こんにちは、YAMA-GO編集部のりょうです。関西を拠点に、北アルプスを中心にULスタイルで山を楽しんでいます。このブログ「YAMA-GO」では、実際に使ったギアのレビューや選び方、山のノウハウなんかを発信しています。
富士山のヘッドライトを調べると「200ルーメン以上」「いや300は欲しい」と数字がばらつきますよね。僕も最初は、大きい数字ほど安心なんだろうと思っていました。ところが実際に吉田ルートを夜に登ってみると、効いてきたのは最大の明るさではありませんでした。
この記事では、富士山の夜に必要な明るさの目安を、メーカーの公式スペックと実際に登った感覚の両方から整理します。ルーメン以外に見るべき配光・防水・電池の話まで、ひと通り分かるようにまとめました。
- 富士山の夜に必要な明るさの目安と、常用モードで見るべき点灯時間
- 最大ルーメンだけで選ぶと外す理由と、明るすぎることのデメリット
- 配光・照射距離・防水IPX・予備電池という明るさ以外の判断軸
- 条件で絞った富士登山向けモデルの候補と、レンタルの相場
富士山のヘッドライトは何ルーメン必要か

結論から言うと、最大で200〜300ルーメン出せるモデルなら、混雑期の一般的な行程では足りることが多いです。そして実際に歩くのは、100ルーメン前後の中間モードです。最大の明るさは、いざというときの引き出しくらいに考えておくと大きく外しにくいかなと思います。

理由はシンプルで、富士山の夜道は自分のライトだけで切り拓く場面が少ないから。混雑期の登山道は前後に登山者が連なり、他人の光も自分の周りを照らしてくれます。
富士山の夜って真っ暗だよね。やっぱり明るいライトじゃないと危ないんじゃないの?
僕も最初はそう思っていました。でも登ってみると、行列の前後のライトでけっこう足元が見えるんですよね。
へえ、そうなんだ!じゃあ何を見て選べばいいの?
数字の読み方に少しコツがあるみたいですよ。一緒に見ていきましょう。
富士山で効くのは最大の明るさより、中間モードを何時間使えるかです。
最大300ルーメン常用100で足りる
「何ルーメンあれば安心か」への答えは、情報源によって少しずつ幅があります。まずは、よく見かける目安を並べてみます。
| 情報源 | 挙げている目安 | 理由として語られていること |
|---|---|---|
| 登山用品店(好日山荘 瑞穂店) | 200ルーメン以上。100ルーメンは「歩けなくはないけど暗い」 | 山小屋の手前に岩場があり、両手を使う場面で足元を照らす必要がある |
| 装備特集の記事(&GP) | 足元を照らせるレベルで十分。高性能である必要はない | 夜明け前の登山道には多くのハイカーがいる |
| メーカー(モンベル) | ルーメンではなく照射距離で判断。最低30m、夜間行動なら50m以上 | ルーメンが大きくても遠くまで照らせるとは限らない |
| 一般的な登山メディア | 200ルーメン以上。100ルーメンは分かりやすい道なら歩ける | 用途によって必要な光の量が変わる |
数字としては「200ルーメン以上」でおおむね揃っています。ただ、その値が最大モードの話なのか常用モードの話なのかは、どの情報源も書いていません。ここが混乱のもとかなと思います。
そもそもカタログの明るさは、新しい電池を入れたときの最大値です。測定は点灯から30秒〜120秒の間に行われます。ペツルやブラックダイヤモンドなど多くのメーカーが採用するANSI/PLATO FL1という規格に沿った数字で、横断で比べられるようにしたものです。ただし全社がこの規格で表示しているわけではないので、並べるときは測り方もあわせて見たいところです。
つまり公表されている最大値は、そのライトが出せる上限にすぎません。ずっとその明るさで歩き続けられる、という意味ではないわけです。
そこで、すすめられている200〜300ルーメンと、各モデルの中間モード(だいたい100ルーメン前後)を重ねて読みます。すると実務的な読み方はひとつに落ち着きます。最大で200〜300ルーメン出せるモデルを買い、常用は中間モードにする、という形です。
明るさの目安の読み方
カタログの最大値は「出せる上限」。富士山で実際に使い続けるのは中間モードなので、中間モードの明るさと点灯時間をセットで見ます。
95ルーメンで登った吉田ルートの行列
僕が初めて富士山に登ったのは2017年7月、吉田ルートでした。8合目の白雲荘に泊まり、2時に起きて2時半に出発。山頂までは、だいたい1時間半かかりました。
この時間帯の登山道は、道幅が2人分しかないところで渋滞します。前にも後ろにも人が連なり、前後のヘッドライトが常に自分の周りを照らしている状態でした。自分の光だけで真っ暗な道を進む場面は、ほとんどなかったです。
そのとき撮った写真を見返すと、ヘッドライトの灯りが列になって山頂へ続いています。混雑期の富士山の夜は、こういう明るさなんだと改めて思いました。
