バックパック

失敗しない!テント泊のザック容量と選び方の目安

こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。

テント泊に挑戦しようと思ったとき、まず最初に壁となるのが装備の準備ですよね。なかでも、すべての荷物を詰め込むバックパック選びは本当に悩ましいポイントです。読者の方からも、テント泊用のザック容量に関する目安や、初心者に適した選び方についてよく質問をいただきます。

また、大は小を兼ねると思って大きすぎるサイズを買ってしまわないか不安な方や、パッキングに自信がない女性ハイカーの方からのご相談も少なくありません。

今回は、僕自身も最初に知りたかったテント泊に向けたザックの容量選びについて、自身の経験を交えながら詳しくまとめてみます。

  • テント泊初心者に最適なザック容量の具体的な目安
  • 宿泊日数や季節の環境変化に応じたサイズの選び方
  • 大きすぎるザックを選ぶことで生じる山行中のリスク
  • 疲労を軽減するパッキングとフィッティングのコツ

失敗しないテント泊用ザックの容量選び

テント泊用のザック容量を選ぶ際、まずは基本となるサイズ感を知ることが大切です。日帰りや山小屋泊とは異なり、「衣・食・住」すべてを背負うことになるため、ここでの選択が山での快適さを大きく左右します。僕の失敗談も交えながら、スタイルや季節に合わせた最適なサイズの選び方をご紹介しますね。

初心者におすすめの60Lサイズ

初心者におすすめのザック容量は60リットルで余裕を持たせる

結論から言うと、これから初めてテント泊装備を揃える方には60Lから65Lの容量が一番おすすめです。

最近はUL(ウルトラライト:要するに極限まで装備の軽量化・小型化を図るスタイルのことです)が流行っており、50L前後のザックで軽快に歩くハイカーも増えました。僕自身も今はULスタイルが多いですが、最初からこの容量を選ぶのはハードルが高いかなと思います。なぜなら、50Lにテントやシュラフ(寝袋)、マットなどの三大宿泊装備を収めるには、一つひとつのギアを非常にコンパクトで高価なものにする必要があり、さらにパッキングの高度なテクニックも求められるからです。

60L前後をおすすめする理由

標準的な大きさのテントや化繊のシュラフでも無理なく収めることができ、パッキングに少し失敗してスペースを無駄にしてもカバーできる「余裕」があるためです。

宿泊日数で変わるサイズの目安

宿泊日数と季節で変わる最適なザック容量の目安表

テント泊装備の面白いところは、実は1泊でも3泊でも「テント、シュラフ(寝袋)、マット」といったベースとなる居住装備の体積は全く変わらないという点です。では、日数が延びるにつれて何がザックの容量を圧迫していくのかというと、ズバリ食料、水、燃料、そしてゴミの量です。

宿泊日数が増えれば、それに比例して消費するアイテムの体積が増加します。僕のこれまでの山行経験をもとに、宿泊日数ごとのザック容量の目安と、装備選びの傾向をわかりやすく表にまとめてみました。

宿泊日数推奨容量食料・燃料の傾向とパッキングのポイント
1泊2日60L食材の自由度が高く、生の食材やお酒、おつまみなども持参可能。テント場でくつろぐための軽量チェアなど、+αの贅沢アイテムを入れる余裕があります。
2泊3日65L〜70L食事の回数がグッと増えるため、食材のパッケージを事前に外してジップロックにまとめるなど、かさばりを抑える工夫が必要になってくるターニングポイントです。
3泊以上
(長期縦走)
70L以上食料は体積の小さいフリーズドライやアルファ米が中心に。予備のガス缶やモバイルバッテリーが増え、さらに日数分のゴミを収納するスペースの確保が必須になります。

1泊2日は「山の時間を楽しむ」余裕がある

1泊2日の週末登山であれば、60Lの容量があればかなり余裕を持ったパッキングが可能です。僕も1泊の時は、少し重くてかさばっても美味しいご飯を作るためにフライパンを持っていったり、食後のコーヒーにこだわったりと、「山での時間を楽しむための装備」に容量を割くことが多いですね。

2泊以上の縦走は「体積との戦い」が始まる

これが2泊3日以上の縦走になると状況が一変します。単純に必要な食事の回数(朝・昼・晩・行動食)が増えるだけでなく、着替えの靴下や下着、さらに悪天候で停滞した時のための予備食料も必要になります。

