたいなら、ブレスグリップ手袋 タイプR(298円)が候補です。ショーワグローブ製で、独自の発泡樹脂コーティングを採用しています。手のひらにも通気性を持たせ、ムレを軽減するという説明です。(出典:ワークマン公式オンラインストア『380R ブレスグリップ手袋 タイプR』)
ただし同じメーカーの公式ページは、「樹脂部から液体が浸透するので水などに触れない」と注意しています。手のひらが通気するぶん、水も通すわけです。雨の日や沢沿い、濡れた岩では中まで濡れる前提で考えておきましょう。
メッシュ系は、マックスレザーメッシュ人工皮革手袋(680円)とクッション&エアーメッシュグローブ(780円)です。マックスレザーメッシュは手のひらが人工皮革で、甲側のメッシュで通気する作り。手のひら側はあまり通気しません。クッション&エアーメッシュは手のひらもポリエステル生地で、合成皮革は人差し指先と面ファスナー部分だけです。ただ手のひらにはクッションが入っていて、どのくらい通気するかの数値は公表されていません。
クッション&エアーメッシュは「衝撃もムレも抑える」とうたい、タッチパネル対応。マックスレザーメッシュは「通気性に優れたメッシュタイプ」で、タッチ対応の記載はありません。背抜きより数百円高いので、替えを何組も持つ使い方には少し割高かもしれません。
ブレスグリップ手袋 タイプR(ショーワグローブ)
手のひらにも通気性を持たせた発泡樹脂コーティングの背抜き。水を通すので晴れの日向き
価格目安:298円(税込・2026年10月時点のワークマン公式ストア表示)
冷感手袋は蒸れにくさの目安にならない
「接触冷感」の表示は、蒸れにくさの目安にはなりません。接触冷感は、触れた瞬間のひんやり感を表す表示だからです。
指標のqmaxは、温かい板を生地に触れさせた瞬間に、熱がどれだけ速く移るかを測った値です。汗を外へ逃がす量や、長時間の蒸れにくさを示すものではありません。冷たく感じるのは最初の一瞬の話、と考えておくと分かりやすいですね。
匠の手 COOL天然ゴム背抜きが蒸れにくい根拠も、公式説明では「背抜き手袋なので通気性があり、ムレを軽減」という構造の方です。冷感の文字だけで選んで全面コーティングや防水手袋を夏に使うと、中が汗で濡れやすくなります。(出典:ワークマン公式オンラインストア『匠の手 COOL天然ゴム背抜き手首ショート手袋』)
「冷感」「COOL」の文字より先に、甲側に編み地やメッシュが残っているかを見て選びましょう。
低山ならCOOL背抜きか15G薄手で299円以下
夏〜秋の低山で手汗対策に選ぶなら、匠の手 COOL天然ゴム背抜き(299円)か15G天然ゴム薄手背抜き(199円)が候補になります。どちらも甲側の通気と手のひらのゴムで、グリップと手の保護を両立する作りです。
| 製品 | 価格 | 素材(公式表示) | 公式の説明 | サイズ |
|---|---|---|---|---|
| 匠の手 COOL天然ゴム背抜き手首ショート手袋 | 299円 | ナイロン・ポリエステル・ポリウレタン/すべり止め:天然ゴム | 接触冷感。背抜きで通気性があり「ムレを軽減」。手首ショート丈 | M・L・LL |
| 匠の手 15G天然ゴム薄手背抜き手袋 | 199円 | ポリエステル100%/すべり止め:天然ゴム | 「通気性があり、より高い操作性で素手感覚」 | M・L・LL |
| 匠の手レジャー&アウトドアグローブ 天然ゴム背抜き手袋 | 99円 | ポリエステル100%/すべり止め:天然ゴム | キャンプ・BBQ・DIY向け | SS・S・M・L |
価格は2026年10月10日時点の公式オンラインストア表示(税込)です。99円のレジャー&アウトドアはSSから選べるので、手が小さい人には候補になりそう。COOL背抜きはM〜LLなので、合うサイズがあるか確かめてから選んでください。
気をつけたいのは、どれも作業用の手袋という点です。商品説明は運搬・農業・組立やキャンプ向けで、登山の用途はうたっていません。雨や濡れた岩では、手のひらのゴムも滑りやすくなるので過信は禁物です。
僕はワークマンの背抜きを山で使ったことはありません。なので着け心地までは語れませんが、1双が数百円なら替えを持ちやすいのは大きな利点だと感じます。
ワークマン 匠の手 COOL天然ゴム背抜き手首ショート手袋
背抜きの通気で「ムレを軽減」とうたう接触冷感タイプ。夏の低山の行動用と替えに
価格目安:299円(税込・2026年10月時点の公式表示)
ワークマン 匠の手 15G天然ゴム薄手背抜き手袋
15ゲージの薄手で素手に近い操作感をうたう背抜き。替えを複数そろえやすい価格