2度目に登った2021年は、ジェントスのCP-095Dを持って行きました。最大95ルーメンで、強モードの点灯時間は7.5時間。単3電池1本で65g、価格は1,300円ほどのワイドビームのモデルです。
数字だけ見れば、推奨の200ルーメンには遠く届きません。それでも行列の中では、足元が見えなくて困ることはありませんでした。ここが「ルーメン数より使い方」と感じた原点です。
ただしこれは、混雑した吉田ルートでの話。人のいない時間帯や下山が遅れた場面では、自分のライトの照射距離が効いてきます。
御殿場ルートや平日の開山直後なら、前後に人がいないこともあります。だからこそ常用は中間モードでも、最大で200〜300ルーメン出せる余力は残しておきたいところ。絶対にこれが正解という話ではなく、条件次第で必要な光は変わります。
最大ルーメンだけで選ぶと外す理由
最大ルーメンだけで選ぶと外すのは、機種によっては、その明るさが2〜2.5時間しか続かないからです。富士山の夜間行動は、連続4時間前後になります。カタログで一番大きい数字が、最後まで使える数字とは限らないんです。

そしてもうひとつ、明るすぎることのデメリットもあります。自分の夜目が効かなくなる点と、行列で周りを眩しくしてしまう点です。
強モードは2時間半で夜を通せない
富士登山オフィシャルサイトの吉田ルート山小屋泊モデルプランは、山小屋を0時40分に出て山頂に4時40分着。この間はまるごと日の出前の暗闇です。(出典:富士登山オフィシャルサイト(環境省・山梨県・静岡県)『吉田ルート モデルプラン』)
山頂でご来光を見る行程なら、4時間前後はヘッドライトを点けっぱなしにする計算になります。7合目に泊まる場合は出発が23時前後になり、夜間行動は5時間を超えます。
半日ほどの行動時間のうち、暗い中を歩く時間がこれだけ続くわけです。ここにカタログの点灯時間を重ねると、話が見えてきます。
| モデル | 中間モードの明るさ・点灯時間 | 強モードの明るさ・点灯時間 |
|---|---|---|
| ペツル ティキナ | 100ルーメン・10時間 | 300ルーメン・2.5時間 |
| ペツル アクティック | 100ルーメン・10時間 | 450ルーメン・2時間 |
| ペツル アクティック コア | 100ルーメン・7時間 | 625ルーメン・2時間 |
| ブラックダイヤモンド スポット400 | 低照度で200時間 | 400ルーメン・2.5時間 |
いずれもメーカー公式の値です。この4機種では、最大モードだけで富士山の夜を通すことがカタログの上でもできません。一方で中間モードなら、7〜10時間もつ計算になります。
もうひとつ知っておきたいのが、点灯時間の測り方。ANSI/PLATO FL1では、点灯30秒後の明るさから最大出力の10%まで落ちるまでを点灯時間としています。ただし、この規格をすべてのメーカーが使っているわけではありません。モンベルは公式の製品ページで「乾電池式は照射時間に伴い徐々に明るさが減衰します」と注記したうえで、スポット300ルーメンの照射時間を20時間と表示しています。数字の意味が違うので、メーカーをまたいで点灯時間を並べるときは測り方もあわせて見ておきたいところです。
言い換えると、表示された時間の終盤はカタログの明るさが出ていません。しかも最長点灯時間がリザーブ込みのこともあります。リザーブは、歩くのに最低限の光だけが残っている状態です。
最長点灯時間の落とし穴
カタログの最長点灯時間は、最弱モードやリザーブ込みの数字であることが多いです。買う前に、自分が常用するモードの点灯時間を確かめておくと安心です。
明るすぎは夜目と周りに響く
強い光には、電池以外の副作用もあります。人の目が暗さに慣れるまでには、数分から最長30分かかります。暗順応した目に強い光が入ると、一時的に何も見えなくなってしまいます。
やっかいなのは、手前を強く照らしたとき。その明るさに目が順応してしまい、照らしていない周辺の足元がかえって見えづらくなります。光軸だけが明るいライトで起きやすい現象です。
次に、周りへの影響。行列で歩く富士山の夜では、強い光で他人の顔を照らさないことがマナーとして挙げられます。山小屋やテント場では減光する、赤色灯や暖色光を使う、という配慮も同じ理由からです。
山小屋の消灯後は、とくに気を使う場面ですよね。寝ている人の顔に光を当てず、手元だけ照らすのが基本。赤色灯があるモデルなら、夜目を保ったまま手元や地図を見られます。
最後は重さと値段です。高出力のモデルほど電池の本数やバッテリー容量が増え、重くなる傾向があります。頭に4時間以上つけたまま歩くので、この差はじわじわ効いてきます。
明るさを上げるほど、電池・夜目・周囲への配慮・重さの4つを同時に削ることになります。
ルーメン以外に見る配光と防水IPX
ルーメンの次に見るのは、配光と防水IPX4以上、そして予備電池の3つです。どれも富士山の条件に直結します。明るさの数字より、こちらのほうが実際の歩きやすさを左右するかなと思います。

配光って言葉、初めて聞いたよ。明るさとは違うの?