特に見落としがちなのが「ゴミ」の存在です。食べた後の食料パッケージや空き缶は、思いのほかザックの中で場所を取ります。3泊以上になると、60Lクラスのザックにすべてを収めるのは難易度が跳ね上がるため、65L〜70Lといった少し大きめの容量が視野に入ってくるわけです。

最初のベース作りに関するアドバイス

「いつか長期縦走にも行きたいから、最初から75Lを買おう!」と思うかもしれませんが、個人的には、まずは自分が一番行く機会が多そうな「1泊2日の標準的なスタイル」を想定してベース容量(60L前後)を決めるのが良いかなと思います。パッキングのコツさえ掴めば、60Lでも工夫次第で2泊3日の山行は十分に対応できるようになりますよ。

夏山と雪山など季節による違い

季節が変わると、必要な装備のボリュームは劇的に変化します。特に夏山と冬山(雪山)では、同じテント泊でも全く別物と考えたほうが安全です。

冬季は、氷点下に対応するための分厚い冬用シュラフ、かさばるダウンジャケットなどの防寒着、さらにアイゼンやワカンなどの雪山特有のギアが追加されます。そのため、夏山の装備に比べて+10Lから20Lの容量拡張が必要になってきます。

ワンポイント

多くの大型ザックには「60+10L」のように雨蓋(トップリッド)を伸ばして容量を拡張できる機能がついています。ただし、これはあくまで一時的な対応用です。雪山メインで考えているなら、最初から70L以上のモデルを検討してくださいね。

大きすぎるサイズを選ぶリスク

大きすぎるザックを選ぶことで生じる過剰な重さと滑落などの危険性

「とりあえず何でも入るように一番大きいサイズを買っておこう」と考える方もいるかもしれませんが、実はこれ、かなり危険な落とし穴なんです。

大きすぎるザックのデメリット

スペースが余っていると、人間は不思議なもので「念のためこれも持っていこう」と不必要な荷物まで詰め込んでしまいます。結果として過剰な重量となり、体力があっという間に奪われ、滑落などの重大な事故に繋がるリスクが高まります。

また、ザック自体も容量が大きくなるにつれて自重が重くなります。自分の体力と本当に必要な装備量を見極め、基本容量の範囲内でパッキングを完結させるのが安全登山の鉄則です。あくまで一般的な目安として捉え、無理のない重量に抑えましょう。

アタックザックの活用方法

アタックザックの活用とハッカ油を使ったお手入れ方法

テント場に重いメインザックをデポ(留置)して、身軽な状態で山頂を目指す時に便利なのが「アタックザック(サブバッグ)」です。

容量は10Lから20L程度のものが多く、小さく折りたたんでメインザックの隙間に忍ばせておくことができます。頂上で飲むための水、防寒着、行動食、救急用品など、最低限のアイテムだけを入れて行動できるので、体力を温存したい時に非常に役立ちます。僕も岩場が多いルートなどでは、安全のために必ず活用しています。

テント泊のザック容量を最適化するコツ

適切な容量のザックを手に入れたら、次はその空間をどう有効に使いこなすかが重要になってきます。テント泊用のザック容量を最大限に活かし、体への負担を減らしながら安全に歩くための実践的なテクニックをまとめました。

疲労を防ぐパッキングの基本

重さを感じさせないためのザックの詰め方4分割図

パッキングって、最初は単なる「パズルや荷物詰めゲーム」だと思いがちですよね。僕も初心者の頃は、とにかく隙間なく詰め込むことだけを考えて、いざ歩き出すと肩がちぎれそうになった苦い経験があります。実は、パッキングの本質は空間を埋めることではなく、いかに「重心」をコントロールして、背負った時の体感重量を軽くするかに尽きます。

パッキングの絶対的な基本原則は、重いものは背中側の中央から上部に配置し、軽いものはザックの下部や外側に配置することです。こうすることで、荷物の重心が自分の体の重心(おへその下あたり)に極限まで近づき、歩行時の余計なブレを最小限に抑えることができます。