価格目安:199円(税込・2026年10月時点の公式表示)
登山で手汗をためない替え方とインナーの使い方
濡れたら替えるって、手袋を何組も持っていくの?荷物が増えそう…
ULで山を歩く僕も、そこは気になりました。削っていい物かどうか、一緒に考えてみましょう。
手汗の人は、行動用とは別に乾いた替えを1組持ち、冷えやすい場面の前に替えるのが基本です。寒くなってきたら薄手のインナーを併用し、汗を受け持つ層だけ替えられるようにします。

替えは何組?ULでも削らない1組の考え方
先にお伝えすると、夏山の手汗用に何組持つべきかを定めた公式の基準は見当たりませんでした。予備手袋の推奨は、主に冬山向けのものです。モンベルは予備とリーシュの携行を勧め、北海道警察の冬山装備リストも予備手袋を挙げています。
そのうえで、僕は行動用1組+替え1組の計2組を最小の構成と考えています。公式の推奨ではなく、濡れたら替える運用から逆算した僕なりの目安です。汗の量や山行の長さによって、増やす判断もありだと思います。
ULは不要なものを削る考え方ですが、濡れた手袋で冷えるのは安全に関わる部分です。ワークマンの背抜きなら、替えを足しても数百円。軽さと安全のバランスで見ても、1組は持っておきたいところです。
替えるタイミングは、熱を作る量が落ちる前がポイントです。目安は次のような場面になります。
- 休憩で止まる前
- 稜線や山頂で風に当たる前
- 下りに入る前(登りより熱を作る量が落ちる)
- 鎖場や岩場の手前
外した濡れ手袋はジップ袋に分けて、乾いた方と混ざらないようにします。速乾の化繊の薄手なら、ザックの外側や胸ポケットでも乾かしやすいです。2組を交互に回せば、次に替えるころには片方が乾いているかもしれません。
富士山では、インナーの長袖を2枚持っていきました。8合目で半袖から長袖に替え、山頂でもう一度着替えています。休憩するとすぐ冷えるので、乾きやすい素材を多めに持つ方がいいと感じました。手袋の替えも、この考え方の延長です。
インナーグローブは化繊かウールか手汗向きの素材
手汗の人のインナーは、汗を抱え込まない化繊を基本に、保温や防臭を重視するならメリノウールという分け方がおすすめです。綿は汗を吸うと乾きにくく、行動中の手袋には向きません。
| 素材 | 公定水分率 | 手汗の人から見た特徴 |
|---|---|---|
| 綿(軍手など) | 8.5% | 汗を吸って重く冷たくなる。行動中の手袋に不向き |
| ポリエステル・ナイロン(化繊) | 0.4%・4.5% | 水を抱えず乾きやすい。においは綿より残りやすい研究がある |
| メリノウール | 15.0%(羊毛) | 保温性・吸放湿性・防臭性が特徴。手洗い指定や縮みの注意がある |
| ゴム・樹脂(背抜きのコーティング) | — | グリップと保護になるが、手のひらの汗の逃げ道をふさぐ |
公定水分率は、繊維ごとに定められた水分の規定値です。ポリエステルの値は綿の約20分の1で、繊維そのものが水分を吸いにくいことを示しています。化繊が乾きやすいと言われる理由のひとつがこの性質です。ただし実際の乾きやすさは、生地の編み方や厚さでも変わります。
富士山には軍手を持っていきました。岩場のグリップや手の汚れ防止、山頂の防寒のためです。ただ、一般的な綿の軍手は汗を吸うと乾きにくい素材。手汗が気になるなら、化繊の手袋を選ぶ方が安心かなと思います。
インナーグローブの役割は、メーカーの定義が参考になります。モンベルは「汗を素早く吸水拡散し、ドライな環境を保つ」、ファイントラックは「汗を速やかに透過させ、肌への濡れ戻りを軽減」としています。インナーに汗を受け持たせ、濡れたらインナーだけ替える。これが手汗の人にとってのインナーの効果です。
| 製品 | 税込価格 | 素材 | 重量 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ファイントラック ドライレイヤーインナーグローブ | 4,389円 | ナイロン88%・ポリウレタン12% | 12g | 撥水メッシュの極薄手。他のグローブの下に重ねる前提 |
| スマートウール メリノグローブ | 定価4,840円 | メリノウール88%・ナイロン12% | — | 薄手メリノ。親指と人差し指がタッチ対応 |
| ブラックダイヤモンド ライトウェイト スクリーンタップライナー | 定価4,840円 | ストレッチフリース(ポリエステル92%・ポリウレタン8%) | 38g(M) | 掌側がタッチ対応 |
| モンベル L.W.インナーグローブ | 2,600円 | ポリエステル93%・ポリウレタン7% | 平均20g | 極薄手。タッチ対応・弱い洗濯機洗い可 |