光の広がり方のことみたいですよ。同じルーメンでも、遠くに届くタイプと手元を広く照らすタイプがあるんです。
配光は照射距離50m以上で選ぶ
モンベルは「ルーメンの数値が大きいヘッドランプが必ずしも遠くまで照らせるとは限らない」と説明しています。そのうえで挙げている目安が、照射距離で最低30m、夜間行動が必要なら50m以上です。(出典:モンベル『アウトドアの必需品 ヘッドランプの選び方』)
ペツルも、照射距離にもっとも影響するのは明るさよりビームの形状だと明記しています。同じルーメンでも、狭く絞ったスポットは遠くへ、ワイドは近くを広く照らします。
では富士山の夜ではどちらが効くのか。岩場で手を使い、砂礫の段差を見ながら、行列で前が詰まる。この条件なら近距離を広く照らすワイド寄りの配光が合います。スポットだけだと、足元が暗くなりやすいんです。
| モデル | 配光 | 照射距離(最大モード) |
|---|---|---|
| ペツル ティキナ | ワイド | 65m |
| ペツル アクティック | 公式の記載は照射距離のみ | 100m |
| モンベル マルチパワー ヘッドランプ | 電球色・ワイド・スポットの3モード切替 | 60m(スポット) |
| ジェントス CP-095D | ワイドビーム(赤色LED併載) | 55m |
照射距離の数字にも定義があります。0.25ルクス以上の照度で照らせる最大距離、という決まりです。0.25ルクスは、満月の夜くらいの明るさにあたります。(出典:ペツル『ANSI/PLATO FL1 基準に基づく照射性能の測定方法』)
その距離まで行けば、かろうじて物の存在が分かる。そういう水準なので、カタログの照射距離いっぱいまでよく見えるわけではありません。
参考までに、登山用ヘッドランプの実地テスト(山と溪谷オンライン)では、最大530ルーメンのモデルと400ルーメン台のモデルが実用上は同等と評価されています。ルーメン数の大小が、そのまま体感の差になるわけではないんですね。
防水IPX4と予備電池は削らない
防水はIPX4以上が目安です。モンベルはアウトドア用途でIPX4以上を推奨しています。富士登山向けの記事では、IPX7以上をすすめる例もありました(好日山荘 瑞穂店)。
IPXの数字は、段階ごとに試験している内容が違います。IPX4までが飛沫、IPX5とIPX6が噴流水、IPX7とIPX8が水没に対する等級です。
注意したいのは、IPX8が万能ではないこと。IPX8の試験条件(水深と時間)はメーカーが決めています。同じIPX8でも、保証される条件は製品ごとに違うわけです。
パッキンは経年で劣化し、防水性能も落ちていきます。長く使っている一台なら、そこも頭の片隅に置いておきたいところ。
価格と防水等級も比例しません。ペツルのティキナ・アクティック・アクティック コアはいずれもIPX4です。一方でモンベルのマルチパワー ヘッドランプは、2,970円台でIPX8となっています。
そして、削ってはいけないのが予備電池。富士登山オフィシャルサイトの必須装備は「ヘッドランプ+予備電池」で、出発前チェックリストにも動作チェックが入っています。
ここに寒さが重なります。ご来光待ちの時間帯の山頂は、7〜8月でも最低気温が0〜5℃程度。僕が初めて登ったときも、8合目ですでに5度を下回っていました。下では暑いと感じていたのに、上では本当に寒かったです。
アルカリ乾電池の推奨使用温度範囲は5℃〜45℃とされています(パナソニック公式)。ご来光待ちの気温は、この下限を下回ります。1.5Vのリチウム乾電池なら−40℃〜60℃で使えるとされ、低温には強いタイプです。(出典:パナソニック『乾電池を使って良い温度は?』(アルカリ・マンガン乾電池 FAQ))
ペツルの専用充電池「コア」も、取扱説明書では氷点下で寿命が著しく短くなるとされています。カタログの点灯時間は常温・新品電池での値なので、富士山では短くなる前提で見積もると安心です。
予備電池の置き場所
予備電池は本体と別に、取り出しやすい場所へ。山小屋泊なら就寝前に枕元へ出しておくと、暗い中でも手袋のまま交換できます。
リチウム電池や充電池を非対応モデルに入れると、オーバーヒートや故障の原因になるとペツルが明記しています。モデル別の電池対応表を確認してください。
スマホや100均ライトで足りるか