具体的にザックの中を4つのゾーンに分けて、どこに何を配置すべきか表に整理してみました。

収納ゾーン入れるアイテムの目安配置の理由とポイント
ボトム
(最下部)
シュラフ(寝袋)、就寝用着替え、テント本体(ポール以外)軽くてかさばり、かつテント場に着くまで「絶対に開けない」ものを土台にします。ここに軽いものを置くことで、全体の重心が相対的に上へ移動します。
中段の外側
(フロント側)
スリーピングマット、予備の防寒着、トイレットペーパーなど体から一番遠い位置に重い物を置くと、後ろに引っ張られる力が働いてしまいます。そのため、極めて軽いアイテムを配置するのが鉄則です。
中段〜上部の
背中側
水、食料、バーナー類、クッカー、テントポール【一番重要なゾーン】
最も重いアイテム群を、肩甲骨から背骨のラインにピタッと密着させます。これが体感重量を劇的に軽くする最大のコツです。
トップ
(雨蓋・最上部)
レインウェア、行動食、救急用品(ファーストエイド)、ヘッドランプ天候急変や休憩時など、ザックを下ろさず(あるいは一瞬で)取り出す必要があるものをまとめます。ただし重くしすぎると歩行時に頭が振られるので注意。

「隙間」を徹底的になくして揺れを防ごう

それぞれのゾーンに荷物を配置したら、最後にもう一つ大切なステップがあります。それが荷物同士の隙間を埋めることです。

ザック内の「遊び」は疲労の元凶

ザックの中で荷物が動いてしまうと、歩くたびに重心が左右に揺さぶられ、体勢を立て直すために無意識のうちに筋肉を激しく消耗してしまいます。

特に岩場の多い山で両手が塞がってしまうルートを進むときに、左右に振られると本当に危険です。

隙間ができやすいクッカーの中や周辺には、タオルや行動用のフリースなどをギュウギュウに詰めて、パッキング全体が「一つの塊」になるように意識してみてください。ガチャガチャという音が鳴らなくなれば、パッキングはバッチリ成功です。最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が翌日の体の軽さを驚くほど変えてくれますよ。

危険な外付けを避ける収納術

ザックの隙間をなくし外付けを避ける安全歩行の絶対ルール

ザックの中に入りきらないからといって、スリーピングマットやテントのポールをザックの外側に紐で括り付ける「外付け」を見かけることがあります。しかし、これは山岳環境において非常に危険な行為です。

疲労が溜まってくると、自分の体の幅やザックのシルエットに対する感覚が鈍ってきます。その状態で狭い岩場や樹林帯を歩くと、外付けした荷物が岩や木の枝に引っ掛かり、バランスを崩して滑落する原因になりかねません。安全のためにも、装備は極力ザックの内部に「パッキングイン」することを強く推奨します。

背面長の計測とフィッティング

ザック選びで容量より重要な背面長の図解

テント泊用の大型ザックにおいて、容量選びと同じくらい、いやそれ以上に大切なのが「背面長(トルソーサイズ)」です。背面長とは、首の付け根の出っ張った骨(第7頸椎)から腰骨までの長さのことです。

これが自分の骨格に合っていないと、いくらパッキングを頑張っても荷重を腰で支えられず、肩だけに全体重が乗って激しい痛みを引き起こします。各メーカーによってサイズ感も異なるため、購入の際は必ず専門店でスタッフに相談し、実際に重り(ダミーウェイト)を入れた状態でフィッティングを行うようにしてください。背面長に関する正確な情報は公式サイトをご確認いただくか、プロのフィッティングを受けるのが一番確実です。

ハッカ油を活用した衛生管理

最後に、テント泊後のメンテナンスについても触れておきます。大型ザックは背中に密着するため、大量の汗を吸収します。そのまま放置すると嫌な臭いの原因になってしまいますよね。

そこで僕が実践しているのが「ハッカ油(ペパーミントオイル)」を使ったケアです。水で薄めたハッカ油スプレーを背面パッドやショルダーハーネスに吹きかけると、天然の抗菌・消臭効果でとてもスッキリします。ただし、ハッカ油の成分は特定のプラスチック(ポリスチレン等)を溶かす性質があるため、スプレーボトルの材質には注意が必要です。また、ザックの生地によっては変色するリスクもあるので、ご自身の判断と自己責任のもと、まずは目立たない場所でテストしてから試してみてくださいね。

最適なテント泊用ザック容量のまとめ

いかがだったでしょうか。テント泊 ザック 容量というテーマで、初心者向けの目安から選び方のポイント、そして快適に背負うための工夫までをお伝えしました。

「大は小を兼ねる」という言葉は山では必ずしも正解ではありません。まずは汎用性の高い60L前後を基準にしつつ、自分の行く山域、季節、そして何より自分の体型(背面長)にピッタリ合う相棒を見つけることが、安全で楽しいテント泊への第一歩です。この記事が、皆さんの素晴らしい山行のお役に立てば嬉しいです。不安なことがあれば、最終的な判断は専門のショップスタッフさんにご相談くださいね。それでは、安全に山を楽しみましょう!

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