価格は2026年9月時点の各社公式ストアの表示です。ワークマンにも、過去に499円のメリノ系インナーグローブがありました。ただ2026年10月時点では、公式オンラインストアの一覧に見当たりません。秋冬の店頭が中心とみられるので、店舗で確認するのが確実です。
ファイントラック ドライレイヤーインナーグローブ
汗を透過させて濡れ戻りを軽減する12gの極薄手。手汗の人のベース層に
価格目安:4,389円(税込・2026年9月時点)
スマートウール メリノグローブ
メリノウール88%の薄手。防臭性も重視したい人のインナー・単体兼用に
価格目安:定価4,840円(税込・2026年9月時点)
鎖場のグリップとスマホ操作は手汗でどう変わる
手汗で手袋が湿ると、グリップもスマホの反応も落ちやすくなります。鎖場の手前で乾いた手袋に替え、スマホは反応しないときの代わりを用意しておくのが現実的です。
鎖場の手前で乾いた手袋に替えてグリップを確保
埼玉県警の山岳救助隊ニュース(2026年7月7日発行)によると、6月末時点で県内の山岳遭難は31件でした。両神山の5件のうち3件は、鎖場が関わる滑落・転倒です。(出典:埼玉県警察『山岳救助隊ニュース』令和8年第6号)
同ニュースは、三点支持を意識した通過や鎖場の前後での小休止を呼びかけています。手袋の話は出てきませんが、鎖場の前後で一息つくタイミングは手袋を替えるのにもちょうどいい場面です。濡れた手袋のまま鎖をつかむより、手前で乾いた替えにする方が安心かなと思います。
背抜きのゴムやニトリルの手のひらは、乾いた状態でのグリップを想定した作業用の設計です。登山メディアも、すべり止め付きの軍手でさえ雨などで濡れると滑りやすくなると指摘しています。
手の保護まで考えるなら、登山用のグローブという選択肢もあります。モンベルは手のひらにやぎ革を使ったトレッキンググローブ(5,500円)を、「鎖場や岩稜地帯でもしっかりと手を保護」と説明しています。岩場が続く山では、作業用手袋との違いを比べてみてください。
僕も奥穂高岳の山頂アタックでは、はしごもある岩場を暗いうちに歩きました。手を使う区間が続く山ほど、乾いた手袋で臨める準備をしておきたいところです。
鎖場では手袋の有無にかかわらず三点支持が基本です。手袋の交換は、鎖場に入る前の安全な場所で済ませてください。
ワークマンのスマホ対応手袋は手汗で反応しにくい
ワークマンのタッチ対応手袋は、手が汗で湿っていたり、サイズが合わなかったりすると反応しにくいことがあります。商品ページ自身が「反応しない場合がある」と注記しています。
| 製品 | 価格 | タッチ対応の範囲 | 公式の注記 |
|---|---|---|---|
| フリックタッチグローブ | 299円 | 手のひらすべて | — |
| 匠プラス タッチパネル天然ゴム背抜き手袋 | 250円 | どの指か記載なし | 環境により反応しにくい場合がある |
| クッション&エアーメッシュグローブ | 780円 | 対応(人差し指先は合成皮革) | サイズが合わない等で反応しない場合がある |
| イナレム ギアレイングローブⅡ | 1,900円 | 人差し指先(ポリウレタン樹脂) | — |
スマホ対応手袋は、指先の導電糸などで、指と画面のあいだの静電容量の変化を伝える仕組みです。指先が汗や雨で濡れていると反応が鈍くなり、厚手になるほど反応は弱まります。導電糸は使い続けると劣化する傾向がある、とも報じられています。
地図アプリをよく見る人は、タッチ対応の薄手を選ぶのが第一歩。そのうえで、反応しないときに備えてタッチペンや、指先をさっと拭ける布を持っておくと慌てずに済みます。
寒い時期に手袋を外して素手で操作すると、指先が一気に冷えます。モンベルも、細かい作業はインナーグローブを着けたまま行うよう勧めています。秋以降は、タッチ対応のインナーを選んでおくと安心ですね。
寒い時期は防寒手袋1枚より登山用の重ね方へ
晩秋から冬の手汗対策は、防寒手袋1枚で済ませず、薄手インナー+アウターの重ね方に切り替えるのがおすすめです。登りはインナーだけ、止まったらアウターを重ねる。濡れたらインナーだけ替える、という回し方ができます。
防水防寒・中わた入りの1枚もの(エックスシェルター断熱β防水防寒グローブ・2,900円など)は保温が主目的。運動量の多い登りでは、汗がこもる側になります。中が汗で濡れても、濡れた層だけ替えたり中わたを外して乾かしたりはできません。