どちらも富士山の夜の代わりにはなりません。スマホのライトは両手がふさがり、緊急連絡用のバッテリーを削ります。100均のヘッドライトは、明るさも防水も公式の表示がなく比べられません。

でも100円で買えるなら、それでいいんじゃないの?
安く済むなら僕も助かるなと思います。ただ、数字が公表されていないと、どれくらい使えるか読めないんですよね。
スマホのライトは代用にならない
理由は3つあります。1つ目は、片手がふさがること。富士山には岩場で両手を使う場面があり、転んだときにも危険です。
2つ目は、バッテリーの問題。スマホは緊急連絡の手段でもあります。ライト代わりに使い続けると、いざというときの残量を削ってしまいます。
しかも低温では、モバイルバッテリー側の内部抵抗も上がります。公式が案内する使用温度は0℃〜40℃が目安。ご来光待ちの気温では、見積もりより取り出せる量が落ちる前提で考えたほうがよさそうです。
3つ目は、そもそも削れない装備だということ。モンベルの登山装備ガイドは、日帰り登山でもヘッドランプは必携としています。神奈川県警察が挙げる一般携行品にも、ヘッドランプが入っています。
富士登山オフィシャルサイトも、ヘッドランプを持たない登山者が日没後に道を見失い遭難するケースが増えていると明記しています。ヘッドランプは軽量化で削る側の装備ではありません。
余談ですが、僕が初めて参加したツアーのガイドも「レンタルでも良いから絶対つけろ」と言っていました。今思えば、これが一番シンプルな答えだったなと思います。
ダイソーは明るさも防水も不明
では100均のヘッドライトはどうでしょうか。ダイソーのLEDヘッドライトは110円(税込)で、単4形乾電池を3本使います(別売)。連続使用点灯時間は約9時間、点灯パターンは強点灯→弱点灯→点滅です。
引っかかるのは、ルーメン表記と防水等級の公式表示がないこと。モーションセンサー付きのモデル(330円)には強点灯60ルーメンの表示がありますが、明るさ以外の情報はやはり乏しいです。
同じく330円の充電式スケルトンライトは、ヘッドライトではなく手持ち兼ランタンのライトですが、最大110ルーメン・保護等級IPX3と紹介されています。IPX3は飛沫より下の等級なので、メーカー推奨のIPX4以上には届きません。
ここで言いたいのは「安いから危ない」ではありません。登山用モデルと同じ土俵で比較できない、というのが要点です。点灯時間の定義もそろっていません。
ANSI/PLATO FL1に沿った登山用モデルの点灯時間は、最大出力の10%まで落ちるまでの時間でした。この基準がない製品の「約9時間」は、意味が違う可能性があります。予備やサブとして持つなら分かりますが、主役にするのは避けたいところですね。
100均の製品は、比較の土俵に乗らないぶん判断ができません。メインの1台は公式スペックが公表されたモデルから選びます。
富士登山向けモデルとレンタルの目安
選ぶ条件は4つに絞れます。最大200ルーメン以上・常用するモードで7時間以上・IPX4以上・電池込み100g以下。ここを満たすモデルなら、富士山の夜で困る場面は少ないかなと思います。

そして、1回しか登らないならレンタルという手もあります。ヘッドランプ単品なら、1泊2日1,000円からです。
電池込み100g以下の300ルーメン級
先ほどの4条件を公式スペックに当てはめると、候補はこのあたりに絞られます。なおモンベルの2機種は常用モードの位置づけが違い、100ルーメン前後の中間モードではなくワイド40ルーメンが長時間用のモードです。点灯時間の測り方もメーカーで揃っていないので、縦に並べた数字は目安として見てください。
| モデル | 最大 | 常用モードの明るさ・点灯時間 | 照射距離 | 重量 | 防水 | 赤色灯 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ペツル ティキナ | 300lm | 100lmで10時間 | 65m | 92g | IPX4 | なし |
| ペツル アクティック | 450lm | 100lmで10時間 | 100m | 98g | IPX4 | あり |
| ペツル アクティック コア | 625lm | 100lmで7時間 | 115m | 88g | IPX4 | あり |