透湿防水の手袋も万能ではありません。防寒テムレスのレビューには「厳冬期以外は汗の処理が追いつかず蒸れる」という声があります。テムレスのTFmittenについても、メーカー自身が「インナーが濡れると保温性が著しく低下する」と注意しています。
| 層 | メーカーが定める役割 | 組み合わせる例 |
|---|---|---|
| ベース(薄手インナー) | 汗を素早く吸水拡散し、ドライな環境を保つ | 化繊の極薄インナー、薄手メリノ |
| ミドル | 水蒸気の汗を透過させながら保温 | 厚手インナー、フリース、ニット |
| アウター | 雨・風・雪を防ぐ | イナレム ギアレイングローブⅡ、テムレス系の透湿防水グローブ |
役割はモンベルの冬山グローブの選び方をもとにしています。ファイントラックの組み合わせ例では、トレッキングは2枚、雪山は3枚の重ね方です。北海道警察の冬山装備チェックリストも、インナー手袋・防寒手袋・オーバー手袋を別々に挙げています。雪山は作業用の防寒手袋1枚で代用する領域ではありません。
ワークマンで組むなら、アウターにイナレム ギアレイングローブⅡ(1,900円)が候補です。透湿防水素材で、タッチパネルにも対応しています。インナーは秋冬に店頭へ出るメリノ系か、登山用の薄手インナーを合わせる形になります。
もっと寒い条件に備えるなら、テムレスの02winterのような裏ボア付きの透湿防水グローブも選択肢です。インナーと重ねる前提なら、サイズは少し余裕を見て選びましょう。ただし公式の注意書きどおり、カフ部分には防水機能がありません。
寒い時期は、鎖やストックの金具に素手で触れるのも避けたいところです。研究では、表面温度−15℃のアルミや鋼に指先で触れると、2〜6秒で接触面の皮膚温が0℃に達しています。薄い手袋1枚でも、金属との直接の接触を断つ意味があります。
指先の感覚がなくなる、皮膚が白っぽくなるなどの異変があれば、無理をせず引き返し、早めに医療機関を受診してください。
ワークマン イナレム ギアレイングローブⅡ
透湿防水のアウター。行動中は外し、休憩や雨・風のときにインナーへ重ねる使い方に
価格目安:1,900円(税込・2026年10月時点の公式表示)
ショーワグローブ TEMRES 02winter
裏ボア付きの透湿防水グローブ。冬の低山でインナーの上に重ねるアウター候補
価格目安:オープン価格(実売はおおむね3,000〜4,600円台・2026年10月時点)
手袋以外も含めて、ワークマンの装備で足りる条件と専用品に切り替える境界は次の記事で整理しています。
関連記事:ワークマンで登山装備はどこまで揃う?使える物と買うべき境界
手汗で臭う手袋の洗い方と陰干しのコツ
手袋のにおいは汗そのものより、残った汗や汚れを細菌が分解して出るものです。使ったらその日のうちに洗い、陰干しで乾かすのが基本になります。
花王の研究紹介によると、汗そのものはほぼ無臭です。衣類に付いた汗や汚れを特定の細菌が分解し、脂肪酸がにおいとして生じます。手袋の中は乾きにくく、汗や皮脂が繊維に残りやすい環境ですよね。
化繊ならではの注意もあります。2014年の研究では、運動後のポリエステルのTシャツが、綿より強く不快なにおいと判定されました。ワークマンの背抜きの多くは本体がポリエステル100%。手汗の多い人ほど、においが出やすい条件がそろいます。
背抜き手袋の手入れは、ブレスグリップなどを作るショーワグローブの公式の指示が参考になります。
- 使用後は汚れをよく洗い落とす
- 色移りのおそれがあるので、他の物と一緒に洗わない
- 風通しのよい日陰で陰干しする
- 直射日光を避けて保管する
- ゴム部に付いた油はすぐ拭き取る
ワークマンの手袋の商品ページには、洗濯表示が書かれていません。ショーワグローブの公式ページにも、洗濯機の可否や水温の指定はありません。迷ったら手で汚れを落とし、湿ったままザックに入れっぱなしにしないのが無難かなと思います。
登山用インナーは製品ごとに洗濯表示が違います。モンベルのメリノウール グローブ タッチは手洗い40℃以下で、洗濯後に多少縮むことがあるとされています。L.W.インナーグローブは弱い洗濯機洗い30℃以下で、柔軟剤は使えません。必ず製品の洗濯表示を優先してください。
抗菌防臭加工についても一言。ショーワのNo.341のように、繊維部に抗菌防臭加工がある背抜きもあります。ただ、これはにおいを抑える機能で、汗の量を減らすものではありません。2組を交互に使えば、毎回乾いた手袋で出かけられます。
体質によっては、手袋でかゆみやかぶれが出ることがあります。症状が出たら使用をやめ、医師に相談してください。
ワークマンの手袋と手汗のよくある質問
ワークマンで一番蒸れにくい手袋はどれですか?