| モンベル マルチパワー ヘッドランプ | 300lm | ワイド40lmで70時間 | 60m | 95g(電池込) | IPX8 | なし |
| モンベル リチャージャブル パワーヘッドランプ | 300lm | ワイド40lmで36時間 | 70m | 86g | IPX6 | なし |
| ブラックダイヤモンド スポット400 | 400lm | 低照度で200時間 | 86m | 78g | IPX8 | あり |
価格の見え方も書いておきます。ペツルは300ルーメンのティキナが4,180円、赤色灯付きで450ルーメンのアクティックが9,350円。充電池が付属する625ルーメンのアクティック コアは13,530円です。
つまり赤色灯と充電池の有無で価格が大きく動きます。明るさの数字だけを追うより、どの機能にお金を払うかで考えるほうが納得しやすいかなと思います。
富士山を1〜2回登る前提で、最初の1台に挙げやすいと感じるのはペツルのティキナです。最大300ルーメン、中間の100ルーメンで10時間、配光はワイドで重さは92g。今回の4条件をちょうど満たします。
ペツル ティキナ
最大300ルーメン・中間100ルーメンで10時間・ワイド配光・92g・IPX4。富士山の夜間行動4時間を、中間モードのまま通せる構成です。
価格目安:4,180円(税込・メーカー公式価格)
赤色灯を重視するならアクティックやスポット400、防水の等級を優先するならIPX8のモデル、という選び方になります。どれが正解ということはなく、優先したい軸で決めて大丈夫です。
逆に、条件から外れるモデルも挙げておきます。僕が持っているジェントスのCP-095Dは最大95ルーメンで、防塵防水はIP64。200ルーメンには届かないので、今の基準だと予備やサブ寄りです。
ただ使い勝手は良くて、電池カバーが一ひねりで開くので交換が簡単でした。点灯5秒後なら、どのモードからでもボタン1回で消せます。こういう細かい操作性は、暗い中で効いてくるんですよね。
ほかに、モンベルのコンパクトヘッドランプは最大60ルーメンで予備向き。ペツルのビンディは35gと軽い一方、公式サイトにモード別の点灯時間と照射距離の記載がありません。
買って後悔しやすい選び方
最大ルーメンだけで選ぶ、カタログの最長点灯時間を鵜呑みにする、予備電池を持たない、非対応モデルにリチウム電池を入れる、当日まで動作確認しない。この5つは避けたいところです。
レンタルは1泊2日1000円から
富士山に1回登るだけなら、レンタルのほうが合理的な場面もあります。やまどうぐレンタル屋はヘッドランプ単品を扱っていて、1泊2日1,000円、店舗受取の手ぶら割で850円です。
メーカー指定はできませんが、届くのは登山用モデルです。他社もそらのしたのペツル ティキナが1泊2日1,298円、LaMontのヘッドライトが店舗受取1,480円(別途保険料352円)。装備一式の中では借りやすい部類に入ります(いずれも2026年9月時点)。
装備をまとめて借りるなら、6点セットに最初から含まれています。レインウェア上下・ザック・登山靴・ストック・ヘッドランプ・スパッツの組み合わせで、料金は13,500円からです。一式を借りる予定なら、単品で足す必要はありません。
やまどうぐレンタル屋 ヘッドランプ
登山用モデルが1泊2日で借りられます。メーカー指定はできませんが、富士山を1回だけ登る人には手が出しやすい選択肢です。
価格目安:1泊2日 1,000円(手ぶら割 850円)
では買うのとどちらが得なのか。ヘッドランプの購入価格帯は、おおむね3,000〜8,000円とされています。数回使う見込みがあるなら、購入のほうが安くなる計算です。
判断の分かれ目は、この先も夜間行動をするかどうか。富士山だけで終わりそうならレンタル、山を続けそうなら購入、というのが素直な線引きかなと思います。
レンタルで気をつけたいのが、申し込み期限とキャンセル条件です。配送の申し込みは登山予定日の4日前が下限で、1週間前以上が推奨とされています。受け取りは配送のほか、新宿・河口湖・五合目周辺などの店舗も選べます。
富士登山は天気で中止の判断が出やすいですよね。やまどうぐレンタル屋は前日まで無料でキャンセルできますが、条件は業者ごとに違います。キャンセル条件は申し込み前に必ず確認しておくと安心です。
富士山のヘッドライトとルーメンのよくある質問
予備電池は何本持っていけばいいですか?
本数の公式な決まりはありませんが、使っているモデルが必要とする本数をもう1セット、が基本の考え方です。富士登山オフィシャルサイトの必須装備も「ヘッドランプ+予備電池」となっています。単4電池3本のモデルなら3本、単3電池1本のモデルなら1本を予備に。低温では消耗が早くなるので、寒さが気になる行程では低温に強いリチウム乾電池を選ぶ手もあります(対応モデルかどうかは必ず確認してください)。
乾電池式と充電式はどちらが富士山向きですか?
どちらでも登れますが、備え方が変わります。乾電池式は切れても予備と交換でき、消耗につれて光量が徐々に落ちるタイプ。充電式は電池交換が不要な代わりに、使い切ると現地で回復する手段がなく、モバイルバッテリーの併用が前提になります。氷点下では専用充電池の寿命が著しく短くなるとされているので、寒い時期は乾電池にも切り替えられるモデルが安心かなと思います。
赤色灯は必要ですか?
必須ではありませんが、山小屋に泊まるなら効きます。人の目が暗さに慣れるまでには数分から最長30分かかり、強い白色光を浴びると夜目が一度リセットされてしまうためです。赤色光なら夜目を保ったまま手元や地図を見られます。消灯後の山小屋で周りを眩しくしないという意味でも便利です。ペツルのアクティック、ジェントスのCP-095D、ブラックダイヤモンドのスポット400などが搭載しています。
山小屋の中ではどう使えばいいですか?
消灯後は、寝ている人の顔に光を当てず手元だけを照らすのが基本です。減光モードや赤色灯があれば、そちらに切り替えます。深夜出発に備えて、寝る前にヘッドランプ・予備電池・トイレ用の小銭・防寒着を枕元へ出しておくと、暗い中でも慌てずに動けます。目覚ましはバイブレーションにしておくのがマナーとされています。
日帰りや夜を歩かない行程でもヘッドライトは必要ですか?
必要です。モンベルの登山装備ガイドは、日帰り登山でもヘッドランプ・救急セット・エマージェンシーシートを必携としています。富士登山オフィシャルサイトも、ヘッドランプを持たない登山者が日没後に道を見失い遭難するケースが増えていると注意を促しています。予定どおりに下山できなかったときに効いてくる装備なので、使わずに終わるのが理想、くらいの位置づけで持っていくのがおすすめです。
まとめ:富士山のヘッドライトは300ルーメンで足りる
結局、すごく明るいライトじゃなくても大丈夫なんだね。
行列の中ではそうでしたよ。ただ、人がいない時間に備えて余力は残しておきたいですね。
富士山のヘッドライト選びは、最大の明るさより「常用モードを何時間使えるか」で決まります。要点をまとめておきます。

- 最大200〜300ルーメン出せるモデルを選び、常用は100ルーメン前後の中間モードにする
- ペツルやBDの主要モデルは最大モードが2〜2.5時間しかもたず、4時間前後の夜間行動を通せない
- ルーメンより配光。照射距離は夜間行動なら50m以上を目安にする
- 防水はIPX4以上。IPX8でも試験条件はメーカーごとに違う
- 予備電池は必須装備。低温ではカタログの点灯時間より短くなる前提で見積もる
- 1回だけならレンタルが1泊2日1,000円から。続けるなら購入が安くなる
ここに挙げた数値は、メーカーや公式サイトが公表している値と、僕が実際に登った範囲での実感です。あくまで一般的な目安として受け取ってくださいね。
開山期間や規制、各モデルのスペックは年によって変わります。最新の情報は富士登山オフィシャルサイトやメーカーの公式サイトで確認してください。体調や持病に不安があるときは、事前に専門家へご相談を。
気持ちよくご来光を迎えられますように。無理をせず、引き返す判断も持ったうえで楽しんでください。