「蒸れない」と言い切れる製品はありません。公式で「ムレを軽減」とうたう中では、甲側が通気するCOOL天然ゴム背抜き(299円)が手頃です。手のひらまで通気させたいならブレスグリップ タイプR(298円)ですが、水も通すので晴れの日向きです。
登山で軍手を使ってもいいですか?
綿の軍手は汗や雨を吸うと乾きにくく、行動中に濡れ冷えしやすい素材です。すべり止め付きでも、濡れると滑りやすくなると指摘されています。手汗が気になるなら、本体が化繊の背抜き手袋や登山用の薄手グローブを選ぶ方が安心かなと思います。
夏の低山なら手袋なしでも大丈夫ですか?
樹林帯の歩きが中心なら、素手で歩く選択もあります。ただ、鎖場や岩場、倒木をまたぐ場面、ストックの操作では、手の保護とグリップのために手袋があった方がいい場面があります。薄手を1組ザックに入れておくと、必要なときだけ使えます。
ワークマンのメリノインナーグローブはいつ買えますか?
過去に499円で販売されたメリノ系インナーグローブがありますが、2026年10月時点では公式オンラインストアの一覧に出ていません。秋冬の店頭が中心とみられるので、近くの店舗で確認するのが確実です。フリーサイズで、手の小さい人は指先が余るという声もあります。
手汗用の手袋に抗菌防臭加工は必要ですか?
抗菌防臭加工は、繊維の上で細菌が増えるのを抑えて、においの発生をおさえる加工です。汗の量を減らしたり、蒸れを防いだりする機能ではありません。においが気になる人には助けになりますが、まずは通気する構造を選ぶこと。加工の有無にかかわらず、使ったら製品の表示どおりに洗ってしっかり乾かすのが基本です。
まとめ:ワークマン手袋の手汗対策は背抜きと替えで決まる

蒸れない1枚を探すより、替えを持つ方が大事なんだね。
そうみたいですね。僕も富士山で、着替えを多めに持つ大切さを感じました。手袋も同じ考え方でいけそうです。
手汗の人のワークマン手袋選びは、「蒸れない1枚」より「汗の逃げ道」と「替え」で考えるのが近道です。最後に要点を振り返ります。
- ワークマンの公式表示は「ムレを軽減」「蒸れにくい」まで。通気する構造を選び、濡れたら替える
- 夏〜秋の低山はCOOL背抜き(299円)か15G薄手背抜き(199円)が候補
- 背抜きは手のひらの汗がこもり、ブレスグリップは水も通す。冷感表示は蒸れにくさの目安にならない
- 行動用1組+替え1組を最小に、休憩・下り・鎖場の前に乾いた手袋へ替える
- インナーは化繊が基本、保温や防臭を重視するならメリノ。綿は避ける
- 寒い時期は防寒手袋1枚より、薄手インナー+アウターの重ね方へ
- 使ったらその日のうちに洗って陰干し。汗の量が多すぎるなら皮膚科に相談
価格や仕様、取り扱い状況は時期や店舗で変わります。正確な情報は公式サイトや店頭でご確認ください。また、ここで紹介した枚数や組み合わせはあくまで一般的な目安です。山の条件や体質に合わせた最終的な判断は、ご自身の責任で行ってくださいね。
